大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年5月23日(火)9:52~10:01於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から1点御報告をいたします。名古屋議定書の締結に関して、昨日5月22日に、ニューヨークの国連本部で我が国の受諾書を寄託いたしました。これを受け、寄託から90日後の本年8月20日に名古屋議定書が我が国について効力が生ずることになります。97番目という予定だったのですけども、98番目になったそうでございます。韓国が直前に寄託書を出したので、それで当方が98番目ということになったそうでございます。

2.質疑応答

(問)共同通信の井口です。6月にG7の環境大臣会合が迫ってまいりました。これについて伺いたいのですけれども、米国がパリ協定から離脱の宣言をするかどうかという情勢はまだ不透明ですけれども、こうした中で初めて、このG7でアメリカ側のカウンターパートとお会いになるのではないかと思うのですが、どういったメッセージを伝えていきたいかということをお聞かせください。
(答)直前にG7のいわゆる首脳の会議が同じイタリアであるわけでございまして、トランプ氏も出席するということを聞いております。従いまして、そこでトランプ氏がどういう発言をされるのか、また各国がどういうことをトランプ氏に発言するのか等々を含めて、私の環境大臣会合のときに、プルイット氏と会う機会があれば会って、それなりにお話はさせていただきたいと思っております。
(問)G7、あるいはその後にトランプさんの方から何らかの判断があったとしても、あるいはなかったとしても、いずれにしてもアメリカの対策というのは今後かなり弱まるというか、厳しい状況になってくるのではないかという気はするのですけれども、その辺り、政権の中でも離脱派の最右翼というか、プルイットさんと会うに当たって、こういうことを特にというのを今の時点で何かあれば教えてください。
(答)私の意見として、今の世界的な潮流等々については、お話はさせていただきたいと思ってはいます。
(問)会合の機会を捉えて、一対一のバイの会談というのは希望されるのでしょうか。
(答)まだ調整中だということを聞いております。どういうバイ会談がセットされるかというのも、私自身の出張についても、お役所的にはまだ調整中と、事情が許せば参加したいという表現にとどめろということでございます。確かに国会の関係がありますので、国会のお許しがなければ、当然、出張することはできません。その辺についてまだ国会とは調整中ですので、そういう表現で言っているわけでございまして、御理解をいただきたいなと思います。
(問)お話変わりまして、名古屋議定書のことなのですけれども、生物多様性の豊かな国として、日本としても提供国として、取り放題ではなく何らかの措置は必要だったのではという声もあるようですけれども、今回、提供国としての措置が講じられなかったことに関してはどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)関係省庁と連携して国内担保措置であるABS指針をしっかりと運用していくとともに、締約国として締約国会合等におけるこれからの国際ルール作りについて積極的に参画をしていくと、それが我が国の名古屋議定書に対する今後の取るべき態度だろうと思っております。

(問)読売新聞の大山と申します。今の名古屋議定書の関係なのですけれども、議定書が発効して国内でも発効は間もなくだと思うのですけれども、まだ遺伝資源の範囲をどこまで含めるかですとか、ちょっと曖昧な部分が残っていたり、あとは国内での制度の周知、定着など様々な課題があるかと思いますが、こういった課題に環境省としてはどのように対応されていくのか、今後の御予定についてお伺いさせてください。
(答)制度の周知その他については、随分と調整に長い時間を要しましたので、ステークホルダーの方々は、それぞれ御理解をいただいておるものだと思っております。ただ、一般国民の方々に対して、この名古屋議定書というものが果たす役割について説明ができる機会があったら、環境省なりの説明はしていく必要はあろうかとは思っておりますけども、なかなか一般国民の方々には分かりにくい話もあろうかとは思っております。
(問)先ほどの前の質問の中で、これからも国として国際的なルール作りに参画していくというお話がありましたけれども、まだ議定書で曖昧な部分が残っていたりして、ちょっと詰め切れていない部分もあると思うのですけれども、そういったことに国として、これからも積極的に参加していくということでしょうか。
(答)やはり一番大きな問題であった、いわゆる利害が対立する部分というのが大きく残っておりますので、そういうことについてのルール作りというのは、これからかなり詳細にわたって出てくるのだろうと思っておりますので、我が国なりの意見というのは表明していく必要があると思っています。

(問)朝日新聞の小坪です。昨日の野生生物小委員会でオオタカの希少種の解除という方針が正式に表明されました。まず、これの受け止めについて一言お願いいたします。
(答)私、何度もこのオオタカの指定解除ということについて説明を受けてまいりました。オオタカの生息状況は、かなり改善傾向にあるという報告も受けてまいりました。そういう中で、25年度から指定解除に向けた検討がずっと進んできたと理解をしております。いわゆる国内希少種の指定を解除するということは、種の保存の観点からは、傾向としてはいい傾向だと私は理解をいたしております。他の絶滅危惧種についても生息状況の改善を受けて指定解除をすることができるよう、今後も保全の取組を進めていきたいと考えております。
(問)指定を解除するだけではなく、オオタカがいることで里山の生態系だとかの保全にもかなり効果があったというようなお話もあります。こういったものを担保するために環境省として何か今後考えていかれることはあるでしょうか。
(答)当然、モニタリングを今後もかなりの部分やっていく、特に、東日本を中心にオオタカの場合はやっていく必要があると考えております。いわゆる指定解除したからといって、全くオオタカに対してウォッチングがなされないかといったら逆だろうと私は思っております。指定解除をしたが故に、今申し上げましたようにモニタリングを強化していって、再指定の可能性だってあるということだけは、私どもはこれからもそういう姿勢は取る必要があるんだろうと思っております。
 指定解除というのは、あくまでも今増えてきているということを踏まえてのことですから、これからモニタリングを強化していく中で、いやいや、そうじゃないですよと、今言われたように、オオタカというのは地域における生態系の頂点にあるわけですから、それが故に地域の生態系が壊れつつあるとかいう報告がまた上がってくるとするならば、皆さん方の御意見を聞いて、再指定の道もまたあるんじゃないかと思っています。