大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年4月11日(火) 8:51~9:09於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から2件、御報告をいたしたいと思います。まずは熊本地震。発生から間もなく1年を迎えるわけでございます。亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。環境省では、発災直後に環境省職員やD.Waste-Netの専門家を熊本県や被災市町村に派遣して以来、災害廃棄物処理、被災ペット対策、アスベスト対策等について、きめ細かい支援を行ってまいりました。災害廃棄物処理については、損壊家屋の解体が3月末時点で61パーセント、災害廃棄物の処理が2月末時点で44パーセントの進捗となっております。発災後2年以内の完了に向けて、損壊家屋の解体や災害廃棄物の処理が予定どおり着実に進んでいると考えております。今後も熊本県や市町村と連携しながら、災害廃棄物処理が着実に進むよう、全力で必要な支援を行ってまいります。
 2点目は、長期ビジョンを受けた今後の地球温暖化対策について御報告を申し上げたいと思います。本日の再生可能エネルギー・水素等閣僚会議で、各府省が連携して取り組むアクションプランがとりまとめられました。環境省として、これも踏まえて取り組んでいきます。その上で、長期低炭素ビジョンを踏まえ、2050年大幅削減を見据えて、我が国の豊富な再エネのポテンシャルを活用し最大限の導入を図るために、課題と解決のあり方について、まずは2030年に向けて検討するよう、事務方に指示したところでございます。具体的には、事務次官を長とする省内横断のチームを立ち上げまして、①全国的な視点での再エネの活用という観点に加え、②再エネによる地域活性化、③需要側での導入という3つの観点から、第1にポテンシャルが大きい洋上を含めた風力・地熱等の最大活用、第2に地域資源である再エネを地域で利用する事業の推進、第3に業務ビルや家庭などでの自家発電・自家消費の促進、といった類型に即した検討を、幅広い関係者と協力して行い、夏に第1弾のパッケージを打ち出すよう、指示したところでございます。また、長期戦略に関しましては、骨太な長期戦略の策定に向けて、長期低炭素ビジョンを土台に、長期大幅削減の「道筋」を示すことが必要ですので、議論を深めるよう事務方に指示したところでございます。以上でございます。

2.質疑応答

(問)TBSのドウトレイです。今お話にもありました長期ビジョンですけれども、温暖化対策について、先週の金曜日に経産省としての長期戦略の最終報告書案というのがまとまりましたけれども、まずそれについての受け止めをお願いいたします。
(答)経済産業省の報告については先週の検討会を踏まえまして、今後取りまとめがなされるものと承知をいたしております。内容を詳しく分析したわけではございませんけれども、詰めるべき論点が明確になるものと考えられておりまして、このこと自体は一つの前進だと思っております。改めて申し上げるまでもなく、パリ協定を踏まえまして、長期大幅削減に向けて累積排出の絶対量の削減に取り組む必要があります。環境省としては国内での大幅削減を実現することが国際競争力や国際貢献にもつながると考えており、今般指示した再エネの最大限の導入を図るための検討も具体的で実効性ある取組の一つであると思っております。長期低炭素ビジョンにおいて示した気候変動問題と経済・社会的諸課題の同時解決を念頭におきながら、長期大幅削減に向けた道筋の議論、カーボンプライシングの議論、さらには再エネの最大限の導入に向けた検討等を進めることにより、実効的で責任ある地球温暖化対策を積み重ねてまいりたいと思っております。
(問)もう1点関連でお伺いしたいのですけれども、今挙げられた、例えばカーボンプライシングということでいえば、環境省としてはもちろん導入を促進したい立場でありながら、今回、最終報告案の中でまとまったかたちでは追加的な措置は必要ないというふうに、ある意味、環境省と経産省との間での溝といいますか、考え方を浮き彫りにした形だと思いますけれども、それについての受け止めと、今後どのようにすり合わせをしていくのか教えていただけますか。
(答)カーボンプライシングについてはそれぞれの御意見があることも承知しております。その中で私どもは一つの考え方として打ち出しておるところでございまして、今後カーボンプライシングの議論は、我が方としては中央環境審議会の地球部会で御議論いただいているわけでございますけれども、私の方としては、カーボンプライシングは、いつも申し上げますように、非常に有効なツールであるという認識を持っているわけでございまして、だんだん御理解が広がっていくことを期待をしているところでございます。

(問)日経新聞の草塩です。低炭素の本日の閣僚会議のアクションプランなのですけれども、低炭素という意味だと、再生エネはもちろんなのですが、原子力発電もそこに含まれるという受け止めなのですけれども、原子力発電について、大臣のお考えを改めて伺えればと思います。
(答)原発については、いつも申し上げますように、三条委員会を外局に抱えている環境省でございますので、環境大臣としては、このことについての発言は、ずっと差し控えてはきているところでございますけれども、原子力防災担当大臣も兼務をしておりますので、安全性確保の観点から原子力発電に向き合う立場にもあるわけでございます。その上で、原発については、いかなる事情よりも安全性を優先して、原子力規制委員会が、科学的・技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発については、その判断を尊重するというのが一貫した政府の方針でもあります。ただ、原発への依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入などによりまして、可能な限り低減させるということも政府の方針であります。この方針に沿って、環境省としても再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいりたいと考えているわけでございます。
(問)要するに、原子力規制委員会が認めた原発の再稼働、稼働については、御理解されるという感じなのですか。
(答)政府の方針でもありますので。新規制基準に適合した原発については、政府としても再稼働は認めているところでございます。

(問)NHKの松田です。先ほどの再エネの導入の新チームの関係なのですけれども、これまでも環境省としては、再エネの導入というのは進めてきて、政策もそれなりに進めてこられていると思います。今回、部局の横断チームをつくるということなのですけれども、今回のこのプロジェクトが、どの辺が具体的で、どの辺が実効的なのかというところが、ちょっとよく見えないところがありまして、今回、再エネチームにかける思いが違うのだという環境省の心意気みたいなものはどの辺にあるのかなと思うのですけれども。
(答)今朝の官邸での再生可能エネルギー・水素等閣僚会議で、各省が再エネについてどのようなお考えを持っておられるのか、各大臣の発言もありました。そういう中で、私の立場としては、それぞれの省が再生可能エネルギーについて、お考えを前面に出してこられたということは非常に前進だと思っております。であるならば、地球温暖化問題に一番取り組んでいる環境省としては、まずは省内で、他の省には負けないという表現がいいのか分かりませんが、劣らない、再生可能エネルギーの考え方を打ち出していくことが私は必要だと思っておりまして、事務次官を長とする一つの省内横断のチームを作り、環境省としての再エネに対する考えを大きく打ち出していきたいというわけでございます。
(問)関連で、今、他省庁との連携ということも言われていたかと思うのですけれども、経産省、エネ庁、いろいろなところと連携が必要だと思うのですが、難しい面も多々あると思います。今回、チームをつくって、そういった他省庁との連携というのをどういうふうに進めていかれるのか。
(答)再エネの考え方が、かつては風力であったり、太陽光であったり、非常に限られた世界で議論されてきたように私は思っているのですけれども、改めて、様々なものを国内で持つ我が国独特の資源、それをいかして再生可能エネルギーを作ろうじゃないかという動きがかなり加速化されてきていると思っています。その代表が小水力のようなもの、そしてまた地熱のようなもの、これは我が国は資源としてかなり豊富に有している。であるならば、それを最大限いかしていくためには、たとえ役所が違おうと、どこがやろうと私はいいと思っているのですけれども、先ほど申し上げましたように、地球温暖化問題に最も取り組むべきは環境省だと思っておりますから、まずは環境省がそういうことを省内において、整理をしておく必要がある。そういう再エネに対する考え方を、環境省として、夏ごろまでにはまとめたいということなのです。

(問)読売新聞の野崎です。よろしくお願いします。再エネのプロジェクトの関係なのですけれども、先ほど第1弾は夏というふうにおっしゃっていたのですが、タイムスケジュールみたいなものはどのように見通しをされているのですか。
(答)タイムスケジュールというのは予断を持って申し上げることはできないのですけれども、まずは夏ごろまでに環境省としての再エネに対する考え方をまとめたいと思っております。まとめていきますと、その先に例えばエネルギー計画の改定の話も出てきます。そのときには環境省がまとめた一つの考え方もその中にいかしていけることができればいいなと私は思っております。スケジュール的なものはちょっとまだ、我々は申し上げるようなことにならないと思います。
(問)それと、エネルギーの関係なのですが、ちょっと話題を変えて。G7のエネルギー大臣会合がイタリアで開かれまして、共同声明が見送られたと。その理由がアメリカの温暖化対策で、石炭火力の関係でどうも合意に至らなかったようなのですけれども、いつもお聞きしますけれども、大臣の受け止めをお願いします。
(答)イタリアの話も伝わってはきております。議長のサマリーということで最終的にはまとめたやに聞いておりますけども、基本的にはやはりアメリカのいわゆるパリ協定に対する姿勢というのは私はまだ決まっていないのではないかというふうに思わざるを得ません。今回行かれている長官もやはりその辺のことがあったので、共同声明にある意味で否定的であったということなんだろうと思っています。まだまだトランプ政権の気候変動政策は、私はまだ不透明だと思っています。

(問)共同通信の井口です。再エネについてうかがいたいのですけれども、第1弾の夏の計画というのは時期的に見ても来年度の概算を念頭に置いた時期だと思うのですけれども、この時期にもう既に2030年までの考え方は出せるということでいいのでしょうか。
(答)出さなかったら26パーセント削減の道筋は見えてこないと思っていますので。26パーセント削減の大きな要素の一つがやはり再エネだと私は思っていますので、まずは何回も申し上げますけれども、地球温暖化問題のやはり中心にいるのは私は環境省だと思っておりますので、環境省が一つの考え方を出していくべきだと思っています。
(問)関連してなのですけれども、長期エネルギー需給見通しを見ますと、もう既に再エネは2030年に22~24パーセントというふうに見通しが立っております。そうすると、今回2050年に向けた大幅削減ということを考えたときに、30年の考え方としては、これをさらに深掘りするということを念頭に置かれているのでしょうか。
(答)希望的観測を申し上げさせていただくならば、もう少し上積みといいますか、してもらいたいなとは思いますけれども、やはり諸般の事情もあろうかと思います。ただ、私が知る限り、ここ数年、急速に再生可能エネルギーの占める比率が高くなってきております。先ほどから何回も申し上げますが、今後、いろんな再生可能エネルギーが登場してくるだろうと思っておりまして、それの動向次第によっては数字は変わってくるものだと期待はいたしております。
(問)大臣の個人的なお考えでもいいのですけれども、2030年に何パーセントが望ましいというふうに思われますか。
(答)これは言わない方がいいと(事務方は)言っていますけど、せめてヨーロッパ並みにはなりたいなと思っているのです。
(問)もう一つは、カーボンプライシングなのですけれども、本格的な検討に向けて今準備をされていると思いますが、いつ頃からいつ頃にかけてどういう検討をされたいかというのを改めて。
(答)前もこの場で申し上げたことがあろうかと思うのですけども、議論の俎上に上がってきたという認識があるんです。であるならば、拙速をまず避けなければいけない。いろんなご意見があることも承知しておりますから、やはり拙速を避けて丁寧にこの議論は進めていく必要があるというふうに思っております。カーボンプライシングと一言で言いましても、排出権取引でいくのか炭素税でいくのか、そこら辺も含めていろんな場で議論をしていただいて、もし炭素税ということであるならば、やはりヨーロッパの先進国でももう既に取り組んでおられるところの使い道の問題等々についてもやはり検討の余地はあると思います。いずれにしましても、拙速は避けたいということなんです。
(問)検討会の方はいつごろ始められるかというようなことに関しては何かもう目途は立っていますでしょうか。
(答)もう少し待っていただきたいと思います。