大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年1月10日(火)11:01~11:11  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、私の方からご報告することはございません。

2.質疑応答

(問)読売新聞の野崎です。2点質問がございまして、1点目象牙の取引の関係で先月末、中国政府が2017年末までに象牙の国内取引を禁止すると発表がありました。アメリカに続いて中国も市場閉鎖に踏み切ったのですが、日本は国内の象牙販売を続けていて、既に批判があるのですけれども、これでまた比べられて強まるのではないかと予測もあるのですけれども、大臣の所感と今後の環境省の対応についてお伺いできますでしょうか。
(答)象牙の問題ですけれども、中国政府が国内での商業用の象牙の加工・販売を2017年末までに停止することを公表したことは承知しております。中国政府は、以前から、2016年末までに国内での象牙の商業取引を停止するためのスケジュールを公表するとしていたことから、それに沿った対応をしたものと思います。日本は象牙の販売を禁止する予定はないのかという趣旨のご質問かと思いますが、象牙の国内市場が密猟や違法取引に貢献しないようにすることが重要であり、我が国においては、引き続き、種の保存法に基づき、象牙の国内取引を適正に管理してまいりたいと思っております。さらに、先日も申し上げたとおり、現在、流通の実態を踏まえつつ、象牙の国内取引の適正な管理に向け、象牙取扱事業者の管理制度の強化等について、種の保存法の改正も含めた更なる方策の検討を関係省庁と進めているところでございます。
(問)2点目なのですが、日本で一番大きなサンゴ礁と知られている沖縄の石西礁湖の関係で、白化現象が広がって相当数死滅してしまっていることが分かっているのですが、今日、環境省が新しい調査結果を発表しますが、地球温暖化による海水温の上昇が原因ではないかと言われておりますけれども、大臣はこの件についてどのようにお考えでしょうか。
(答)石西礁湖のサンゴの白化現象ですが、極めて深刻な問題と受け止めています。白化の直接の原因は海水温の上昇ということですが、地球全体の気候変動の影響も否めませんし、そればかりではないと私自身思っております。残念なことに、基本的には広範囲な海域において、サンゴの白化の進行を止める有効な手段は存在しませんが、温室効果ガスの排出削減により海水温が安定するということが基本的なことでありますし、その他にも赤土や汚染水などの陸域からの環境負荷を低減すれば、サンゴは徐々に回復するものだと思っております。環境省としては、今後もモニタリング調査などにより白化の状況を注視しつつ、関係者とともに、陸域からの環境負荷への対策や、サンゴの再生事業などを進めて、サンゴ礁の保全に取り組んでまいりたいと思っております。

(問)日本経済新聞の川口です。2点質問がございまして、1点目は、昨日一部報道で、除去土壌の再生利用の基準について要は規制庁の放射線審議会に説明が不十分で諮れなかったと書かれているのですが、まずこれについての事実関係をお伺いいたします。
(答)一部報道があったことは承知しております。除去土壌の再生利用の基準等について放射線審議会に諮問していないかどうかについて、昨年6月に、「再生資材化した除去土壌等の安全な利用に係る基本的考え方について」をお示しをすることに先立ちまして、原子力規制庁と意見交換を行いました。その際、規制庁からは、「放射線審議会は、放射線障害の防止に関する法令上の技術的基準の審議を行う、この『基本的考え方』は、放射線審議会への諮問の対象とされている法令上の技術的な基準には該当しない」との回答があったところです。したがって、環境省の説明が不十分であったため、放射線審議会への諮問を規制庁が認めなかったという事実はありません。今後、この『基本的考え方』を指針として、実証事業等を実施し、放射線に関する安全性の確認や具体的な管理方法の検証を行うとともに、特措法に基づく基準等として規定することを検討していきます。その際、特措法に基づく基準等の諮問についても、関係機関とも相談しながら、その必要性を含めて検討していきたいと考えております。
(問)そうなると記事は説明不十分で分からなかったとなっているのですが、今のご説明だとそもそもこの放射線審議会というのは『基本的考え方』を諮るものではないと、そういう認識でよろしいでしょうか。
(答)私どもはそのように考えております。
(問)ではあの記事は誤報ですか。
(答)私どもはそのような事実はないと申し上げたまでです。
(問)2点目なのですが、PCBの廃棄物についてお聞きしたいのですが、昨年法律が変わって北九州では残り450日以内に処理しなければいけないと思うのですが、現在の処理の状況を教えてください。
(答)PCB廃棄物の問題は、昭和47年に製造が禁止されたにもかかわらず、30年以上にわたり処理が進まず、今なお残っている問題です。現在、高濃度PCB廃棄物の処理を行っているJESCOの各処理施設の処理期限は、立地する地元自治体との約束でありまして、国として、必ず守らなければならないものと認識しています。一方、特に北九州事業エリア、いわゆる中国・四国・九州・沖縄各県の変圧器・コンデンサー等の処分期間は残りわずか一年あまりでございまして、逼迫した状況でございます。このエリアでの変圧器・コンデンサー等の処理の進捗率は約9割で、着実に処理が進んできてはおりますが、期限内処理の完了に向け、使用中のものを含む全ての廃棄物を把握するための掘り起こし調査を徹底することが必要だと考えております。

(問)共同通信の井口です。先ほど幹事社からの質問にあったサンゴのことなのですけれども、要は温暖化対策ももちろん重要だと思いますけれども、例えば農地由来の赤土だとか、観光が盛んになっているので下水にちゃんとつないでいないところからの汚染水であるとかそういったところをおっしゃっていたと思うのですけれども、ツーリズム含めて今あまり強い規制がないように思います。オーストラリアなんかですと、例えばネイチャーボートの錨を下さないようにするとか、観光客にサンゴを触らせないようにするとか、政府が主導して対策を打っていると思うのですが、その辺り日本の規制が弱いのではないかと思うのですが、今後どのようなことが求められると思いますでしょうか。
(答)ありがたいご指摘をいただいたのですけれども、今までサンゴの保護に関して私は環境省がいろいろなことをやってきたと思っております。いろいろな原因が考える中で、先ほど申し上げたように白化現象の進行を止める有効な手段はないけれども、やれる方法はありますよねということだけは、今までのいろいろな手当てをする中で大体見えてきたのではないかと思っております。ですが、やはり陸域からのいわゆる赤土であったり汚染水の流入をどうやって抑えるかということと、今のネイチャーボートの錨の問題は私も今現状をどこまで把握しているかよくわからないのですけれども、少なくとも沖縄の海域を取り囲む状況というのは、いわゆる観光客を中心にして人口の流入も激しいところでございますので、当然生活汚染水も陸から海に入っていくことは想像がつきます。想像がつく以上は観光施設等々について、これは何も沖縄に限ったことではないのですが、それらについて非常によく施策が進んできておりますので、そういうもので沖縄の海域で使えるものがあるのかないのか少し検討させていただきたいと思っております。白化現象が進んでまいりますと、元に戻るのがまたすごく時間がかかるので、できるだけ現象を食い止める努力をしたいと思います。