大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年1月6日(金)11:28~11:57  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 あけましておめでとうございます。今年一年よろしくお願いいたします。
 私の方から2点ご報告がございます。1点目は新潟県糸魚川市で発生した大規模火災における廃棄物処理への環境省の対応について報告をしたいと思います。糸魚川市における大規模火災により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。環境省としては、災害等廃棄物処理事業費補助金を今回の災害に適用するとともに、地方環境事務所職員や専門家による技術的助言を実施しております。昨日5日は、伊藤副大臣が糸魚川市を訪問し、市長に環境省の取組を説明しました。糸魚川市では、本日から建設事業者等により現地のがれき撤去に本格的に着手すると伺っております。環境省としては、災害廃棄物処理が適正かつ安全に行われるよう、専門家の協力を得つつ、糸魚川市に寄り添い、全力で支援を行ってまいります。
 もう1点は、泊発電所を対象とした冬季訓練の実施についてご報告いたします。2月4日(土)、北海道電力泊発電所を対象に、冬季の暴風雪を想定した除雪や避難の手順等を確認する訓練を、国の原子力総合防災訓練の一環として実施します。昨年11月の訓練結果と併せて、本訓練の結果からも教訓事項を抽出し、泊地域の緊急時対応の更なる改善や充実に取り組みます。訓練の詳細については、現在検討中であり、訓練の内容が固まった段階で、別途事務方による説明の機会を設けます。

2.質疑応答

(問)読売新聞の野崎です。3点質問がございます。1点目は新年の抱負なのですが、昨年末の会見で大臣は2017年の目標にフロン対策の前進を挙げられていましたが、他の重点分野も含めて何かあればお願いいたします。
(答)今年の抱負でございますけれども、環境省の所管範囲は広いですので、一口ではなかなか申し上げにくいので逐次申し上げさせていただきたいと思います。いわゆる福島の除染の問題でございます。今年の3月で東日本大震災から丸6年が経過します。被災地の復興・創生については、昨年末に決定した基本指針に基づきまして、地元に寄り添いながら着実に取り組んでまいりたいと思います。放射性汚染物質対策を担う組織と廃棄物・リサイクル部門を一元化する等の機構改革も行い、復興創生を加速してまいりたいと思います。
 地球温暖化対策では、26%削減に向けて着実に取り組んでいきたいと思います。COP22から帰国後に指示をした国内対策の強化をしっかりやってまいります。御指摘のフロンのことのみならず、技術の発掘・選定・発信の具体策を検討したいと思いますし、カーボンプライシングの検討も本格化させたいと思っております。そして、幅広いステークホルダーとの連携強化によって、国民運動を展開をしていきたい。いつも申し上げますように、国民のご理解とご協力がなければ目標を達成することができないと思っておりますので、幅広い国民運動を展開していきたいと思います。それ以外にも、長期ビジョンの取りまとめを年度内に行いますが、共通するのは、まずは環境省としての考えをしっかり世に提示したいと考えております。国際社会に向けて、「気候変動対策支援イニシアティブ」も精力的に進めてまいります。

国立公園満喫プロジェクトについては、年末までに各地でステップアッププログラムがまとまったところでございます。2020年1000万人の目標達成に向け、様々なアイデアをいただきながら、国立公園の魅力を最大限引き出し、発信する取組を具体的に進めてまいりたいと思います。
 原子力防災については、今年はまずは泊地域の冬季訓練をやらねばならない。地元の皆様と訓練や協議を重ねながら、緊急時対応の継続的な充実・強化を図ります。
 このほか、環境行政には課題が山積しています。通常国会に向けて制度改正を検討しているものも少なからずあり、補正予算の執行も着実に進めていかなければいけないと思っております。昨日より今日、今日より明日、少しでも前進できるよう、誠心誠意、全力を尽くします。
(問)2点目ですが、先ほどご発言にもありましたように糸魚川市の大規模火災についてですが、今後のがれき処理の費用負担、国と市の負担の割合など、この辺の具体的な見通しについて伺えますでしょうか。
(答)糸魚川市の件についてでございます。費用のことについてのご質問だろうと思いますけれども、当初糸魚川市は市負担8割、住民負担2割という施策を想定されておりましたが、自民党の二階幹事長ががれき処理費用の住民負担はゼロだというふうにおっしゃいました。我々としては住民負担が限りなくゼロに近づくように施策をやっていきたいと思っております。災害等廃棄物処理事業費補助金は、災害により生じた廃棄物の収集、運搬及び処分について、市町村が行う事業を対象にしており、国庫補助と特別交付税により市が行う災害廃棄物処理に要する費用の最大9割を財政措置できるようになります。糸魚川市におかれては、今回の事案に対する国費充当の決定を受け、できるだけ住民負担をゼロになるように御検討される方針とお伺いしております。私どもの試算ですが、残りが全体のパイがよくわかっておりませんが、当初糸魚川市が想定されていたときより糸魚川市の負担が軽減されるものだと思っております。
(問)3点目についてですが、放射性物質を含む廃棄物の関係で、県の話ですが昨年末に群馬県と宮城県で市町村長会議が相次いで行われて、群馬の方では指定廃棄物の分散保管の継続が決まりました。一方、宮城では国の基準を下回る廃棄物なのですが、処理について結論は出ませんでした。それぞれ事情は異なるのですが、これについて大臣のご所感をお伺いいたします。
(答)先ず宮城県についてですが、先月27日に宮城県の市町村長会議が行われて、焼却処理の方針について一部の市から賛同を得ることができず、合意は先送りになったと伺っております。しかし、他の市町村の大部分は焼却に協力するとのことでしたし、また、堆肥化やすき込みについては前向きに取り組むとの合意はされたと伺っていますので、一定の前進はあったと考えています。環境省としては、今回の市町村長会議の結果も踏まえ、必要な財政的支援を行ってまいります。
 群馬県については、先月26日に、第3回の群馬県市町村長会議が開催され、環境省から伊藤副大臣、井林政務官が出席いたしました。この会議において、群馬県では、一定程度まとまって保管されている現状のまま、保管を継続しつつ、濃度が減衰した後に通常の廃棄物として段階的処理をするという方針で合意できました。保管自治体の皆様方にとって苦渋の思いもあろうかと存じますが、この方針を踏まえまして、指定廃棄物の保管と今後の処理について、国としてしっかりと責任を果たしてまいりたいと考えております。

(問)毎日新聞の日野です。除染で発生した除去土壌の再利用のことで少しお伺いしたいのですが、昨今、議事録から一部環境省の方で発言を削除したということで報道したのですが、一連の流れを見ると、当初ワーキンググループという存在自体を明らかにしないで、その後国会で初めて存在を認めたときは、当時丸川大臣だったのですが、議事録を公にすれば混乱させるということで公表しなかった。その後議事録の中身が一部報道されて、情報公開請求で相次ぐと開示期限を延長した上で全文開示して、実は一部削除されていたと。今回これは除去土壌の再利用としては、社会の理解と受入れが大事であるということがずっと強調されてきたわけですけれども、情報公開の在り方としてまずどう思われるかということと、この状況で受入れについて理解が得られると思っていらっしゃるのかということをお伺いしたいのですが。
(答)環境省においては、平成11年の閣議決定に基づきまして、審議会等については精確な議事録を作成し公開することを原則とするとともに、懇談会等行政運営上の会合については、審議会等とは異なりあくまで行政運営上の意見交換等の場であることに留意した上で、審議会等に準じて、議事要旨や議事録の公開等の措置を講じてきております。今回の会合については、逐語的な議事録の作成が義務づけられているものではありませんが、会合における議論の参考とするために、各回の発言の概要をまとめた資料を作成していたものと承知しております。そうした会議概要を作成する過程においては、所要の要約が行われることとなります。御指摘の発言については、そうした要約作業の中で、会議に必要なポイント等の観点から整理されたものと聞いています。
(問)こうした情報公開の一連の流れで、ずっと議事録は公にしないと言って、今度は一転して全文開示して、その中で実は削られてたと、こういった一連の流れの中で、社会的に再利用の政策に対して受入れが進むと思われますでしょうか。その辺りご見解をお伺いしたいのですが。
(答)私は再利用することの考え方は間違っていないと思っております。いろいろな現実を考えていくときに我々は再利用を検討するということにおいては非常に大事なことだというふうに思っております。ワーキンググループにおいては、用途毎に評価を実施し、専門家から技術的な確認を受けて整理したものを、最終的に、公開の検討会で議論した上で取りまとめており、適切なものだと考えております。

(問)NHKの松田です。今の質問に関連してなのですけれども、非公開のワーキンググループの中で削除されたとされている環境省の発言によって、災害時に、除染土壌を使って建てた防潮堤が崩れた際の作業員の被ばく量の試算が、環境省の発言をもってやり直されているというようにも読めるのですが、環境省の発言によって試算がやり直されたというようなことの認識はいかがでしょうか。
(事務方)今ご指摘の、被ばく量の評価が環境省の発言によりやり直されたかということでございますけれども、それはそういうことではございません。希釈を行って被ばく評価をどう行うかということは、元々資料の中で事務方から提示をして、それで議論を行って決まっていったということでございまして、環境省の発言があったからそういう方向性が付けられたということはないと考えております。
(問)その部分の発言が削除されている、議事録の中からその発言が削除されていたわけですけれども、こういった一連の発言全てがなかったことになるというようなことが今回起こったわけですけれども、これについて大臣の情報公開に対するご見解というのはいかがでしょうか。これでいいのでしょうか。
(答)会議概要の素案の段階で各人の発言のポイントのみを記載することにより、全体的に要約が行われているわけでございまして、更に素案を確認する過程で、今後の進め方等に関する事務局の発言部分の削除、遮へい措置に関する委員発言の修正等が行われております。つまり会議概要という世界でございますので、是非ご理解をいただきたいと私は思っております。
(問)最後ですけれども、この今回のワーキンググループみたいな会合では、そもそも会議の議事録を作る必要がない、会議の概要でいいというようになっていることですけれども、国民の関心が高い、心配という観点でも公表したほうがいいというトピックスだと思うのですね、そういった中で今回のこういう報道もあって、ワーキンググループについて概要だけを出していればいいのだと、そういうふうな流れにもなりかねないと思うのですけれども、詳細を出すとそれによって揚げ足を取られるではないですけれども、ひとつひとつの発言にいちゃもんが付けられるのではないかと懸念が、概要だけ出せばいいのではないかというような風潮も広がる懸念もあるのですが、その辺大臣として、こういった取り組みの関心が高い、やはり議事録をしっかりと公表するということが大事だと思うのですがそのあたりの考え如何でしょうか。
(答)ありがとうございます。やはり、特に環境省という役所は、国民の皆様方の信頼があって初めて成り立っていると思っておりますので、ご指摘のようなことがあって信頼を失うことがあれば、これは由々しき事態でございますので、今回のご指摘を受けまして事務方と検討したいと思います。もっと国民の皆様方の信頼をつなぎ止めるために、何ができるのか、きっちりしたことができるのか、できないのか、その辺のことを詰めていきたいと思います。
(問)やはりそれには議事録をしっかりと概要ではなく、しっかりと公開をすると、議事録もしっかり話されたことを、多少のてにをはだとか明らかな間違いはしょうがないとしても、そのものを公開することが大事だと思うのですが。
(答)議事録とさっきからおっしゃってますが、議事録と議事概要は基本的には違うものでございますけれども、ご指摘を受けたわけでございますから含めて検討していく必要があると思います。ご指摘を受けることがないように、国民の皆様の信頼を失うことがないようにこれから検討していきたいと思います。

(問)環境新聞の小峰です。大臣がマラケシュから帰ってすぐ、地球温暖化対策の国内対策強化の一環としてカーボンプライシング等の検討会を中環審とは別途設けると、それも年明け早々にも発足させると言われていたのですが、いわゆる大御所懇談会というか、学者の中で偉い人、相当な力のある人を選んでやるということですけれども、そのメンバーも含め、いつできるのか、進捗状況を教えてください。
(答)検討中でございますので、しばらく待っていただきたいというのが率直な答えでございますけども、個人的な希望を言わせていただくと、大御所のみならず、今までカーボンプライシングの議論がなかなか進んでこなかったという国内事情を考えていくときに、私はカーボンプライシングを導入したいと思っておりますので、幅広い、各界各層から意見を出してもらえるような検討会にしたいと思っております。経済界の方にも入っていただくし、学者の方にも入っていただくし、幅広い意見を出していただけるような方向性を持っていきたいと思います。
 恣意的ととられるようなことになってしまうと困りますので、やはりカーボンプライシングというのはいろいろな議論があろうかと思うのです。立場、立場でいろいろな議論があろうと思いますけど、私、カーボンプライシングは非常に有効なツールだというふうに思っておりますので、その方向性で事を進めていきたいと思っております。長年かかってなかなか前に進まなかった話でございますので、幅広い意見を集約できるような、そういう検討会にしてもらいたいと思っています。
(問)関連して昨年のマラケシュ帰国後の、検討会を設けると言ったことについて、昨年末、事務方は法学部、経済学部の学者の方を中心にとおっしゃっていたのですが、今、大臣は、そのような大御所の学者だけではなくて、幅広い、各界各層ということなので、当然経済界、具体的には経団連の方なども入れると捉えてよろしいでしょうか。
(答)あくまでもこれは個人的考えとして聞いていただきたいと思うのですけれども、経済学部とか法学部とか、あまり学部でその方を決めつけてしまうのはよくないと思います。私は実は、自分は経済学部ですけども、やはり文学部の人みたいなのもいいのではないかと思います。なぜこれを言いたいかといいますと、地球環境問題というのは、ある種のロマンチストじゃないと、私は駄目だと思っているんです。1+1は2の答えしか出てこない人で、なかなか結論が出せる世界じゃないと常々思っておりましたので、そういう意味において、経済学部だから、工学部の先生だからという発想ではなくて、どうすればいいのということを、1+1は2の答えばかりじゃない人を選びたいと、常々ずっと思っていましたので。これは個人的な意見として聞いてください。経営者というのは文学部が一番いいという話もありますから。
(問)経済学部だけでなくて、文学部もいいとして、もう一つ聞きたかったのは、経団連だとか産業界を入れるのですか入れないのですかということをお聞きしたいのですが。

(答)それは、さっきから言いますように、私の個人的な観点ですから、全てのことはまだ検討中だということに尽きるわけでございます。ただ、私の個人的な希望を言わせていただくと、カーボンプライシングをどうやったら実現できるのかという観点において、今までの問題点等々も当然議論の対象になってくるのでしょうから、導入反対の方は、やはりそれなりにちゃんとしたご意見をお持ちでございますし、そういう方のご意見も聞きながらカーボンプライシングの世界をつくっていきたいと思っております。
(問)メンバーにはしないけど、ヒアリングの対象にするということでしょうか。
(答)そこまで含めて、まだ検討はしていないと。さっきから何回も言いますが、私の個人的考えとしては、ここまでいろいろと反対論もあったりする議論ですから、なんで日本でここまで進んでこなかったのかなということを考えていくときには、反対の意向の方のご意見も拝聴するのが本来の趣旨ではないかということを申し上げています。