大臣談話・大臣記者会見要旨

COP22閣僚級セッション山本環境大臣ステートメント

写真:COP22閣僚級セッション山本環境大臣ステートメント

COP22の開催に尽力された議長国モロッコに感謝申し上げます。

まず、パリ協定の早期発効を歓迎し、各国の熱意と努力に敬意を表します。また、パリからマラケシュに至る過程での、ICAOでの合意やモントリオール議定書の改正を歓迎します。 日本は、5月のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言をはじめ、早期発効を目指す立場を積極的に示してきました。そして、8日には、締結手続きを完了しました。ここマラケシュで、パリ協定の発効を各国と祝えることをうれしく思います。 世界は、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成するべく大きく舵を切りました。これに向けた統合的な対策を推進し、豊かで、強靭な地域社会を、国際社会と連携して構築していかなければいけません。これはSDGsの目指すところとも一致します。日本は、その中で中心的な役割を果たしていきます。

本年より、パリ協定実施に係る実施指針の議論が開始されました。日本は特に、各国の排出削減を継続的に向上させていくメカニズムが、透明性を持って、実効的に実施されることを重視します。我が国の経験、知見に基づき、積極的にルール作りに貢献していくことを約束します。

我が国は、内閣の最重要課題として、地球温暖化対策に取り組んでいます。2030年度26%削減目標を掲げるとともに、長期的な取組の方向性として、主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むよう、我が国が主導的な役割を果たし、経済成長と両立させながら、2050年までに80%削減することを目指すことを盛り込んだ、地球温暖化対策計画を本年5月に閣議決定しました。今後、2030年度の目標の達成のため、この目標と整合的なエネルギーミックスを実現し、賢い選択(COOL CHOICE)を旗印とした国民運動を広く展開しながら、この計画を着実に実施してまいります。適応についても、国家適応計画の下、各主体の適応行動を支援するプラットフォームを構築する等、政府一体となった取組を強化しているところです。さらに、G7伊勢志摩サミット首脳宣言でコミットしたとおり、長期戦略策定について我が国としても今後対応していきます。エネルギー・環境分野のイノベーションを促進するため、従来の取組の延長ではない有望分野に関する革新的技術の研究開発を強化し、また、技術の社会実装、社会構造やライフスタイルの変革など長期的、戦略的に取り組み、世界全体での削減にも貢献していきます。

気候変動対策に取り組む途上国を支援するため、昨年安倍総理が表明した2020年における約1.3兆円の支援の着実な実施に向けて取り組みます。また、パリ協定の実施に向けて、CBIT(シービット)の支援も視野に入れつつ、自国が決定する貢献(NDC)の実施支援をはじめ、我が国の優れた技術と知見を活かした途上国の技術開発・普及、人材育成を、国際社会や市民社会・産業界と協調、連携しつつ推進します。今般、新たに取りまとめたイニシアティブをもとに、16カ国と101件の実績を積み上げてきた二国間クレジット制度の更なる推進、アジア太平洋地域の気候変動リスク情報のインフラ整備や適応能力の拡充支援をはじめ、地に足のついた協力を途上国のニーズを踏まえて実施していきます。

フロン対策も重視していきます。モントリオール議定書改正を受け、国内対応を着実に進めるための検討を開始します。また我が国の経験を活かして、フロンの回収・破壊等、製品のライフサイクルを通じた排出削減に関する取組や、フロン対策の基礎となるインベントリ作成に対する途上国支援を行っていきます。

COP3京都会議に環境政務次官として京都議定書の成立に関わったことが、環境政策をライフワークとしてきた私の政治活動の原点となりました。私はパリ協定の発効を万感の思いで迎えるとともに、気候変動対策における政治的なリーダーシップが今以上に重要となることを実感しています。 日本は、これからも相応の責任と役割を果たしていくことを約束します。

(マラケシュ時間2016年11月16日)