大臣談話・大臣記者会見要旨

関副大臣記者会見録(平成28年11月24日(木)14:37~14:50  於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)私の方から1件ご報告いたします。来月4日から17日に、メキシコのカンクンにおきまして、「生物多様性条約第13回締約国会議、カルタヘナ議定書第8回締約国会合及び名古屋議定書第2回締約国会合」が開催されます。それに先立ちまして、2日、3日に閣僚級会合が開催される予定となっております。今回の会合では、「農林水産、また観光業における各種セクターへの生物多様性の保全及び持続可能な利用の組み込み」が中心のテーマとなります。このため閣僚級会合には、環境担当に加えて農林水産等の担当大臣も参加が呼びかけられております。国会等のお許しが得られれば、私もこの会議に出席したいと考えています。一方、我が国は2010年に名古屋で開催されましたCOP10以降、生物多様性保全に向けた国際的な取組を牽引してきたところでございます。今回の会合におきましても、各国に対して、COP10で合意された愛知目標の達成等に向けた一層の取組を求めていければと思っております。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の久野です。生物多様性条約の会議についてどのような議論が中心になるのか、少しご紹介いただけますでしょうか。
(副大臣)2014年に生物多様性条約事務局が発行した報告書によりますと、国際規模からいたしますと予測される陸域の生物多様性の喪失の70%が農業関連の要因によるものだと言われているのですが、このようなことに対して、環境省と農林水産省にも非常に重要な話が出てくると思っております。
 もう一点、観光なのですが、自然と触れ合って生物多様性の重要性に気づいていく機会にも非常につながりが強いということもありまして、こういった分野の関係者が生物多様性について議論するというような形になっていくと思います。
(問)日本はまだ名古屋議定書を締結していないということだと思っているのですが、その点についてはいかがでしょうか。
(副大臣)締結に必要な国内担保措置ですが、これが遺伝資源の利用に関わる様々な産業や学術研究において、国外から遺伝資源を取得する際の手続とか利益配分、ここは難しいところなのですが、深く関係する部分でありますので、その利用実態に即した効果的な措置をまず丁寧にして、作っていかなければいけないということだと思います。国内の関係者も含めまして、可能な限り早期締結を目指したいので、環境省が中心となって関係省庁と鋭意検討を早く進めていこうということでございます。

(問)共同通信の井口です。カルタヘナの議定書の関係なのですが、ここ数年、結構話題になってきて、いろいろな生き物の遺伝子を簡単にゲノム編集するという技術があるのですが、これが今回話題になるのか、あるいはどういう位置づけになっているのか、ご解説をお願いします。
(事務方)おそらく合成生物学のことをおっしゃっているのかと思うのですけれども、今回も議題になっております。このあと勉強会をさせていただきますので、そちらの方で改めてお伝えさせていただきます。
(問)もう一つ、海の生物多様性のことですが、それぞれの国の管轄権とか基本的には及ぶ範囲の多様性を問題にしているかと思いますが、その外側に関してはどういう位置づけなのか、今、どういう検討状況なのか教えてください。
(事務方)条約の対象範囲は国家の管轄権の中なのですけれども、近年EBSAsといいまして、重要な海域の特定作業というのはそれを超えて行ってきているところでございます。
(問)そこは今回は話題になるということでしょうか。
(事務方)EBSAsの議題はあります。ただ規制をかけようとか、そういうものではないです。

(問)朝日新聞の小堀です。温暖化の関連でお伺いしたいのですが、パリ協定についてアメリカの次期大統領トランプさんがおっしゃっていたのですが、ニューヨークタイムズでopen mindで考えていると、少し態度が軟化したような感じですが、環境省としてはどのようにご覧になっているのですか。
(副大臣)私も報道があったというのは、今日の朝刊にも記事が出ておりましたけれども、大統領にまだなられているわけではありませんので、移行されるまでまだ時間がありますので、その政権移行の頃のアメリカの気候変動政策について今は予断すべきではないと思っているのですが、ただ一つ言えますのは、COP22では各国の首脳が一致団結して、後戻りすることなく、パリ協定を実施していこうとしっかりと言われたわけでございますから、引き続き世界全体で気候変動対策に連携していき、我が国としても全力で取り組んでまいりたいと思います。
(問)もう一点関連なのですが、この間の閣議後会見で大臣がおっしゃられていた石炭に対する風当たりが非常に強くて、環境省内に意見を言っていきたいということだったのですが、具体的に何か行動されていることはあるのでしょうか。
(副大臣)今年の2月に環境大臣と経済産業大臣が合意したことはよく知られていると思いますけれども、毎年度、進捗をレビューしていく際に当たりまして、そこのところについて取組の進捗状況をしっかりと評価して、それについて事業等が予定通りに効果が出ていなかったら、施策の見直し等も含めまして、我々としては厳しく火力発電に対して問題意識を持ちながら進めていこうという考え方は以前のとおりでございます。
(問)大臣がCOPの中で発言されていたのですが、新たに何かされるとか、新たに何か取り込まれる予定というのはあるのでしょうか。
(副大臣)そこはまだしっかりと、また環境省と経済産業省がお互い協力しながら、詳細については必要な時に政策を取っていくというそういう感じです。

(問)共同通信の津川です。国立公園満喫プロジェクトについてお伺いします。先週末に阿寒国立公園に視察に行ってきたと思いますが、選ばれた8カ所は年内までにどういったプランをどうやって進めていくのかということを地元で決めるということになっていますが、進捗状況等どうなっているのか教えていただけますでしょうか。
(副大臣)年内のことになりますが、菅官房長官からも環境省頑張るようにとお話がある案件でございますから、地域での検討を経て、海外からのインバウンドをどんどん迎えられるように、良い内容を取りまとめていかなければいけないと。時期的なことについては、遅れることなく責任を持って取り組みたいと思っている次第でございます。
(問)阿寒の取組など感想ありましたら教えてください。
(副大臣)地域の協議会が、しっかりしておりまして、私も地域の方の熱意をすごく感じました。エコツーリズムについてもたくさん有識者を呼んで勉強会されていて、地域の方々自らが進めて行くのだという積極性や熱意をすごく感じて、これは本当に良いモデル事例になったらいいとの感想を持ちました。

(問)共同通信の井口です。生物多様性COPですが、今回日本として、こういう方針で意見を言ったりとか、特にこういうことをしたいというのが何かありましたら教えてください。
(副大臣)我が国としましては、2010年の名古屋で開催されましたCOP10以降、生物多様性の保全に向けた国際的な取組を牽引してきた立場でございますので、国会が許してくれるのであれば、私が行きました際に各国に対しまして、COP10で合意された愛知目標の達成に向けた一層の努力をしっかりと求めていければと思っている次第でございます。日本の国家としての今までの立場をしっかりと、より一層進めるような形でがんばっていきたいと思います。
(問)名古屋議定書に対する取組として何が必要ですか。見通しも含めてちょっとおしえてください。
(副大臣)名古屋議定書を期日までにやろうとするのであれば、加速していくような対策が必要だということでございましたので、そのような時に国内担保措置やらなければならないのですけれども、そういうことについて丁寧な検討というのはどうしても避けて通れない。例えば経済産業の分野の方々とか、産業への大きな影響もあるところでございますから、我々は環境と経済を両立しようというのが大きな目標でございますので、それを実現するための打ち合わせをしっかりやりまして、今後しっかりと作っていくというのは外さずに丁寧に取り組んでいきたいと思います。

(問)朝日新聞の小堀です。関連で、名古屋議定書の締結なのですが、国会の承認が必要だと思いますが、いつの国会に出すとか、そういう見通しというのはいかがでしょうか。
(副大臣)そこはまだ、これからになります。