大臣談話・大臣記者会見要旨

井上副大臣記者会見録(平成28年6月29日(水)15:37~15:57 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)私の方から2件ご報告させていただきます。1件目は、6月7日の「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」でご議論いただいた、福島県内の除去土壌の再生利用に関する「基本的考え方」を、明日、環境省として取りまとめ、発表することとしましたので、ご報告をいたします。中間貯蔵開始後30年以内の福島県外における最終処分の完了に向けて、最大2,200万立方メートルと推計される除去土壌等をそのまま最終処分することは、実現性が非常に困難と考えております。土壌は本来貴重な資源であります。用途に応じて放射能濃度を適切に制限した再生資材を、安全性を確保しつつ地元の理解を得て利用することも重要であります。この件につきましては、昨今様々な報道もございましたが、再生利用の実現に向けた実証事業・モデル事業に着手をし、この中で管理の仕組み作りの検討を行うとともに、再生利用に関する安全性の検証や地元の理解醸成などに、今後、しっかりと取り組んでまいります。
 2件目ですが、中間貯蔵施設事業に関しまして、学校等からの除染土壌等の輸送について、ご報告をいたします。先日(17日)、大熊町の議会において、学校等で保管されている除染土壌等の搬入のために活用可能な町有地として「ふれあいパークおおくま」を承認いただき、輸送に向けた調整を進めてまいりました。学校等で保管されている除染土壌等の輸送開始の日程については、7月2日(土)に、いわき市立赤井中学校から輸送を開始をいたします。今後は、早ければ7月9日(土)に須賀川市から、7月中旬以降に郡山市から、準備ができ次第順次搬出する見込みであります。子供たちの安全、安心という意味からも非常に重要な事業でありますので、私も是非7月2日に現地に伺って輸送開始に立ち会いたいと考えております。環境省としては、引き続き、福島の復興の実現に向けて用地取得、施設整備に全力を尽くすとともに、できる限り多くの除染土壌等の中間貯蔵施設への搬入が可能となるよう、関係機関との連携の下、安全かつ確実な輸送に取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)NHKの橋本です。冒頭に発言がありました再生利用の基本的考え方についてお伺いします。8,000ベクレルを下回って再生利用をした土壌をいつまで管理するのかといった点なのですが、100ベクレルまで待つ必要があるのか、その辺の考え方は副大臣ご自身はどのように考えているのでしょうか。
(副大臣)この件に関して報道がありましたけれども、まさに今専門家の先生方のところで、検討していただいている、あるいはこれから更に検討を進めていってもらいたいという状況です。とりあえずはこの間の検討会の中で、議論していただいた「基本的考え方」を明日お示しをして、更なる管理期間でありますとか、管理の方法とかそういったことについてはこれから検討したいと思っております。
(問)2点目なのですかれども、帰還困難区域の除染についてお伺いしますけれども、以前の6月初めの副大臣の会見の中でも、関係省庁と徐々に協議を始めている段階だというような話がありましたけれども、夏に示すとしている期限に向けて、どういった協議の状況なのか改めてお伺いできますでしょうか。
(副大臣)そういう意味では、前回申し上げたような形で協議を進めて、それが今は進行中ということですけれども、参議院議員選挙期間中でもありますので、なかなか我々政務も時間がとりにくい状況にあるんですが、これは非常に重大な大事なことなので、しっかり我々も交えてよく議論をしていきたいと思っております。

(問)産経新聞の緒方です。二つ質問させてください。1点目が再利用の基準に関してなのですが、今お答えの中で管理期間については、専門家の先生方を含めて検討されていくというようなお話だったんですけれども、管理期間を定めるというような方向で検討されるのでしょうか。それとも期間を設けずに国として責任を持って、管理していくというような理解をしていたんですが、その点について教えていただきたいのが1点目です。2点目は中間貯蔵の方なのですが、今回7月2日から3校で、7月の中旬以降は郡山ということで具体的に計画されているのですが、最初にいわきのこの学校から運び出すことに決めた条件などがあると思うんですが、どういった基準でここから運び出すということが決まったのか教えていただきたいと思います。
(副大臣)管理期間の話に関しては、どういう形で定めるのか定めないのかということも含めてこれからということになるかと思ってます。再生利用が非常に重要だと思いますが、他方で、住民の方々の安全・安心という要請がありますから、その中で科学的、技術的にどういったことが可能なのか、それをよく検討してもらうことになるかと思います。
 それから学校の除染土壌に関しましては、これも子供たちのためになるべく早くやりたいというふうに考えております。これから夏休みなので、夏休みには少し作業ができるようにということがあったんですが、それがなんとか調整がいきまして、夏休み前でもできそうだということで、ただ子供たちが学校にいるときに作業をやるとこれはもし悪影響があっても困るということですから、土曜日にやらせてもらおうということになりました。具体的な地点といたしましては、学校といっても、平積みになっているものと、地中に埋めているものといろいろなパターンで管理をしていますから、そういう意味では平積みのものは割と搬出しやすいですから、そういった中で、いわば作業の具体的な日程が調整できたものからどんどんやっていこうということで、それの第1弾がいわきの赤井中学校になったというような経緯です。
(問)現状その学校で積まれているようなところから出していくようなイメージでしょうか。
(副大臣)そうですね。それが一番早いですし、ある意味その外から見える形になっているものですから、やっぱり早く搬出する要請も高いということで、そういったところから基本的にはやっていこうと思います。ただやっぱりその各市町村とか、保管者のいろんなご意見もありますから、そこを聞きながらなるべく早く取り組んでいきます。

(問)共同通信の津川です。熊本地震の件でお伺いいたします。先週、井上副大臣が熊本を視察されまして、その中で熊本県から廃棄物の処理についての計画が出されました。かなり事務委託であるとか、広域処理だとか国の提案を踏まえたものになったと思いますが、それに対しての受け止めと、会談の中でもあったと思いますが、改めて国に対しての財政措置を求める話があったと思うのですが、今後の補正予算を踏まえてどのように対応されていくのかお考えをお聞かせくださいますでしょうか。
(副大臣)5月11日に伺って、蒲島知事にお願いした事務委託とか、広域処理ということをしっかり入れ込んだ上で、計画を作っていただいたということは非常にありがたいと思っております。最大195万トン、それを2年間で処理するということですから、これはなかなか大変な作業になっていくのだと思います。ですから、広域処理も含めて国もできる限りの協力をしたいというふうに考えております。財政支援に関して、これは我々としてはやはり被災者のこと、あるいは被災自治体のことを考えると、最大限の協力をしたいと思ってます。まずは政府全体として、我々所管の事業だけではありませんから、政府全体として熊本地震に対してどういう財政支援をしていくのかというのを決めていきます。その中で、環境省として廃棄物処理であったり、解体だったり、そういったことをどれぐらい支援できるかということを決めていくことになると思います。ただ、そうはいっても発災以降2か月以上過ぎていますから、あんまり悠長には言ってられないなと、ここはもう本当になるべく早く決めていきたいと思います。

(問)フリーランスの木野です。中間貯蔵の除去土壌の再利用の件なのですが、報道で環境省の方も170年という管理期間を認めてらっしゃるのですが、この管理期間の管理方法が決まらないということは、再利用できるかどうかも分からないということなのでしょうか。要するに、佐藤委員長もこれは今回は入口の議論をしているところだということで報道に答えていることを考えると、入口のところが決まらないまま、出口のところが先に出てしまうのは本末転倒に見えるのですが、安全に管理するという入口を先送りしたまま出口の再利用だけ方針を決めるその理由はどこら辺にあると思いますか。
(副大臣)少しおっしゃっている意味が分からないのですが。
(問)安全に管理する方法というのは、佐藤委員長がおっしゃったように入口の議論だということになると思うのですが、それをまだ結論が出ていない状態のまま、明日基本的な方針として再利用のこれからの考え方を出していくと思うのですが、先に入口のところを固めてからというのが通常の順番だと思うのですが、それを先に出ていないまま、議論だけが再利用するという話だけが先に進むのはどういう理由なのかなと思ったのですが。
(副大臣)若干誤解があるようですが、我々としては基本的な考え方の中で、そういう意味では管理の仕方についても基本的な考え方はしっかりお示しをしたいと思ってます。ただ、報道にあったような管理期間を具体的に何年と、そういうことはまだこれからの検討をしていかなければならないと思っていますので、こういうことはなんでもそうだと思うのですが、まずは基本的な方向性をお示しした上で、例えばこれから実証事業なども予定してます。そういったことで知見を重ねていった上で、やはり住民の方々の理解をいただいた上で、実際にその再生利用の事業に取り掛かると、そういった順番になると思っております。
(問)そうすると管理方法が決まるのは大体いつ頃になるのでしょうか。
(副大臣)再生利用の手引というような形のガイドラインのものを我々作っていきたいと思っていまして、それをこれから議論していく中で作っていくということになると思います。少なくともおっしゃるように、ガイドラインが無いままで再生利用の事業を実際にスタートさせるということはあり得ないので、そこはご心配なくお願いしたいのですが。
(問)ガイドラインが出てくるのはいつ頃になるのでしょうか。
(副大臣)それはこれから検討を進めていかなければなりません。大事なことですので、期限ありきではなくて、しっかり検討を重ねていく中で、やはりそれなりのものを出していきたいと思っています。

(問)毎日新聞の日野と言います。今回の再利用の件で、ワーキングの議論を見るかぎり、一番課題になっているのは100ベクレルというクリアランスレベルとの整合性の面が見受けられるのですが、まず一つは表に出して大事なことを議論するつもりがないのか、議論する必要がなかったのか、今回非公開でワーキングが行われているわけですから、もう一点が、100ベクレルというクリアランスレベルを今回再利用で守るつもりはあるのかどうか、この2点を教えてください。
(副大臣)ちょっと趣旨がわかりにくのですが。
(問)クリアランスレベルとの整合性が大事なテーマであるということは、どうお考えですか。
(副大臣)非常に重要なテーマだと思っております。そこについては、私も毎回検討会に最初から最後まで出席をして議論にも関与して、そこはしっかり議論した上で、きっちりご説明をしているつもりですが、やはりクリアランスレベルと実際再生利用に使う基準というものは、全く違う趣旨ですので当然数値は違ってくるという理解です。
(問)しかし、今回クリアランスレベルを事実上検討していたワーキンググループは会合が非公開だったのですが、非公開にする必要があったのでしょうか。逆に議論を、皆さんに今後使っていただくことが課題だということを再三井上副大臣もおっしゃられていたことを考えますと、公開したほうがよかったのではないでしょうか。
(副大臣)議論をどこまで公開するかというのは、いろんな段階があると思います。検討過程での議論は、どこまで公開するのかということだと思っています。我々は様々なレベルで部内での検討も行っておりますし、有識者の方々との検討も行っております。やはり、そういうものを踏まえた上で、検討会という正式な場で、オープンで議論して公開して国民にご覧になっていただくということでやらせてもらったということになります。
(問)井上副大臣も、再三クリアランスレベルと今回の再利用は別物だとおっしゃられてますが、別物だという言い方は逆に二重基準、ダブルスタンダードになりかねないように思いますがいかがでしょうか。
(副大臣)そうは思いません。
(問)100ベクレルになるまで170年かかるんです。何の制限もなく再利用するのは、管理しないで再利用するまでに170年普通に考えればなるんです。170年管理出来るんですか、と非常に現実性を問う根本的な問題だと思うんですが、なぜ根本的な問題を先送りしたまま、基本的な考え方を決めなければいけなかったのですか。
(副大臣)先ほどお答えしたとおりです。明日、「基本的考え方」を発表しますので、それをよくご覧になっていただければと思います。
(問)戦略検討会の際に概ね「基本的考え方」の案が示されて、概ね了承いただいたと終了後の会見でおっしゃってたと記憶しているのですが、表現は幾分変わるとしても、大きな考え方としては変わりはないということですか。
(副大臣)例えば浄化物という表現でありますとか、あるいは再生利用の考え方とか、そういったことについて、先生方からいろいろなご意見をいただきまして、そこは我々真摯に認めた上で修正すべきものは修正して、明日お出ししたいと思います。
(問)最後に1点、重なりますが、期間の問題、管理するという概念を考えたとき、期間というのは外せない要因・要素だと思いますが、それはなぜ今回「基本的考え方」を出す前に検討しないのか、「基本的考え方」をじっくりと期間も含め検討した方が出した方がよかったのではないか、その辺はいかがですか。
(副大臣)それは考え方によると思いますが、我々しっかりと再生利用というものを進めて行かなければいけないと思ってます。それは時間的猶予ということもありますから、出来たものから考え方をお示しするということで、まずは、明日お示ししますのでよくご覧になっていただければと思います。

(問)(フリーランス木野氏)今のワーキンググループなのですが、結論が出るまではワーキンググループは、非公開でやることになるのでしょうか。
(副大臣)ワーキンググループをどういう形で、どういう議題で、いつやるのか、ということも含めてこれから検討していかなければいけないと思っています。
(問)そのワーキンググループというのは、その放射線影響評価のワーキンググループについて、公開非公開をこれから検討するということでいいですか。それとも今回の件にか関しては、非公開で議論し続けることになるのでしょうか。
(副大臣)ワーキンググループをどういうテーマで、いつ、どういう形でやるのかということも含めて考えなければいけないと思っております。
(問)ワーキンググループというのは、その今回非公開でやっていた、放射線影響評価検討のワーキンググループのことでよかったでしょうか。
(副大臣)という質問でないですか。
(問)わかりました。