大臣談話・大臣記者会見要旨

井上副大臣記者会見録(平成28年2月25日(木)17:33 ~ 17:51  於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)指定廃棄物の処理につきまして、5県における指定廃棄物の放射能濃度の推計を行いましたので、今回、その結果を発表いたします。
 指定廃棄物の放射能濃度の将来推計につきましては、これまで、茨城県において、8,000ベクレルを超える廃棄物の量をもとに議論をしたいとのご意見が市町村長会議であったことから、会議資料として作成し提示しておりました。また、宮城県に関しましては、先日、専門家による試算結果が報道されたところです。放射性セシウムの放射能濃度及び測定日が明らかになっていれば、将来にわたる放射能濃度は容易に推計することが可能であり、茨城県以外の推計についても知りたいとのご要望もいただいております。そこで、この度、あらためて宮城県、栃木県、群馬県、千葉県の4県において一時保管いただいている指定廃棄物の放射能濃度が、自然減衰に伴いどのように変化するかについて将来推計を行いましたので、既に公表している茨城県の結果と併せて、ご報告いたします。
 結果についてですが、例えば、宮城県においては、先日公表した再測定結果を用いて試算すると、8,000ベクレルを超える指定廃棄物の量は、現在では指定時の量の約3割となります。また、10年後には1割未満となります。また、栃木県につきましては、現在では指定時の量の約7割が、10年後には約3割が8,000ベクレルを上回り、千葉県においても、現在では指定時の量の約7割が、10年後には約4割が8,000ベクレルを上回るという結果になりました。
 このような推計結果も踏まえ、環境省としましては、今後、各県のご意向を伺いつつ、8,000ベクレルを下回った指定廃棄物の扱いについて、その安全性について説明することなどを通じて、少しでも一時保管者の負担軽減が図れるよう、相談していきたいと考えております。当然ながら、8,000ベクレルを下回ったことで、国が責任を放棄することはなく、技術的・財政的な支援のほか、具体的な処理策についても国が一緒に考えるなど、8,000ベクレルを下回った指定廃棄物の処理に向け、しっかりと取り組んでまいります。また、これらの4県につきましては、災害等のリスクの観点から、県内1か所に集約して安全に管理することが必要と考えており、今回の将来推計結果をもって、その方針が変わることはありません。引き続き、各県のご地元のご要望をよく承りつつ、早期の処理に向け取り組んでまいります。
 なお、市町村長会議において確定した選定手法におきましては、その時点の最新の指定廃棄物の保管量を用いた評価等を行った上で、その結果を提示することとしています。仮に再測定や減衰の将来推計のたびに選定をし直すと、詳細調査候補地がいつまでも確定できないこともあり、選定のやり直しを行うことはありません。環境省としましては、指定廃棄物の早期処理に向け、国が最後まで責任を持って取り組み、地元のご理解が得られるよう、引き続き丁寧な説明に努めていく所存です。

2.質疑応答

(問)共同通信の高田です。宮城県については先日、再測定の結果を基に推計が出ていると思うんですけど、他の4県は元々の保管量を基に推計が出ているんですけど、この4県について再測定の実施等の予定はないでしょうか。
(副大臣)再測定をするということは、環境省としては重要だと考えております。ただ、宮城県の場合は、地元からのご要望が強くあったということで、再測定をやらせていただきました。そういう意味で他の県についても、それぞれ地元の意向というものがあると思いますので、相談しながら考えさせていただきたいと思っております。
(問)今回、5県ということで出ていますけれども、福島の指定廃棄物があるんですけど、こちらは特に推計等は今回行っていないんですか。
(副大臣)行っておりません。福島県については、他の県とは全く異なると考えております。その理由としては、福島県は今現在でもどんどん指定廃棄物の量が増えています。逆に、処理もしておりますので、減っている部分もあるということで、増減しているものですから、今の指定量を基に、将来推計を出すということが理論的にできないというふうに考えておりますので、推定はできないと思っております。

(問)日本テレビの杜です。このタイミングで、この推計値を出された理由、先ほど宮城は要望があったのでとおっしゃいましたけれども、他の4県についてもこのタイミングで推計値を出された理由というのを、改めてもう少し詳しくお聞かせください。
(副大臣)基本的には、いつ測定して、結果どうだったかというデータがあれば、計算式で算定ができるというのが根底にあります。ですから、あえて今までしてこなかったということですけれども、その中で、宮城県からは要望があったので今回推計値を出して、他の県のも出してもらいたいという要望が他の方面からいろいろありましたので、それにお答えしたということになります。
(問)これが出たことによって、今後それぞれの自治体から、1か所集約じゃなくて、これであれば分散保管でもいいじゃないかという声が挙がってくるということも想定されるんですけど、先ほど副大臣は1か所集約に変わりはないと言った上で、地元の声はよく聴いていくというような言い方をされてたと思うんですけれども、この辺り、仮に地元からそういう声があったとしても、1か所集約の方針は変えないということでよろしいですか。

(副大臣)そうですね。ご承知のように、茨城でも1か所集約は変えてないんです。そういう意味では、我々は5県について、1か所集約を変えることは考えていません。ただ、それに至るまでのいろんな方策としては、各県の意向とか状況などに差異がありますから、それぞれの地元とよく協議をしながら進めていきたいと思っております。

(問)NHKの橋本です。8,000ベクレルを下回ったものは、仮に焼却しない形で処分した場合に、長期管理施設の必要な面積なんかも変わってくる、そこまで多く確保する必要がなくなってくることになるかと思うんですけれども、この辺の影響についてはどうなんでしょうか。
(副大臣)先ほども申し上げたように、少なくとも調査候補地の選定に関しては、市町村長会議で、地元の皆さんに入っていただいて決めたルールというものがありますから、それを最大限尊重しなければいけないと思っています。そのルールにおいては、選定の時点の指定廃棄物の量というものを基準にして選定していますから、それが処理が進んだとか、指定が解除されたとか、そういったことによって新たに選定し直すということは考えていないということになります。
(問)選定の方法、1か所ということもそうだし、必要な面積というのもこれまでどおりという理解でよろしいでしょうか。
(副大臣)必要面積については、長期管理施設というのは必ずしも管理をするための敷地だけではなくて、その他にも焼却施設であったり、仮置場であったり、あるいは調整池であったりといろんな施設があるんです。恐らく、思ったよりも指定廃棄物の量が減ったからと言って、全体で必要な面積が大幅に減るということではないと思っています。

(問)河北新報の門田です。2点教えていただきたいんですけれども、1か所集約ということは分かったんですけれども、最終処分場の必要性について疑問というのが地元から来ると思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
(副大臣)例えば、災害のリスクを考えたときに、住民の皆様の立場に立って考えると、いかに安全に管理するか、安全に処理をしていくか重要だと思っておりますんで、その重要性は仮に量が減ったとしても、変わらないというふうに思っております。
(問)宮城の場合で栗原市長が未指定分の測定もやってほしいという要望もありますが、その件についてはいかがでしょうか。
(副大臣)地元からご要望があれば、未指定の再測定ということも考えさせてもらいたいと思います。

(問)上毛新聞の石倉です。各県の中の市町村で、それぞれ分散して保管していると思うんですが、それぞれ市町村での内訳というのは出されているんでしょうか。また、地元からこういったそれぞれの内訳を教えてほしいというような要望があった場合に、説明するお考えはおありでしょうか。
(副大臣)我々としては、市町村別とか、あるいは民間の方が管理していることもありますけれども、それぞれ別個にというような推計は出しておりません。それは、それぞれの管理をしていただいている方の考えとか、いろいろあると思いますので、何かそういった情報を公開することが、風評被害に繋がっても良くないと思いますので、そういう意味で、今日は県別という形で公開させていただきました。
(問)地元から要望があったとしても、内訳は出さないということですか。
(副大臣)個別に要望をいただいても、全体としてどうするかという考え方で対応しないと思っていますので、県単位でしっかり協議をさせていただきたいと思っております。
(問)市町村長会議なりで、そういう要望があればということですか。
(副大臣)例えば、それぞれの各県において、県の総意として市町村別で出してもらいたいとか、その話があれば、それは相談に応じたいと思います。
(問)関連してなんですけれども、群馬県では市町村長会議が2年半ほど開かれていなくて、ほとんど止まったような状態なんですけれども、そちらで開催して地元で説明していくというようなお考えというのは、ご予定等は具体的に調整しているというような状況があったら教えていただきたいんですけれども。
(副大臣)長期の間、いわば特に地元の皆様から見られると、何も進展がないというふうに不安に感じておられると思うので、そういう意味では、申し訳ないなと思いますけれども、今回、解除の話とか、あるいは保管の継続の話とかそういった話もさせていただきましたので、そういうことについて群馬県としてどういうふうにお考えなのかということは共有していきたいと思っております。

(問)産経新聞の緒方と申します。選定のやり直しはしないということだったのですが、この点についてお伺いしたいのですが、例えば今の時点での保管量が選定の時点から比べて、大分減っている市町村があるかと思うのですが、そういったところに対して、選定の時点での保管量を基準にするということの理由について、もう一度教えてください。
(副大臣)一つは、市町村長会議を重ねて、それぞれ地元の協議の中で選定基準を決めました。それは環境省が決めた方針だけではなくて、各県ごとにそれぞれの意向を踏まえて、そこを各県ごとのバージョンにして決めているわけですから、それを最大限尊重するということが必要だと思っています。その時のルールが、選定の時の量で選定をするということだったので、そうしていきたいというふうに思っています。
(問)これまでの選定のプロセスを重視すると、そういう理解でよろしいでしょうか。
(副大臣)現実的に考えても、仮にこれから解除や自然減衰が進んだとして、そのたびごとに選定し直すというわけにもいかないものですから、そういう意味でもそれはなかなか難しいと思います。

(問)朝日新聞の香取です。今回、推計結果を茨城と宮城で出して、5県出したということで、これでどういうことを期待されているのかお聞かせいただきたいのですが。
(副大臣)私どもとしては、とにかく各県ごとに1か所きちんと施設を造って管理していくということをずっとお願いしておりますから、そういった意味で処理が進めばありがたいなということは期待をしております。ただ、むしろこの推計値を公開したことによって、特定の方針でこれをこうしようというよりも、こういった推計値を公表してくれというようなご要望があったということで、それについては応えていくべきだということで今回の発表に至った、そういった側面が強いです。