大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年12月6日(火)9:17~9:29  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から1点ご報告いたします。2015年度の温室効果ガス排出量の速報値を取りまとめました。我が国の2015年度の温室効果ガス排出量は13億2,100万トンで、前年度比3.0%減、2013年度比で6.0%減となりました。これは、省エネの進展や再エネの導入拡大等、各種対策の効果が現れつつあるものと考えられます。2030年度26%削減の達成、その後の2050年80%削減を目指して、今後より一層の排出削減を実現していく必要があり、大胆に温暖化対策を進めてまいります。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の久野です。冒頭発言のありました排出量の関係なのですけれども、原発事故の後では初めて2年連続排出量が下がったということですが、これについてはどういうふうに受け止められていらっしゃいますか。
(答)省エネにしろ、再エネにしろ、対策を講ずれば少し数値がよくなるとある意味で立証されたと思っておりますが、これをもって私どもは油断することなく進めていかなければいけないということを一層強く思いました。まだまだ道半ばにもいっていないような気がしておりますので、これをもって将来楽観的な考え方を持つには至りません。
(問)来年度も続けるためにはどういうふうにやっていけばよろしいのですか。
(答)今申し上げたように、あらゆる対策を講じていくということをいつも申し上げておりますけれども、省エネ・再エネの分野においてもより拡大を目指していきたいと思います。特にエネルギー起源のCO2排出量が減少したということが大きな要素になっておりますけれども、これは暖冬であったり、冷夏であったりいろいろな気候状況等が影響していると思いますので、これが来年も続くであるという保証は全くありません。こういうことを考えていくときに、今やっている対策をより拡大していくということに尽きると思います。
(問)別の質問なのですが、土砂災害警戒区域の中に2割ぐらいの放射線防護対策施設があると毎日新聞で報道したのですが、それぐらいの施設があったことについての受け止めと、土砂災害に伴う避難経路の問題も別にあると思うのですが、これについて何か対策を講じなければいけないというような認識は今おありかどうか教えてください。
(答)毎日新聞の記事を拝見いたしました。この問題についてはかねがね私も関心を持っておりまして、役所と相談をいろいろとやっております。その中で、いわゆる既存施設の防護対策という事業の性質上、一般災害に係るリスクはその立地環境によるものの、耐震性や津波対策等を要件にして複合災害時にも機能できるように備えております。また、土砂災害その他の災害に対しても原則として安全区域に立地することを求め、やむを得ず安全区域外に立地する場合には、一般災害のリスクが高まった時に近隣の安全な施設に避難する計画を立てておく等、相応の対策を行うことを要件にする補助金の交付要綱の見直しを本年度中に行うことを予定しております。いずれにせよ住民の安全・安心を第一に考えて対策を進めてまいりたいと思っております。
(問)避難経路についてはいかがでしょうか。
(答)それも今申し上げましたとおり、全体の立地の条件等々によって避難路ということも当然考えていかなければいけないだろうと思っております。

(問)NHKの松田です。二酸化炭素の排出量の関係なのですけれども、先ほど言われたように、減少になった要因として再エネの導入が大きいかと思うのですけれども、再エネが進んだということへの受け止めと、あと今後の見通しとして、再エネの導入が進む一方で石炭火力の建設計画というのも相次いでいるということで、今後の見通しと、そこに対してどういう対策を環境省として取られていくかお聞かせください。
(答)石炭火力についてはいつも申し上げます通り、早いもので10年以内にいわゆる稼働し始めるだろうと思っておりますけども、再エネについては現在進行中でもありますし、私自身がいつも申し上げますことは、再エネといったら何も太陽光、風力だけではないということを申し上げたいです。もっともっと日本には活用できる自然エネルギーがあると私は思っておりますので、そういうものにもう少し目を向けていきたいと思っております。特に水力についてはもう少し目を向けていければ、かなり貢献してくれるんじゃないかという期待を持っておりますので、さっき申し上げた再エネの拡大という中には、そういうものも入ってきて、何も太陽光、風力だけを拡大していくのではなくて、地熱であったり、利用できるものは最大限利用していくということはこれからもやっていきたいと思っております。
 石炭については、いつも申し上げる通りでございまして、私はかなり否定的なものを持っておりますので、そういうことだけでお許しを願いたいと思います。

(問)共同通信の津川です。所管外の話で恐縮ですけれども、昨日、安倍総理が先の大戦の犠牲者慰霊のために今月下旬にハワイの真珠湾を訪問されることを表明されましたけれども、これに対する受け止めが何かあればお願いいたします。
(答)私も報道を聞きまして、非常に高く評価をしたいと思っております。といいますのも、本年オバマ大統領が広島にみえたということ、これもあって、やっぱり日本国のトップとして真珠湾に行かれることについては非常にいいご決断だと評価をしたいと思います。

(問)朝日新聞の小堀です。温室効果ガスの排出量についてなのですが、2020年度の政府目標が、3.8パーセント以上ということで、今回、森林吸収源を足さなくても達成しているということになるのですが、2020年度の数字を既に達成しているということで、計画を更に上積みしたりですとか、そういった更に対策をお進めになるというお考えはあるのでしょうか。
(答)非常に良い数字であったということだけは実感をいたしております。ただ、今後の見通しというのは予断を持って考えるべきではないと思っておりますし、3.8パーセント減以上の削減に向けて努力をするとしか、現時点では目標を変えるとかいうことでなくて、3.8パーセント減以上というものを目指していくということに留めておきたいと思っております。ただ先ほども申しましたように、2年続けて削減してきたひとつの大きな原因が省エネや再エネということであるならば、特に再エネの部分を拡大をしていきたいと、3.8パーセント減以上のものを目指すことになるだろうと思っておりまして、今回3.8を達成したから目標値を変えたらどうというような考えには至っておりません。
(問)一方で、2005年度と比べると減っているのですけれども、大臣も思い入れのある京都議定書の時の基準年、90年と比べますと逆に4パーセントぐらい増えてしまっています。パリ協定が発効して、更に削減が求められる中で、そういう意味で3.8パーセント以上対策されるということですけれども、もっと減らしていこうという思いはないのでしょうか。
(答)思いはありますけども、今回の数字をもって目標を変えるということは現時点ではやっぱり控えておくべきだろうと思います。ただし、3.8パーセント減以上を目指していくことには変わりありません。今京都の話が出ましたけども、京都のころはあまり再エネという話はあまりなかったのです、省エネはありましたけども。だから、再エネという分野はまだまだ拡大できると思っておりますので、目指していきたいなと思っております。

(問)NHKの松田です。省エネが進んだことが要因の一つと言われておりますけれども、省エネが進んだ背景というのがどういうことがあって、今後更に進めるためにはどういったことが必要かというのを追加でお願いします。
(答)省エネが進んだということは、ある程度国民の皆様方にご理解をいただくことができたということが一番だろうと思うのです。それと同時に、機器の改良、かなり家庭用電気用品等でかなり省エネのものが出てきたということも大きい要因なのだろうと思います。何よりもやっぱり、国民の皆様方の意識が、省エネという意識が、かなり進んできたのだろうと、これが一番だろうと思っております。