大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年11月29日(火)10:25~10:41  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、私の方から3点ご報告させていただきます。1点目は、COP22を踏まえた国内対策強化についてでございます。今回、COP22に出席して改めて自分の肌で感じましたが、脱炭素社会に向けた世界の潮流はもはや変わりません。環境先進国として、我が国もその先頭に立つ必要があります。そのため、これまでに取り組んできたことに加えて、対策を更に前へ進めるために、次の4点について事務方に指示をいたしました。概要はお手元の紙でご覧ください。第一に、先進的な脱炭素技術の発掘・選定・発信です。第二に、フロン対策の強化です。第三に、本格的カーボンプライシングに関する検討です。第四に、幅広いステークホルダーとの連携強化と長期戦略策定に向けた検討の加速化です。
 気候変動対策は、経済成長のチャンスであり、また我が国の優れた技術を活用して世界に貢献するチャンスでもあります。国際支援については、「気候変動対策支援イニシアティブ」として既に打ち出しました。これとの両輪で、国内対策の強化について、環境省が先頭に立って、脱炭素社会への取組を大胆に進めていきます。
 2点目は、12月は「地球温暖化防止月間」であります。また「大気汚染防止推進月間」でもあります。地球温暖化と大気汚染の防止につながるような、「ウォームビズ」の実践、暖房温度の適切な設定等の節電、エコドライブなどの取組をお願いいたします。
 3点目です。昨日、農林水産省より、青森県青森市及び新潟県岩船郡関川村で死亡した家きんについて、遺伝子検査を行ったところ、H5亜型であり、高病原性鳥インフルエンザの疑い事例である旨連絡がありました。これを受け、先ほど関係閣僚会議が開催されました。会議において、環境省では、発生地周辺半径10kmを野鳥監視重点区域に指定し、青森県及び新潟県に対し野鳥の監視の一層の強化を要請するとともに、環境省の野鳥緊急調査チームの派遣準備を開始した旨報告しました。
 今シーズンは野鳥等でも既に全国で4県19例の高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されており、既に全国での監視レベルを最高レベルであるレベル3まで高めておりますが、さらに全都道府県に対し、情報の迅速な共有と監視の適切な実施を要請する事務連絡を発出することにより、野鳥の監視を一層強化するとともに、農林水産省等関係府省と情報の共有を図ってまいります。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の藤野です。温暖化対策の件で何点かお伺いいたします。まず炭素税についてですが、いつから検討を始めて、どのようなものに対して税をかけていくか、どのような税率でかけていくか、いつから導入をされていくのかというのを教えていただけますでしょうか。
(答)本格的炭素税については、引き続き諸外国の先例や温対税のCO2削減効果について、調査・分析を進めてまいりたいと思っております。いずれにしましても何をどうするのかということも含めてこれからの検討だと思います。
(問)本格的な導入に向けて検討を進めていきたいということでよろしいですか。
(答)当然、検討しなければいけない課題だと思いますので、先ほど申し上げたように、既に炭素税を導入している国もありますので、諸外国の先例等の調査・分析を進めてまいりたいと思います。
(問)フロンの関係でお伺いしますが、フロン対策ということで生産規制の整備をしていくということでよろしいですか。
(答)どのような法律を改正・制定するか、政府部内で連携しつつ検討を進めていきたいと考えております。
(問)パリ協定が発効して、COP22も先日終了したばかりなのですが、現状では各国の削減数値を積み上げても世界で目標とする数値には足りてないです。今度、代替フロンの対策を強化することでどのようなことを期待されていらっしゃいますでしょうか。
(答)以前この場でも申し上げたかと思いますが、代替フロンHFCが地球温暖化防止対策として取り上げられていることは画期的なことだと思うのですが、あとフロンはオゾン層だけの話で注視しておりましたので、そういう意味で今年HFCが地球温暖化防止ということで取り上げられていることは非常に大きいと思いますし、今現在、世界で出回っているフロンは、我が国を別としたらCFCとかHCFCまだまだかなり残っていると聞いております。そこらへんも含めて、フロン類全体を地球温暖化のためによくないということをもっと各国に少し理解をしていただきたいと私の立場から考えております。
(問)年内に検討会を設置して、いつごろまでに結論を出される予定でしょうか。
(答)現行のフロン類対策を上流から下流まで総点検することとしまして、平成28年度中のとりまとめを目指したいと思っております。つまり来年の3月までです。
(問)何らかの結論を出すということでしょうか。
(答)3月で改正フロン法が施行されて1年経過すると思うのですけれども、よく検証をしたいと思っております。特に改正フロン法は上流から下流までという画期的なフロン法でございますので、それが今どういう状況になっているのか、例えば上流ではどういうことが起きているのか、下流ではどういうことになっているのか総点検をして、そして28年度中にとりまとめを出していきたいと思っております。

(問)共同通信の井口です。カーボンプライシングの検討についてなのですけども、現在、50年80%、それ以降に向けた長期戦略の検討をしていると思うのですが、それと同期した動きのように見えるのですが、そういう認識でいいのか、そうすると年度内に結論を得たいということでいいのかということをお聞かせください。
(答)時期については予断を持たずにやっていきたいと思っておりますけども、カーボンプライシングについては、ある意味で世界の潮流になっていると理解をいたしております。当然のごとく、これを導入ということは頭に置いて検討していかなければいけないと思っておりますけども、私の方から指示を出しましたのは、これもいろいろな国の事例がございますので、どの方法がいいのか、どういうキャップを設ければいいのか、キャップ制度そのものもいいのか悪いのかとか、そういういろいろなことを含めて具体的に検討に入ってもらいたいという指示を出しております。
(問)もう一つですが、その検討をどういう人たちにやってもらうのかということと、先ほどの幹事社からの質問では、炭素税に触れてらっしゃいましたけれども、これは排出量取引を含めたいろいろな選択肢を検討するということでいいのか教えてください。
(答)どういう場でということになると、中央環境審議会の長期ビジョン小委員会でもカーボンプライシングについてはご議論いただきたいと思っております。炭素税については、先ほど申し上げましたように、各国の事例をよくよく研究してこれをやっていきたいと。排出権取引等についても当然入ってくるだろうと思っております。
(問)最後にしますけども、短期的にはコストが増えるということで、産業界の方からはわりと反発もあるところかと思うのですが、こうした点を踏まえても必要性をどういうふうに訴えていくか、その基本的な考え方を教えてください。
(答)私の方からは愚直にお話するしかないのですが、やはり世界の潮流というのは、いろいろな企業の方もご意識をしていただければなと思っております。

(問)NHKの橋本です。おはようございます。先ほどのカーボンプライシングに引き続いてなのですが、中央環境審議会の長期ビジョンの委員会で検討ということだったんですけども、今後、例えば財務省なり経産省との調整を具体的にどうされるのか教えてください。
(答)まずは、私どもの中央環境審議会の長期ビジョン小委員会でご議論をいただきたいと思っております。そこで一つの方向性、環境省としての方向性を見出していきたいなと思っているところでございます。
(問)もう1点なのですが、鳥インフルエンザに関連してなのですけども、青森や新潟で、農場で見つかったということを受けて、関係者の間に非常に緊張感が高まっているかと思うのですが、対応レベル最高の3というのは2年ぶりのことでありますが、改めて、こういった事態になっている現状について、大臣の受け止めをお願いします。
(答)いつもこの時期になると鳥インフルエンザのことが心配されるのですが、こういう問題に対処するときに一番大事なことは、初動を迅速に行うということだろうと思っております。そういう観点からいくと、すでに今日、閣議前に会合が開かれるということは、非常に早い対応であったろうと思っております。その点については、私どもは今回評価したいと思います。そして環境省としてやれることを、関係府省と連絡を取り合いながらやっていきたいと思っております。

(問)読売新聞の大山です。先ほどのカーボンプライシングの関係なのですが、カーボンプライシングの中にはJCMなども入っているかと思いますが、ここで検討されるのは国内に関する制度ということで、JCMなどは検討の対象外ということなのでしょうか。
(答)そこまでも含めて今からの検討だと思っていただきたいと思います。先ほども申し上げましたけれども、カーボンプライシングの考え方が世界の潮流となっていることは間違いないので、我が国に合ったそういう制度の導入はいかにあるべきかということも含めて、早急に結論が出せればと思っております。
(問)ということは、国際的な国と国との間のやりとりも検討の対象になるという理解でよろしいでしょうか。
(答)そのことも含めてです。

(問)環境新聞の小峰です。2点カーボンプライシング関係でお聞きします。配付資料の「3.本格的カーボンプライシングの検討」の最後のセンテンスに「有識者を交え開かれた場での検討を開始。」となってますけれども、これは、現在の中央環境審議会の低炭素ビジョン検討小委員会も今年の7月から開かれてますけれども、これとは別の場なのでしょうか。
(事務方)長期ビジョン小委員会の方でも、先ほど大臣からお話いただきましたように検討はいたしますが、それと同時に別途検討会を開催することを考えております。
(問)具体的にはどんなメンバーで、いつ頃なのでしょうか。
(事務方)これから検討したいと思いますが、時期としては年明けを考えてます。
(問)メンバーはどういう方ですか。
(事務方)これから検討します。
(問)でも大まかなところの。例えば、産業界は入るのでしょうか。
(事務方)そこも含めて検討です。経済系の学者の先生、法学系の学者の先生、あるいは海外の状況に詳しい方などの中から数名を選んで、ということで考えてます。
(問)例えば経団連とか産業界は入らないということですか。
(事務方)今のところ決まっておりません。
(問)大臣、もう一つカーボンプライシングに関連してお聞きします。カーボンプライシングの場合、2つの大きな項目があると思うのです。一つは大型の炭素税、それから排出量取引。大臣としては、どちらのほうに重点を置かれて検討する予定ですか。
(答)この場でどちらということを申し上げるのは控えたいと思いますけれども、いずれにしても、これが有効な手段であるということだけは我々認識いたしておりますので、どちらにしろ検討の対象だと思っております。