大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年11月11日(金)10:02~10:20  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、私の方から1件報告をさせていただきます。COP22の出席について国会の許可をいただきました。11月14日からモロッコ・マラケシュに出張し、COP22閣僚級セッションに、日本政府代表団の代表として参加いたします。今回のCOP22は、パリ協定によって生み出された機運を維持し、各国が連携して、脱炭素社会に向けた「行動」を取ることを世界に示す、重要な会合と捉えております。COP22の成功に向けて積極的に議論に貢献してまいりたいと思っております。
 また、会合では、我が国の技術や経験を最大限に活用し、気候変動分野における国際支援の取組を発展・拡大する方針を積極的にアピールしてまいりたいと思っております。本日、その具体的な内容を、『日本の気候変動対策支援イニシアティブ』として発表いたします。ポイントは2つでございます。JCMによる排出削減や適応はもとより、フロン対策、SDGsも加えて、途上国によるパリ協定の実施をあらゆる面から支援する点、もう一つは、二国間での取組に加えて、アジア地域等多国間で、日本の取組や途上国同士の優良事例や情報を共有し、我が国が各国をつないでいくための架け橋となる点でございます。個別の詳細については後ほど事務方から説明させていただきます。

2.質疑応答

(問)日本テレビの中村と申します。パリ協定についてなのですけれども、今週のアメリカ大統領選で、トランプさんが次の大統領に決まったということで、これまでの中でTPPだけでなくパリ協定もやめるという発言をしている人なのですけれども、今後パリ協定に対する影響と、日本の姿勢がそれで影響を受けるかどうかということを教えてください。
(答)トランプさんが当選されたことに、お祝いを申し上げたいと思います。その上で、選挙期間中に環境に関しても様々な報道があったことは承知をしておりますけれども、政権移行後の米国の環境政策について、当方としては現時点で予断をすべきではないというふうに考えております。まだ1月まではオバマさんの政権でございますので、パリ協定の今回のマラケシュの会合においても、アメリカの姿勢は変わらないものだと思っております。

(問)朝日新聞の小坪と申します。中間貯蔵施設に関してお伺いいたします。来週の15日に本体の施設が着工ということで2点伺いたいのですが、まずは率直に今の受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)いわゆる中間貯蔵施設、15日に起工をいたすわけでございますけども、用地取得後は軌道に乗ってきておりまして、10月末までに445件、約170ヘクタールについて契約に至っていると聞いています。来年秋の中間貯蔵施設の稼働を目指して、除染土壌等の輸送を着実に進めて、福島の復旧・復興を加速化してまいりたいと思っております。
(問)いまだに有効だと思うのですが、中間貯蔵施設の工程表では、もう既に施設はできていて、施設への搬入が始まっているはずだったということになっていると思うのですが、そういう遅れと言いますか、そういったことについてはどのように受け止めていまでしょうか。
(答)私がこの職に就いたときに報告を受けておりました時点においては、用地取得に時間を要しているという報告でございました。ただ、時期が時期でございましたので、少しずつ前進し始めた。そうするとやっぱり弾みがついてきて、今日の用地取得が約170ヘクタールまで進んだというふうに考えておりまして、今後本当に加速化していくだろうと期待をいたしております。

(問)読売新聞の大山です。今月の8日に政府としましてもパリ協定に批准されましたけれども、批准について国連への受諾書の寄託をめぐる話についてなのですが、実際に寄託されたのが23時過ぎの深夜ですけれども、それが外務省のホームページに上がったのが23時30分ぐらいで、その上で環境省への連絡が外務省からあったのがそれから更に1時間以上、1時間30分くらい遅れた午前0時50分過ぎくらいになったということで、省庁間の連携としてどうなのかなと、少し問題なのではないかと思うのですが、大臣のご認識をお聞かせください。
(答)報告を受けまして、ご指摘のようなことを私も懸念をいたしております。それと同時に今回のパリ協定その他、外務省との連携というのを環境省はより密にしていかなければいけないという想いを強くいたしておりますので、今後私の立場からも外務省、そして環境省の連携が緊密化するように働きかけけをしていきたいと思います。
(問)弊紙の過去の担当者によりますと、外務省との絡みで過去にもやはりタイムリーに広報されないというような似たような事案があったと聞いており、外務省の怠慢もあるのではないかと思いますが、少し個人的な問題もあるのかなと思います。やはりその辺りについて再発防止について大臣として何かお考えになることはありますでしょうか。
(答)今申し上げましたように、私の立場で今の問題について改善する方向に行くように外務省とも話をしてみたいと思います。

(問)ブルームバーグの渡辺です。先ほどアメリカの次の大統領にトランプ氏が選ばれたということで、政策的にはまだ分からないかもしれませんが、キャンペーン中にやはり石炭についても石炭業界の保護姿勢のようなことを表明されてきて、これまでいろいろ世界で取組とかもありましたし、ダイベストメントの動きとかもあったと思うのですが、そういう石炭への風当たりが弱くなることで温暖化への取組というのは弱くなるのではないかと、特に国内でも大臣は懸念というのを示されてきたかと思いますけれども、国内の石炭の方針についてもアメリカがやっているのだからいいのではないかみたいなそういう動きが出てくる懸念というのはお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
(答)私自身は温暖化に向けての世界の取組の大きな潮流は変わらないものだと思っておりますので、その視点からそれぞれの国がお考えになるだろうと思っております。この問題の流れは変わらないと、温暖化に向けての各国の施策の流れは変わらないと思っておりますので、アメリカに限らず他の国々もやはり一つの流れだけは変えていかないものだと思っております。

(問)環境新聞の福原です。温暖化の関連で質問したいと思います。先般のモントリオール議定書締約国会合でHFCの段階的な削減について合意をされたのですけれども、特に途上国などで今も使用されている特定フロンのHCFCですとか、CFCの回収破壊ということも重要な課題かと思います。これについて大臣のお考えをお聞きできればと思います。
(答)個人的考えを言わせていただくと、今言われたような、HCFCとかCFCがまだ存在しているということだけは間違いないと思っております。製造だけは禁止になっておりますけれども、存在をしていることだけは間違いないと思っておりますので、わが国が今までHCFC、CFCに対してやってきたこと等々を途上国の方々にご披歴をすることも大事なことだろうと思います。いつも申し上げますけれども、フロンに対する認識というのは、今回のモントリオールの締結まで非常に観点が違っておりましたので、オゾン層の保護というふうな観点で論じられてきておりましたので、それが地球温暖化との結び付きでフロンが考えられるようになってきたというのは、新たな動きであると思っております。日本が取ってきた今までのフロン対策というのを世界に披歴していくいいチャンスが生まれてきたと私は思っております。

(問)環境新聞の小峰でございます。大臣、COP22にご出張ということですけれども、それに関連しまして、トランプ(次期)大統領がパリ協定の破棄を選挙中からずっと言っています。しかし、言っていますけれども、すでにオバマ大統領の方で締結していますから、どんなに早くても4年間、トランプ(次期)大統領の就任期間中はパリ協定から脱退できない仕組みになっています。しかし、トランプ(次期)大統領は本気になってやろうと思ったら、パリ協定の上位条約である気候変動枠組み条約から撤退することさえ可能だと思います。その辺のところのご認識を。それから、COP22に行って、山本大臣が気候変動条約からアメリカが脱退しないことを、米国の大臣なりに堂々と言うべきなんじゃないでしょうか。
(答)前段の部分については、仮定の話でございますので、今、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今回、マラケシュの舞台でアメリカの代表団と会う機会があったならば、私はそういうことは申し上げておきたいと思っております。

(問)エネルギーと環境の大村です。経済産業省の方ではJCMは非常に非効率だということで新しい方策を検討しているようですが、環境省としてはこれについてどのようにお考えになっているかということと、それから今HFCのお話がありましたが、やはり効果的なODAとかを使った制度を設けたらどうかということは前々からある議論なのですが、その辺について先ほどいいチャンスとおっしゃっていたのですが、何かお考えがあるのかどうかその辺をお聞かせください。
(答)経済産業省のお話についてお答えをしたいと思いますけれども、JCMはパリ協定で盛り込まれた非常に画期的な制度だと私は思っております。日本がリーダーシップを取ってパリ協定の中に盛り込まれていったのでございまして、特に安倍総理ご自身もCOP21でJCMを駆使して途上国の負担を下げながら低炭素技術を普及することを表明をされていますし、従いましてJCMというのは我が国の国際貢献の要であるというふうに認識をいたしております。私の立場としては、JCMをこれからも引き続き推進をしてまいりたいと思っております。後段の部分は、何回も申し上げますけれども、今回のイニシアティブでも言及をしております。先ほどご質問にあったのはHCFCとCFCの世界でございまして、これについて、我が国においては既に回収破壊を進めておりますけれども、世界ではまだまだこれが存在しているという状況でございます。そしてフロンというのはこれもお分かりのように人畜無害で無味無臭で、ぽっと空中に拡散させてもあまり人類は痛痒を感じないのが今までの世界の慣習であったと思うのですが、ここへきて急速に地球温暖化との関係が議論をされるようになってきたと。これは本当に画期的なことだと思うのですけれども、そのために日本が今までやってきた回収破壊の技術や仕組み等々を世界に広めていきたいと思っております。まずは、それぞれの国の方々にフロンというものの持つ意味をよく理解をしてもらって協力をしてもらうようなことをやっていきたいなと思っております。

(問)共同通信の川口と申します。おはようございます。仮にの話なんですけれども、トランプ氏がこの先4年後に脱退をするというふうに仮に言ったとしても、先ほど大臣のご答弁にあったように、世界の大きな潮流は変わらないのではないかという見方もあるのかと思います。大臣は、京都議定書の誕生に多大なご貢献をされたと認識していますけれども、京都議定書の時と比べて、今はどういうふうに世の中が変わっているというふうにお考えでいらっしゃるのか。仮にトランプ氏が脱退したとしても、その影響というのは、京都議定書のブッシュ政権の時とどういうふうに違うのか、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)京都の会議の頃の風潮は、とにかく今、地球温暖化が生じているのは先進国のせいだという議論がずいぶん強かったように思います。だから先進国が責任を取りなさいというような風潮で、ああいうような取り決めになっていったと思います。それから十数年経って、今回のパリ協定というのは、全ての国が参加をするということになったわけでございまして、全ての国が参加をするということは、人類全体が地球温暖化防止に対して責任を持ちましょうという流れになったわけですが、それをもって私は世界の潮流というふうに申し上げたわけでございます。

(問)環境新聞の小峰です。先ほどお話がありましたが、経済産業省の方で検討しております、JCM制度と別の制度を設けて新たな国際社会のCO2の削減策を貢献するべきじゃないかというのが経済産業省の有識者会議で今検討されていまして、来月にも新政策を発表します。経済産業省の審議過程を見ればよくお分かりになるかと思いますけれども、今のJCMは既に4件しかクレジットを発行しておらず、今現在200トンしかできない状況です。このままいっても、とても政府の温暖化対策計画の5,000万トンから1億トンはとても不可能だと思います。それならば、JCM予算の100倍以上あるODAだとかJBICの金融を使って何か新たな仕組みを作らなければ日本はダメなのではないかと、この辺のところを経済産業省は言っておりますけれども、これに対するご見解、それから今日の午後に行政事業のレビューの見直しの中で、JCMの問題も含めまして環境省と経済産業省との温暖化対策の事業についてもっとはっきりしろと、この辺のところが議論になると思いますけれども、この行政事業レビューに対する環境省の対応についてこの2点をお伺いいたします。
(答)先ほどお答えしたことに尽きるわけでございますけれども、安倍総理ご自身も表明をしていらっしゃいます。JCMこそが日本の国際貢献の要であるというふうにおっしゃられておりますので、当方としてはこれからもJCMを国際貢献の要として推進をしていきたいということに尽きるわけでございます。そして今ご指摘のあった、経済産業省がお考えになっているのかもしれませんけれども、別の制度とは当方は聞いておりませんのでお答えは差し控えさせていただきます。