大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年10月14日(金)9:23~9:39 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は私の方から二件ご報告申し上げます。今日、閣議前に第7回原子力防災会議が開催されました。本年9月2日に、地域原子力防災協議会で確認を行った泊地域の緊急時対応について報告し、これを了承していただきました。また、緊急時対応の取りまとめにご協力いただいた関係省庁に御礼を申し上げるとともに、引き続きのご協力をお願いをいたしました。また、平成28年度の原子力総合防災訓練を、11月中旬に、北海道電力泊発電所を対象に実施することを報告をいたしました。総理からは、訓練結果から教訓事項を抽出し、泊地域の緊急時対応の更なる改善や充実に取り組む旨のご発言がございましたので、しっかりと取り組んでまいります。詳細については、別途事務方から説明をさせていただきます。
 それからもう一点は熊本地震のことについてです。平成28年熊本地震の発生から半年が経過いたしました。環境省では、一日も早い復旧・復興を目指して、熊本県や被災自治体に対して、環境省職員やD.Waste-Netの専門家を派遣し、災害廃棄物の分別や処理先の確保等に関する技術的な支援を行っております。損壊家屋の解体については、6月から着手され、9月末時点で約4,200棟完了し、2年間で解体するとの予定に沿って、着実に進められております。災害廃棄物の処理については、8月末時点で48万3千トン完了、進捗率にしますと24.8パーセントとなっております。また、約50パーセントを再生利用しております。今後も熊本県や市町村と連携しながら、広域処理の推進や進捗管理を行い、災害廃棄物処理が更に加速化されるよう、全力を尽くしてまいりたいと思っております。

2.質疑応答

(問)テレビ朝日の古賀です。泊地域の緊急時対応の閣議了承について改めて大臣の所感をお願いいたします。
(答)泊地域の原子力防災体制については、今までも、国と関係自治体が一体となってその構築に取り組んできたところでありますが、「泊地域の緊急時対応」については、先月、泊地域原子力防災協議会で具体的かつ合理的なものとなっていると確認をしていただき、本日、原子力防災会議で報告・了承されたところでございまして、現時点では最善の計画となっていると思っております。私自身も泊に行ってまいりましたし、そういうこと等を含めて、今回のいわゆる訓練等を通じて具体的な教訓が抽出されることを期待をしております。

(問)共同通信の井口です。アフリカのルワンダで開かれているモントリオール議定書の締約国会合についてお伺いしたいと思います。代替フロンの削減スケジュールが交渉の焦点になっているかというふうに思いますが、現状どのように認識をされているのかということと、それからもし合意というふうになった場合、日本はどのように国内外の削減に向けて、どう取り組んでいくのかお聞かせ下さい。
(答)10日から締約国会合が開催されておりまして、残すところ日本時間であと一日になりました。これまでのところ、先進国及び途上国のHFC段階的削減の具体的内容について継続的に議論が行われてきていると承知をしております。ただし、依然として先進国と途上国の間に意見の隔たりが残されているというふうに聞いております。我が国としても引き続き建設的に議論に貢献していく考えであります。
(問)国内にはガスを使う家電のメーカーもあると思いますが、もし合意となった場合にですけれども、産業界の負担になるというふうに捉えるべきなのか、それとも新しいビジネスの機会になるというふうに捉えるべきなのか、どういう感想を抱いていらっしゃいますでしょうか。
(答)個人的な感想を申し上げますと、HFCを含むフロンというものを削減していきましょうという共通認識を先進国も途上国も持っていただくようになってきたというのが今日の私の感想なのですが、はっきり申し上げて、HFCに代わる代替の冷媒がなかなかまだ思い切った段階に来ておりませんので、そういうことがあって今回、先進国と途上国との間で削減面での意見の隔たりがあるのかと思っております。
(問)今後の方向としては、自然冷媒などの切り替えが今までも施策としても流してきたところだと思いますけれども、新しい冷媒とか研究開発もいろいろやっていかなければいけないのかなと思いますが、その辺りいかがでしょうか。
(答)おっしゃるとおりで、日本を始め、アメリカ辺りもかなり研究が進んでいっていると聞いております。日本ではかなりアンモニア等々含めて、実際に使っておられるところもあったりしております。ただ物があってもコストという面からいくとなかなか問題があると聞いておりますので、私としてはフロンというものがHFCを含んで、言ってみれば、なくなればいいとは思っておりますけれども、なかなかそれに代わるものということを言われた時に、非常に厳しい状況にあると思います。ただし、日本はかなり進んでいるという実感は持っております。

(問)NHKの橋本です。モントリオール議定書に関することなのですけれども、残すところあと一日というところで合意に至った場合、昨年のパリ協定ですとかSDGsに次いで、環境行政の中で大きなターニングポイントになることかと思いますが、改めて大臣のHFC規制の必要性についてコメントいただけますでしょうか。
(答)先ほどから申し上げておりますとおり、要するにフロンの撲滅というのが、本当に全世界的な共通認識になってきたということを、今回ルワンダでの会議を聞いておりまして感じております。ただ、代替の冷媒というのが、なかなか市場でまだメジャーになりきっていないということに関して、これから何ができるのかという思いは抱いております。いずれにしましても、HFCを含んでという話はここまで来たかという思いは強くいたしております。当然のごとく我が国でも当たり前のようにCFCがないということになっておりますけれども、未だに残存のものがあると聞いております。CFC、HCFCとHFCを含めて、一つの共通認識ができあがってきているということを評価したいと思います。
(問)建設的な議論に参加したいということでしたけれども、あと一日で合意になるかどうかの大臣の期待感についてはどうか。
(答)まだまだ事務方からはきびしいという声は聞いております。ただいつの国際会合もそうですが、最終盤になってそれぞれが折れ合って結論を見いだしていくというのが、大体の国際会議というのはそういうことだろうと思っております。ちょっと聞きますとケリー国務長官も入ったと聞いておりますので、ケリー国務長官に期待を寄せていきたいと思っております。

(問)日経新聞の川口です。またモントリオールで申し訳ないのですが、逆に相当厳しくて、今回合意できなかった場合、今後、来年以降になると思うのですが、日本がどういう立場で、どういうような交渉をしていくことになるのでしょうか。
(答)今回の会合で結論が出ないと決めつけてしまうのは少し早いかと思っております。先ほどから何回も言いますように、今までフロンに関わってきた立場から言いますと、前進をしたという思いがあります。ある程度の共通認識はできあがってきているということになると、できたら今回のルワンダで決着をみてもらいたいけれども、来年にも十分期待はできるし、とにかく前進してきていると。今までの長い歴史を考えたときには、HFCを含んで、早い話が全フロンと言ってもいいと思うが、ここまできたなという思い、非常に前進したなという気持ちを持っておりますので、大いに今後期待をしております。今回のルワンダの会合もまだ決着がついていないということでございますので、決着する可能性もまだ大いにあると思っております。
(問)なぜこれを聞いたかというと、パリ協定の今回の批准に関しても、非常に日本は読み誤っているというふうに私は認識しているのですが、つまり先読みというのが今のところ外務省も環境省もちょっと弱いんじゃないかと。先読みをして早めに手を打つと。日本と存在感を高めるためにそういったことが必要なんじゃないかという意味でお伺いしているのですが、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)いろいろなことはこの場では申し上げかねるのですが、ことフロンに関して言えば、長い歴史を振り返っていくときに、要するにオゾン層のためのフロンの撲滅だったわけです。地球温暖化のためにフロンというものを何とかしようじゃないかという共通認識が世界の中で広まってきたのはここ2~3年だと私は思っています。そう考えていくと、ものすごく前進をしたと思っています。たぶんこの議論の中心にいたのは日本だと思いますし、はっきり胸を張って言えるのは、フロン回収破壊法を持っているのは日本だけなのです。フロン問題が世界の共通課題になっていくときに、日本が胸を張って言えるのは間違いないと。この法律を持っているのは日本だけですから、そう思っているのです。

(問)朝日新聞の小堀です。2点ありまして、1点は今までの関連でモントリオール議定書の関連なんですが、議論の中心にいたのは日本とおっしゃっており、抑制法とかそういう仕組みもありますけれども、今回、閣僚級が、アメリカのケリー国務長官は行かれているということなんですが、なぜ日本からは行かなかったのでしょうか。行こうという検討は政府内でなされたのでしょうか。
(答)想いはたぶんあったと思うのですが、国会が開会しているということにおいては何とも身動きが取れないのが日本の特色だと思っております。ただ、それがゆえに日本がこの問題に不熱心であるかというと、決してそんなことはないということだけはわかっていただきたいと思います。
(問)もう1点、熊本地震から半年ということで、倒壊家屋の整理とか解体の手続きに時間がかかるので、被害者の中には自己負担で解体を進められている方もいらっしゃいますけど、国としてこれまでも十分、資金面で支援をされてきていると思いますが、今後また何らかの、そういった被害者に対する支援を進める考えはあるのでしょうか。
(答)公費解体については、熊本県災害廃棄物処理実行計画に基づいて、被災市町村が安全性を確保しつつ、被災者の心情や個別事情に寄り添いながら、丁寧かつ着実に進めていると認識をいたしております。また、解体を着実に実施するためには、解体業者を必要数確保することが重要でありまして、今後、業者不足が懸念された場合には、熊本県と連携しながら、県外の解体業者の支援について、環境省から関係団体などに働きかけを行うことも必要と考えております。

(問)共同通信の津川です。靖国神社に関してお伺いいたします。まもなく秋の例大祭ですが、期間中に参拝する予定があるかどうかということと、あとは閣僚の参拝に関しては毎回、中韓両国が反発していますけれども、それに対してどう考えるか、この2点お伺いできますでしょうか。
(答)私は行きません。あとの問に対してはノーコメントとさせていただきたいと思います。