大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年9月27日(火)11:13~11:27 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定いたしました。この政令は、環境影響評価手続において、一定の場合に直接事業者に意見を述べることができる市として、浜松市を追加するものです。

2.質疑応答

(問)共同通信の井口です。先週末ですが、内閣府から「地球温暖化に関する世論調査」というのが発表されました。温暖化の問題に関心があるかという調査が87%と高くはあるのですが、前回の2007年から比べると少し下がった形になりました。特に若い世代の関心が低いということがありまして、これから温暖化の影響を最も経験する世代なのにどうしてなのだろうという思いがあったのですが、大臣はこの結果を見てどのように思われたか教えてください。
(答)数字だけ見てそんなに減少したというようなことはあまり感じなかったのですが、今お話があったように、若い世代の関心が低いということについては、いささか責任を感じております。どうしてなのかといろいろ考えていくのですが、やはり私の娘を見てますと彼女たちはあまり新聞を読まないです。20代の世代というのは、いわゆるインターネットの世界で情報を得ている世代ですから、ひょっとしたらそういう世界に対して我々の働きかけが不足しているのではないかという気もしておりますし、昨今いわゆる異常気象が当たり前のことのようになってきておりまして、これと気候変動を結び付けて行動される人も少ないような気もしております。やはり身近なところで起こった自然現象と、今私どもが一生懸命取り組んでいる地球温暖化防止というのが上手く結びついていけば、若い世代にも関心が広まっていくのではないかと期待しております。
(問)関連して世論調査のことですが、環境省の方で推し進めている「COOL CHOICE」を知っている人が3割を下回っていて、「クールビズ」に比べるとだいぶパンチが弱いという結果が出ました。それに対して、LED照明の設置やエコドライブをしている人がそれなりに高くて、皆さん普及啓発とは別の原理でやる人は既にエコな生活をしているということなのかと思うのですが、そうすると「COOL CHOICE」と言って、ぱっとこういうものだなというイメージがなかなかしにくいと私自身も思うのですが、2030年に26%二酸化炭素排出削減を目指すに当たって、今のままでいいのかなというところが若干気にかかりましたが、大臣いかがでしょうか。
(答)おっしゃる通りです。とにかく26%排出削減目標を達成するためには、国民のライフスタイルといいますか、国民の方々のご協力を得なければ、なかなか達成することは不可能ではないかと思っております。そういうふうにおいて、今ご指摘のあった「COOL CHOICE」というのが、果たして一般の方々に受けるのかどうか私自身も疑問に感じてまして、いわゆる「賢い選択」の方が一般受けするのではないかと担当課とは話をしているのですけれども、いろいろと若い人の意見もございますので、ただ私が一つ言いたかったことは、例えばLEDにしても、エコドライブにしても、一般の消費者の方が、自分が地球温暖化防止のために一役買っているのだ、と感じてもらえるようなことがあればいいと思っております。大変失礼な言い方をさせてもらいますが、消費者の自尊心をくすぐると言いますか、そういうような運動の仕向け方があってもいいのかなと思っております。わずかなことでも、私の今回の選択は地球温暖化防止のために一役買っているのだと感じてもらって選択をしてもらうというような方向に持っていければいいと思っておりますので、「COOL CHOICE」という表現は、ひょっとしたらもう少し「賢い選択」とか消費者の自尊心をくすぐるような表現であってもいいと私自身思っておりますが、これについてもよく担当課と相談していきたいと思っております。
(問)話変わりまして、最近継続的に話題になっているのですけれども、パリ協定についてお伺いいたします。インドが10月2日にパリ協定を批准するというような報道がありました。これに続いて仮に日本が批准すれば、パリ協定の発効を確定させることができる状況になりつつあるのかなと思いますが、政府の中で早期の提出に向けた閣議決定に向けて、安倍総理あるいは菅官房長官などとどんな調整をされるのかお話しいただけることがあればお願いいたします。
(答)このことについては先週申し上げたことと全く一緒ですが、昨日から国会が始まったばかりでございます。今、いろいろと情報を私なりに集めていく中で、どういう国会になっていくかということのおおよそが、おぼろげながら見えてきているように思います。そういう中で、このパリ協定の国会提出の時期、そしてどのタイミングということはこれからの作業になってくると思いますが、私一人が騒いでもなかなか思うようにならないのも事実でございますので、私自身も汗をかいて、国会の情勢その他をもう一度探り直して、そして用向きに対しては相談をかけていきたいと思っております。
(問)これに関して環境保護団体などはCOP22に発効が間に合うように10月7日までに批准するべきであるというような意見が出ているのですが、これは可能だというふうに思われますでしょうか。
(答)いろいろと方法を考えてみたいとは思っていますけれども、提出の仕方また審議の仕方によって使えるツールがあるならば、できるだけ早く批准の方向であるということを知らしめる方法があるのかなという気はしておりますが、今現在、何月何日というようなことを言えるような状況ではないと思っております。

(問)朝日新聞の小堀です。温暖化の関連なのですが、徳島県議会に徳島県が脱炭素条例案を提出しまして、2050年に向けて排出をゼロにしていこう徳島県の取組なんですけれども、徳島県が出す脱炭素条例だったり、先日、日立製作所が80%削減の会社の計画を出されたり、自治体とか企業が国よりも先んじた取組を最近出されているように思えるんですが、大臣はそういった自治体や企業の先進的な取組をどのように受け止められているのかご所感をお願いします。
(答)自治体が、さまざまの条例もしくは決議をされていることは承知いたしております。はっきり申し上げて、例えば徳島の場合、何をどうしてやられますか、というご提案まであるとよいかと思っておりますけれども、企業の場合はある程度、ご自分の自主的な取組によって、一つの方向性が出てくるのだろうと思いますけれども、自治体の場合は、具体的になかなか出しにくいのが私の経験上そういう世界だと思っておりますので、できるだけ具体的なことを添えてご提案いただければよろしいと思いますし、そういう動きが全国的に広がっていくことは、今回の目的達成のためにはあっていいことですし、必要なことかもしれません。
(問)別件なのですが、昨日発表されましたマイクロプラスチックという5ミリ以下の海のプラスチックですが、南極海での日本の研究チームの調査により見つかったということなのですが、そのことについてご所感とこの調査結果を基に各国にどのように働きかけていくのか伺えますでしょうか。
(答)今おっしゃられたマイクロプラスチックの問題なのですが、私自身も報告を受けながら南極海で数多く採取されたということを聞きまして、まさに地球規模の問題であるということを改めて認識をいたしました。基本的には由来する海洋ゴミという世界は、いわゆる発生源を抑えていくことにどの国もが熱心になってもらわなければいけないということの原則に立ち返ってもらいたいなと思います。我が国は比較的海洋投棄であるとか、また河川へのこの種のものの投棄に対して厳しい規則があると思っておりますけれども、やっぱりいろいろな国がこの問題を深刻に考えてもらった方がよろしいのではないかと思っております。G7や日中韓3カ国会合(TEMM)などで海洋ゴミ対策の重要性について認識が共有されているということがございます。政府間で共有されるのはもちろんでございますけれども、やはり一般国民、生活者がこの問題について深刻に受け止めてもらえるような認識を持ってもらいたいと私自身は考えております。日本はそういう面ではいろいろな法律もありますし、財政的な、技術的な支援対策もあります。そういうこと等をやっぱり他の国にも是非ご披露申し上げて、どの国も協力する、例えば日中韓だけでやってもどうにもならないと、南極海まで行っている世界ですから、やはり地球規模でこの問題に対処してもらうということが必要じゃないかなというふうに思っております。

(問)NHKの橋本です。COP22について少々お伺いしたいのですけれども、先ほどの質問にもありましたけれども、インドが10月2日に批准すると伝えられている中で、さらにはEUも早期の批准ということが言われているといことで、COP22の期間中に発効する可能性というのも十分でてきていると思います。仮にそうなった場合も、マラケシュでのCOPの重要性がどう変わっていくのか、発効をCOP期間中に迎えるということでは、気運が高まってくるCOPになるかと思うんですけれども、改めてCOP22の重要性についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
(答)インドのそういう発表があったり、いわゆる55%にだんだん近づいてきております。そして今ご指摘があったように、EUもここへ来て、いろいろな動きが出てきております。そういう動きで、極めて年内発効の可能性が高まってきたということは私も歓迎をいたしたいと思いますけれども、いつも申し上げますように、日本がまだという姿だけはあまり好ましくないと常々思っておりますので、できましたらマラケシュで世界に向けて、ある種日本の態度というものを表明する機会がありましたら、99.9%、100%日本は年内に締結いたします、というようなコメントが出せるようにしておかなければいけないと思っております。まったく見通しが立たないままマラケシュへ行っても、日本の立場というもの考えた場合、あまり好ましいものではありませんので、できることならマラケシュに日本が臨む場合は、そういうコメントが出せるように国会とよく相談したいと思っております。