大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年7月26日(火)11:18~11:34  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日の閣議に関連してですが、本日の閣議では環境省関係でポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理について、3件の閣議決定がありましたので、ご報告させていただきます。第1にPCB特別措置法の施行期日を8月1日に定める政令、第2にPCB特別措置法施行令の一部を改正する政令、そして第3にPCB廃棄物処理基本計画が閣議決定されました。これらに基づいて、PCB廃棄物の期限内の確実かつ適正な処理に向けて、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
 また、本日の閣議で「熊本地震復旧等予備費使用」の第4弾が決定がされまして、環境省関係として「災害廃棄物処理事業」に340億円の措置が認められました。今回の予備費及びそれに応じた地方財政措置を講じることによって、被災市町村の財政負担を最大限軽減するとともに、災害廃棄物処理が迅速に進むことになると見越して見通しをしております。今回の予備費は、特に早急な資金手当が必要と考えられております熊本市、益城町及び西原村を念頭に置いておりますが、今後とも災害廃棄物の迅速・適切な処理のため、その他の市町村についても、可能な限りの対応をしていきたいと考えております。
 それから、7月16日(土)から22日(金)まで行ってまいりましたアメリカの出張についてのご報告です。ワシントンDCとイエローストーン国立公園に行きました。ワシントンDCでは、FEMA、NRCC、NRC等を訪問いたしまして、避難計画の実効性向上のための取組や検査制度等について意見交換をしてまいりました。FEMAは連邦緊急事態管理庁です。それからNRCCは国家応急対応調整センター、これはFEMAの中にあります。それからNRCは原子力規制委員会、あともう一カ所行ったのはDOE(アメリカ合衆国エネルギー省)です。いずれにおいても、今年秋に北海道の泊で行います、原子力総合防災訓練に是非おいでをいただきたいというふうに調整をさせていただきました。我々としては、これからも緊密に意見交換をして、また我々の体制整備に参考にさせていただきたいと思っております。イエローストーン国立公園では、公園管理事務所関係者と公園管理方法等について意見交換を行いました。また、現地レンジャーの案内でガイドプログラムに参加をしたり、ビジターセンターの運営状況を視察してまいりました。ご承知のように、昨日、8カ所の国立公園の選定を先導的モデルとして行いましたが、今回の視察の成果を、この「ステップアッププログラム2020」の議論に反映をしてまいりたいと考えています。

2.質疑応答

(問)TBSの阿部です。先ほどの話にもあった国立公園に関して、昨日の満喫プロジェクトで8カ所が選定されましたけれども、改めて意義と今後の進め方についてお伺いいたします。
(答)国立公園を世界に通用するブランドとして確立するということを通じて、特にインバウンドのお客様をお迎えする体制の強化を図りたいと考えております。これとりも直さず、特にインバウンド強化の中でも地方で滞在をしていただく外国人観光客の方を増やすということに大きな貢献をすると考えております。地方の方からも大変数多くのご要望をいただいた中で、特に意欲があって、そして観光資源として、体制も含めて申し分ないというところを8カ所選定させていただきました。今後、まず地域協議会を立ち上げていただいて、どのように地域の取組を進めていただくのかということを地域が主体となって議論をしていただくことが必要だと思っています。特に自然が最大の魅力であるということを前提に、国立公園の姿を描き直すということがこのプロジェクトの一つの大きな柱でありますので、この意志を共有してくださった皆様を今回、8カ所を選定させていただいた訳でございますが、地域や国が守ってきた手つかずの自然の中でも、特に世界のエコツーリズムの水準からしても非常に価値の高い注目されるロケーションというものを、ツーリズムに利用可能な形で、特に持続可能性に重点を置いて解放したいと考えていますし、一方で、それらを活用していく上においては徹底して、自然の景観を改善、また改革していくということを国立公園内、またそこへのアクセスも含めて地域の皆様にお取り組みをいただきたいと思っております。

(問)日本経済新聞の川口です。何点かあるのですが、まず最初にモントリオール議定書の件についてなのですが、今回ウィーンの会合では合意できなかったので、10月に持ち越しになると思うのですが、仮に10月で決まった場合に、先進国に多数国間基金の負担の話が出てくると思うのですが、環境省としてはどういうふうにお考えになりますか。
(答)モントリオール議定書が改定をされましたら、少なくとも2018年からの期間に関しては、資金の拠出の追加が必要になるだろうという見通しは立つわけです。これに関しては、10月にルワンダでどういう決定になるかということを見なければ具体的な金額の見通しは立ちませんので、このルワンダでの締約国会合での議定書の改定を踏まえて、各省庁と協議をしたいと考えています。
(問)満喫プロジェクトの話なのですが、これいくつか8カ所に絞ったと思うのですけれども、他の地域で要望があったと思うのですが、今後そういった要望があったところも選んでいくっていうふうなお考えはありますか。
(答)今430万人、国立公園を訪れていただいている外国人の観光客の方がいらっしゃいます。これを2020年までに1000万人にするという目標があります。この数を達成する点においては、8カ所だけでは達成できないだろうという見通しを持っていますので、意欲を示してくださった他の地域の中でも、特に優れたビューポイントをお持ちの地域に関しては、徹底して我々と一緒に歩んでいただくということを前提に、何らかの取組を進めていきたいと思っています。
 一方、質の点で世界に通用するブランドを確立するという意味においては、やはりこの8カ所でまずしっかりとした理想の姿を現実化するということが重要だと思っています。
(問)一方で、環境省は今まで国立公園に関しては利用計画と保護計画のどちらかといえば保護計画に寄っていたと思うのですが、これは利用計画を進めていくことで、保護計画との折り合いはどういうふうに関わっていくとお考えですか。
(答)今回の有識者会議の議論を通じて我々が確認できたことは、ツーリズムの形態が非常に変わってきているということだと思います。団体客中心で大量にお客さまをお迎えする、そういう時代のスタイルから、個人客の方を中心に、これは日本国内においても、それからインバウンドにおいても共通することですけれども、個人客の方が中心で、より多様化して、そして環境に負荷の少ない形で多くのお客さまを自然の中にお迎えできるというような旅行形態が主流になりつつある、あるいはもう主流化しているということです。そうしたことを前提にしますと、これまでとはまた大量消費、大量生産の時代とは全く違うコンセプトの国立公園内での自然の利活用の在り方というのを実現できると思います。

(問)千葉日報の石井と申します。先週の金曜日に、千葉市の指定廃棄物の問題で、全国で初めて千葉市が指定解除という事例がありました。併せて、千葉市で懸案している千葉市の東京電力、千葉火力発電所にしている最終処分場と、長期管理施設ですか、こちらの方も協議には反対の意向を示しつつも、協議は応じるという姿勢の主張を示すとしています。その受け止めをお願いします。
(答)長期管理施設について、反対のご意見であったということは非常に残念ですけれども、熊谷市長から対話は続けていくというお話があったというふうに伺っております。我々は、これまでの経緯というのは非常に大事だと考えていますので、まず対話を続けていくというのは、私たちにとって大事なことでありまして、いつまでにというのは相手のあるお話なので申し上げられませんけれども、是非ともご説明の機会をいただけるよう引き続き働きかけをしてまいりたいと思っております。

(問)朝日新聞の小堀です。先ほどのお話の関連で、モントリオール議定書の締約会合ですが、大臣がアメリカに出張にいっておられる間にウィーンで会合がありまして、アメリカはケリー国務長官も出席されて、各国閣僚級が参加されて、HFC削減に向けている発言をなさっています。日本から閣僚が行かなくて良かったのでしょうか。環境省としての受け止めをお伺いしたい。
(答)今回のウィーンでの会合は非常に、ケリー国務長官がいらしたということは、アメリカとしてはかなりインパクトを持って方向づけをしたいということであったと思いますけれども、一方で、議論の経過を見ていただいてお分かりになるように、まだまだ着陸を見るには議論をすべき点が多く残されている状況であります。
 特に我が国において、もちろんHFC削減というのは重要でありますし、世界を挙げて取り組んでいかなければならないことではありますけれども、こと意見の集約を見るには、もう一段の議論が必要だということは認識しておりまして、引き続き我々もチームを組んで臨みましたけれども、省庁横断的に今年の10月の議論に向けて丁寧な調整を行いたいと思っているところです。
(問)日本も参加されている温暖化の野心連合というグループがあると思うのですが、今回、その発言をみておりますと、その野心連合として削減に向けて前向きに進んでいこうというような発言がありました。今回、日本がそういったグループから閣僚として参加してほしいとか、他の国からの働きかけはなかったのでしょうか。
(答)働きかけはいただいておりましたけれども、同時に我々も実際に現場に行ったときには、ご承知だと思いますけれどもEUとそれから先進国連合との間でひとつの案を出すことであるとか、野心的な思いを持っているチーム、途上国も含めてですけれども案の集約を試みることは動きとしてやりましたので、ただそうではない国々との隔たりは非常に大きいということは依然、事実として存在しております。引き続き、そうした働きかけは行ってまいりたいと思います。

(問)NHKの橋本です。冒頭にご説明のあった熊本地震についてですが、処理に今後2年間かかると県の計画では見通されていますけれども、環境省として技術的にあるいは財政的に今後2年間、どういうふうにこれに向き合うのか、改めてお伺いします。
(答)技術的な支援というのは、引き続き丁寧にさせていただきたいと思っております。資金の面については事務方からご説明いたします。
(事務方)ご質問、ありがとうございます。技術的な面は先ほど大臣からご発言いただいた通りでございまして、今後、継続して私ども環境本省、それから地方環境事務所を中心に、地元と密接に関係して進めていきたいと思っております。財政的支援に関しましては、今般、予備費ということで、340億円出していただきまして、この裏で地方財政措置の方も関係省庁と調整をして、相当額を積ませていただいております。今般は早急に手当てが必要な3市町村を念頭に置いているところでございますが、他の市町村に関しましても、引き続き財政支援の方向性を関係省庁と相談してまいります。
(問)大臣としての意気込みをコメントいただけますか。
(答)今までの災害と比較して、財政力が非常に弱い自治体が含まれているということを前提に補助を手厚くしております。東日本大震災までには至りませんけれども、阪神・淡路大震災の手当てを上回ることを、特に財政力が弱いところを前提にして手当てをさせていただいたわけですが、こうした自治体は今後も非常に、特に我々は再利用をする、なるべく最終処分場に持っていくまでの間にこれを活用するということを前提に技術的な支援をしているわけですが、こうしたところは技術はもちろんですが、人の手当ても含めて、非常に重要だと思いますので、途中で怠りなく、細かい、特に弱い自治体に対しては目配りをしていきたいと思っております。