大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年6月28日(火)10:51~11:09  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議に関して、環境省に関する発言はございません。
 特定廃棄物の埋立処分事業に関する安全協定の締結について、ご報告をいたします。今年の4月に国有化をいたしました、福島県富岡町の管理型処分場について、昨日27日(月)に、環境省と福島県、富岡町及び楢葉町との間で、管理型処分場の周辺地域の安全確保に関する協定を締結いたしました。協定書は、お手元にお配りさせていただいているかと存じます。この協定は、国有化された管理型処分場の周辺地域の環境保全その他の安全確保を目的としたもので、特定廃棄物等の処分等についての安全確保に万全を期するために環境省が行う措置、そして、県及び二町が、環境省の行う取組を確認するための措置などが規定されています。今後、必要な準備工事に着手させていただく予定ですが、環境省としては、より一層気を引き締めて、安全・安心の確保に万全を期するとともに、地域住民の皆様のご不安やご懸念を解消できるよう、引き続き努力をしてまいります。

2.質疑応答

(問)NHKの大井です。3点お伺いします。1点目は、エコテックに関してなのですが、楢葉町の地元住民の方々からは、依然としてご不安や、懸念の声が処分場計画に出ていると思いますが、地元との安全協定を含めて今後の進め方というか、対応、環境省の姿勢としてどういうふうに取り組んでいくのか改めてお伺いします。
(答)地元行政区との安全協定の締結については、現時点で見通しをお伝えできるような状況にないのは確かなのですが、搬入までに締結をしたいという考えを私どもは持っておりますので、最大限努力をしてまいりたいと思います。
(問)2点目は、千葉市の指定廃棄物に関してなのですが、近く千葉市から指定解除の申請があるかと思いますが、それを受けての受け止めと、今後のスケジュール感について教えてください。
(答)千葉市が、ご自分たちで指定廃棄物の放射能濃度の再測定を行って、その結果が8,000ベクレル/kg以下だったということについては、承知をしております。その上での指定解除の手続は今回のことが初めてになりますので、手続にどのくらい時間がかかるということは私どもの方から申し上げかねますけれども、申し出がされましたならば、私たちの立場としては、その内容をしっかりと確認をさせていただいて、それからということになります。
(問)3点目最後になりますが、福島県の除染で出た除染土の再生利用の件で、非公式の検討会で濃度がクリアランスレベルまで下がるまで試算を議論していたと思いますが、その事実関係とこの議論の経緯や議事録等を公表する予定はないのでしょうか。
(答)県内の除染で発生した土壌の再生利用について、中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会の下のワーキンググループで技術的検討を行う中で、管理期間について話が出たということは聞いております。ですので、今後、実証事業を通じて安全性の確認を行うこと、また具体的な管理の方法を検証するということですので、議論を継続していきたいと考えています。資料の公開についてなのですが、議論をするに当たって資料の素案を検討する場という位置付けで議論をしているということと聞いておりますので、検討会が本体でその下のワーキンググループということになりますので、率直な意見交換を促進するという目的や、あるいはまだ検討中の未成熟な情報でかえって混乱をしてはいけないということや、またワーキンググループの委員の皆様から、これは非公開でということで同意を取って確認をしているということもございますので、非公開扱いにしてもらいました。近々ワーキンググループの取りまとめを踏まえて、再生利用の基本的考え方をお示しする予定でありますので、検討の一区切りということですから、必要な整理をした上で主な検討の経過を公表するということで今準備を進めているところです。

(問)朝日新聞の小坪です。小笠原空港の建設に関してなのですが、日曜日にあった都内での集まりで、大臣が建設に協力していくというような考えを述べられたという報道がありました。現在の小笠原空港の建設計画についてどのようにお考えなのか、改めてお聞かせください。
(答)具体的な案をお伺いしているわけではありませんが、最終的に東京都が幾つか案をお示しになるだろうと理解をしております。私どもとしては、そのプロセスから積極的に関わっていくことによって、自然を守るということの中で空港建設が進んでいくように協力していきたいと思っております。
(問)協力していく必要があるとお考えになった理由があると思いますが、その辺りの背景についてどのようにお考えでしょうか。
(答)一つは、空港を建設する事業主体は東京都でありまして、東京都にしっかりと自然環境を守るということをご理解いただいた上で建設を進めていただきたいと思います。我々は今、環境の保全ということと、それからそれをより多くの方に楽しんでいただく、あるいはそれを味わって改めて自然の大切さを感じていただくことの両立をしていくことを考えていかなければいけないという下で進んできておりますので、世界自然遺産に指定された小笠原ですが、指定された後はお客様が増えたけれども、その後徐々に減少傾向にあるということに加えて、ずっと長年小笠原の皆様方が命を守るために空港が欲しいということをおっしゃっているということの両方を踏まえて、環境の保全と両立する道というものが探れないのかという考えで、私どもも協力をしていきたいということを申し上げました。

(問)毎日新聞の日野です。除染土壌の再利用の関係なのですが、クリアランスレベル100ベクレルというのを前提とするのであれば、道路とかに盛り土で使いながら、再利用しながら170年間管理するというのはどのように思っていらっしゃるのか、現実的だと考えられるのでしょうか。
(答)クリアランス基準は、放射線防護に係る規制の枠組みから外す際の基準で、どう使っても大丈夫だという基準と理解をしております。今回の再生利用は、厳重に管理をした上で利用が可能かどうかということを議論して、なおかつそれを議論した中身が実際にそのやり方でいけるのかどうかという実証をまず行うものという理解をしておりますので、この基準が今すぐ直ちに絶対基準として通っていった上で、そのまま事業が行われるというものとは、つまりいきなり盛り土の中にすぐ入るという話だとは理解をしておりませんので、こういう考え方が一つありますと、この考え方が実際適用可能かどうかということをモデル事業等を通じて見ていきますということを決めたと、あるいは決めるということだと理解をしておりますので、私は議論を引き続き進めていくという理解です。
(問)しかし、これは基本的考え方というものが先日の戦略検討会で示されて、大筋了承を受けたということを井上副大臣が終了後におっしゃっていたのですが、管理期間というのは非常に重要な論点だと思いますが、それを盛り込まないまま基本的考え方というのを正式決定される予定なのでしょうか。
(答)管理期間をどう考えるかも含めて、まだそれは一つの方向性というか考え方はあるけれども、それが適用可能な具体的なものに落ちていくかどうかということを議論しなければならないという状況だと理解しております。
(問)管理期間というのはあまり重要ではない、今回の基本的考え方では盛り込む必要はないというふうに考えていると理解していいのか。
(答)まず、再生利用するかしないかというスタート地点でどう考えるかということに類することだと思います。
(事務方)まず、ご質問の中で170年ということがございましたけれども、これは5,000ベクレルが100ベクレルになるまでのその物理的な減衰を計算したものということであります。ワーキンググループの方でも管理期間について議論がございましたけれども、まだ本当に100ベクレルまでする必要があるのかどうか、つまり土としての利用のシナリオがどうなのかということ等々いろいろ議論がございまして、まだワーキンググループでも管理期間については結論が出ていないという状況でございます。いずれにしても、基本的考え方におきましても、今後その実証実験等をやりながら、それに基づく管理の仕組みづくりについても検討を行うということも書き込んでございますので、管理期間が重要なことというのは認識しておりますけれども、まだ検討の途中という状況でございます。

(問)上毛新聞の石倉と申します。群馬県の指定廃棄物の問題のことで伺います。群馬県では2013年、今から3年前の7月に県内の市町村長会議が開かれて以降、オフィシャルな動きがないまま3年が経過しようとしています。これについて受け止めをお聞かせいただきたいのと、それから他県の長期管理施設、同じように建設を目指している県と比べても停滞している、議論が進んでいないという印象が否めないわけですが、これまでどのような、水面下でいろいろ協議されてきたとは思うのですけれども、具体的にどのようなことを進めてきているという状況にあるのかということをお聞かせいただけますか。
(答)まず群馬県については、これまで市町村長会議を2回開催しておりますけれども、未だ処理方針が決定されていないという状況でして、今年の3月11日に保管市村の担当者に集まっていただいて、県もご一緒でしたけれども、指定解除の仕組みの案であるとか、あるいは県内の指定廃棄物の一時保管の状況についてご説明をさせていただきました。今後、県、それから保管市村とよく引き続き相談をさせていただいて、我々としては着実に処理ができるように前進をしていきたいと思っておりますので、地元の理解を得られるように努力をしていきたいと思います。
(問)追加でお伺いしますが、市町村会議を今後、開催していくというスケジュールとかは、日にちは現時点ではお決まりではないのでしょうか。
(事務方)現時点ではまだ明確に日程などは決まっておりません。

(問)テレビ朝日の陣内です。話が変わってしまって大変恐縮ですが、2点お伺いいたします。イギリスがEUの離脱を決めましたけれども、これについて現職の閣僚としての日本に対する影響などを含めたご所感をお聞かせください。
 もう1点はそうはいっても一方で、国民の間にいわゆる後悔の波が広がっているということで、国民投票のやり直しを求める署名活動などが行われておりますけれども、これについての受け止め、ご感想などがございましたら教えてください。
(答)まず、EUの離脱の方針をイギリスがお決めになったということについて、即座に市場が反応して為替が激しく変動し、また株安が世界的に広がりました。一番大きいのは、やはり経済圏としては北米アメリカに続く第2の大きな経済圏が、非常に大きな動揺を市場に巻き起こしているという中で、しっかりと経済の安定、とりわけ金融市場の安定に対して備えをする、あるいは協力をしていくということが重要であろうかと思います。EU自身が結束を確認されたと伺っておりますが、同じG7、先進国首脳会議のメンバー国であり、また議長国である我が国としては、そうした国際協調のリーダーに立って、しっかりと声をあげていかなければならないと、またそれができる立場にあると思いますので、責任を果たしていくべきだと考えております。
 また、国民投票の結果を後悔しているという報道があるということですが、投票の結果が非常に僅差であったという印象を持っておりまして、国論を二分する結果を国民投票で結果的に見ることになったということが今後、世論あるいは国民感情の分断につながらないように、いかにそれを修復していくかということが大きな課題になろうかと思います。我々ができることは、しっかりとサポートをして、EUがしっかりと結束を持って臨んでいけることが環境の側面、とりわけパリ協定の後ですので、そうした側面、地球温暖化対策等の面からも望ましいかなと思っております。

(問)産経新聞の緒方です。エコテックの関係についてお伺いします。今後の整備であるとか、搬入に向けて大きなスケジュール感がありましたら教えていただきたいのと、それから地元行政区との協定に関して、どういうことが重要であると大臣はお考えなのかお聞かせください。
(答)今後はまだスケジュールについて具体的に申し上げられる状況にはございませんで、まず安全協定を確実に結ばせていただいて、それからまだ工事をしなければいけない部分もございますので、引き続き地元の行政区の皆様にご理解をいただく、地道に足を運んでお話をするということを続けていかなければなりません。その上で、地元の行政区の皆様方に是非ご理解をいただきたいのは、我々が結ぼうとしている協定というのは、安全に事業を進めるために結ぶものでありますので、是非、不安や懸念の解消のために安全協定をしっかりと内容を詰めて、共に結んでいただくということをご理解いただければありがたいと思っております。

(問)産経新聞の田邉と申します。先ほどイギリスのEUに対する関係で、地球温暖化対策からも望ましいとのご発言がありましたが、EUの結束が揺らいでしまうということが地球温暖化対策についてどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
(答)最終的に離脱を、まず通知をまだこれからされるかどうか、時期の問題であるとか、その先に離脱をされる段に当たっての様々な条件をどのようにEU全体で話し合うのかというところもあるかと思いますが、イギリス自身が地球温暖化対策をEUの中で引っ張ってきている重要な存在であるということが一つあります。それから排出権取引の大きなマーケットをEUが持っているわけで、ここはEU以外の国も入っているところでございまして、そこでバードンシェアリングをやっています。こうしたものがどういう先行きになっていくのかということには、我々も非常に注目をしておりまして、是非そこは揺らぎなく協力体制が維持されたまま進んでいくことを望んでいます。