大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年4月22日(金)9:01~9:27 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議に関して環境省としての発言はございません。
 熊本地震の関連について、今週火曜日以降の会見後の主な対応について、報告させていただきます。初めに、し尿の関係です。益城町では、大型展示場のグランメッセ熊本の駐車場に非常に多くの方々が、車で避難をされていらっしゃいます。本日、そのグランメッセ熊本の駐車場のところに仮設トイレが追加的に搬入をされる予定でございます。40基と聞いております。そのし尿収集がきちんと行われますように、現地支援チームが益城町と連携して、既に体制を緊急的に整備しております。バキュームカー4台を用意しているところでございます。次に、生活ごみについてですが、大都市自治体の協力を得まして、被災自治体を支援するようにという体制になっておりまして、益城町には、20日に神戸市からごみ収集車を9台、それから熊本市には、21日に福岡市から3台、広島市から7台、22日に京都市から4台、北九州市から6台を派遣して、ごみ収集を支援いただいておるところでございます。また、収集した生活ごみの受入れ協力も始まっておりまして、熊本市のごみを福岡市内及び北九州市内の処理施設で、そして阿蘇市のごみを大分市内の処理施設で、順次受入れていただくという取組を進めております。全国各地の自治体が支援の輪を広げていただいておりまして、総勢人員で約80名規模で入っていただいております。引き続き、本省と現地支援チームが一体となって、生活ごみ等の収集運搬や処理が滞りなく行われるように支援してまいります。また、益城町や熊本市以外の自治体、市町村においても、し尿や生活ごみの収集が円滑に行われますように、現場の状況に応じて、きめ細かに自治体支援を実施してまいります。また、月内にも災害廃棄物の仮置場への搬入が本格化すると考えられます。熊本、大分、福岡の三つの現地支援チームが中心となり、仮置場の管理等に関する技術的な支援、災害廃棄物の発生量の推計、さらに、被災自治体による災害廃棄物処理実行計画、これを策定する支援を実施しております。引き続き、関係自治体と緊密に連携をしながら、し尿、生活ごみ、円滑・迅速な災害廃棄物の処理など、被災地が直面する様々な課題に対して、環境省として、全力で取り組んでまいります。
 大きいニュースを一つお伝えします。野生下で誕生したトキ同士のペアから、ヒナが誕生いたしました。4月21日15時30分頃の撮影された映像によりまして、佐渡島の野外において、野生下で誕生したトキ同士のペアからヒナが誕生していることを21日の18時頃に環境省の職員が確認しました。両親ともに野生生まれのトキのペアからのヒナの誕生が確認されましたのは、昭和51年以来、40年ぶりとなります。これは、佐渡島にトキが生息できる豊かな自然環境が確保されたことで、人の手を全く借りることなくトキが野生下で繁殖できたということでありまして、これによってトキの野生復帰の取組が新たなステージに入ったと言えると思います。これまで、トキの野生復帰を支えて来られた佐渡島の地域の方々を始め、専門家や関係者の皆様の長年の努力に改めて感謝を申し上げるとともに、ヒナの誕生を大変喜ばしく思います。今後は、ヒナが順調に成長して無事に巣立つように、温かく見守っていきたいと思っています。
 G7富山環境大臣会合の開催まで、3週間余りとなりましたので、本日は、エクスカーションやレセプション等についてご紹介させていただきたいと思います。この会合で、富山を訪れた皆様方には、我が国の伝統や文化、美しい自然を存分に味わっていただいて、その素晴らしさを世界に発信する機会にしたいと考えております。エクスカーションでは、雄大な立山連峰の観光名所である雪の大谷を予定をしています。また、公害を経験した富山の歴史にも触れていただきたいということで、イタイイタイ病資料館も視察先として予定をしています。そして、レセプションでは、世界遺産に登録されました「和食」を提供し、開催地富山の海の幸、山の幸をG7各国の皆様に召し上がっていただきたいと思っております。それから、復興庁と連携しまして、東京電力福島第一原子力発電所の事故後の除染による環境回復や福島の復興の状況等についてパネル展示を行いまして、併せて、福島県産品を配布する予定にしております。詳細については、後ほど事務方からご説明させていただきます。お手元の資料もご覧いただければと思います。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の渡邉です。2点お伺いいたします。本日、パリ協定の署名式が日本時間の夜にありますが、米、中を始め数多くの署名が予想される中、今後その早期発効に向けて、日本としての海外への働きかけですとか、早期発効に向けた尽力できるところというのは、大臣としてどのようなところをお考えでしょうか。
(答)まずもって、それぞれの国内の手続というものをしっかり進めるということだと思っておりまして、ちなみに本日の署名式は、160カ国以上が署名する予定であると伺っております。そのタイミングで我が国も署名ができるということは大変意義深いことだと思います。私たちの国も早期発効が非常に重要だと思っておりまして、特に主要排出国が参加をして発効するということが重要であるという認識です。そのために、各国に対して働きかけをしていくということを特に、今年はこの後、例えば日中韓三カ国環境大臣会合や、G7富山環境大臣会合がございますので、こうした機会を活用して働きかけ、特に早期の締結を呼びかけてまいりたいと思います。加えて、私たちの国の中でも、締結に向けた必要な準備を着々と進めていくということが重要で、既にその準備を少しずつ始めておりますけれども、引き続きこれを着実にやってまいりたいと考えております。
(問)今、国内の手続のお話がありましたけれども、国内として今後どのような手続を踏んで、いつまでに締結を目指すというところがあれば教えていただけますか。
(答)いつまでにという時期は明言できませんけれども、できるだけ早期にという思いで、関係各省と調整を今後進めていきたいと思っております。
(事務方)パリ協定の締結の手続に関しましては、まず、国会の承認がいるのではないかということがございまして、この点からになると思います。関係省庁や国会の関係もございますけれども、いずれにしても手続を進めていくということになります。

(問)西日本新聞の前田です。今の熊本地震の廃棄物対策についてお話がありましたが、大分県の方の支援はどんなふうになりますか。
(事務方)大分県につきましては、大分県に現地支援チームを置いておりまして、そこで大分県、大分市と連携して対応に当たっております。先ほど大臣のご発言にもありましたけれども、阿蘇市のごみを大分市内の処理施設で受け入れるということを昨日、4月21日から始めております。そういった支援を行っております。
(事務方)大分県庁内に事務スペースを頂きまして、大分県現地支援チームというのがそこで作業しております。環境省から3人、外部の専門官1名を派遣してそこで活動しているという状況でございます。
(問)現時点で、別府だったり由布市であったりの支援が始まっているものってありますか。
(事務方)現地支援チームが別府とか、由布市の方の仮置場の状況等を巡回して、分別の指導とかそういったところを進めております。

(問)福島民友の菅野です。昨日のことについてなのですが、井上副大臣が福島県の方に赴かれて、いわゆる指定廃棄物のエコテックについて、富岡町と楢葉町に国有化の報告をして、その後にこれから安全協定を結んで、搬入路を開始した上で、搬入に着手ということでしたけれども、今のところ搬入はいつ頃とお考えでしょうか。
(答)ようやく国有化をさせていただいたということで、ここからご指摘のとおり、今日富岡町の全員協議会で、国有化を含めた今後の対応についてご説明させていただきます。安全協定を締結するということがまず重要でございまして、しかし相手のあることですので、時期というのはいつということはまだ申し上げられませんが、その後、必要な工事は両町においてございますので、こうした交渉の期間を踏まえた上でということになります。時期はまだ見通しが言える状況ではございません。
(問)昨日、井上副大臣が確かに、相手方のあることなのでという慎重な表現でしたが、少なくとも施設や搬入の整備に数か月はかかるだろうということをおっしゃっていたんですけれども、一つの区切りとして、今年あたり年内にできるのかなっていう見通しについてはどうでしょうか。
(答)はっきり申し上げられる状況にあるかというと、まだちょっと難しいかなと思いますが、希望を持つとすれば、その辺りが希望をする時期だということで、井上副大臣がおっしゃったんだと思います。

(問)NHKの橋本です。一昨日で開始から10年になります、アスベストの被害救済制度の見直しに向けた議論がちょうど始まりまして、遺族や被害者の方から、生活が困窮していると、救済内容を見直すようにとの声が一貫して挙がっていますけれども、大臣のこの問題についてご認識を伺いたいということと、これはいつ頃を目途に議論の結論を出すとお考えなのか、2点教えてください。
(答)一昨日、患者の方、そして家族の方、お三方からご意見をお伺いしたと聞いておりまして、いずれもそうした救済制度における基本的なあり方等についてご意見があったということをお伺いしております。様々な場面で、そうしたお声を国会の議論でも出てまいりますし、改めて私どもも直接お伺いしたということで、これはしっかりと耳を傾けるべき意見であると思っております。一方で、何度も申し上げていることではございますけれども、やはり労災という制度と救済という制度が、制度の目的そのものが異なりますので、こうしたご意見を踏まえると、制度自体をどう考えるのかと、制度の目的をどう考えるのかといった議論に結びついてまいりますので、そうしたことも考えながら、より議論を深めていただきたいと思っています。
 今後の見通しですが、第2回以降の会合については、時期や具体的なテーマも含めて、これから調整をしてまいりたいと思っております。
(問)今の段階では、見直し自体難しいということなのでしょうか。
(答)何とも申し上げられませんけれども、まずしっかり今の制度がうまくいっているのかどうかという点検をするのが、この会議の一つの目的でもあると考えておりますので、今の制度がどうなのかということをよく確認した上で、制度の目的についてよく議論していただきたいと思います。
(問)関連してもう1点なのですが、熊本地震でもアスベストのばく露に関する飛散、今後、家屋の解体が進むとともに懸念されるところではありますが、これに対する環境省としての対策ですとか、現地調査を考えているのかどうか教えてください。
(答)緊急の対応として行ったこととしては、家屋の診断士の方が家屋の被災状況の確認に入られますので、この方たちに対しての防塵マスクの支援ということで、急きょ送っております。
(事務方)補足させていただきます。判定士の方々のために必要な物として、県と相談しまして300個送っています。これから土日に入りまして、ボランティアの方が入られる可能性もあるし、住民の方も入られる可能性があるということで、二つ対応をやってございます。一つは古い建物の場合、例えば、昭和50年以前の建物でありますと、アスベストを使っている可能性が高いものですから、注意喚起をするためのチラシを広く配布するというのが1点でございます。これは自衛隊、消防庁、それから県庁、避難所等に行き渡るように今、手配をしているところでございます。もう一つは、防塵マスクといわれるものですが、N95というタイプのもので、この防塵マスクをまず判定士の方、それからボランティアの人のために、まずは一万個を県庁に送りまして、県庁から避難所、あるいはボランティアの方に配るというような手配をしております。並行して厚生労働省でも、同じく手配をしておりまして、これは今後、がれき処理に携わる方のために手配しています。いずれにしても、それぞれバラバラにやるのではなくて、協同してやっているというところでございます。
(問)空間に対する飛散量の現地調査というのは今のところ考えてはいないのでしょうか。
(答)それも含めて今、これから検討しているところでございます。

(問)共同通信の川口です。大きくわけてパリ協定と地震の関連で2点お伺いしたいと思います。まずパリ協定の関係なのですが、これで日本として正式に署名して、いつの国会から議論したいと大臣はお考えなのか。それから20年からの取組ではあるのですけれども、詳細なルール等々が定まるのが18年ごろではないかというようなこともあって、パリ協定のなかでは20年から発効するという文言もないことがあって、もう少し早めに発効するのではないかという見通しがいろいろな方から示されているのですが、大臣は早期発効というのは何年くらいのイメージでいらっしゃるのか、その2点パリ協定に関してお伺いいたします。
(問)まず、どの国会でというお話ですが、環境省の希望は希望として、政府全体ということになりますと他の条約との関係が出てまいります。外務省をはじめ、他省庁とよく協議をして、その中で順番が決まってくるかなというところです。我々としては、もちろんできるだけ早くという希望は持っておりますけれども、全体のバランスを見ながら、国会の状況も判断してということになります。明言することは難しいかなと思います。
 早期発効ということですけれども、私自身の思いとしては早期発効も重要なのですが、主要排出国がきちんと入っているということが非常に重要だと思っておりまして、55%の方をどう達成していくのか、というところをきちんと我々の立場からも発信をしていきたいと思っておりまして、早期の時期については2020年よりも前が当然望ましいわけですが、中身も大事だと思っています。
(問)今の関連で1点、具体的に申し上げると、TPPの扱いは今後どうなるのかということがあるのかと思うのですが、今の状況では次の臨時国会では少し厳しくて、早くても来年の通常国会というような政府内の認識はあるのでしょうか。
(答)私の口からは何とも申し上げられないのですが、全体の状況を見て、政府として判断します。
(問)わかりました。あと地震の関係なのですが、今回の地震では大きな揺れが何度もくるという状況であって、原発のある施設のところでは基準の震動超えというのはないのですけれども、今後の課題として何度も大きな揺れがくるような場合に、原子力の施設の健全性をどう評価するかというのを、今のこの段階では評価されていない段階だと思うのですが、今後、どういうふうにその辺りを評価する必要があるのかないのかということについて、大臣はどのようにお考えですか。
(事務方)いわば基準地震動を踏まえて、施設の健全性をどう評価するかということで、それについては規制委員会の仕事でございます。規制委員会の方では、複数回地震がある場合の耐震性ということについては、基本的には考えに入れていると聞いています。特に複数回、疲労に伴う影響というのが、こういった地震の場合にはあるのかどうかというところですけれども、今回の地震については、非常に耐震性の非常に低いレベルのもので、影響を受けていますので、いわゆる何万回という繰り返しであればともかくとして、今回のような回数の場合であれば、問題がないという評価をしていると聞いています。いずれにしてもこれは規制委員会の審査の問題であるかと思います。
(問)今、規制委員会の仕事というお話があったのですが、原子力防災大臣として、素人の考えかもしれないのですけれども、何回も何回も強い地震が来れば1回目は大丈夫だったものの、2回目、3回目、4回目以降どうなっていくのかというところは、国民として不安な気持ちがあるのかもしれないです。その辺りに対しては、どういうふうに方針を示していくのが望ましいとお考えでいますか。
(答)私の立場からしますと、規制委員会が、ご自分たちの判断がきっちりできる環境をつくる仕事という責務があります。専門家として今お聞きしていただいているように、それらをお考えの上で議論された結果、今のところ予防的に止める必要がないと、安全性に今のところ問題がないと判断をされておられます。規制委員会では、法律に基づいて停止を命ずることができる権限もございますので、そうしたことも踏まえて、きちんと規制委員会が専門家の議論として判断されるということについて、我々は担保をしたいと思っております。一方で、原子力防災の立場からいたしますと、平時からとにかく複合災害が起きるという前提で、資機材の配布と避難のための計画を立てているわけですので、いつ何があってもいいように、我々は備えを常にしているということです。

(問)共同通信の阿部です。先ほどお話がありましたG7のエクスカーションのことでお伺いしたいのですが、特に福島の状況、除染や中間貯蔵を含めてどのようなことを伝えたいか、どんな形で伝えたいか教えていただけますか。
(答)復興庁からご協力をいただいて、展示をさせていただきますけれども、まず私どもの除染によって、どのように環境が回復しているかということが目で見て分かるような展示をさせていただきたいという希望を持っております。
 加えて、今流通しているもの、福島県産品であっても極めて安全にチェックをしっかりと受けて流通をしているのだということも同時にご理解いただけるようにということで、福島県産品の配布も考えておりますし、安全性がどのように担保されているかということについても、しっかり展示でお伝えしたいと思っています。風評被害の払拭に少しでも進むような展示にしたいなと思っています。

(問)時事通信の今泉です。確認ですけれども、パリ協定の署名式、今日も国会が参議院本会議が予定されておりますけれども、大臣はじめ政務三役の方々は出席されないということでしょうか。
(答)はい、私ども熊本地震の対応もございますので、国連大使の吉川特命全権大使に署名に行っていただくことになっています。
(問)その吉川国連大使が日本側のトップということですか。
(答)はい。

(問)朝日新聞の小坪です。トキの関係で2点教えてください。1点目は大臣として明るいニュースでもあるので、改めてお聞かせいただきたいのと、2点目はヒナが生きているというのが最後に確認できたのはいつですか。今朝は確認していますか。その2点教えてください。
(答)まず、私がどう受け止めたかということですが、実に40年ぶりに野生下で育った両親から人の手がまったく関わらないところでヒナが生まれたというのが、長年にわたる環境回復への皆さま方のご尽力の成果であって、本当に喜ばしいことでございます。ぜひとも2020年で描いたロードマップに向かって、更に着実に取組を進めていきたいと思っています。
(事務方)このヒナの個体については、ビデオカメラで確認している状況で、今朝からもビデオカメラを回しておりますけれども、映像の確認についてはこれからということになります。現時点では今朝の確認はとれておりません。