大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年3月29日(火)8:23~8:31  於:総理官邸3階エントランスホールぶら下がり)

1.発言要旨

 地球温暖化対策について、こちらからご発言を申し上げます。パリ協定の採択によって、我が国としても2030年、2050年の目標に向け、地球温暖化対策推進法の改正案を国会に提出し、また、地球温暖化対策計画案のパブリックコメントを開始したところです。私たちの世代には、子供や孫の世代に美しい地球を引き継いでいく責務があります。2050年を見据えて、本年を「パリ協定実施のための行動元年」と位置づけます。皆様のお手元には、2030年、2050年に向けて環境省が進める11の取組の全体像をお示しする資料を配布いたしました。この国会に提出した法案では、一人ひとりの取組、まち・ふるさとでの取組、海外・世界での取組の三つの柱を掲げています。国民の皆様の行動を喚起するために、「COOL CHOICE推進チーム」を5月に設置します。2030年目標はもちろんのこと、2050年目標に向けての道を付けるためにも、「暮らしを支える技術」と「環境価値を織り込んだ投資」の二本の柱は極めて重要だと認識しております。例えば2014年にノーベル賞を受賞した青色LEDは窒化ガリウムという結晶から生み出されたものですが、これを半導体に活用し、世の中の電子機器の効率を高効率なものに変えていくということが実現しつつあります。2016年に実装するということを掲げておりますけれども、こうしたことを一つの大きな柱に、また、もう一つはお金の流れを低炭素化するということを今後10年間で飛躍的に拡大させたいと考えております。そして地球の未来のために行動するには、2050年の社会の姿を共有することが重要ですので、環境省においては、この夏までに長期の低炭素ビジョンの策定に向けた議論を開始します。地球温暖化対策計画や適応計画、そしてパリ協定の署名・締結に向けた準備や気候変動の実態把握は、もちろん着実に実施してまいります。こうした取組について、将来に先送りすることなく、今年を行動の元年として、取り組んでまいりますので、皆様におかれましても是非資料にお目通しをいただいて、取組に注目をしていただければと思います。

それからもう1点、既に福島復興再生協議会で申し上げた点でございますが、中間貯蔵施設に係るパイロット輸送について、昨日28日をもって、中島村の仮置場から大熊町の保管場への搬入をもって、昨年3月13日から実施してまいりましたパイロット輸送が完了いたしました。福島県内43市町村から、45,382立方メートル搬入いたしました。先日、2月19日にお示しした「平成28年度を中心とした中間貯蔵施設事業の方針」に沿って、来年度から段階的な本格輸送を開始したいと考えており、来年度は今年度のパイロット輸送の約3倍の15万立方メートル程度の輸送を行う予定です。何分にも大熊・双葉両町等の地元の方々のご理解をいただくということが、この事業の大前提でございますので、引き続き、まずしっかりとご理解をいただく作業を進めながら、中間貯蔵施設への輸送に万全を期してまいりたいと考えています。

2.質疑応答

(問)テレビ東京です。1点、低炭素ビジョンについてなのですが、2050年に80%というのはかなり長期的なもので具体的なイメージがしづらいこともあるかと思うのですが、今後具体的にどのようなスケジュールでどのようなことで進めていくのか、ということをお教えください。

(答)まず、2050年の80%削減に向けた長期ビジョンの策定に向けた議論を、この夏までに始めさせていただきたいと考えています。具体的には中央環境審議会にその議論の場を設けることをイメージしておりますけれども、早ければ来年度のうちに取りまとめをまずは中央環境審議会の場ですることを目指していきます。

(問)もう1点、中間貯蔵施設についてなのですが、試験輸送についてはおおよそ1年間かけて計画どおりに進んだということかと思うのですが、まだ地権者との用地交渉であったりとか、難しいところもあると思うのですが、本格輸送に向けてどういったスケジュール感、どういった進め方なのか改めてお伺いできますでしょうか。

(答)両町と協議をさせていただいておりまして、両町からご要望をいただいている中間貯蔵施設への輸送に係る道路の補修等の作業を、着実に今進めてきているところです。しっかりと、これを実施できているということを両町に確認いただいた上で、輸送を始めさせていただきたいと考えておりますが、いずれにしても年度が改まりましたら早急に始められるようにと作業しております。

(問)共同通信の川口です。長期低炭素ビジョンの関連ですけれども、COP決定では長期戦略を作るように求められていますけれども、今回、環境省が作ろうとしているこのビジョンは、長期戦略に当たるものなのか違うのか、そこをお聞きしてもよろしいでしょうか。

(答)長期戦略を議論する上での土台になるものだと考えておりまして、まず環境省としてどう考えるかというビジョンを示した上で、政府の議論の土台としていただきたいと思っております。

(問)日本テレビの杜です。温暖化対策の11の取組の中で、あえて一つ選ぶとすると、大臣が一番大事だと言われているのはこのビジョンの作成になるんですか。

(答)どれも大事ですが、法律の改正できちんと国民運動と地域の取組をやっていくことと、それから30年と50年との橋を架けていくという面においては、技術革新と投資が非常に重要だと思っています。それともう一つは、長期的なビジョンを示すことというのは、国民の皆様がやがてはそこに向かって歩いていくのだ、自分の行動がそこに繋がっていくんだ、という意識を持っていただくことはとても重要だと思っていますので、この長期ビジョンの策定については、しっかり環境省でも議論して、しかもそのプロセスもできるだけ国民の皆様にオープンにしてお示しをしていきたいと思います。

(問)朝日新聞の香取です。11のビジョンの中に、低炭素投資の加速化というのが入っていて、その中で炭素税と排出量取引の件が正式に検討する、というような話が盛り込まれていると思いますけれども、4月1日に地球温暖化対策税が最終値上げするタイミングで、なかなか新たな税の話を議論するのは難しいと思いますが、どのように理解を得られていくのでしょうか。

(答)カーボンプライシングについては、この4月に最終税率に上がる温暖化対策税が、どのように効果を発揮するのかということをよく研究した上で、それを土台にして議論していくことになると思います。しかしながら、一方では政府全体としてこれは総合的によく検討してくものだと意識を共有されていると思っています。そのことを念頭に置いて、政府全体に我々としての考え方をまさに働きかけていく必要があると思います。