大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年2月26日(金)9:04~9:12  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 気候変動長期戦略懇談会からの提言について、お知らせします。
 環境大臣の私的懇談会として、昨年10月に設置いたしました気候変動長期戦略懇談会におきましては、これまで5回にわたり活発なご議論をいただいてまいりました。今般、1月30日の第5回懇談会で出された様々な意見を踏まえて、最終的に取りまとめられたご提言をいただきましたので、お知らせいたします。この懇談会でのご議論は、地球温暖化対策のために何をすべきか、という従来の発想を超えて、温室効果ガスの長期大幅削減と経済・社会的課題の同時解決を目指して、両者を一体的に捉えて、大所高所のご議論をしていただいた点が画期的だったと捉えています。こうした観点から、温室効果ガス長期大幅削減のための「社会構造のイノベーション」が、我が国の経済・社会的課題の解決の「きっかけ」となるのではないか、という大変示唆に富むご提言をいただきました。環境省としては、今後、長期的な温暖化対策の議論を進めていく中で、今回の提言の趣旨を積極的に生かしていきたいと思います。

2.質疑応答

(問)共同通信の川口です。今ほど報告のありました気候変動長期戦略懇談会の提言についてなのですが、この中で、温対法に基づく地球温暖化対策計画にも長期大幅削減を示すべきという提言がなされております。今、計画策定中だと思いますが、今回の提言をどのように活かしていきたいというふうに大臣はお考えでいらっしゃいますか。
(答)この提言では、地球温暖化対策計画を策定する上でも、頭に置いておくべき事項というのがたくさん入っていると考えております。昨年末に公表した地球温暖化対策計画骨子案の基本的な考え方においても、環境・経済・社会の統合的向上ということは、位置付けをさせていただいておりまして、さらに長期的な取組についての姿勢を示す必要があるという指摘をいただいておりますので、この提言を踏まえて考えていきたいと思っております。どうやって長期目標を取り込んでいくかということについては、私自身は2050年の目標を堅持したいという思いは全く変わっておりませんので、関係各省と相談させていただいているところです。

(問)TBSの重原と申します。まもなく東日本大震災から5年ということで、改めて質問させていただきたいのですが、環境省は去年、住民の生活圏から離れた森林の除染は行わない、という方針を決めておりますが、福島第一原発事故から4年以上が経ってのこの判断について、林業を生業とする人たちからは、国から見捨てられたんじゃないかという声も実際上がっているんですが、環境省として、今後どのように対応していくお考えでしょうか。もう1点なのですが、5年近くもたってから、判断を行ったことについて、林業業関係者にどのように説明していくお考えでしょうか。
(答)福島の森林の空間線量率は徐々に低下をしてきておりまして、林業再生の取組が可能な森林が増えてきています。こうした中で林野庁において、既に県内の37の市町村でふくしま森林再生事業、また避難指示解除準備区域等の5市村で林業再生に向けた実証事業などの取組を進めていただいておりまして、環境省としても森林内の日常的に人が立ち入る場所の除染等によって、林野庁と連携・協力して、森林や林業の再生に引き続き取り組んでいくという考えです。また、林業・森林の再生については、福島県や県内の市町村、関係団体の皆様から様々なご意見をいただいていたことも踏まえて、「福島の森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチーム」を開催し、除染だけでなく林野庁を始めとした関係省庁の取組を含めた、総合的な取組について検討しているところです。林業関係者の皆様に対しては、既に政府としてご要望をお伺いしておりまして、これを受け止めた上での取組を3月にはお示しいたします。

(問)朝日新聞の香取です。先ほど、長期戦略懇談会の提言についてなんですが、これを受けて、温暖化対策計画の今の進捗状況を教えていただきたいのと、もう一つは電力自由化の関係で、新しく参入してくる業者の中には、電気を使えば使うほど電気料金が安くなるというようなプランを立てている業者が多くて、以前から環境省が目指している省エネとはだいぶ逆を行っていると思うんですが、それに対して大臣はどのようにお考えなのでしょうか。
(答)長期的な目標等について、温暖化対策計画には方向性としてどこを目指しているのかというのは、きっちり入れていくべきで、今まさに大詰めです。今、調整中の部分が最後残されていますが、ここをしっかり調整していきたいと思います。加えて、長期戦略ということについても環境省としては別途きちんと検討していきたいという考えを持っております。電力事業者の自由化に向けた最近の動きというのは、これまで経済産業省とお話をさせていただいた中でエネルギー供給構造高度化法、省エネ法等、こうしたものできちんと経済産業省が運用した上で、毎年進捗状況を確認いたします。環境省としてもしっかりそこを見て我々として必要な見直しがある場合には施策を検討していきたいと思っております。
(問)私が伺ったのは、小売りの自由化の供給の方ではなくて、電気代が使えば使うほど安くなるみたいな話になった時に、消費者側としては省エネ意識というのは薄れるんではないかという疑問なんですけれども、それが今の説明ですと、経済産業省がそれをエネルギー供給構造高度化法とか、省エネ法で縛るのは少し違う気がするんですけれども。
(答)消費者の皆様の意識ということについて言えば、我々もできる限り透明化をお願いしているところですけれども、加えて、国民運動等でまず国民の皆様にクリーンな電気を手に入れるという意識を持っていただけるような後押しをこれからもしてまいります。