大臣談話・大臣記者会見要旨

北村副大臣記者会見録(平成27年10月1日(木) 13:00 ~ 13:11 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)政治日程からいけば最後の会見になるかと思いますが、先にお礼を申し上げます。長い間にわたりご協力いただきましたことに、お礼申し上げます。ありがとうございました。それでは会見を始めさせていただきます。
 それでは私の方から冒頭、ご報告を申し上げたいと思います。去る本年3月12日、望月大臣の指示の下、私を本部長とする「環境省地方創生プロジェクトチーム」を立ち上げましたが、それから6ヶ月が経過しました。本日はその一区切りとして、「環境省地方創生ビジョン」を取りまとめたことをご報告いたします。
 本年3月、地方創生に関するプロジェクトチームを立ち上げ、地域の視察、関係者との意見交換などを行ってきました。また、アカミミガメ対策推進プロジェクトや、狩人育成プロジェクトなど新プロジェクトの実施、新たな体制・基盤の整備を進めてきました。さらに、これらを通じて、現場の課題を把握し、環境省が行う支援の進め方についての知見を得るとともに、これらを踏まえて、平成28年度新規予算の要求、既存予算の増額を行ったところです。
 プロジェクトを展開する中で、現場の課題や知見を参考に、今後の環境政策を軸とした地方創生への取組の考え方を整理しました。良好な環境は、地域の経済や社会の基盤であり、「環境政策」を地域の実情に応じて、更に深化・具体化することが、地域の行う地方創生の実現につながると考えられます。環境政策の深化・具体化とは、地方創生に地域が取り組む上での基盤となる良好な環境の確保、地域が持つ資源を活用した活性化、さらには、地方創生につながる未来の環境改善のための研究開発と考えます。
 この「考え方」を踏まえた今後のアクションにつきましては、環境省は、4つの重点的な分野において、地方自治体の自主的な取組を支援してまいります。1つ目ですが、「環境」は、地方の生活や経済活動の基盤であるため、地域が創意工夫を行い得る環境を整えます。鳥獣被害対策、アカミミガメ等外来種対策、海洋ごみ対策がこれに当たります。2つ目ですが、「地域の資源」である再生可能エネルギーや廃棄物等を活かした地域の創意工夫を支援するツールやメニューにより、地域の環境と経済の好循環を生み出し、地方創生を支援します。地域経済循環分析の手法を全国展開するとともに、地域資源を活かした『低炭素・循環・自然共生』地域の構築を支援します。3つ目ですが、我が国を代表する国立公園等の美しい自然を、地域の観光資源として活用するため、エコツーリズムを推進します。4つ目ですが、将来の地方創生につながることを期待して、低炭素社会の構築のための研究開発、実証、導入の支援を行います。再生可能エネルギー等を活用した低炭素な水素社会の構築がこれに当たります。そして、これらの取組を地域において具体化するため、自治体に対する様々な支援メニューを用意しており、これを別紙2のとおりまとめましたので、今後、自治体におかれては、積極的な活用をお願いしたいと思います。
 この地方創生ビジョンを踏まえた今後の取組についてですが、環境と経済の好循環を目指すことが地方創生につながることを、地域が強く意識し、実行していただくことが大切と思います。このため、地方創生コンシェルジュ及び地方環境事務所を最大限活用して、地方自治体への働きかけ、自治体からの相談に対する対応等により、環境省の支援メニューを実施していきます。

2.質疑応答

(問)幹事のNHKです。先ほど、地方創生について国立公園を利用したエコツーリズムですとか、再生可能エネルギーによる地方創生の取組をご説明いただきましたけれども、今回取りまとめたビジョンを踏まえて今後これをどのように促進していくか、抱負について教えてください。
(副大臣)「環境政策による地方創生」という視点を、それぞれの自治体が現在進めている総合戦略の策定やその実施の段階で、是非とも検討していただきたいというのが私たちの思いです。そのためには、地方創生コンシェルジュや地方環境事務所を通じて、また、地方自治体を集めた会議等でビジョンの周知を図って、私どもの思いをしっかりと伝えて受け止めてもらえるように努力をしていきたいと思います。
(問)2点目なのですが、就任から1年が経過して、冒頭にもご発言いただきましたけれども、この1年を振り返って所感をお伺いします。また今後の抱負についても、併せてお願いします。
(副大臣)最初の会見の時にも申し上げたかと思いますが、私は環境行政に関する知見はあまり蓄えを持たないまま就任をいたしました。したがって、本音でそう申し上げたかと思いますが、不安を持ちながらのスタートでした。今も不安が無いわけではありません。しかし振り返って、約1年が経ちましたけれども、時間的には追われるような日々の感覚で、早かったなというのが思いであります。しかしその間、いろいろな経験をさせていただき、いろいろな方々とも意見を交わすことが出来て、環境行政の幅の広さ、奥の深さというものを今改めて感じているところです。
(問)今日いただいた資料でもプロジェクトのいろいろな事例などもご紹介いただいておりますけれども、中でも一番印象に残っていることはどういった点でしょうか。
(副大臣)一つには、地球規模の温暖化対応というまさしく世界規模で取り組まなければならない問題でありますが、しかしその問題は日々の我々一人一人の生活に関わる大きな問題だけれども、身近な問題だという印象が一つ。もう一つは環境行政の中で、生物多様性の問題。私は動物好きです。したがって、嫌いでない分野に興味津々で、いろいろな所へ行って、例えばアカミミガメの状況視察をさせていただいた時も、我が意を得たりといいますか、増えていることに我が意を得たりということではなくて、そのような生態系を見ることに興味津々というか、職務としてやっているというよりも、興味津々で取り組んできました。そういう環境行政にある意味では不安の中でのスタートでしたが、関心も強く持つことができました。

(問)共同通信の高田です。動物の話になるのですが、先日、佐渡のトキ保護センターの16歳になる、いっぱい卵を産んでくれたトキが死亡しましたが、大臣はご地元もトキが最後までいたなど、思い入れがあるとは思いますが、ご所感をお聞かせください。
(副大臣)新聞で見て、そうだったのかという思いでした。せっかく中国から供与を受けた、大変たくさんの卵を産んで多くの家族を残してくれた「美美」が死亡したことは、誠に残念なことと受け止めております。「美美」は2000年に来日して、「優優」とペアを組んで多くの卵を産み、これまで、100個以上の卵を産み、65羽のヒナが巣立ちました。日本におけるトキの活動にどれほど貢献してくれたかはこの数字を見れば分かるのではないかと思います。急なことで大変驚いておりますし、大変残念に思います。同じく中国から贈呈を受けた「友友」「洋洋」なども含め、「美美」が亡くなったことを機会に、さらに注意をして、今後の育成には注意深く頑張っていかなければいけないという思いを、強くしております。