大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成27年12月25日(金)10:50 ~ 11:02 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 閣議に関しては、特に環境省に関連する発言はございません。こちらから2点、お話申し上げることがございます。
 まず一つは、第18回日中韓三カ国環境大臣会合についてです。日中韓の三カ国においては、東アジアにおける環境協力の強化を図るため、1999年以来、日中韓三カ国環境大臣会合、いわゆるTEMMを毎年開催しています。来年の第18回のTEMMは日本が開催国となりますが、開催地を静岡県静岡市とすることといたしましたので、ご報告いたします。静岡県・静岡市等の関係自治体及び関係機関とも連携しつつ、会合が円滑に開催されるよう、今後準備を進めてまいります。
 もう1点は、原子力防災に関係するものでございます。今月27日(日)から翌28日(月)にかけて、内閣府の原子力防災担当大臣として、福井県・京都府・滋賀県に出張する予定です。現地の原子力防災対策の状況を視察するとともに、3府県の知事を始め地域の首長さん方と面会をさせていただいて、ご意見をお伺いする予定です。行程等については、事務方からご説明いたします。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の小坪です。本日、福島県富岡町の宮本町長を始め、除染の要望でご来庁されるということで、一部では居住制限区域に隣接するような帰還困難区域の部分を除染してほしいというような内容だという話もありますが、まずこういったご意見についての受け止めをお聞かせください。
(答)実際にお会いして、要望書の内容をよく拝見してからまた回答させていただきたいと思っておりますが、町として火曜日に除染検証委員会を開催されて中間報告書をまとめられたということですので、しっかりと内容を見させていただいて、できる対応からさせていただきたいと思っています。
(問)それに関連してもう1点だけお願いいたします。来年度で既に除染の計画がある部分は、完了の予定ということですが、帰還困難区域については方針を早く示してほしいとか、是非やってほしいというようないろいろなご意見があると思います。これについて今後どのように進めていくのか、進め方、スケジュール感はどのように考えていらっしゃいますか。
(答)帰還困難区域については、現時点でも復興の拠点にされたいところ、それから道路等現段階でもお使いになるところについては、除染を優先的にさせていただいているところです。町の皆様がどのようにこの先、町をつくっていきたいか、復興させていきたいかということとの見合いでご相談させていただくことかと思っておりますので、これからもよく話を伺いながら順序立てて進めて行きたいと思っております。

(問)静岡新聞の森田と申します。先ほどご紹介いただいた日中韓三カ国環境大臣会合のことで、静岡市が開催地に選ばれた理由と、他にどのくらいの自治体が立候補を表明していたのかを教えてください。
(答)まず静岡県がなぜ良かったかという話ですが、なんといっても世界文化遺産になりました富士山を見ていただけるということ、そして富士山の眼下に広がる駿河湾というのは非常に特徴的な生態系がございます。加えて南アルプスは、ユネスコエコパークに登録されておりまして、まだ全国7カ所しかないうちの一つでございます。この美しい自然環境を目の前にしながら会議をしていただけるということに加えて、セキュリティの面、また会場の確保やアクセス、こういったロジスティクスの面も総合的に勘案して、中国、韓国から大臣をお迎えするのにふさわしい場所だと判断いたしました。
(事務方)静岡県静岡市を含め開催の希望がありましたのは、11自治体ございました。

(問)テレビ朝日です。ここの話とは少し外れますけれども、自民党の宮崎謙介議員が国会期間中に育児休暇を取りたいと言われて、与野党からいろいろと声が上がっておりますが、ご夫妻共に国家議員という同じような立場でご出産を経験された大臣で、その経験を踏まえた上で何かお考えがあればお聞かせいただけますか。
(答)男性国会議員もできることなら是非育児休暇を取っていただきたいと思っております。税金で働かせていただいている身ですが、世の中の先頭を切って必要な改革を進めていくべき存在でもありますので、私は宮崎謙介議員には有言実行でお願いしたいと思います。

(問)日本テレビの杜です。大きく2点あるのですが、まず1点目なのですが、これまでなかなか聞く機会がなかった絶滅に瀕している生物に対してなのですが、今年も終わりということで、来年以降の取組とこれに対する大臣の考えをまず聞かせていただいた上で、例えばライチョウなどは今年、人工繁殖に取り組んだわけですけれども、ライチョウに関していうと来年以降も引き続きやっていくのかどうか、その辺りもお聞かせください。
(答)まず絶滅危惧種への取組は、環境省で保全戦略を平成26年4月に策定をいたしまして、種の保存法の国内希少野生動植物種の追加指定や保護増殖事業の促進、レッドリストの改訂などに積極的に取り組んでおります。人も野生生物も生態系の重要な一員ですので、種を絶滅させないことは生態系のバランスを維持するための大変重要な取組だと思っております。環境省として絶滅危惧種の保全に総合的に取り組んでまいりたいと思っております。特にライチョウに関しては、まず動物園のほうが非常に話題になっておりますけれども、生息地域での保全対策もやっておりまして、こちらをきちんと進めておくということと同時に、動物園においての飼育繁殖の取組については平成27年度の取組を踏まえて、きちんと改善策を検討した上で平成28年2月ごろにそれをご議論いただいて次の取組に進んでいきたいと考えております。個体数が減少して絶滅の懸念のおそれがあるライチョウですので、検討会での議論を踏まえて保護増殖事業をしっかりと実施していきたいと思います。
(問)もう1点は原子力防災大臣としてのお尋ねなのですが、高浜原発についてなのですが、高浜の場合は大臣もご承知のとおり非常に特殊な所にありまして、5キロ圏内、30キロ圏内に京都と滋賀という自治体を抱えているわけですね。実際に大臣も知事とお会いして、おそらく話も出ると思うのですが、この避難区域に含まれているのに、稼働に対する発言権が法的に無いという現状について、まず大臣の受け止めをお聞かせいただきたいです。
(答)稼働について私たちが何かを言うべき立場にはありません。我々はあくまでも原子力防災の観点から、常に安全に絶対は無いという思いで、高い目標に向かって進んでいくという姿勢です。おそらく安全協定等のご要望についてのことだと思いますけれども、あくまで民間対民間の間の話ですので、当事者でない我々は何か口を挟めるものではないというように認識しておりますが、ただ防災を預かる立場としては地域のご要望にしっかり応えられるだけの予算を確保して、それをできるだけスピーディーに実行に移していくことが重要だと思っております。

(問)稼働に関して原子力規制庁があるのでご発言が難しいところがあるのは承知しているのですが、一方で原子力防災の観点から言うと福島第一原子力発電所の事故があってから避難計画も相当改善されて、そういったことを受けて、自治体の方は法的な枠組みを求めているわけですよね。これに対して稼働の是非を問うわけではなくて、政府全体としてのルール作りをどのように進めていくべきか、経産省が基本的には中心になっていくとは思うのですが、政府の一員として大臣のお考えをお聞かせください。
(答)稼働については我々がタッチするところではないということはよくご理解いただいていると思います。一方で、防災の面で法的な枠組みが必要かどうかという話ですけれども、現実に今、緊急時対応というのは、個別の避難先も含めて、具体的積み上げを行った上で、内閣として認めているというものですので、私はこの枠組みがきちんと機能するということを訓練等を通じて確認した上で、その先に何が必要かということを見ていきたいと思います。
(問)最後にさせていただきますけれども、つまり、現在、防災の範囲と稼働の範囲はリンクはしていないわけですけれども、リンクをさせる必要も大臣としてはお考えではないということでよろしいでしょうか。
(答)逆に稼働していなくても、必要な対策は取らねばならないというのが使命だと思っております。

(問)下野新聞の須藤です。本年も指定廃棄物周りの諸々の動きございましたが、そのあたりの総括と来年に向けた進め方や方針などありましたら、お聞かせください。
(答)それぞれの地域の皆さまと、特に井上副大臣が中心になっていただいて顔突き合わせて、ご意見を交わさせていただき、説明の機会がいただけないところにおいては私たちの出来る手段を通じて、少しでもご理解をいただけるような努力をしてまいりました。残念ながら成果が皆さまがご期待されるようには出ていないかもしれません。あるいはまだ県内で1か所で処理というのが難しい、理解できないという方もいらっしゃるかもしれませんが、大切なことはご不安を解消するために、きちんとした形で保管をさせていただく環境をつくる、災害等に備えて管理が出来る体制をつくるということにあろうかと思いますので、そうしたことにご理解いただけるような努力をしてまいりたいと思います。