大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成27年11月20日(金)11:00 ~ 11:17 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日の閣議に関して、環境省から発言する内容はございません。今日は2点こちらから皆様にお話申し上げることがございます。
 まず1点目は、フクシマエコテックに関連する話です。来週24日(火)、27日(金)に、井上副大臣が富岡町議会全員協議会及び楢葉町議会全員協議会に出席いたします。管理型処分場を活用した埋立処分事業につきましては、16日(月)に井上副大臣、若松復興副大臣とともに福島県を訪問し、国としての考え方を内堀福島県知事、宮本富岡町長、松本楢葉町長にご説明したところです。その際に、町議会に対してご説明させていただくことについても、お願いをしておりました。このたび、両町から24日(火)に富岡町議会全員協議会、27日(金)に楢葉町議会全員協議会を開催するとの発表があったため、井上副大臣が出席させていただくこととしたものです。
 もう1点は、中間貯蔵施設の用地交渉の加速化についてでございます。中間貯蔵施設の用地交渉について加速化を図るため、課題を精査していたところですが、地権者説明の促進策についてまとめさせていただきましたので、ご報告させていただきます。
 一つ目として、現在の作業状況や今後の見通しを地権者の皆様に十分にお伝えできておらず、そのことが皆様の不信感を招いているという点がございました。このため、連絡先を把握している全ての地権者にお手紙を発送し、現在の作業状況や今後の補償内容のご説明の時期の見通し等をお知らせしました。具体的に見通しについて言うと、9月までに調査を終了した約500名の方には年度末までに確認や説明を行うことを目標に進めます。また、相談窓口を設置しておりますということもその手紙に含めさせていただいておりますので、地権者の皆様には是非ご活用いただきたいと考えております。
 二つ目に、帰還困難区域という特殊な状況のため補償額算定作業が大変遅れておりました。今回、その特殊性を反映した補償額の算定要領をマニュアル化し、これを反映した算定システムを活用することで、算定に係る期間を、通常の公共事業並みに、3か月程度に短縮することを目指します。
 三つ目に、以前からの課題として、十分な経験を持った用地担当職員の不足があります。これまでも努力してきたところですが、さらに、年度内、来年度にも段階的に職員数の増員を図るとともに、関係省庁等にも改めて働きかけを行い、質の高い職員の確保に努めてまいります。このような取組を通じ、作業の迅速化を図るとともに、丁寧な説明を尽くし、できるだけ多くの方々にご理解をいただけるよう努力を続けてまいります。

2.質疑応答

(問)時事通信の阪井です。今の中間貯蔵の関係なんですけれども、特殊性を反映したマニュアルというのが、もう少し具体的にどういったところの特殊性を反映して、そういうマニュアルなのかということと、これからだと思うのですが、いつぐらいには作り上げるのか、その辺りをお聞かせください。
(事務方)マニュアルの内容ということでございますけれども、この算定作業については環境省の方から補償コンサルタントというところに外注をしております。この補償コンサルタントという方々は全国にいらっしゃいまして、その方々が帰還困難区域、避難指示が出ているというような地域について算定を行うということになると、どうしてもバラバラになってくる部分がございますので、こういった部分をマニュアル化して統一的な方針を示すことによって迅速に同じような結果を出していただけるようにするということです。
(問)マニュアルはいつくらいに作るのでしょうか。
(事務方)マニュアル自体はもうできておりまして、それを順次提供しているところです。
(問)増員について、追加採用について触れられたと思うのですが、どれくらいの規模感を考えておられるか教えていただけますでしょうか。
(事務方)増員につきましては、今定員ベースで用地担当職員が福島事務所に75名いますけれども、これを来年度この資料にありますように24名増員したいと、100名体制にまで来年度はもっていきたいと思っております。
(問)追加採用を含めて100人規模ということでしょうか。
(事務方)そうです。追加採用を含めてということです。
(問)最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、今回このようにスピードアップ策を発表されたわけですけれども、意気込みをお聞かせください。
(答)こちらに来てから作業のプロセスをよく統括官に見ていただいて、これまで時間はかかりながらも少しずつ前には進んでいたんだけれども、どうもその細部に連携がうまく図れていなかったり、本来であればそればマニュアル化されているべきものがきちんとされていなかったりということが見られました。なおかつ相手があって進んでいることだという意識に少し欠けていた面があって、残念ながら地権者の方からの不信感を招いてしまっていた点があると思います。まずここから手をつけさせていただくということで、信頼を回復してきちんとシステムとして組織が進んでいくような体制をとるということをさせていただきます。まだまだこれは作業を進めていく上でどんどん段階が変わっていきますので、その都度手直しが必要なものだと思いますので、これからも現場のプロセスをよく見て点検をしていきたいと思っております。

(問)NHKの大井です。2点お伺いします。1点目は宮城の指定廃棄物の件なのですが、昨日知事に対して副大臣が年内の調査の着手を断念したとお伝えしました。知事側からはいろいろと意見もあって、さらに候補地からは返上するというコメントも出ています。調査断念の受け止めと今後の進め方について、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)昨日村井知事を訪問した井上副大臣からは直後にご報告をいただきました。これまで私たちもできるだけ丁寧な説明を続けて、その中で現地調査についても実施させていただくよう試みを続けてきたところですけれども、残念ながら年内の現地調査が実施できなかったということについて、正直残念な思いをしております。知事の言葉というのもきちんと受け止めさせていただいて、私たち環境省の側から市町村長会議の開催については知事にご相談をさせていただいたところです。できれば今年中を目途に開催をさせていただいて、私たちの方からこれまでの経緯を改めて確認させていただくとともに、長期管理施設で安全に一元的に1カ所で管理をするということの必要性を改めてしっかりとご説明をさせていただきたいと思っております。
(問)方針は変わらず、候補地返上という意見もありますが、これまでどおりのやり方を続けるということでよろしいでしょうか。
(答)そういう意見も出るかとは思いますけれども、まずこの市町村長会議の場でどんなお話が出るかということに併せて、私たちの立場は立場できちんと説明をさせていただくということになるかと思います。
(問)もう1件別件なのですが、今日小規模火力発電所の有識者会議が開かれていますが、まだ取りまとめはこれからということですが、改めてご認識なのですが、現在アセス逃れとも言われる小規模の発電所の建設が相次いでいる、計画が相次いでいることへの受け止めと、今後の環境省としての受け止めとお考えをお聞かせください。
(答)近年、環境アセスメントの規模要件以下の小規模な火力発電所の設置計画が増加しておりまして、この小規模な火力発電の環境保全対策についてきちんと進めていかなければいけないと、これは極めて重要なものだと認識しております。ですので、8月から検討会で、これらの小規模火力発電の環境保全対策について総合的に検討を行っていただいてまいりました。本日、課題・論点の整理と考え方の取りまとめを行っていただく予定にしております。今後、この検討会において様々なご議論をいただいておりますので、その取りまとめを踏まえて私たちの対応を検討させていただきたいと思っております。

(問)共同通信の川口です。中間貯蔵の関係でマニュアルですけれども、マニュアルがこれまで作られてこなかったのは少し遅いのかなという気持ちも個人的にはしたのですが、大臣の受け止めをお願いします。
(答)なかなか用地を取得する作業のプロフェッショナルを集めてくるのが大変だったという理解をしております。いろいろな組織のOBの方であったり、補償コンサルタントの方だったりに来ていただくと、そういう方たちとの連携を図りながら、なおかつ補償が一般的な公共事業で用地を取得するときとは異なった交渉が必要でした、それはまさに、原子力発電所の事故が原因でこうなったということをどう考えるかというのが補償額との意味合いでしたので、そこのところがまず落ち着くまでに相当の時間を要したということがあります。ようやくそれが進んでいる段階でちょうど私が来て、これはきちんとしたマニュアル、形にしないとより多くの方に同じように接することは出来無いということでマニュアル化をしたということです。
(問)遅かったか、それとも時期としてはやむを得なかった、適切だったと思うかどうかについてはいかかでしょうか。
(事務方)政府として避難指示区域で補償の算定をするかという方針は出ていたのですが、それを現場に則して、物件や建物について細かくするなどの話になりますと補償業者さんのそれぞれの裁量によるところもあるわけなのですが、統一的にしなければいけないと、大臣のご指導もいただきながら、今回まとめてすでに施行を始めたということでございます。
(問)別のことで、OECDの輸出信用の作業部会の会合で先日、効率が悪い亜臨界圧であるとか超臨界圧といわれる石炭火力の発電事業に対しては、支援を限定的にするという合意がなされましたけれども、その合意について日本への影響をどのように見るか、そして今回の合意の意義をどのように見るのかお考えをお聞かせください。
(答)会合参加者の間のステートメントという形で発表されたと理解をしております。効率と規模の違いにより支援内容を変えるというのは、石炭火力を選択せざる得ない国というのがどうしてもありますので、そうした国にとって高効率の石炭火力は気候変動対策になり得るというのが私たちのスタンスです。今回の合意によって途上国で低効率の石炭火力の増設に何らかの歯止めがかかるのであれば、大変意義のあるものと思っております。

(問)日本テレビの杜です。宮城の指定廃棄物に関連して、宮城県の場合は大臣もご存じだと思いますが、去年8月に村井知事が県の総意として詳細調査を受け入れるということを5県の中で初めて表明されたわけですよね。そうなってくると、環境省側が毎回詳細調査に入ろうとしているのはわかるのですが、県の方に対してこういう立場で協力してほしいとかそういった部分で大臣が考えていらっしゃることがあればお聞かせいただきたいです。
(答)今度の市町村長会議で、改めてこれまでどういう経緯で、県の総意というところにたどり着いたかということを振り返るプロセスというのがまさにそのメッセージになるかと思います。
(問)昨日の井上副大臣との会談の中でも、大臣自らなぜ来ないんだという話がありました。福島を第一に考えて宮城はその次ではないかという発言も報道陣の前ではあったわけなのですが、それに対して今回また市町村長会議が開かれるわけですけれども、大臣がご出席されるお考えはありますでしょうか。
(答)これまでずっとそれぞれの首長さんと実際に話をして調整に入っていただいているのは井上副大臣です。今回の市町村長会議の位置づけとしては、今までどのような経緯でここに辿り着いたのかと、そもそもどうやって私たちが詳細調査候補地を決めてきたのかということを確認させていただく場でもありますので、ここは井上副大臣にもう一度行っていただいて、私はその報告を聞いた上で対応を検討したいと思っております。