大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成27年10月27日(火)10:36 ~ 11:00 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 閣議に関して特に個別に発言する内容はございません。明日の私の視察についてご連絡を申し上げます。
 明日28日(水)に福島県大熊町及び双葉町に出張し、中間貯蔵施設及び除染現場等を視察いたします。何度か福島には就任以来伺いましたが、早く現場を見たいという思いを大変強くしております。知事にお会いしたり、各町長の皆様方からもとにかく現場主義でやってほしいということを再三おっしゃっていただいておりましたので、こうしたことも踏まえて現場を見せていただくことにいたしました。今回現場を見て、しっかりと今後の施策の検討に活かしてまいりたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHKの大井です。幹事社から2点お伺いします。1点目はドイツのボンで行われたADPに関してですが、一週間の作業部会の中で結果的に合意文書の草案作成というのは進展が見られないまま終わりました。この結果の受け止めと、あとCOP21が目前に迫っていますが、日本としてどのように議論に貢献していくかということについて教えてください。
(答)ADPの会合では、先進国・途上国の間を始め、様々な意見の隔たりを埋めることができないまま、多様な主張・論点が盛り込まれた交渉文書案がCOP21に送られることになったと認識をしております。一方で、ある意味では各国が協働して交渉のベースとなる文書案を作るという最低限の目標は達成できたと思いますが、ただこの文書案を政治的な交渉が可能なものにしていくための一層の努力が必要だと思っております。これはCOPの第一週を中心にやっていただくことになるかと思いますが、いずれにしても今回の枠組みで一つの合意の達成を見るということは非常に重要で、かつそれに向かって議論を加速化させなければいけないという認識は共有されていると思いますので、私たちも今回の交渉文書案についてよく検討して、COP21までの間も各国と対話を続けながら成功に向けて努力をしていきたいと思います。
(問)もう1点は栃木の指定廃棄物の件なのですが、昨日塩谷町の町長がいらっしゃって、井上副大臣に対して候補地の白紙撤回を訴えられました。また住民の方々への説明についても、国ではなく町としてやりたいという意向も示されてました。このことについての受け止めと、今後の理解を得る国としての進め方について教えてください。
(答)昨日、副大臣のところにおいでくださいました。そもそもは副大臣がご挨拶に伺いますということでお話をさせていただいていたところ、見形町長を始めとする関係者の皆様が環境省の方にご訪問されるということになりまして、セットされたと思います。様々な意見を井上副大臣からもご報告を受けて、それをしっかりと受け止めながら、引き続き私たちに何ができるか、不安の解消のためにどのような説明が尽くせるか、あるいは対応策があるかということをしっかりと検討して丁寧に答えさせていただきたいと思います。

(問)下野新聞の須藤です。関連なのですが、昨日のご意見の中でご報告を受けていると思うのですが、町側が白紙撤回ではなく、冠水したことを確認した上で元々選定自体を否定するような立場に態度を硬化させています。そのことについてご所感を伺えますでしょうか。
(答)私たちの影響調査ではなく、町の説明を優先させたいというお考えをお持ちだということは昨日のご要望の中にもございましたけれども、私たちの立場では、専門家の所見に基づいた我々の見立てというのを影響調査の結果という形で、是非町の皆様にご報告申し上げたいということはお願いを続けていきたいと思っております。
(問)今まで市町村長会議とか積み重ねてきたプロセスを引き合いに出されて、ちょっと否定されるという形なので、かなり入り口の方にまた戻ってしまったのかなという印象があります。その辺り、大臣はいかがお受け止めでしょうか。
(答)これは事実関係だけを申し上げますけれども、選定手法はどういう基準で決めるかということを市町村長会議で基準として決めました。この中に浸水想定区域を除外するという形で、詳細の文言として盛り込まれました。このハザードマップで示されている浸水想定区域は、今回の詳細調査候補地には入っていないということですので、少なくとも最初に会議で決めた基準という意味で言えば、きちんとクリアしたものを詳細調査候補地として上げてきているという認識です。実際にそれが適地かどうかということを見定めるために、まさに詳細調査をさせていただくので詳細調査は必要なものだと思っています。

(問)日本テレビの杜です。今の質問と関連してなのですが、選定手法の中で浸水が想定される区域、あるいは土石流が想定される区域があるのは承知しているのですが、今回の塩谷町の国有地はそうではなかったというのもわかるのですが、ただ選定手法の概念を考えると、浸水したということをもって、遡及的に対応するということも考え方の一つではないかと思います。町側もそういうことを言っているわけなのですが、それについて大臣はどのようにお考えになりますか。
(答)最初の会議で決めた基準というのは、別にどこがというわけではなく、地図上の情報から拾うと、こうなりますということで決めるのが公平であろうということからスタートしていると理解しております。もし仮にそれに問題があるとすれば、それはまたそこに立ち返って議論をするということも必要なのかもしれませんが、どういう手法で選んだとしても詳細調査は必要になるであろうということは一方でございますので、それはそれとして必要性はご理解いただかなくてはいけないということです。
(問)明日、中間貯蔵施設を視察されるということですが、2週間前に大熊・双葉の両町長と面会したときに、用地交渉が遅れている課題の洗い出しをしなくてはいけないと大臣おっしゃっていたと思うのですが、洗い出しの状況と洗い出した課題についてどこかで公表するとかそういう辺りはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
(答)あの後すぐに、統括官に地元の事務所に行っていただいて、手順を全部調べていただきました。ある意味やっと確立された手段に慣れてきたというところである一方で、今まで逆に全くできていなかった点として、今、どうなっているかという状況を地権者の方々にお伝えするということはできていなかったという認識を持ちました。加えてこれから局面が展開していくと言いますか、いくつか土地の取得に係るプロセスを踏まえていくわけですけれども、それがいよいよ次のステップに移ろうかという局面にありますので、もう既に要求は出しておりますけれども、そのことを踏まえて人員の増強と、そういう手順に応じて次に何が必要なのかということを更に検討していかなくてはならないと思います。

(問)共同通信の阿部です。福島の関係で2点お伺いしたいのですけれども、まず明日の視察はどのような点に注目をされてご覧になりたいかという点と、2点目なのですが、除染の関連なのですが、福島の除染作業で使われたマスクや手袋がコンビニ前のごみ箱に捨てられているということで、環境省としてもこれまでに数回、指導されているようなんですけれども、大臣としてのご見解と今後の方針があればお聞かせください。
(答)除染の実際の作業をよく見せていただいて、どのような労力と時間をかけて進んでいくものかということについて実感を持ちたいと思います。また双葉町の輸送に関してアスファルト舗装をしていますけれども、このところに関連して保管場をきちんと見させていただきたいと思います。それから、ご指摘のマスクや手袋が一般のごみ箱に捨てられていたという件ですが、ご承知だと思いますけれども、直轄除染においては基準を超えたか超えないかに関わらず、マスクも手袋もその場で回収していただいて捨てるというルールになっておりますので、それが徹底されていないというのが明らかになったという認識を持っております。実は今年の3月と8月にも同様の苦情を受けて、私たちの方できちんと指導を徹底してきたつもりではありますけれども、こういうことが起きましたので、更に効果が高い手法というのはどういうものがあるのかということを、急いで検討して現場に下ろしていきたいと思っております。

(問)河北新報の門田です。宮城県の指定廃棄物についてお伺いします。25日開票の宮城県議選に関連することで、加美町長が支援する最終処分場の建設自体に反対する候補が当選しました。得票率が7割弱を占めましたが大臣の受け止めと今後もこれまでと全く同じ方法や姿勢で住民の理解を求めるお考えでしょうか。
(答)個別の選挙については様々な背景があろうかとは思いますので、私が分析することは差し控えたいと思います。私たちとしては直接お話をさせていただきたいという思いで、29日に意見交換会をセットさせていただきました。井上副大臣が出席させていただきます。どうして詳細調査が必要なのかということについて、どのように進めていくのかについて、私たちが丁寧な説明を尽くす努力が必要であると思っておりますので、この意見交換会も踏まえて、引き続き説明の努力を続けていきたいと思います。

(問)テレビ朝日の吉野です。栃木県の指定廃棄物の問題ですが、看過できない問題だと思うのは、昨日、塩谷町もおっしゃってましたが、市町村長会議で決めたルールを浸水や冠水の地域というものが、国の調査をすり抜けてしまった。それは国側に落ち度があり、遡及して確認しなければならないものではないかというのは、一定の論理性があり、まったく検討しないで、補足的に詳細調査をやるんだというのは当たらないような気がするのですが、きちんと彼の言っている論点を検証する努力というのはされるのでしょうか。
(答)市町村長会議で議論して決めてきたルールというのは、まず一次的に全国一律の地図情報で、ある時点において、その時点で得られる地図情報で絞り込みをしましょうというもので、その後の更なる適性の評価については具体的に詳細調査を行った上で、現地のデータをしっかり集めて評価するという段取りを決めて行ってきております。それぞれの首長の方々にも御理解をいただきながら進めてきているというつもりでございます。一次的な絞り込みについても、事後的に遡ってということはまずは想定しないでスタートしたということでございます。詳細調査でそこをしっかりとデータを把握した上で判断していくということが今までの流れに沿ったものであると考えております。
(問)加えてお伺いしますが、その時、国は知らなかったのだから仕方がないと開き直っているように聞こえます。
(事務方)知っていた、知らなかったということではなくてその時点で地図情報として得られるデータに基づき、スクリーニングをし、その結果を踏まえて詳細調査の候補地を選び、次のステップで、実際に現地の調査で確かめていくという流れでございます。開き直ったとおっしゃられましたが、申し上げたようなプロセスで進めたいと考えております。
(問)最後に1点だけお伺いしますが、600mm級の雨が降ったのは珍しいことだと、現場でおっしゃっておりましたが、17年前にもそれは降っており、頻繁にあるらしいということで、それを調査してほしいということを町側に言われましたが、調査されるお気持ちはありますか。
(事務方)詳細調査候補地の地点におけます過去の気象のデータについては、詳細に集めて、評価に役立てるということでございますので、御地元の自治体から先ほどのようなご指摘がありましたので、しっかりとデータを集めてまいります。

(問)フリーランスの政野と申します。2点お聞かせください。福島の甲状腺がんの件ですが、甲状腺がんは国際的に男性の方が女性より多く、大人に多く、子供にはめったにないということが知られております。国立がんセンターの調査によれば昨年11月の時点で、男性で90倍、女性で50倍、平均して60倍であるというデータが出ていて、スクリーニング効果だけでは説明がつかないということを調査をされた一人である津金昌一郎さんが、環境省の会議だったとは思いますが、いらっしゃったと思います。スクリーニング効果は実際にあったとしても2、3倍から5、6倍であって桁が違う61倍となってますが、実際には男性の方が多いので90倍、それが昨年の時点の20歳以下の福島の子供たちの状況なのですが、現在の大臣の受け止めをお願いします。
(答)県民健康調査を進めさせていただいておりますが、震災からまもなく5年というところで非常に重要な時期であると思っております。専門家の先生方のご意見もよく伺いながら、調査の推移を注視したいと思います。
(問)もう1点は、同様のことですが、最近原子力産業の低線量の長期被ばくを30万人を対象に英国、フランス、そしてアメリカのデータを基に調べたところ、その調査の結果白血病以外のいろいろながんで増加が見られたという結果が出てきまして、イギリスの医療雑誌BMJに掲載されたばかりです。こういったデータが出ている中で、20mSv以下になったらば帰還していいという政策が国としてとられていまして、それがまさに放射性管理区域、低線量どころか高いレベルだと思うのですが、大臣として今後どうするおつもりでしょうか。今年2月の専門家会議の中間報告を受けて今後対応を考えていく方向になっているかとは思いますが、その中では初期線量について、さらに把握すると言っていますが、帰還してしまうと低線量の被ばくが継続してしまいますので、初期のものだけの把握ではすまないと思うのですが、この点についてご所見をおねがいいたします。
(事務方)初期被ばくの関係ですが、中間取りまとめに書いてあるのは事故後の放射性ヨウ素の被ばくを出来るだけ正確に計る必要といいますか、いろいろなデータがまだ十分に集めきれていないということで、初期の線量を出来るだけ精緻化するといった趣旨が書いてあると理解をしております。私どももそういった研究事業をやっているという状況でございます。一方で、帰還された方で線量を把握したいという方については、私どもの事業で個人線量計の配布などをしておりますので、そういった中で線量を計られるということになっております。
(事務方)補足させていただきますが、ご指摘のあったいろいろな調査研究があるということは私たちも承知しております。そういった調査研究自体もいろいろなものがございますので、しっかりと検証して今後に活かしていくという基本的な姿勢は環境省は持っておりますので、そういった中で対応していくというふうに考えております。
(問)大臣、今のを受けていかがでしょうか。要は被ばく調査の目的としては予防的措置を国が取るために専門家が行うものです。そこで子供の男子については90倍という昨年の11月のデータですが、そうすると早急に国として調査結果を活かした上で予防的措置を取るべきだとは思いますが、いかがでしょうか。今のお答えだと、知りたければガラスバッジをあげますとか、今後もなどすごくゆったりしていると思うのですが、そういった不信感を拭えない限りは、どのように帰還を進めても、例えば処分場を造ろうとしても無理だと思うのですがどうでしょうか。
(答)帰還されるにあたり、それぞれの皆様がどのような判断をされるのかという要素の中の、大変重要な一つであるという認識を持っておりますし、皆様の安心、安全に応えていく努力というのは、引き続き行わせていただきたいと思っております。専門家の方のご意見というのは非常に重要な知見が積み重ねられていくことがまだ必要な分野だという理解がございますので、そうしたものにもきちんと耳を傾けていきたいと思っております。