大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年9月8日(火)9:45 ~ 10:06 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 9月5日(土)、愛媛県に出張し、オフサイトセンターや、大分県への避難港である三崎港といった伊方原発周辺地域の原子力防災対策の状況を視察するとともに、中村知事と面会し、今後の継続的な原子力防災対策の充実・強化について、意見交換を行いました。これらを通じて、中村知事や愛媛県、関係市町、更には住民の皆様の努力の積み重ねの上に、伊方地域の防災体制が構築されていることをひしひしと実感いたしました。また、翌6日(日)には、瀬戸内海国立公園の屋島地域の現状を視察するとともに、浜田知事、大西高松市長らとお会いして意見交換を行い、国立公園は、観光資源として地方における重要な役割を果たしていることを改めて認識しました。

2.質疑応答

(問)幹事社の読売新聞の野崎です。大きく2点ありまして、1点目が望月大臣が就任されてから1年が過ぎたのでご所感を伺いたいということと、ちょうど今朝、自民党の総裁選の告示があり安倍首相の再選が決まったところで、来月にも内閣改造という話があるのですが、大臣はまだまだやるという気持ちがあるかどうかも含めて伺いたいと思います。
(答)ちょうど1年という節目の時がきたわけですけれども、非常に長かったような短かったような、様々なことがあった1年であったと思います。就任した時のことを思い出しますと、総理から「福島の復興なくして我が国の再生なし」「全員が復興大臣になったつもりで取り組むように」という話がありました。ましてや環境省は福島の除染の問題、あるいは中間貯蔵施設の問題等々ありましたので、我々も気を引き締めてしっかりとやらなくてはいけないと、1年前そのような決意をしたことが思い出されます。中間貯蔵施設については、今は内堀福島県知事でございますが、あの時は佐藤知事が苦渋の決断をするというような言い方で、非常に辛い決断をしていただきました。本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。それから、内堀知事・渡辺大熊町長・伊澤双葉町長にそういった決断と、後も継続してご協力を頂き、今年3月に搬入を開始することができました、知事、両町長はじめ、関係各位のご理解、ご協力に、大変感謝しております。まだまだ用地交渉含め、引き続きしっかり取り組んでいかなくてはいけないと感じております。
 指定廃棄物については、今年4月に千葉県の詳細調査候補地を公表するとともに、宮城県、栃木県等も含め、長期管理施設の設置に向けた努力を行ってまいりました。様々なご意見をいつも頂いておりまして、前進していないのではないか、との厳しいご意見があることは承知しておりますが、一朝一夕には解決しない難しい問題であることも承知して、またそういったことも覚悟して、引き続き、環境省としての考えを丁寧に説明する努力を積み重ねてまいりたいと思います。
 そもそも環境省の成り立ちは何かということは皆様ご存じのように、4大公害病である九州の水俣病、新潟水俣病、富山のイタイイタイ病、四日市ぜん息が我が国で問題になって公害国会の時に環境庁ができたと。水俣、富山、そして新潟はちょうど50年という節目で、環境大臣として初めて式典に出席させていただきましたけれども、環境行政の原点である公害病患者の方々と意見交換を行い、こうした悲惨な歴史を二度と繰り返してはならないという思いも新たにさせていただいたわけでありまして、これも1年間の記憶に残る環境省の様々な問題を対処していかなくてはいけないというようなことも思い起こされるわけであります。
 地球温暖化でございますが、東京電力の福島第一原発の事故以来、そういった状況の中で国際的に遜色の無いレベルの約束草案を作ることができるかどうかということ、これもよく記者会見で皆様からご質問やご意見をいただきましたが、2013年度比26%削減という約束草案をとりまとめることができました。今後、この削減約束が達成できなくては、絵に描いた餅ということになりますので、やはりしっかり取り組むことと、それからパリのCOP21において、すべての主要国が参加する公平で実効的な国際枠組みが構築されるよう取り組んでまいります。これも数字を出した以上は先進国の一角を占める日本としてはしっかりと約束が達成できるように、これも簡単なことではないと思います。これが2050年には世界全体で50%、そして先進国で80%の削減をするという世界の目標に向かって我が国もしっかりと参加しているという大変重要な時期であって、我が国の責任も非常に重いものがございますので、この道筋ができたということは良いことですが、守れるように、更なる努力を積み重ねていきたいと思っております。
 原子力防災についても、鹿児島県川内地域の地域防災計画・避難計画を確認するとともに、土曜日に愛媛県に訪問させていただきました。伊方地域等の地域防災計画・避難計画の充実に取り組んでまいりましたが、ご承知のとおり、核燃料がそこにある限り、地域住民の安全のため万が一の場合に備えることが重要です。引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 最後になりましたが、環境省をはじめ各省庁で問題となりましたが、インターネットの不正アクセス問題などの「トラブルが生じた場合の情報開示」、こういったことも速やかに、しっかりと皆さんに開示することが重要であると思いまして、こうしたトラブルについては、速やかな情報伝達が求められるものであり、環境省の職員には厳しく指示しまして、国民の皆さんも心配している方が多いですから、そういったものに対する信頼関係、環境省が信頼を置ける省庁であるということを私自身も責任者として、速やかな情報開示に努めてまいりたいと思います。
 少し長くなってしまったのですが、いろいろな思い入れがありまして、私の頭の中にまだまだ皆様にお世話になったこと、COP20のペルー出張を選挙の間に行ったことなど様々な思いが頭の中を駆け巡っておりますけれども、私が有り難かったと思うのはマスコミの皆さんには非常にご理解いただいて、いろいろなご指摘もいただきましたけれども、国民に対して良い情報を提供していただいたということ、こういった信頼関係を環境省が大事にしていくことが大切だと思います。
(問)来月、内閣改造と言われているのですけれども、ご自身の御意志をお聞かせください。
(答)これは総理大臣が決めることでございまして、私がとやかく言うことではございませんので、どうなるかということよりも、今与えられた時間と責任をしっかりと果たして国民の皆さんが安心・安全な生活ができることを目指していくことが大事かなと思います。
(問)もう一点はライチョウの人工繁殖事業についてなのですけれども、上野動物園で飼育していたひなが全て死んでしまって、富山市ファミリーパークで飼育しているのがオスのみということで、1年目での繁殖は絶望的になりましたが、これについての受け止めと、今後どのように進めていくかということについて伺えますでしょうか。
(答)上野動物園で飼育中のライチョウが全て死亡してしまったことは、国民の皆さまにもご心配の向きがあったと思いますが、大変残念です。野生生物を飼育下で育てることの困難さを改めて実感しました。この難しい挑戦に対し、懸命な努力を続けてこられた上野動物園のスタッフの皆さまが、どのような行い方で保護をしているかを伺っておりましたが、24時間の付きっ切りでほとんど寝ないで愛情をもって見守ってきたということを聞きますと、スタッフの皆さまに敬意を表したいと思います。今回の経験を活かして次につなげていただきたいと考えています。富山市ファミリーパークで飼育中のオス3羽については、引き続き注意深く観察しながら飼育を継続していただきたいと思います。環境省としては、引き続き日本動物園水族館協会と連携して、ライチョウの飼育下繁殖に取り組んでまいります。

(問)静岡新聞です。幹事さんの質問と若干重複してしまうのですが、今日自民党総裁選で安倍首相が無投票再選となりました。これについての大臣の受け止めをお願いします。
(答)様々な意見はあると思いますが、安倍総理がこの間に一生懸命に財政再建や経済の問題、外交、様々な問題がありますけれども、そのような中で一生懸命やってこられたことが自民党の中で評価をされたということだと思います。こういった時期ですから、我々が政権に返り咲いて3年という、短いとか長いとか様々な意見がありますけれども、まだまだ自民党がそういったことに力を注ぐよりも、国民のために一致団結してやらなくてはいけないという機運がしっかりとありまして、ここは安倍総理の下に一致団結して様々な難局を乗り越えていこうと、そういうことが表れたことではないかと思います。

(問)河北新報の門田です。幹事さんの質問とかぶるのですが、指定廃棄物に関して1年前の大臣就任直後の頃、指定廃棄物の最終処分場に関しては一刻の猶予もないとか、出来るだけ速やかに造りたいという発言をよくしていたと思うのですが、最近の発言を振り返りますと、一朝一夕には解決しない問題であるという発言が目立ってきておりますが、最終処分場の建設に関して大臣の認識が変わってきているという受け止めでよろしいでしょうか。
(答)2つの見方があると思います。指定廃棄物については一カ所に集めて、しっかりと管理することを一日も早く行っていきたいと思っております。しっかりと行っていく中では計画したことをそのまま住民の皆さまに、良いことだから行いますと伝えるだけではなく、地域の皆様の理解があってこそ、安心安全という考えから信頼関係が必要でありますから、我々の気持ちをしっかりと伝えて、皆さまに認めていただき、行えるようにしたいと考えております。一日も早く行っていきたいという気持ちは変わっておりません。地元の皆さまの気持ちを大切するという上では、しっかりと丁寧に説明を行うことを考えると時間もある程度はかかるということであります。何回もお願いをして、そのような調査を一日も早く行いたいという気持ちは記者会見においても何度かお話させていただいております。方針については変わっておりません。

(答)共同通信の川口です。地球温暖化の対策について2点お伺いします。先日までドイツのボンでADPが開かれましたけれども、お聞きしていると中身の議論は相当良い議論が出来たということですが、表面的にはその会合で進展したということはなく、次のCOP21の最後の会合までに新しい合意の基になる素案を作るという話になったと、進展の度合いについては大臣はどのように受け止めていらっしゃるかということが一点、もう一点は一部でCOP21に安倍総理が出席されるということが報道されておりますが、事実関係について教えてください。
(答)現地からの報告では、緩和、適応、資金などの要素ごとに、COP21で合意すべき制度の骨格となる内容について実質的な議論が行われました。その結果、各国間で一定の共通認識が醸成されるとともに、その具体的な内容に関する各国の考えが一層明確になったと聞いています。その上で、10月の次回会合で条文の交渉に入ることとし、それに向けて土台となる案を共同議長が作成することとなったことは、評価したいと思います。年末のCOP21まで時間は限られており、実際に先週の会議でも、全てのグループが進展の遅れに懸念を表明したと聞いています。その一方で、議論の加速化に向けた強い意志が確認され、次回会合で条文交渉に入ること、そのための案を共同議長が示すこととなりました。今回、具体的な内容について実質的な議論ができ、各国の考えについて理解が進んできたことは、COP21に向けた重要な一歩と受け止めています。まだまだやり取りに厳しい状況はあるとは思いますが、なんとしてもCOP21までに取りまとめをしたいと考えております。安倍総理のCOP21参加についてのご質問がありましたが、COP21への総理の出席については何も決まっていません。