大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年7月17日(金)9:50 ~ 10:21 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議後に開催された地球温暖化対策推進本部において、日本の約束草案を決定いたしました。先月初めに取りまとめた政府原案のとおり、2030年度に、2013年度比で26%削減、2005年比で25.4%削減となっております。また、政府原案に対して行っていたパブリックコメントの結果についても、本日公表いたします。約束草案については、速やかに国連気候変動枠組条約事務局に提出いたします。我が国としては今後とも引き続き、本年末に開催されるCOP21における新たな国際枠組みの合意に向け、しっかりと貢献してまいります。また、COP21における新たな国際枠組みに関する合意の状況を踏まえ、できるだけ速やかに地球温暖化対策計画を策定し、削減目標の確実な達成に向けた取組を政府一丸となって進めてまいります。
 7月20日(月)に富士箱根伊豆国立公園の富士山地域を視察します。富士山麓の環境保全に関する取組として、まず、環境省直轄事業及び補助事業により山小屋で整備された環境配慮型トイレの状況、次に、民間の方々による清掃活動の現場、さらに、環境省直轄のビジターセンターなどを視察してまいります。それから、普段から富士山の保全活動に尽力されている地元の方々との意見交換会を行い、世界文化遺産でもある富士山の今後の保全と活用のあり方について考えたいと思います。
 今年4月25日にネパール連邦民主共和国で発生した大地震によるがれきの処理を支援するため、7月19日から約1週間、環境省から廃リ部の災害廃棄物対策チームの職員1名と、専門家1名のあわせて2名を派遣することとしました。発災から3ヵ月弱が経過し、地震被害からの復旧・復興の際に高い優先度を有する、がれきの適正かつ迅速な処理の実施が求められています。これを支援すべく、ネパール政府が秋頃に策定する災害廃棄物の処理計画、いわゆるマスタープランに関して、震災復興過程で蓄積された我が国の知見・教訓を踏まえた助言・指導を行うことを予定しています。

2.質疑応答

(問)日経新聞の川口です。電事連が会見を予定していますが、電力の枠組みについておそらく公表されると思うのですが、環境大臣として改めて枠組みに求めることはどのようなものかお聞かせください。
(答)会見が開かれてないようでございまして、正式にしっかり聞いているわけではありませんが、若干今までのデータ等も踏まえて発言させていただきますと、これまで申し上げているとおり、有識者の御意見を踏まえると、電力システム改革による適正な競争を通じた電源の低炭素化や高効率化が進むよう、電力業界全体の枠組みは、3つほど我々の方から指導しております。まず、業界としての具体的目標が定められ、国の削減目標達成を確実なものとするようにしていただきたいと思います。また、全ての対象事業者が公平に参加し、フリーライダーを出さないようにしっかり業界としてまとまっていただきたいと思います。さらに、2030年度に向けて着実にCO2削減が進む進捗管理、すなわちPDCAがされるといったポイントを満たす必要があると理解しています。電力業界の自主的枠組みがまとまれば、このような実効的な枠組みになっているかを、しっかりと確認したいと考えております。

(問)電力業界が出してきたものがその条件を満たさなかった場合どういった対応をとられるのでしょうか。
(答)今の時点で満たしている、いないということまで分かりませんので、はっきりしたことは言えませんが、どのような形になるのかしっかりと確認しなければなりません。

(問)下野新聞社の須藤です。よろしくお願いします。栃木の指定廃棄物についてお伺いします。一時保管場所の視察で小里副大臣が栃木県にお越しくださいました。どのような報告を受け、どのような対策が必要だとお考えでしょうか。
(答)7月15日に、小里副大臣が、栃木県内にある腐葉土や牧草の一時保管場所のほか、那須塩原クリーンセンターにある焼却灰の一時保管場所を視察しました。それぞれの一時保管場所において、保管者のご努力により、指定廃棄物が適切に管理されていることを確認しました。また、保管者の方からは、「ぜひ県内1ヵ所にこれを集約してもらいたい」といったご要望や、「福島の方々の方が深刻であり、心配」といった気遣いの声を伺ったと聞いております。この地区の皆さまには大変努力をしていただいて、ありがたく思っております。環境省としましては、こうした声も踏まえ、速やかに県内1ヵ所に集約して、長期間にわたり安全に管理できるよう取組を進める必要があると考えております。

(問)重ねてなのですが、必要性と国会日程の兼ね合いがあると思いますが、大臣御自身がご訪問される予定はあるのでしょうか。
(答)今回、政務三役の副大臣が行っていただいて、つぶさに見ていただいて、報告もいただきました。御相談の上、様々なことを考えていきたいと思っております。

(問)朝日新聞の香取です。何点かお伺いしたいのですが、今後、地球温暖化対策計画を作っていきますという話ですが、COP21の合意の状況を踏まえて、政府一丸となって作っていくというお話がありましたが、対策計画を作るのはCOP21の後だという理解でよろしいでしょうか。
(事務方)作業自体はCOP21を待つ必要はないと思います。この目標達成のためにどのような政策が必要かということは詰めていきたいと思います。一方で、COP21で新たな枠組みが合意されるということで国際交渉が進んでいるものですから、合意の状況も踏まえて考えることも、計画の中では重要だと思っております。COP21における国際枠組みの合意の状況も踏まえて、出来る限り速やかに策定するということが先ほど大臣が御発言された趣旨でございます。

(問)作業自体はすぐに始めて、正式決定はCOP21以降ということでよろしいでしょうか。
(答)計画策定はCOP21の後ということになります。

(問)今回、削減目標が決まったということで、削減目標を作ること自体は国なり政府が行うことですが、実際に実行するのは我々国民であるため、その点について何か呼びかけなどはありますでしょうか、
(答)COOL CHOICEということで国民の皆さまに様々な提案や訴えをさせていただいております。様々な業界団体などに御理解をいただいて、我が国がCOPに向けて、環境政策に先進的な役割が必要であるということで、住宅・車にしても、様々な家電製品にしても、協力をしていただけるという声がわき上がっていることから、大きなチャンスと捉えて、オールジャパンで進んでいかなくてはなりません。COOL CHOICEもFun to Shareもそうですが、国民に苦痛を強いる我慢を強いるということではなくて、様々な良い情報を提案して皆さんで努力をしていけば、達成できるというようなものを、しっかりと発信をしていきたいと思います。国際的な約束をしたものでございますので、約束草案の数字を出すために必要なもの基礎的なものは作ってまいりました。そういったものを細分化して、団体の皆さまを始め、国民の皆さまと相談をしながら、なるべく早いうちから始めていきたいと思います。

(問)テレビ朝日の吉野です。環境省のサーバーが閉鎖されて、丸一週間ほどになりますが、所感と今後の見通しについて教えてください。
(答)情報の収集等これまでインターネットを使用した活動ができなくなっていることは事実です。しかし、情報セキュリティーの観点からは、専門家であるとか様々な方々がチームを組んで対応しておりますが、しっかりと調査をした上で安全サイドにたった対応をしていくことが優先すると考えます。職員の皆さんには、こうしたことで国民の皆様へのサービス低下につながることがないように指示をしているところです。今後のことも考えるとサーバー攻撃というのは大きな問題であると考えております。今回のこともひとつの教訓として、しっかりと内容を精査してやっていきたいと思います。

(問)NHKの橋本です。削減目標についてなのですが、原案通り決定したということなのですが、一ヶ月間パブコメをやっていたと思います。パブコメの状況について教えていただきたいということと、パブコメの中には目標の内容について批判的な意見もあったと思うのですが、それを大臣はどのように受け止められたのかという2点をお願いします。
(答)約束草案の政府原案に対するパブコメですけれども、今日もご報告したのですが、1982件の意見が寄せられました。主な意見としては、削減目標のレベルについては、削減目標の数値が低すぎるといった意見や厳しすぎるといった意見、積み上げによる目標設定を評価する意見も、立場立場によって違うと思いますが、そういった意見がありました。もちろん批判的な意見があったことも事実でございます。個別の対策・施策については、森林の機能の重要性を指摘するCO2の吸収効果と言いますか、それからもっと森林を大切にしなければいけないのではないかというような意見だとか、あるいは再エネ、省エネ、原発、石炭火力等に関する様々な意見を多岐にわたっていただきました。また、国際枠組み作りに我が国が積極的な役割を果たすべきという意見、などがありました。パブリックコメントの結果については、本日公表いたします。これらの様々なご意見については、約束草案に記載されている対策・施策を進めていく中で、参考にしていきたいと思っております。

(問)日本テレビの杜です。環境省の所管ではないことのご質問なのですが、安保法制に関してなのですが、昨日衆議院で採決されまして、一方で石破大臣などの閣僚からも理解が進んでいないという声もある中での採決だったのですが、まず望月大臣、端的に国民の理解あるいは賛同は得られていると思われるか思われないかについてお聞かせください。
(答)所管大臣ではございませんけれども、一般的に平和安全法制というのは今まで相当な時間を費やして我々も見てまいりましたが、国の存立を全うして国民の平和な暮らしを守りぬくために必要な法案であると私は認識をしております。本法案に関する国会審議は引き続きこれで終わったわけではありません。これから参議院の審議が控えているということでございますので、そういった場所で議論をいただく中で国民の皆さんの広範な理解を得て成立するように、私も閣僚の一員として様々な面で努力をしていきたいと思っております。

(問)安倍総理も理解は進んでいないということをおっしゃっているわけですが、大臣としては率直にその辺はいかがですか。
(答)様々な意見が出ておりまして、非常に微妙なことでございまして、所管外の事項でございますので、一応見解を述べることは差し控えたいと思いますが、国会審議を経て国民の理解が深まるように政府の一員として努力をしてまいるのが、我々の責任だと思っております。

(問)昨日の採決の確認ですが、大臣は賛成ということでよろしかったでしょうか。
(答)はい、あそこの席におりまして、そして起立いたしましたので、賛成といういことであります。

(問)採決の仕方なのですが、記名投票ではなくて起立採決になったわけで、法的な記録としては一人一人の投票行動というのは記録されないわけですけれども、採決の仕方については妥当であったと思われますでしょうか。
(答)これはやはり国会の審議と言いますか、国対とか議運とかそういったところで決めていただいたことでございまして、我々はそのことについてご意見を言うべき立場にないと思います。

(問)もう一点、新国立競技場の問題なのですが、所管外になって恐縮なのですが、計画の見直しを求める声が非常に多いわけで、政府の中でも検討が進められているということですけれども、これについても大臣のご自身の率直なご意見を伺いたいのですが、見直すべきと思われるか思われないかについてお聞かせいただけますでしょうか。
(答)これも話題の一つではありますけれども、今までずっと下村大臣それからまた新しく遠藤大臣が所管の担当として決まりました。私としましては詳細は分かりませんので、コメントするべき立場にないかと思います。ただ私も閣僚としてよく勉強していく中で、またそういう御意見を言うときがあるかもしれませんが、今は担当大臣がおりますので、コメントを差し控えさせていただきます。

(問)千葉日報の石井と申します。千葉市の指定廃棄物の関係なのですが、また7月20日に市民向けの説明会があるということなのですが、今までの説明会では反対意見というのがなかなか強かったと思うのですが、市民の理解を得るために何か新しい地域振興をやるとか、そういったことを説明される予定はありますでしょうか。
(答)20日の説明会のことでございますが、千人規模の会場が満員になるほどの参加申込みをいただいております。貴重な休日にもかかわらず、多くの千葉市民の皆様にご関心をお寄せいただいたと思います。今まで様々な場所で指定廃棄物について説明会を行ってまいりましたが、200人とか300人とかでした。そういうことを考えると、申し込みが1000人を超したということでございまして、そういう意味では我々の説明を聞いていただくということに関しましては、心より感謝申し上げます。当日の説明会では、指定廃棄物に関する忌憚のないご意見、ご質問を、一つひとつお伺いし、それに対し、丁寧に説明をしていきたいと思います。環境省としまして、千葉市民の方々に誠意を持ってご説明すべく、精一杯努力してまいります。これは本当にありがたい良い機会を与えていただいたと思っております。

(問)そうなると、これまでの説明会の範囲を超えた何か新しいことを説明するということは特にはないということですか。
(事務方)これまでも自治会の関係とかご説明しておりますが、内容的にはこれまでご説明したとおり、選定の経緯であるとか、施設の安全性等についてしっかりとご説明していきたいと思っております。

(問)日経新聞の川口です。先ほど温対計画に関してCOP21の後に策定していくということでしたが、どのくらいになりますでしょうか。例えば年度内なら年度内、そういうことで宜しいでしょうか。
(事務方)特にいつまでにということは決まっていないわけですけれども、できるだけ速やかにと思っております。

(問)環境省としては速やかにといっても、やはりダラダラやっていくわけにはいかない。どの辺がリミットだと思っていますか。
(事務方)今、具体的なリミットについては申し上げる段階にはないのですが、できるだけ作業を急いでいきたいと思っております。

(問)できるだけとは年度内という感じですか。
(答)具体的なリミットを申し上げる段階にはございません。

(問)共同通信の川口です。温暖化の目標の関連なのですが、約2000件のパブコメに、もう少し目標を高めるべきだというご意見、逆に厳しすぎるというご意見、様々あったとご説明がありました。政府として目標を変えなかった理由は何なのか教えてください。
(答)政府原案は、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能なものとして策定しましたが、パブリックコメントでは、もちろんいろいろな立場があって様々な御意見をいただきました。これはこれでありがたいと思っておます。削減目標の数値が低すぎるといった意見や厳しすぎるといった意見、妥当であるといった意見など、様々な意見がありました。この目標は皆さんご存じのように、省庁単位でいろいろな考え方があって、経産省には経済の安定とか経産省の考え方、農水省は農水省で森林を大切にして吸収源を増やしたいとか、国交省は国交省で道路の問題とかもございます。そういうものを積み上げてきました。ただパブリックコメントは、国民の声であるということで我々もそういったことに耳を傾け、それぞれの立場立場での様々なご意見をしっかりと総合的に勘案した結果、原案を維持することが適当だという判断をした次第でございます。ただパブリックコメントの中にも、我が国の状況を踏まえて、参考になるご意見をいただいております。全体の所は今回の26%ということは変わらないですが、こういった様々な意見を、約束草案に記載されている対策とか施策を進めていく中で、しっかりと参考にさせていただきたいと思っております。そしてパブコメの内容については、皆様方にしっかりと公表させていただきますので、またそれについてご批評をいただいたら、ありがたいと思います。

(問)2点目なのですが、30年までの目標は正式決定を今日されました。20年までの目標の見直しについてはいつ頃までに、どのように進めるお考えでしょうか。
(答)我が国は、平成25年11月に2020年度の温室効果ガス排出量を2005年比で3.8%削減するという目標を国連気候変動枠組条約事務局に登録しているわけであります。この目標は、原子力発電による温室効果ガスの削減効果を含めずに設定した現時点の目標でございまして、「エネルギー政策やエネルギーミックスの検討の進展を踏まえて見直し、確定的な目標を設定する」こととしております。2020年度の目標の扱いをどうするかについては、今後政府内で良く相談をしていきたいと思います。

(問)最後に3点目なのですが、サイバー攻撃の関係なのですが、その調査のために一週間ほどインターネットが職員の方は使えない状況が続いていると思います。仕事への支障は出ていないのか、もし出ているとすると何か対策を取られているのか、教えてください。
(事務方)先ほど大臣からお答えいただいきましたように、実際情報の収集とインターネットができないということがあるのは事実でございます。ただ大臣からお答えいただいたように情報セキュリティという観点からはしっかりと調査した上で安全サイドに立った対応が必要という現状があるわけです。そういった意味で、正直申し上げれば職員が情報収集できないという不便があるということは事実でございますけれども、いろいろな形で情報収集ができるような工夫は事務的には考えたいと思っております。まだ具体的には決まっておりません。
(答)これは環境省の中だけの問題ではなく、国民の皆様へのサービスの低下につながってはいけない、これが一番大切だと思います。今回このような事件がおきまして、様々なところで政府の中でもサイバー攻撃と言いますか、そういったことがあります。こういった場合に安全サイドに立った対応を最優先すべきだということと、これでインターネットを切ってしまいますので、そういった場合に一体どうなるのかという対応もこれからしっかりと考えていかなければならない。こういうことは起こりえることで、これで終わりということではございませんので、これを良い教訓にしなくてはいけないと思っております。それでないとまた同じようなことがおきて、最終的に国民の皆様にご迷惑を掛けるということにならないように、今回こういったことを通してしっかりと危機管理の改善をしていけるように、しっかりやっていくようにと、私の方からは指示しております。