大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年7月7日(火)9:13 ~ 9:32 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、閣議前に、中央防災会議が開催され、防災基本計画の修正を決定いたしました。今回の修正では、本年3月の3年以内の見直し検討チームの報告等を踏まえ、原子力災害と自然災害の複合災害への対応強化を盛り込んでおります。また、会議の中で、泉田新潟県知事より、全国知事会の特別委員会での提案を踏まえ、原子力防災に関し、SPEEDIを活用すべきとの趣旨のご意見がありました。本意見に対して、私の方から、SPEEDIによる予測結果に基づく避難を行うとした場合、予測と現実は異なる可能性が常にあり、予測が外れた場合には、たまたま風向きが変わってそちらの方に避難してしまうなど、SPEEDIの予測と違うこともありますので、住民の被ばく線量が大きくなってしまうということもございます。現在の指針に基づき、きめ細かなモニタリングデータに基づき避難指示を行う方が、結果として住民を被ばくから守ることになります。今回の防災基本計画の見直しは、本年4月に原子力規制委員会が改定した原子力災害対策指針の内容を反映したものであります。一方で、地域防災計画策定など事前の準備として地方公共団体が予測的手法を活用することに関しては、規制委員会も否定はしておりません。ついては、知事会のご要請を踏まえ、防災基本計画に「国は、地域防災計画・避難計画に係る具体化・充実化に当たって地方公共団体が大気中放射性物質拡散計算を活用する場合には、専門的・技術的観点から支援を行うものとする。」という文章を追記したいとの旨を発言いたしました。私の発言を受け、議論を行った結果として、修正案のとおり防災基本計画は決定されております。

2.質疑応答

(問)日経新聞の川口です。今日から九州電力の川内原発で燃料の装填が行われますが、再稼働に向けて大きく動き出したことになりますが、原発の再稼働に関して国民の支持を受けているとお考えでしょうか。
(答)川内原発の発電所の1号機で燃料が装荷されたということは原子力規制委員会より伺っております。原子力規制委員会においては引き続き科学的、技術的見地から厳格に審査が行われることが重要であると思っております。いずれにいたしましても、原子力災害の備えに「終わり」や「完璧」はないと考えております。安全神話で止まってしまうということが非常に危険でございます。
今までを反省し、「終わり」や「完璧」ということがないということを常に意識し、防災計画を見直していかなくてはならないと考えております。原子力防災担当大臣として、各地域の防災対策の充実化に継続的に取り組んでまいります。
(問)再稼働に関して国民の支持を受けているとお考えでしょうか。
(答)独立性の高い3条委員会として環境省の外局に原子力規制委員会が設置されており、私の方から原発の利用について触れますと、非常に問題になりますので、発言は控えさせていただきます。

(問)日本テレビの杜です。川内原発について、原子力防災の備えに終わりや完璧はないとおっしゃってましたが、現段階での防災計画に関して完璧はないということで、満点ということではないと思いますが、合格点に達しているのか、足りない部分があるのかお聞かせください。
(答)川内原発の緊急時対応については、昨年9月に、全閣僚がメンバーとなっている原子力防災会議で国としては了承しております。終わりや完璧はありませんので、今後とも訓練等を通じて地域防災計画・避難計画の継続的な改善強化に努めてまいります。まず一義的には事故を起こさないということを前提に、万が一事故が起きたための備えであるため、事故が起こらないからという手抜きは絶対にしてはいけないというのが福島の教訓であります。地域で防災計画を作っていただいておりましたが、国も一体となって作っていくことで、現場と国のさまざまな知見を併せ持って、現在計画を具体化しているところでございます。
(問)大臣が1月に現地を視察されたときに、県知事とのお話の中で、防災計画に基づいた訓練を5月にも行いたいという発言がありました。実際に訓練は出来てはいない状況で県知事の方も再稼働前に訓練をするのは厳しいのではないかということも示されてましたが、訓練を再稼働前にするべきではないかという住民の声もありますがいかがでしょうか。防災計画に実効性を持たせるために、訓練を一度行っておくべきではないかという声についてです。
(答)川内原発については、鹿児島県主催の原子力防災訓練の予定をしております。国としても地域原子力防災会議を通じまして、企画段階から積極的に参加して、計画等の実効性のさらなる向上に努めてまいりたいと思っております。まとまったところで、訓練を行いたいと考えております。
(問)再稼働する前に訓練を行うべきであるという声についてはいかがでしょうか。
(答)訓練はしっかり実効的に成功するかどうかは地域の皆さまにも大変関係のあることですので、地元の県をはじめ、みなさんとよく相談をして決めていきたいと思います。
(問)大臣は原子力防災を担当されているわけですから、防災訓練をしていないのだから再稼働は待つようにと、大臣から要請なりするお考えは、今のところはないということでよろしいでしょうか。
(答)原発の規制に関しては原子力規制委員会の所管でございまして、3条委員会である規制委員会を守っていく立場でありますので、防災訓練をしなければ再稼働するべきではないという質問への発言は控えさせていただきます。日本中にある原子力発電所について地域と国が一体となって、防災計画を立てていくということは我々の仕事であります。再稼働の問題についての発言は控えさせていただきます。
(問)おっしゃっていることはよく分かるのですが、稼働してもよいということは言えないと思いますが、ストッパーとしての役割はいかがでしょうか。
(答)万が一何かあったときには住民の皆さまの命を守るという意味で、しっかりとした防災計画を作って、しっかり時期を定めて、訓練をして、役に立つかどうかさまざま細かい点まで見ていきたいと思います。
(事務方)内閣府の原子力防災担当でございます。川内地域につきましては、一昨年、国が主催しまして大規模な避難訓練を行っております。訓練を通じてさまざまな知見を発展させて、避難計画に盛り込まなければなりませんが、今後も行っていきたいと思います。
(問)再稼働の前にぜひとも訓練を行わなければならないというお考えではないということでしょうか。
(事務方)昨年にきめ細かな防災計画が作られたと認識しております。それに基づきさまざまな部署で想定などをしておりまして、住民を含めた大規模な訓練につきましては鹿児島県が計画しておりますが、年度内に行う方向で検討しております。

(問)千葉日報の石井です。千葉の指定廃棄物について伺いたいのですが、昨日隣接する市原市の方に福山政務官が説明されたということなのですが、地元のほうからは今後も千葉市のように説明を継続してほしいとの要望があったようなのですが、これについてどのように対応されるつもりか、ということと、今日ないしは近日中にある千葉市の説明会について意気込みを聞かせて頂きたいです。
(答)近隣の市町村への対応についてのご質問がありましたが、環境省としましては、まずは、詳細調査候補地が所在する千葉市の地元の方々に、ご説明をさせていただきたいと考えております。今後の対応につきましては、県ともよく相談しながら、考えていきたいと思っております。また、今後の千葉市での説明会についてもご質問がございましたけれども、千葉県における詳細調査候補地の選定経緯や、施設の必要性あるいは安全性について、地元の方々のご理解が得られるよう、丁寧にご説明するとともに、地元の方々のご心配やご意見に耳を傾けることが何よりも重要であると考えております。先日6月29日に、千葉市町内自治会連絡協議会の関係者の皆様方にご説明したところですが、本日の説明会につきましても、環境省としましては、誠意を持ってご説明すべく、精一杯努力してまいります。

(問)熊本日日新聞の山口と申します。水俣病の問題について二件、お尋ねします。国の公害健康被害不服審査会が現行の認定基準を支持する形での裁決を行ったということが明らかになりました。その判断についての大臣のご所感と、熊本県の知事が認定業務再開の条件としていたものが今回で出揃ったという形になったと思うのですが、このことについても大臣の御所感をお願いします。
(答)独立性の高い審査機関である公害健康被害補償不服審査会が、その専門的知見に基づいて、お決めになったことですので、裁決内容についてコメントすることは差し控えます。また、熊本県が認定審査会を再開するかどうかという話でございましたけれども、今まで様々な経緯がございまして、そういう中でこのような結果が出ましたので、熊本県知事においてご判断をいただくということを尊重したいと考えております。環境省としましては、不服審査会の裁決を踏まえまして、知事のご判断をお待ちしたいという、今までの立場と変わりはございません。