大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年6月30日(火)9:10 ~ 9:28 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 6月27日土曜日に上野動物園と富山市ファミリーパークでライチョウの卵がふ化しました。今月5日と23日に乗鞍岳から採取した10卵のうち、今日までに8羽のヒナがふ化しています。残念ながら、残りの2卵のうち1卵については、昨日、発生が中止していることが分かりました。ふ化したヒナは、しばらくは状態が安定しないようなので、注意深く見守っていきたいと考えています。今後は、将来的な野生復帰も目指して生息地の保全とあわせて、動物園と連携した取組を進めていきます。
 環境省では、昨年12月より「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトを立ち上げ、有識者の方々とともに、自然の恵みを供給してきた地方と、恵みの受け手である都市とのつながりを強化し、国民全体で支えていく仕組みを検討してまいりました。本日、検討の結果を「中間とりまとめ」として公表します。今後は、シンポジウムやフォーラムを開催し、中間とりまとめに対する賛同者を募っていくとともに、実現のための具体的な方策を検討してまいります。

2.質疑応答

(問)共同通信の堀野と申します。ライチョウについて2点お伺いいたします。来年以降、今年のように生息地から卵を採ってくるような御予定はあるのか、また、最終的に野生復帰を目指しているということですけれども、野生復帰の時期や方法はどのように考えておられるのか教えてください。
(答)いまのところ、来年以降に採取する計画はありません。今回採取した卵からかえったヒナの生育状況、オスメスの割合などをみて、必要に応じて検討していきたいと考えています。また、今回、乗鞍岳から採取した卵では、動物園と連携し、今後5年を目途にライチョウの飼育下での繁殖技術を確立させたいと考えていますが、乗鞍岳での野生復帰は予定していません。確立させた飼育下繁殖技術を用いて、約10年後を目標に個体数が著しく減少している南アルプスでの野生復帰を目指していきたいと考えています。

(問)NHKの大井と申します。森里川海プロジェクトについて、新たな取組に伴う負担の部分において、新しい税金の導入も含めて検討していくというお考えでよろしいでしょうか。負担のあり方について教えてください。
(答)中間とりまとめには、実現に向けた仕組みとして、ボトムアップでの取組を進めるための協議会の設置や、資金や労力を確保するための仕組みが提案されています。協議会などの仕組みについて、具体的な制度設計を検討するとともに、必要な予算要求や税制改正要望についても検討してまいります。

(問)夏の税制改正要望でも具体的に要望するというお考えでしょうか。
(答)昨年の税制改正要望でも、「生態系サービスから受益する国民が広く薄く負担する仕組み」の創設を要望したところであり、今年の対応については、夏に向けて検討してまいります。

(問)下野新聞社の須藤です。栃木県の指定廃棄物についてお伺いします。先週金曜日ですが、大臣が文書でお願いしていた塩谷町の住民説明会について町長名義の文書で正式に拒否する意向が示されました。御所感をお願いいたします。
(答)26日に塩谷町の担当者から、現段階では説明会を開催することは難しい旨の回答文書をいただきました。環境省としましては、今までは比較的受け付けていただけないこともあったため、手紙を送ったりなどして連絡を取ってまいりました。職員が現地に出向いて顔を会わせることも行ってまいりましたので、丁寧かつ積極的な対応に努めてまいります。地元の方々に丁寧に説明を行う努力を続けていく方針に変わりはありません。引き続き信頼関係を構築出来るように丁寧に行ってまいります。

(問)町側からは住民説明会を開くにせよ、説明会と詳細調査を関連しないようにセパレートした形で行う約束であれば、もってもよいということもありますが、このような御要望について大臣としては乗れる相談なのでしょうか、乗れない相談なのでしょうか。
(事務方)地元への御説明、選定経緯、施設の安全性と必要性につきまして、これまで市町村長会議の中ではいろいろな議論と御説明をしてまいりました。住民の皆さまに必ずしも十分に伝わっていないということでございます。その部分の御理解をしっかりと合わせていくということが今回の第一の趣旨でございます。将来的には詳細調査はあるわけではございますけれども、まずはその部分(選定経緯、施設の安全性と必要性等)の理解を進めさせていただくということで説明の機会をいただきたいと思っております。

(問)フジテレビの加藤です。ライチョウの保護について、今回の保護繁殖事業において富山に期待されることをまずお聞かせください。
(答)富山県の立山はライチョウの主要な生息地のひとつであります。その生息地の保全と今回の技術開発のための飼育・繁殖を地域の協力もいただきながら車の両輪として進めてまいります。

(問)森里川海プロジェクトについて、今回、富山は豊かな自然や環境文化があるとは思うのですが、そのようなことをモチーフとして考えられていることはあるのでしょうか。
(答)富山はもとより、日本の豊かな自然や文化をどのように将来世代に引き継いでいくか大切なことでございます。今あるものを大切にしていくと同時に、次の世代に引き継いでいくという責任が環境省にはございます。これらを守っていくには、皆さんの御協力と努力をしていただかなくてはならないことから引き続き考えてまいります。

(問)千葉日報の石井と申します。昨日の千葉市の自治体連絡協議への説明会について伺いたいのですが、自治連協の方からは撤回を求める要望書を出す方針だそうなのですが、大臣としてどのように受け止めになられているのか教えて下さい。
(答)千葉の問題につきましても、丁寧な説明を積み重ねて信頼関係をつくって、ことを進めていきたいと思います。我々はこういった問題については、最初からそんなに簡単に「はい、わかりました」という状況では無いと思っておりまして、ただ住民の皆様が様々心配なさったり風評被害があったりということがございますので、我々としましては、安全性を始め、御理解いただけるよう、十分に説明をさせていただきたいなと思っております。

(問)重ねてなのですが、追加の説明会を検討するという話もあったのですが、どのくらい回数を重ねていこうかとお考えでしょうか。
(事務方)今後の予定でございます。これまで公表しております、昨日終わった分も含めた3回でございますが、それ以降につきましては、これまでこの開催につきましてはいろいろとご相談を申し上げながら進めております市の当局とよく相談しながら検討してまいりたいと思っております。

(問)読売新聞の野崎と申します。先ほど官邸で総理とお話されていたと思うのですが、何か報告事項や預かり事はありますでしょうか。
(答)総理の日程を見るとたくさんの閣僚の方が行って、いろいろと話し合いをされているようなのですが、総理も比較的忙しい時期なので私は遠慮していたのですが、現在の福島の除染の状況だとか中間貯蔵施設エコテックや指定廃棄物の関係、それからCOP21に向けて26%の削減というものがどうだったかという話をそんなに長い時間では無いのですが、若干させていただいて、我が国の約束を守れるように環境省としても努力をしていきたい、そのような話をさせていただきました。

(問)環境省が今抱えていることについて話されたということですか。
(答)そうですね。そのような形です。

(問)共同通信の川口です。「森里川海」の関係なのですが、新しい税となると、農林水産省などの従来の省庁との切り分けをどうするかですとか、森林税などの従来ある税とどのように区別をしていくかということが課題になってくるかと思います。そのあたり大臣はどのようにお考えになられていて、いつくらいまでに税制要望に上げるか、検討を終了したいと考えていらっしゃいますか。
(答)昨年も税制要望させていただきました。今年もはっきり言って検討中でございます。やはり新税という形になりますと難しい状況がありますし、また森林税という形などどういう形が良いかというのは非常に難しい状況があります。やっと消費税などの経済に与える影響がいろいろな会合で話をしても若干立ち直ってきたというところがあるということであります。これは我々の方でよく話をするのですが、税金という考え方の中でもお賽銭だという話がございますが、一日一人一円の恵みに対する感謝の気持ちを持ってやっていただきたいというような気持ちでやる、その気持ちが国民の皆様が我々の今の時代だけではなく、次の時代までそういったものを残していきたいと、今の責任からしてそれくらいがいかがなものかなと。ただやはり経済がこういったことによって影響があるとなると困るということもあります。経済産業省や、農林水産省ともどういう形が一番良いかをよく研究をして、今年の税制要望にしっかりと繋げていきたいと思っております。

(問)朝日新聞の小坪です。よろしくお願いします。今の「森里川海プロジェクト」の関係で、どのくらいの資金の調達が望ましいと大臣としてはお考えなのかということが1点。もう1点は先週の金曜日に西沖の山発電所の関係で、経産大臣の発言が出たと思うのですが、あれの受け止めというのはどのようにお感じでいらっしゃいますでしょうか。
(事務方)まず財源については、先ほど大臣からもお話がありましたように、今後の税制改正要望を考えていく中で考えていこうということで、今想定しているものは特に無いという状況でございます。
(答)西沖の山発電所の計画段階の環境配慮書に対する環境影響評価法に基づく経済産業大臣の意見でございますが、これは金曜日に発出されたということでございます。この経済産業大臣の意見でございますが、地球温暖化対策に関わる電力業界全体の自主的な枠組、この国の目標や計画の策定とあわせて早期に構築される、これは四大臣会合の合意ということになっておりますが、早期に構築されるように発電事業者として努めることを求めるものと聞いております。私としましては、これは電力業界による実効性のある枠組が早期に構築されるように業界全体が真摯に取り組んでいただくとともに、経済産業省においてはその取組を促していただくことが重要であると思っております。2年前に自主的取組をしっかりとやっていただきたいと、我々もそういったものを待ち望んでいたわけでありまして、それから今度のCOP21での26%という国の目標案が決まったところで、しっかりと自主的取組を進めていただきたいということを我々の方からもお願いをさせていただいたということであります。