大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成26年9月2日(火)10:30 ~ 10:46 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日の閣議ですが当省に特段関係のある案件はありませんでした。閣僚懇談会で、私と根本復興大臣から、昨日、佐藤雄平福島県知事、また渡辺大熊町長、伊沢双葉町長においでいただき、中間貯蔵施設の建設を受諾をするという旨を総理に御報告いただき、また、総理のほうからも大変重い決断と深く感謝申し上げるというお話がありました。これまでの関係府省の協力に対して感謝の言葉を申し上げました。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事、テレビ朝日の吉野と申します。よろしくお願いします。内閣改造前日ということで、今お話のあった中間貯蔵施設が一区切り付いたことも含めまして、これまでの就任期間中の御所感をお願い致します。
(答)昨日、私も根本大臣と福島に行き、正式に知事から建設の受入れ表明をいただきました。考えてみますと、一番最初に訪問させていただいたのも福島県でしたし、佐藤知事だったと思います。安倍内閣の基本方針である「福島の復興無くして日本の再生なし」、そういうつもりで取り組んで参りましたが、この放射線という問題は誰もが経験したことの無い問題であり、大変難しい問題が未だに続いているのだと認識しています。昨日、「大変重い苦渋の決断」という言葉を知事は使われていましたが、中間貯蔵施設の建設の受入れを認めていただいたことは、これまで除染したものを搬入する目途がつき、もちろんこれから御要望のありました地権者への説明会を丁寧に開いて、御理解を得て、土地を売却していただく、あるいは、地上権を譲っていただく、そういうことに尽力をしていかなければならないと思っています。
環境省はそれ以外にも、非常に大きな課題を抱えていると思っています。今年の夏は西日本を中心に豪雨災害、あるいは天候不順がありましたし、ゲリラ豪雨の1時間当たりの雨量も、都市部で吸収できる量を超えてしまう事態が各地で発生しています。これら全てが地球温暖化、気候変動の影響かということは専門家に答えを委ねるところですけれども、やはり気候変動対策はこれからも人類が地球上に生存していく上で非常に重要な課題だと思っています。そんな中で昨年ワルシャワで開催されたCOPに参りまして、2020年の目標について、エネルギーミックスが決まっていない、すなわち原発が動くか動かないかまだなんとも言えない状況の中で――薩摩川内の原発は規制庁の方で許可が出ましたが、まだいつ再稼働するかということについては現在もわからない訳ですが――そんな中で3.8%という暫定値を設定しました。来年パリで開かれるCOP21に向けて、やはり、2030年の野心的な目標を、日本としても示していかなければならない。そして本当に削減していく上で、これは安倍内閣は力を入れていますが、再生可能エネルギーの推進が非常に重要になってくる。我が省としては、長崎県の五島において浮体式の洋上風力発電、そして、そこで取ったエネルギーを今年からは水として蓄えるという新しい取組をしています。これ以外にも地熱、或いは小水力、こういうものを育てていかなければならないと考えています。またこれが地域の創生にも役立つのではないかという気が致しました。
もう一つ本来業務として大切なことは、種の保存です。この1年8ヶ月の間で一番大きく取り扱われたのは、実はニホンウナギを環境省レッドリストに載せたということと、最近世界的な科学者の会合でニホンウナギがIUCNレッドリストに掲載されたこと。これが2016年以降のワシントン条約にどう影響してくるのかということです。すなわち我々の文化として当然であるものも、食べることができなくなるような事態が起こりうる地球環境になっている。地球環境が著しく損なわれているということは、私も色々な地域を歩き強く感じたところです。特に知床、尾瀬、南アルプス等の国立公園で、シカとイノシシによる植生への被害がこんなにも拡大しているのかと、愕然としました。地元の方のお話を聞きますと、特に南アルプスでは2,500mで植生域が大きく変わり、大きな木が無くなり草原等になるのですが、昔は実はそこまでシカは登ってこなかった。そこで植生を荒らすようなことは無かったということです。しかし、あそこは天然記念物のライチョウもいるのですれども、ライチョウが食べるものをシカが食べてしまうなど生態系に著しい被害が起こっている。そんな中で鳥獣保護法の改正を行い、野生鳥獣の管理という概念を強く打ち出す法律改正を行いました。施行はまだですが、平成35年度までに速やかに個体数を半減するという目標が掲げられており、これを現実に実施して行かないと色々なところで天然記念物あるいは様々な植生が大きく壊れていってしまう。こういうことも実は環境省の本来業務ですし、力を入れてこの豊かな自然を守っていかなければならないと感じました。
さらには震災がれきの処理で宮城県、岩手県においては完了致しました。伊豆大島は集中豪雨ですけれども、おかげさまでかなりのがれき処理が済みました。昨日も首都直下型の地震に対する防災訓練を行いましたが、実はこの首都直下地震が発生した時のがれきの処理は大変大きな問題になって参ります。今鋭意、検討させている最中ですが、こういうものについても広域的な協力をいただいて速やかに仮置き場に搬入して処理をしていく体制を作っていかないと、いざ災害が起こった時に立ち往生をしてしまう。こういう問題もあります。
さらには水俣の慰霊式に私は2度訪問させていただましたが、水俣病はまだ終わっていないという認識を強く持ちました。現在もいろんな動きがありますが、環境省の本来業務である公害業務というものはしっかり行っていかなければいけません。リニア新幹線の時に大きな記事にしていただきましたが、環境アセス。風力発電の場所がオオタカ等の生息地に近いということ、或いは渡り鳥等のバードストライクの問題が色んなところで起きていますので、そういうことができるだけ減らしつつ再生可能エネルギーを導入していく。そういう環境アセスも非常に重要です。このような環境省本来業務についてしっかりと取り組んでもらうように職員には申しているところです。いくらでもしゃべれるのですけれども、このぐらいにさせていただきます。

(問)日本テレビの杜です。よろしくお願いします。昨日受入れ表明がありました中間貯蔵施設に関して、2点お尋ねしたいと思います。まず1点目なのですけれども、住民の方への説明というところなのですが、先日大臣もおっしゃられていました地権者以外の住民に対して資料を送付してコールセンターを設けるということなのですけれども、5月6月の住民説明会では、もう少し住民説明会を開いてほしいという意見もありましたが、そういう中で例えばコールセンターに寄せられた住民の質問ですとか意見みたいなものを共有できるような形、或いは施策に反映させるような形のシステムをとるお考えはあるのかというのが1つ目です。2点目、交付金についてですけれども、2町に国から850億円直接交付するというお話がありました。基本的に自由度が極めて高い交付金ということで使い方は町に委ねるということになると思うのですけれども、町の方向性と、例えば住民の考えている方向性が違った場合に、国が何らかの形で、当然メニューといいますかこういう形で使いますよと示しはしているとは思うのですけれども、国がもう少し主体的に交付金の使い方に対して関わる考えはあるのかというところです。以上2点です。
(答)2点につきましては事務方から説明をさせます。
(事務方)お答えさせていただきます。コールセンターにつきましては、先週の水曜日に行政区長会がありまして、その後発送いたしております。実際に電話がかかってきているのは金曜日からなので、金曜日と昨日の2日ということですけれども、福島を合わせまして30数件くらいいただいているということになります。用地補償の内容について聞かれているのがかなり多いのですけれども、御質問のありました、内容について共有するというシステムについては検討していきたいと思います。それから交付金についてですけれども、これまでは使途の概要を示していますけれども、最終的には制度要綱を作ってその運用も含めて決めていく形になりますので、その中で色々な点について検討して参りたいと思っています。

(問)TBSの阿部です。除染についてお尋ねします。先月の検討会で川や池・沼の底については、基本的に除染を行わない方針を示されましたが、特にため池については自治体から除染して欲しいという要望が根強くあります。そうした要望について大臣どう答えるおつもりでしょうか。もう1点、消火用の水を貯める防火水槽で、蓋のないものが多くてこれについても自治体は除染を要望してますけれども、環境省は必要ないとそれに答えていないケースがあります。これについては大臣はどうお考えでしょうか。
(答)環境回復検討会は、水・大気局長の私的な諮問機関であって、その決定が環境省の決定ではありません。そこを御理解いただきたいと思います。ため池の御質問がありましたが、ため池については農業振興の観点から農林水産省が事業を行っています。普通のため池でも、水があればセシウム等安定的に外に放射線を発散しないんですけれども、水が無くなったり、干上がると御懸念のようなことがありますので、そういうものはしっかりと農林水産省の予算の中でこれまで通り対策を行っていくということになると思います。
(問)防火水槽の件については。
(答)今のため池と非常に似ているんですけれども、防火水槽で水がなくなってしまい、そこに土が堆積していると問題になるわけです。水があれば問題はない。そういう場合は特措法の除染の対象として、市町村にご判断いただいて、除染をさせていただいていますし、これからも同じだと思います。肝心なことは、人の外部被曝を低減させる観点から効果的な対策を講じていかなければならないということで、これはこれからの話ですけれども、その基本は変わらないんだと思います。

(問)熊本日々新聞の山口と申します。先週の金曜日に、水俣病特措法に基づく判定結果の数字が公表されました。全体で3万8000人が、なんらかの形で一時金なり手帳の交付という形で救済を受けたわけですけども、まもなく公式確認から60年経つという中で、これだけ多くの人がまだ被害者が埋もれていた形になったと思うんですけれども、これについて大臣はどうお考えになるかという点と、認定審査のために特措法による救済を逃した方もいらっしゃいますし、裁判を続けていらっしゃる方もいらっしゃいます。こういった人たちの救済を、省としてどう考えられるか所見をお尋ねしたいと思います。
(答)先ほど私の所感の中でお話しさせていただいた通り、水俣病というのはまだ終わっていないというのが、政府の基本的な捉え方です。水俣病の問題が、特措法の救済措置をもって終わるという認識はこれまでも持っていませんし、これからも持たないと思います。ご存じのとおり、公健法での補償は、続きますし、医療や福祉の充実、地域振興あるいは融和の精神、事業も行って参ります。これは環境省の一つの原点ですので、役所を挙げて、積極的に取り組んでほしいとかねがね事務方にも指示を出しているところです。