大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成26年8月5日(火)10:55~11:11  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

本日の閣議では、当省に特段関係のある案件はありませんでした。
かねてから検討することをお知らせしていました、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした、環境省の取組についての具体的な方向がまとまってきましたので御説明します。有識者の方々から様々な意見を伺いました。大会そのものの取組について、さらには、東京都市圏の中長期的な環境面での課題について、環境省としての基本的な考えをまとめたものです。正直なところ、私も色々話を聞きましたが、実現していくには大きな課題が山積している気がします。今後、関係府省や東京都、特に開催が予定されている東京都江東区、あるいは様々な区の皆様と緊密に連携して、具体化に向けた話を詰めていきたいと考えています。それでは、説明します。
オリンピック憲章の中に、「オリンピック競技大会開催について、持続可能な開発を促進する」ということが明記されています。東京を中心とした都市圏は、G7の一国に匹敵するインパクトがあります。気候変動問題をはじめとする人類共通の課題に対して、東京の取組で世界に貢献することが求められています。具体的には、「環境にやさしい五輪」と「環境都市東京」の実現が重要だと考えています。
その中で大切なことはやはり第一に低炭素社会づくりだと思っています。奇しくも2020年という年は温室効果ガスの削減目標年という節目の年でもあります。2020年目標の確実な達成と、安倍総理が提唱をされた2050年80%削減に向けた取組を加速化していかなければならない、そんな年になると思っています。大会運営全体を通じて温室効果ガスを削減します。また、再開発の機会を活用して、最先端の低炭素技術の導入や、燃料電池車の導入が重要だと考えています。
そして、2番目ですが、今日の気温で皆さんもわかると思いますが、ヒートアイランド対策・熱中症対策が、このオリンピックでアスリートの皆さん、また観客の皆さんにとって重要になってくると思います。東京の平均気温は、1964年と比べて平均で1.3度上がっています。1964年の時は10月10日が開会式だったと思いますが、今度は8月です。まさに真夏の大会。選手や観客の暑さ対策は相当大きな課題ではないかと思っています。マラソンコース周辺をはじめとする大会会場周辺において、歩道の日差し除けやミストの噴霧などの熱中症対策を行っていきたいと考えています。先般丸の内を見ましたが、丸の内では30度になると自動的にミストが出るシステムができています。また、中長期的に東京を快適な都市にしたい。このため、建物や自動車交通からの排熱の低減や、緑地・水面・風の道の確保などが重要になってくると考えています。これについてはディベロッパーの方も色々考えてくださっていますが、これから建設するものについては、東京湾のほうから東京駅にかけて、風の道をしっかりと作っていくということも環境省としてサポートしていきたいと考えています。
3番目はやはり大気環境、良好な大気環境だと私は考えています。1964年大会の時と比べると、東京の空気はSOx等、随分きれいになったと思います。しかし、新たな課題も残っています。昨年来、国民の皆様方の関心が大変高まっているPM2.5や私が学生の頃など頻発していた、いわゆる光化学スモッグ、光化学オキシダント対策などを進めていかなければならないと考えています。夏場に発生しやすい光化学スモッグを防止するためにはNOxの排出抑制、さらにはVOC対策の実施が重要になってくると考えています。
4番目としては、主会場がウォーターフロントにありますので、生活排水処理施設の高度化など東京湾の水質改善に向けた取組です。大会までの限られた期間で実施できるかが大きな課題です。また、都内の貴重な水辺空間である内濠・外濠の周辺でも競技が開催されます。それらの水質改善というものも大きな課題の1つだと考えています。
5番目ですが、これはいうまでもありませんが3Rの推進です。前回の1964年大会の際には、23区のごみの収集システムが実は大幅に改良されました。2020年の大会を契機に、3Rのうちのリデュース、リユースの2Rの取組を強力に推進していきたいと考えています。また、リサイクルを考慮した統一分別収集ラベルの導入が重要な課題です。
6番目は、自然と共生する社会の実現も重要になってくると思います。数多くの外国人の方が来日されるので、この機会に東京をはじめ、全国の国立公園、あるいは近隣の自然を紹介します。また、外国人の方に向けて日本の魅力を発信していきます。さらに、森・里・川・海のつながりを回復していきたい。世界最大の都市圏である東京で、自然と共生する社会を実現することで、今後、都市化が進む途上国に対してモデルケースを示すことが出来るのではないかと考えています。
最後に、当面の環境省の取組を地図に沿って御説明します。大会運営施設に最先端の低炭素技術を導入するための支援を行います。また、東京と地方との連携による地域振興の一環として、水俣のバイオマス発電の電気を丸の内に供給する計画を支援していこうと考えています。また、ヒートアイランド・熱中症対策として、大会会場周辺において、保水性舗装等を組み合わせて、体感温度が下がるような対策を実施していきたいと考えています。東京湾、皇居内濠、外濠において、水質浄化に向けた取組を関係府省や地方公共団体と連携して進めます。3Rに関する技術開発や実証事業の実施や、統一分別収集ラベルの導入などを検討します。加えて、東日本大震災から復興した姿を発信するとともに、日本の優れた自然の紹介と活用を促すための情報発信も環境省として進めていきたいと考えています。詳細については原局から詳しく御説明します。以上です。

2.質疑応答

(問)今月、幹事社の時事通信の相京です。おはようございます。まず、今の件で1点お伺いします。今発言のあった取組の具体化を通じてどのようなオリンピックにしていきたいかということを大臣のお言葉で意気込みをお伺いしたいと思います。
(答)やはり2020年がちょうど温室効果ガス削減の節目の年にあたりますので、日本の技術で環境負荷をどれだけ抑えることができているのかということを、環境省としてバックアップして、世界に発信していくことが重要だと考えています。
(問)もう1点、別件でお伺いします。指定廃棄物の最終処分場の件なのですが、昨日宮城県で市町村長会議がありまして、村井知事が詳細調査を受け入れる考えを示されました。この判断に対する大臣の受け止めをお願いしたいということと、宮城の場合は積雪の関係で調査入りが急がれる部分があるかとは思うのですが、調査開始の時期など現時点でおっしゃられることがあれば併せてお願いします。
(答)私も報道で承知していますが、村井知事のリーダーシップにより、昨日、県主催の市町村長会議が開催され、県内35市町村の意見をとりまとめていただき、県としては詳細調査を3つの市町で行うことを受け入れることを決められたと承知しています。大変感謝を申し上げたいと思います。まだ正式に村井知事と話をしていませんので、今後の進め方については知事からしっかり話を聞いた上で、国がしっかりと示していくという案件だと思っています。

(問)日本テレビの杜です。よろしくお願いします。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会で丁寧な説明ありがとうございました。1点お尋ねしたいのは、実行にあたってまだ様々な課題があるということを大臣もおっしゃられていましたけれども、実行にあたっての一番大きな課題は何だというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)私もいろいろな現場も見てきました。例えば、今日はすごく暑いですが、特に心配していることはヒートアイランド、熱中症対策です。これはアスリートの方々も観客の方々も関係します。保水性舗装というものは大変すばらしく、先日私も打ち水イベントに参加しましたが、本当に体感として温度が下がることがわかります。例えば観客席がいる歩道の部分をそういうものに変えることは可能ですが、車が走る部分というのは強度の問題でなかなか難しいわけです。そうすると、実際にアスリートの方々は車道を走るので、そこの路面温度をどう下げていくのかという問題があります。また、内濠、外濠の話をしましたが、例えば飯田橋の辺りはマラソンコースになりますが、皆さん方も冬と見比べていただいたり、あるいは歩いていただくと、今この時期臭います。こういうことは絶対にオリンピックの時にはあってはならない。どういう技術をもってどうするのかということはまだまだ研究していかなければならない。環境省として内濠の浄化は何度も行っていますが、行った後は良いのですが、その後すぐに悪くなります。今2つの事例を出しましたが、問題を解決しようと思って対策をやってもそれをどう継続していくのか。その時だけで良いというものでもないと思いますので、問題が山積しているという言い方をしました。オリンピックは都市が主催になるので東京都になります。東京都との連携を強化するために、課長や室長クラスの間で意見交換する場を新たに設けることとしたので、その場を活用して個々のことをどういうふうに環境省としてバックアップできるのかを考えていきます。また、来年度の概算要求の中にも必要なものを盛り込んでいきたいと考えています。
(問)追加でもう1点。今、東京都との協議の場を設けるというお話がありましたけれども、江東区なんかはウォーターフロントですけれども、いわゆる区とのそういう場を設けることはあるのでしょうか。
(答)東京都を窓口として区の皆さんとも話します。例えば江東区は山ヵ区長が都議会出身の方で、東京都とも非常に太いパイプがありますので、江東区の方々とも十分話ができると思っています。

(問)河北新報の若林と申します。宮城県の指定廃の件で、昨日の市町村長会議でもそうなのですが、各県内で処理している除染特措法の見直しを求める声が出ております、首長さんのほうから。中には1Fの敷地内とか、その周辺で最終処分すべきという極論めいた意見まで出ているような状況ですが、こういう従来方針の見直しを求める意見に対する大臣のお考えを改めてお聞かせいただきたいのですが。
(答)この質問は意外に根強く残っている問題であると認識しています。しかし、現実問題として村井知事のリーダーシップの下で、自分の県で発生した物については県内で処分をしようということを決めていただいた。特措法の見直しを待ってということになると、さらに期間がかかってしまうと思います。県内処理というこの基本方針を見直さないということが、内閣としての方針であるということは、もう既にお話しました。その事情は今言ったようにさらに時間がかかってしまうと、実現の可能性をどこまで追求できるのかという疑問が絶えず付いてくると認識をしています。