大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年9月27日(金)10:35 ~ 10:44  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議で当方に関係する案件はありませんでした。私から4点御報告します。
 先週ツバルとフィジーを訪問して、現地でハイレベルでの意見交換を行ってきました。特にツバルは、気候変動により、海面が上昇すると真っ先に国土が浸食される国です。平均で海抜が2mもありませんでしたし、東西で一番幅の広いところでも700m程度しかない。そして海岸が現実に浸食されている場所や、満潮時に浸水する。――市街地にまで海水が押し寄せてくる――ところを見て、気候変動に本当に脆弱であり、これに対して日本が何らかの手を差し伸べていかなくてはならないと強く感じました。また、ツバル政府も気候変動を最大の課題と捉えており、もっともだと思いました。また、ごみ問題。更には下水道もありません。そういう中で気候変動が及ぼす影響を一番最初に受ける方々に対して、しっかりと日本としてのメッセージを伝えていかなければならないと感じました。

2点目ですが、常磐道の除染について今年の6月をもって作業が終了しました。その後、モニタリングの数値を評価しました。今日までに、平成25年度内の開通を目指している、広野インターから富岡インター間については、当初の方針である概ね年間20ミリシーベルト以下となったということを確認できましたので、御報告します。詳細につきましては後ほど事務方から資料を配りたいと思います。
 その他の区間も、今後の路面切削、舗装工事等により、供用開始時には当初の方針である線量まで低減できる見通しとなりました。供用開始直前にもモニタリングで確認したいと思っています。福島の復興・復旧に弾みがつく成果であり、除染を更に推進していきたいと考えています。

3点目です。これは毎回月末の御報告ですが、被災地のがれきの処理状況です。3県沿岸市町村全体の処理として、災害廃棄物が8割、津波堆積物が6割を超え、着実に処理が進捗しています。詳細に話しますと、岩手県で災害廃棄物75%、宮城県で88%。処理事業は最終段階を迎えています。また、広域処理についても順調に進んでいると考えています。様々な困難の中で御協力いただいた、自治体の皆様方、民間事業者等の全ての関係者の方々に心をこめて御礼を申し上げたいと思います。

4点目です。何度も御報告させていただいているトキの放鳥です。本日の朝6時より、佐渡において、9回目となるトキの放鳥を開始しました。今年2回目です。今回は、6月25日から3ヶ月、野生復帰のための訓練を行った17羽が対象です。しかし、のんびりしているトキでして、10時現在で、17羽中1羽のみが飛翔したという報告を受けました。この17羽全てが飛翔しますと、野生のトキは98羽となる見通しです。トキの野生復帰の当面の目標である「2015年までに佐渡全体で60羽が定着」が着実に進むよう、更に努力を進めていきたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社の読売新聞寺垣です。よろしくお願いします。中間貯蔵施設なのですけれども、双葉町のほうでボーリング調査の受け入れが決まりまして、この後、午後の検討会が施設の配置等を示される予定です。年内の予算の決定までに、建設についてかなり詰めた内容を出さなければならないと思うのですけれども、現状の作業のスピード感について教えて下さい。
(答)私のほうには、まだ双葉町が調査を引き受けるという報告はきていません。今日の午後1時から安全対策検討会が開催される予定となっています。その場で中間貯蔵施設の構造、どこに減容化施設を置くのか、どこに物を埋めるのかといった配置、運搬等の考え方について委員の方々に整理をしていただきます。ドラフトを取りまとめていただく段階にきていると思います。また、今晩、井上環境副大臣が双葉町長を訪問することになっています。これらの結果を踏まえて、環境省として、どういうスピード感で、どういう工程表にのっとって、これから取り組んでいくのかを決めたいと考えています。

(問)NHKの横井と申します。よろしくお願いいたします。本日IPCCの第1作業部会が第5次評価報告書を公表する予定となっております。温暖化の進行に対しての警鐘を鳴らす最新の知見が示されますけれども、この報告書の内容を踏まえて今後どのように温暖化対策を進めていかれるかという点についての大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(答)私も最終的な内容はまだ見ていませんが、先般訪ねた島しょ国のツバルは、もし仮に海面上昇が更に進行し、ひどい事態になったら、まさに国の存続に関わる問題です。また、今年の夏は我が国でもいろいろなことが起こっているような気がしてなりません。高知県を初めとする各地域で40℃超え。更には集中豪雨。これは前線が停滞して、これまでなかったような山口県のほうで起こった。あるいは埼玉県で竜巻がこんなに頻繁に発生したのは私の記憶の中にはありません。どれも識者の論評を見ると、気候変動の影響が出ているのではないかという指摘が多くみられます。そういう中で、IPCCの科学的な知見を踏まえて、何度も皆様方へもお願いしていますが、地球温暖化に対する警鐘を鳴らしていかなければならないと考えています。これからいろいろな国際会議もありますが、やはり全ての国が参加し、実効性のある国際枠組みの構築に向けた議論をスタートしていかなければならない。アメリカ、中国、インドといった国に入っていただくということが重要なのではないかと思っています。また、適応について。既に報告させていただきましたが、平成27年の夏を目途に政府全体の総合的な計画を策定する等、取り組んでいきたいと考えています。報告書が出ましたら、じっくり読んだ上で、お話させていただければと思います。

(問)時事通信社の村山と申します。今朝、閣議の前に官邸で官房長官や経済産業大臣とお会いになられていたかと思いますが、どのような課題について意見交換されたのか御紹介願いますでしょうか。
(答)環境政策、更にその裏表がエネルギー政策ですので、エネルギー政策の最近の動きなど、柏崎の話も含めて経済産業大臣からお話があり、私の方からも、今お話をしたようなことを御報告しました。

(問)関連して、今日も恐らくお話が出たのではないかと思いますが、温室効果ガスの国内の削減目標を巡る議論の現在の進捗状況はいかがでしょうか。
(答)これももちろん話題になりました。今、原子力発電所の稼働がゼロであると。この事態の中でどれだけのことを我々は示すことができるのか。引き続いて関係省庁で環境、経産、外務の3省庁で議論を詰めて下さいという指示が官房長官からありまして、環境省では関局長に指示してあります。