大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年7月16日(火)10:49 ~ 11:04  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日の閣議では、当方に関係するような案件はありませんでした。私から4点ほどお話をさせていただきます。

 既に7月9日の段階でコメントは出していますが、水銀条約交渉に関する情報が、インターネット上で外部から閲覧可能となっていた事案に関してですが、これは全くもって、遺憾と言わざるを得ないと思います。今回の事案は、「保護が必要な情報について、環境省支給以外の情報システムにより情報処理を行った場合には安全管理措置を講ずること」等々をしっかりと定めています。これは環境省情報セキュリティポリシーという形で示していますが、この内規に明らかに違反するものですので、省内で何らかの処分を行う予定です。7月10日に、私の指示で、「環境省情報セキュリティ対策本部」を設置し、第1回目の会合を開きました。本日、第2回目の本部を開催して、今回の事案の経緯・問題点・影響に関する調査、省内における類似事例の調査、再発防止策について、現時点での中間報告を受けることになっています。その後、議論をしたいと思っています。第2回の対策本部の内容については、終了後、事務方からブリーフをいたします。これが1点目です。

 第2点目です。海の日を含んで3連休がありました。世界文化遺産に登録をされた富士山の利用者が、山開きの後大幅に増えています。このため、特に混雑が予想された昨日までの3連休には、各登山口に環境省のレンジャー等を延べ42人配置し対応に当たりました。レンジャーが中心になってごみを拾ったり、いろいろなお話を登山者の方としたということを、伺っています。今後の夏休み期間の週末やお盆休みも含めまして、全体で延べ130人のレンジャー等を現地に派遣します。地元自治体と連携して、登山ルールの広報や、先ほどお話しした清掃事業、ゴミの収集を行うことをしています。こうした取組を通じて、国立公園である富士山の保護と適正な利用の推進を図っていきたい。こんなふうに考えています。

 3点目です。来週7月21日から8月20日までを「自然に親しむ運動」期間として、都道府県の皆様と協力をして、自然に親しむための各種行事を実施しています。これは環境省発足以前の昭和25年から継続している事業です。自然とのふれあいは子どもたちの健やかな成長や感性を培う上でも重要ですし、夏休み期間ということもありますので、各都道府県の皆様、国立公園等々で様々なイベントを企画しています。今年は全国でおよそ600件くらいのイベントが登録されています。より多くの国民の皆様に、期間中に行われる自然観察会やハイキングに御参加いただきたいと思います。この間、指定をさせていただいた三陸復興公園指定記念の「よみがえれ浜の記憶展」などもありますし、歩かせていただいたみちのく潮風トレイルも、皆様方が自然とふれあうのに適切なものではないかと思っています。

 4点目です。いわゆるJCMですが、我が国として初めて具体的プロジェクトの候補案件を決定いたしました。先般の沖縄でモルディブの大臣と署名したのをはじめ、これまで6カ国と二国間クレジット制度を開始するための文書に署名済みですが、いよいよ日本の技術を現場で活用する段階に入ったと思っています。今後も引き続きまして、二国間クレジット制度を推進いたしまして、世界全体の温室効果ガスの削減に貢献をしていきたいと考えています。
 一つ例を御紹介します。ベトナムに行かれた方は御存じかと思いますが、ベトナムで一番大きなビール会社のサイゴンビールのビール工場でヒートポンプ等を使いまして、省エネを図るというプロジェクトをスタートします。確か、「333(バーバーバー)」という銘柄のビールの工場で使います。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社の日経新聞です。2点お願いします。1点目はグーグルの無料サービスについてです。環境省の内部情報が誰でも閲覧できる状態になっていた問題について大臣の所感をお伺いできればと思います。また、これまでの実態調査で第3者への情報流失等、新たにわかった事実があれば教えて下さい。
 2点目は二国間クレジットについてです。大臣のおっしゃるとおり、これまで6カ国で合意して、今回発表されたような状況にはなったのですが、まだ国際的には認められている制度ではありません。11月に開催されるCOP19に向けて、どのような取組が必要か改めて大臣のお考えを教えて下さい。
(答)1点目の御質問については、先ほどもお話をしましたが、ちょっと常識では考えられない凡ミスではないか。こういう事案が生じたことは甚だ遺憾と言わざる得ません。今回の件は、情報セキュリティに対する環境省職員の認識の甘さ。「便利なものが目の前にあるから使ってしまえ。」そういうものではないかという気がします。二度とこうしたことが起こらないよう、情報管理の在り方や、意識改革が重要なのではないでしょうか。便利だから使ってしまう。しかし、ガイダンスには公開されていると書いてあるのです。
しかし、生命保険の契約書と同じように、全部細かく読む方がいない。そういう取扱いがあったのではないか。今日の2回目の中間報告を受けて、もう少し詳細にわかってくると思いますが、そういう印象を持っております。このため、対策本部では、ハード、ソフトの両面から情報管理についての総点検をして、再発防止を徹底していくということです。この後報告を受け、その後、事務方から内容について詳しくブリーフを行います。
 2点目の質問ですが、具体的な事案がこれからスタートして、世界的に認められるように働きかけていかないと、何の為のJCMなのかということになってしまいますので、成果を出していくということが必要です。日本の技術がなければ、例えば、どれだけの二酸化炭素換算で排出量がベトナムの工場で出るのか。それが日本のヒートポンプ等の技術でこれだけ減るのですよということを理解、認知していただく。この積み重ねが大事だと思います。

(問)朝日新聞の青木と申します。先日、市町村除染において環境省がガイドラインに基づいたものでないと予算を出さないという制約を設け、抑制していたというお話を弊社で報道させていただいたのですけれども。大臣の認識として、その制約を実際に設けていたかどうかという認識があるかどうかについてお伺いしたい。これがまず1点目です。
 2点目は東電と話し合いをして、除染についてやり方ですとか範囲ですとか幅広くお話をされていたということがあるのですけれども。これについてそういうお話があったかどうか、どういう認識をお持ちなのかについてお伺いしたいです。
(答)予算の執行においては放射性物質汚染対処措置法に従って適正に処理をしているという報告を受けていますし、私もそのように認識をしています。また、御質問にありました執行に際して東電の意向に配慮をしているというようなことは、私は無いと確信しています。なお、詳細については事務方から、もう既にこのことについては、そういうことはないですというお話をしていると聞いています。
(問)官房長官が調べるように指示を出したというお話なのですけれども、その結果はもう出ているという御認識でしょうか。
(答)金曜日の会見で官房長官がそのような御発言をされていますが、福島の市町村が行う除染については国が県に設置した基金を通じて資金負担をしており、除染が適切なものとなるよう、その対象範囲については国がルールを定めているということは、既にお話をさせていただいています。除染のための法律では除染のための費用は東京電力への求償により賄うことになっているということも、もう皆様方御存じのとおりです。また、原子力賠償審査会の指針では必要かつ合理的な範囲の除染等を行うことに伴う追加的費用は賠償の対象としっかりと記されていますので、御指摘の点はないものだと認識しています。
(問)昨年11月以降求償した分でトータルで、それ以降随時追加した分も含めて159億が東電からそちらに返還されてないという状況がございます。こちらについてどういう認識かお聞かせ下さい。
(答)詳細については事務方のほうでお答え願います。
(事務方)求償については、しっかりとこれから求償していく。今後も引き続き求償していくということは変わっていません。

(問)共同通信社の渡辺です。よろしくお願いします。メール問題で冒頭、何らかの処分を行う予定だというふうにおっしゃっていたんですけれども、この対象の方というかですね、その考え方なんですけれども、閲覧制限をかけなかった方がおられるのかなと状況からすると思うんですけれども、その方を指しておられるのか、またその他の方も指しておられるのか大臣の御認識をお願いします。
(答)今の詳細につきまして先ほどお話ししたとおり、2回目の対策本部で報告を受ける予定です。その後今の御質問についてどうであったのか、またどうであるのかということについてしっかりとお話をしたいと思います。この問題は私なりに咀嚼をすると二つあると思います。一つはやはり今の処分に関係して、内規を無視していること。(申請と承認の手続きを怠っているのではないかというところ)が一つのポイントだと思っています。ここの事実関係をしっかりと調査するように指示は出しています。そして、もう一つは先ほどの御質問に関連するのですが、霞ヶ関のITに関する常識がITの進歩に実は追いついていないのではないか。そのため今回のような話が起きたのではないかと私は認識しています。釈迦に説法ですけれども、クラウドサービスを利用するとき、基本的事項の確認というのはやはり基本です。ここに実は漏れがあった。そして先ほどの御質問に関係するのですが、リテラシー教育の欠如というものがやはり総じてあるのではないか。ここは非常に深刻ですので、こういうことの無いように、環境省が、この案件を契機に最先端のITと向き合える役所になるように、研究するようにしっかりしろということは先週から申しています。さっきも話しましたが結果として、便利なものに手を付けて、それを使ってしまったということがあるのではないか。この後十分に中間報告を受けましてその詳細についてまた皆様方にブリーフしたいと思っています。

(問)読売新聞の寺垣です。このグーグル問題に関してなんですけれども、大臣は処分を行う方針というふうに先ほどおっしゃいましたが、いつまでに処分を行うというお気持ちでおられますか教えて下さい。
(答)前の御質問でお話をしたように内規を無視しているということはどうも間違いない。そうであるならば情報ポリシーを環境省は作っていますので、それに抵触するとどうなるのか。これは人事院とも相談をさせていただいて、適宜適切に処理をさせていただきたい。時期につきましては今日の中間報告を受けないと、今の段階では断定できません。