大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年7月9日(火)9:50 ~10:00  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 梅雨明けをして初めての閣議後の会見です。閣議で当方に関係あるものはありませんでした。私から2点ほど御報告します。
 環境省は各省の中で熱中症に関する取りまとめをする役所です。7月が熱中症予防強化月間ということは、既に御報告していますが、ここ数日の報道を拝見している限り、1,000人近い方が熱中症となり、数が増えています。消防庁の公式な数はまだ出ていませんが、報道されているのが現実に近い数字ではないかと思います。繰り返しになりますが、熱中症は、おもてにいようが室内にいようが、発生します。昼間でも、夜間でも同じです。また、若い方は大丈夫だということもありません。高齢者の方は、体調を崩され、そのまま入院されたケースも多々あるわけです。引き続いて国民の皆様方には、体がまだ暑さに慣れていませんので熱中症には十分お気をつけていただきたいと思います。こまめに水分を補給する。涼しい服装を心がける。無理をしない。この3つだと思います。特にお散歩したり、ジョギングしたりして汗をかいた時は、単なる水とかお茶ではなくて、塩分の補給が必要ですので、塩分の補給としてスポーツドリンク等々を飲むことが肝要かと思います。環境省としても7月に、ボトリングメーカーの御協力も得て、熱中症声かけイベントを開催します。詳細は事務方にお問い合わせ下さい。
 もう1点御報告ですが、トキの繁殖期が終了したものと判断しました。今年は、24組のペアが営巣して、そのうちの5ペアから14羽のヒナが誕生しました。営巣したペア、あるいは繁殖したペア数、生まれたヒナ数が、いずれも昨年度を上回る結果となりました。一方、巣立ち前に既に死亡したヒナや、お兄さんと妹のペアからのヒナがおり、野生における繁殖の難しさも、十分に体験をする結果になりました。こうした結果について、これから専門家の意見も伺いながら、野生復帰が着実に進むように努力をしていこうと考えています。

2.質疑応答

(問)今月幹事社、毎日新聞の阿部と申します。よろしくお願いします。佐渡のトキについてお願いします。今、大臣もお触れになった兄妹ペアの問題は来季以降もまた続くことになるかと思います。近親交配をできるだけ避けるためには、中国からの新たな個体の移送というのが不可欠かと思うのですけれども、これについて今後中国側の返事、申し出をあくまで待つのか、あるいは、来季に向けて改めて再要請するお考えか、御所見をお聞かせ下さい。
(答)御質問にありましたように、日本にいる今回巣立ったトキも含めて、全て元は、中国からいただいた5羽のトキから増えた子孫です。近親交配、これは非常に難しくて、どういう個体なのかということは保護したヒナの経過観察を見ないとはっきりとしないわけですが、遺伝的には弱い個体が増えていく。種の絶滅の時のパターンと非常に似てると思うのですが、今御指摘のとおり、早期に中国から新たな個体の供与を受けることが望ましいと考えていることは、既に申しているところです。様々なレベルで調整を随時行っていますが、今後とも、中国側に対して供与実現に向けて働きかけを強めていきたいと考えています。

(問)NHKの間嶋です。温暖化の新目標のことで伺います。大臣はこれまでCOP19までに新たな目標を立てるという考えをお示しになり、世間的にもCOP19までに25%に代わる総量目標ができるという認識がされていると思います。ただ一方、政府内の一部、資源エネルギー庁からはエネルギーのベストミックスが決まらない中で幅があるかたちであれ、国として温暖化の総量削減目標を設定することへの拒否感が強いように思います。もちろんそれも理解するのですけれども、総量目標を作らないと一国として今年のCOP19というのが耐えられるのかという心配があるのですけれども、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
(答)ただいまの点は非常に重要で、野心的な目標を示さないと、日本は何をやっているのだと、あれだけのことを言っておいて、――というのはマイナス25%のことですが、――諸事情があるにしてもどういうことなのかと世界の国々から言われてしまうことは間違いないと思います。総理からも戦略的、野心的に目標を設定していくようにという指示をいただいています。今、資源エネルギー庁の話がでましたが、エネルギーの基本計画の議論というのがまだ煮詰まっていません。そのようなジレンマ等々があるからそれらの発言があるのかと思いますが、1つ新しい事実としては、7月8日に規制庁で新しい安全基準が決定し、既に複数の会社が複数の原発について申請を行っています。当然、安倍内閣としては、安心、安全が確保できない限りは原発を再稼働させるということにはならないと思いますが、こんな中で何基かの原発が仮に動くようになると、その見通しが見える。この数値のかたちというものが少しは具体化していくのではなく。難しい面は多々ありますが、知恵を出して、なんとかCOP19までにしっかりとした目標を設定していきたいと現在の段階では考えています。

(問)NHKの山野と申します。福島の楢葉町のほうで高線量の物質といいますか、がれきの破片のようなものが相次いで見つかっておりますが、それに対する大臣の受け止めと環境省としての対策もしくは対応等ありましたら教えて下さい。
(答)震災がれきの処理作業やその除染工事を行っている中で、これまで4件ほど今御指摘のあった高線量の破片が発見されたということです。発見場所は双葉郡楢葉町井戸川河口付近の河原ということですが、大きさは長さ数㎝の破片が3個、16㎝の木片が1個ということです。これらは東京電力に、順次調査、回収、分析を依頼するとともに現地の災害対策本部の関係機関に報告をしています。一体どういうものが含まれているのか、科学的な分析を待ちつつ、環境省としても必要な協力をしていきたい。現段階ではまだ大きなクエスチョンがついているという段階です。

(問)共同通信の角と申します。大臣も先ほどおっしゃられましたけれども、昨日、原発 の新規制基準が施行されましたけど、規制庁は環境省の外局ということですけれども、今後どのように規制庁、規制委員会を環境省として支援されていくのか教えてください。
(答)申請は電力会社各社の判断でなされたと承知しています。原発の安全性の確認が、しっかりと速やかに行われることは、安全性向上の観点から望ましいことですが、規制委員会は3条機関です。独立した機関として、日本の最先端の科学技術を総合して、申請のあった原子力発電所が新しい基準に適合しているか、していないか、ということを適宜、適切に判断する。新基準に基づいて審査が厳格に行われる。それが地域の信用、信頼を取り戻す唯一の道ではないかと考えています。