大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年5月21日(火)8:52 ~ 9:00  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日の閣議後に第1回目の農林水産業・地域の活力創造本部、攻めの農業をやっていこうという会議が、行われました。私も若干短めな発言をしました。農林水産業というのはトキの自然への放鳥の例を見てもわかるように、農薬を使うことによって水田にトキの食料となる生物がいなくなった。それではダメだということで農薬を減らして元の自然に戻して、そのことによってトキが餌をついばむことができた。また、農業の方も農薬を使ってないブランド米としてそれが高付加価値を呼んで、商売になってきた。すなわち、生物多様性の保全というものに、実は農業というものは非常に関係がある。また、温暖化対策といった観点からも、非常に関係がある。エコツーリズムもありますし、再生可能エネルギーの普及拡大。こういうものにも充分資する点がありますので、環境省としてもこれからしっかりやっていかなければいけないという思いで発言をしました。

2.質疑応答

(問)幹事社の共同通信です。地球温暖化対策の目標について伺います。今、ゼロベースでの見直しがなされている25%の削減目標ですが、これの撤回を国連の条約事務局に今月中に文書で提出するとの報道があります。これの事実関係を確認させていただきたいのと、もし事実である場合に、既に見直しの意思は示されているんだと思うのですが、それにもかかわらずあえて撤回の手続をされる意図を教えて下さい。
(答)これはゼロベースで見直します。25%はできませんので、事務方に適宜適切に判断して通報するようにという指示はかなり前から出しています。

(問)テレビ朝日真鍋と申します。よろしくお願いいたします。昨日発表がありました、スーパークールビズに関してお伺いしたいのですが、今年は女性に向けてのアピールも始めるということで、男性の中にはまだまだ軽装というものに抵抗がある方も多いようなのですが、おしゃれに敏感な女性に対してアピールすることでどのような広がりを考えていらっしゃるのか。また、半身浴、夏野菜の摂取など生活面でのPRも始めるということですが、そのあたりの狙いも含めてお話いただけたらと思います。
(答)5月31日に、キックオフイベントを六本木ヒルズで考えています。クールビズが目的なわけではなくて、エネルギーの消費を出来るだけ抑える。その中で仕事や生活をより快適にしていく。そこから波及し、女性の方が新たなファッションを模索してくださる。男性の方々もスーツにネクタイから・・・、ネクタイは私はしてても良いと思います。私も一時期クールビズの格好として、コットンパンツにワイシャツの腕をまくってニットタイ。これは涼しく見えます。そんなに暑くないですし。人と会うときも問題は無い。ネクタイをするしないではなくて、新しいクールジャパン。こういうものを発信する一つのてこにしていければと考えているところです。

(問)北海道新聞の上村です。北海道の話なのですが、絶滅危惧種のゼニガタアザラシについて、北海道では漁業被害が深刻だということで、環境省では本年度、試験捕殺を計画されていましたけど、先日急遽中止が地元側に伝えられました。地元ではこれまで学識者も交えて論議してきた経過もあるということで、急な方針転換というふうに地元では見られていまして、反発とか戸惑いの声というのが、漁業者を中心にあります。
 まず、こうした地元の声を大臣としてはどのように受け止められるのか、というのが1つ。もう1つは、地元の漁協のほうでは大臣に直接お会いして、地元の漁業被害の深刻さとかですね、そういった実態を直接説明したいとの意向を持っているそうです。大臣としては地元の漁業者にお会いする考えはあるのかどうか、この2点についてお答えいただければと思います。
(答)近年ゼニガタアザラシをはじめ海獣類による漁業被害が深刻化しているというのは、十分に承知をしています。環境省では捕獲・殺処分も含めた保護管理対策の検討を行ってきたところですが、ゼニガタアザラシは、環境省が作成しているレッドリスト、すなわち絶滅危惧種に入っています。我が国が絶滅危惧種に選定している動物であり、捕獲・殺処分は慎重に検討する必要があることは当然のことだと思います。更に、ゼニガタアザラシを捕獲することによって、被害が減少するかというと、その因果関係は、――ゴマフアザラシ、他のアザラシ、トド――などの例を考えても、確実には実証できないと思います。
 当面は捕獲・殺処分を見送り被害を防ぐ対策、すなわち漁業者の方々に御協力をいただき、――もちろん仕事としてそういう作業をしていただく――、それによって被害を防ぐほうがより合理的ではないか。14日に担当官を現地に派遣し、地元に説明を行ったところですが、これからも丁寧に説明を続けて理解を求めて参りたいと考えています。地元と調整を図りながら、超音波によってアザラシが網自体に接近しないように、入ってこないようにする対策の実証事業を地元の漁業者の方に仕事としてやっていただきたいと考えています。引き続き、アザラシと漁業の共存をめざし、保護管理対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えています。
(問)後段の地元の漁業者とお会いになるかについて。
(答)当面ありません。