大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年4月19日(金)9:20 ~ 9:36  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 私からは2点御報告があります。
 1点目ですが、本日の閣議において、環境省関連の今国会提出4法案が閣議決定されました。簡単に概略を説明します。
 一つ目は、種の保存法の改正案です。これは、悪質な違法取引が後を絶たない状況を踏まえて、違法な譲り渡し・譲り受けに関する罰則を大幅に引き上げる等の改正を行うものです。例えば、象牙などは47本で1,700万円。スローロリスは30万円。イニホーラリクガメは2匹で700万円など、かなり高価で取引されています。
 また、外来生物法の改正案。これは、外来種と外来種が混ざり合ってできた生物を規制対象とできるようにする等の改正を行うものです。
 もう一つは、フロンの回収・破壊法の改正案です。現行法は、フロン類の回収、破壊のみを規制対象としていますが、製造から廃棄に至るまでのライフサイクル全般にわたる抜本的な対策を講じるというところがポイントです。
 最後ですが、放射性物質に係る整備法案。大気汚染防止法等の4本の環境法令を改正し、放射性物質を常時監視する等の規定の整備を行うものです。
いずれの4本の法案も、環境行政の推進に必要な法案ですので、早期の審議をお願いしているところです。
 そしてもう1点御報告ですが、トキの兄妹ペアのヒナの捕獲に成功しました。本日の朝8時前です。これまで2羽が確認されていましたが、4羽保護できました。これについては、ビデオ等々もあるそうですので、後ほど事務方から詳細に御報告をいたします。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の小林です。大臣、今日はお誕生日だそうで、おめでとうございます。
まず、水俣病の最高裁判決なのですが、改めて行政側敗訴の受け止め、あと、52年判断基準を見直さないということで伺っていますが、患者さんとか、遺族の方々から、人間の対応とは思えないというような強い批難の声や失望があがっているのですが、これをどう受け止めるか。
もう1点は、運用面で、これまで問題が行政側にあったと考えるのかどうか、可能であれば、どのように、いつごろまでに見直しを検討されるのか、以上お願いいたします。
(答)最高裁判決の趣旨を踏まえて、地域に暮らす人々が、安心に、そして安全に暮らす社会を実現していくことの重要性。環境省としてこれから何ができるのか。また、今、同じようなことが、発展著しい東アジアの国々でも起こっています。こういう国々に対して、私たちの経験をしっかりと伝承して、人類共通の問題としてこの問題をとらえていく、こんなことを考えていかなければならないと、この判決を読んで感じました。
政策的な観点からの受け止めについては、昨日、次官からブリーフしているとおりです。
2番目の御質問ですが、いわゆる認定基準です。この認定基準について当判決が何といっているかというと、これも南川次官が詳しく御説明したとおり、認定基準そのものを否定しているわけではないという解釈だと思っています。その結果として、見直しは考えていないというのが現状です。
最後の御質問、運用をどうするのかということですが、水俣病の認定に当たって、必要に応じて、多角的、総合的な見地から検討することの重要性を、この判決は指摘されているのだと思います。最高裁の判決ですから、その趣旨をしっかりと踏まえていかなければなりません。その上で、その在り方を具体化していかなければなりません。具体化を急ぐように、昨日、事務方に指示しました。最高裁は、運用が問題ありと指摘をしているわけでもないのではないかと考えています。そのように受け止めています。

(問)大臣として、原告の方に今回改めて謝罪をされるとか、環境省として、されるおつもりがあるのかどうかということと、そもそも水俣病がなぜ半世紀以上に渡って解決せずに来てしまったのかということ、未だに特措法の救済措置に6万5,000人以上の申請者があるということ、これまでの環境行政のどういうところに問題があったのか、そういうところの御認識と、謝罪の点についてお願いします。
(答)この問題は、実は、結果として、親子2代で取り扱うことになりました。その事実一つとってみても、長い年月この問題を行政として十分に解決できなかった。言葉を換えると、水俣病の被害を最小限にとどめることができない、被害の拡大を防止できなかった、その行政の責任は、やはりあると思います。その点において、亡くなられた溝口さん並びに御遺族の方々に対しては、その責任から、改めてお詫びを申し上げなければならない。こんなふうに考えています。
私、政治家個人としては、この判決を受けて、遺族の方々に直接お会いして、お話をさせていただきたいという気持ちはありますが、行政の長として考えるならば、水俣病の被害に苦しむ全ての方々に対して等しく責任を負う立場にありますのでなかなか難しい。こんな気がいたします。
さらに、親子2代で取り組むことになった。あるいは平成7年には大島理森大臣が政治決断をして、いわゆる政治解決がなされた。そして21年、――これは私どもが政権を失う少し前だったと記憶していますが――、地元熊本の議員の方々を中心に、党派を超えて、枠組みは自公民だったと思いますが、特措法をつくりました。昨年、申請受付が締め切られ、現在、その判定作業の最中です。初動体制の問題。これは私が生まれる前に、実はもう発生している事案です。そして、高度成長の中、この発生した事案が排水という形で不知火海に放水がずっと続いた。このことによって、そこに生息する魚介類等々に有害物質が蓄積し、それを食された方々が被害を受けた。こんなところに原因がある。同時に、先ほどお話ししたとおり、同じようなことがやはり、その後も世界で起こっている。人類が利便性を得る代償としては、あまりにも重い、健康を害する公害被害がいろいろなところで起こっている。そういうことを真摯に受け止めて、こういうことが起こらないようにすることを、今、現世を生きる政治家として考えていかなければならない、こんなふうに意識しているところです。

(問)NHKの間嶋です。フロンの関係でお願いします。今回、規制強化されるわけですけれども、これによって、大臣としてどのようなことを期待されるかというのを1点目伺います。
もう1点は、今後、対象になる小売業社の人、スーパーとかコンビニの人に取材すると、ノンフロン製品、CO2を使った冷蔵庫などが、かなり高いという声を聞くのですけれども、それを標準化していくために、環境省としてどのようなバックアップというか取組を今後行っていきたいか、この2点についてお願いします。
(答)この改正案の持つ意味ですが、温室効果の高いフロン類の排出は、今後も急増することが予想されています。このため、地球温暖化については、これから新しい目標もつくっていかなければなりませんが、その目標をつくる上でも、この対策が温暖化対策上、極めて重要であると認識しています。
今回の改正ですが、温室効果の低いフロン類に転換すること、使用時に漏れることを防止することなどを推進するという法律の枠組みになっています。これによって、フロンの回収、破壊のみならず、先ほどもお話ししましたが、製造から廃棄に至るまでのライフサイクル全般を対象とする法体系にすることによって、大気中にフロンが出ることによって起こる温暖化を、厳に抑制していきたいと考えています。
しかしながら、今、御指摘のとおり、代替フロンを利用した冷凍空調機器、こういうものの値段が非常に高い。2倍です。設備投資の観点からいうと、大きなものではないかと思っています。ノンフロン機器導入を進めるに当たっての支援策、――これは、かなりユーザーの方々から引き合いがあるものです――3分の1補助を行っていますが、私からは、値段が高いだけにもう少し拡充することができないのか。財務省との折衝になりますので、また経済産業省とも相談をさせていただいて、フロン対策は非常に重要ですし、先ほど言ったように、単価が倍というのは大変なことですので、拡充することができないか検討するように指示をしているところでもあります。

(問)時事通信の新部と申します。明後日、日曜日から靖国神社で春季例大祭が始まるのですけれども、こちらのほうに御参拝されるような御予定はありますでしょうか。
(答)結論から申しますと、大祭に出席する予定はありません。私は8月6日広島に原爆が投ぜられた日、また8月9日長崎に原爆が投ぜられた日、早朝起きまして、西の空に手を合わせるということで亡くなられた犠牲者に対して鎮魂の気持ちを表しています。靖国神社には私の母方の祖父もまつられております。機会があるとき、私は手を合わせにお参りしているというのが現状です。

(問)読売新聞の寺垣といいます。水俣病関係なのですけれども、熊本県の蒲島知事は、溝口さんを認定しなかったことについて謝罪されましたけれども、大臣としては、水俣病の拡大を防げなかった責任は仰いましたが、溝口さんの認定の結果が覆ったことについては、どう考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)この点については、最高裁は事実認定はしていませんが、一審の地裁は県が勝訴、二審の高裁が溝口さんが勝訴、そして今回最高裁が、平たく言えば高裁の判決を支持した。その結果として、公健法の枠の中に、亡くなられた溝口さんが入っているという結果を迎えたわけです。結論が出るまでに長い時間を要したということに対して、私個人として本当に、胸の痛む思いでいっぱいです。