大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年1月15日(火) 10:43 ~ 11:08  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 私のほうから1点だけ。明日、明後日と福島に出張します。明日16日は、双葉郡の8町村の首長の皆様方、議会の議長の皆様方と意見交換をさせていただく予定になっています。就任の御挨拶、並びに、今日も朝、青森、岩手、宮城、福島の4県の知事さんが――青森と福島は副知事でいらっしゃいましたけれども――、そろっておいでいただきまして、福島の副知事からも除染の問題というのは復興の最大の問題の一つであるので是非これからもよろしくお願い申し上げたいというお話もいただいたので、現場の皆様方と意見交換をさせていただきたいと思います。
 そして17日、翌日ですけれども、除染の現場を視察します。また、福島第一原発の視察を行います。詳細については事務方よりブリーフ致します。

2.質疑応答

(問)今月幹事社、NHKの山野と申します。よろしくお願いいたします。
 不適切な除染の問題の件でお伺いします。先週金曜に元請企業からの調査結果があがっていると思うのですけれども、不適切なケースが新たにあるのかどうか、まずはお願いします。
(答)その前に、一つ思うのですけれども、除染というのは、今日の副知事さんの話の中にあったように、ある意味では復興の基盤です。報道をきっかけに信頼性が欠如したことに心を痛められて、副知事から御発言があったのだと思います。その点について、誠に遺憾だと思っています。そういう懸念、今日の朝もわざわざ副知事がお伝えになったということ、これももうお話ししていますけれども、6日に井上副大臣をヘッドに除染適正化推進本部を立ち上げて、報告書を、土曜、日曜と事務方が整理をして、昨日、私もまだ完全ではないのですけれども、報告書を見ました。政権交代がありましたけれども、役所というのは継続性を重んじるところですので、政権が代わって、この除染の問題について新しくタスクフォースを作って、復興大臣をヘッドクオーターとして、私もしっかりとサポートして、企画・立案・調整を復興大臣が行うという形に改めたわけです。そこで、前政権で行われていた政策全般についてはしっかりと検証した上で、今、御質問がありましたように、更なるものがあるのか無いのかということも、できる限りしっかり調べて今後の方針を決めていきたいと思います。そのことについて詳細は、今日の4時に除染適正化推進本部がありますので、そこで政治家あるいは担当者が入って議論をして、その後にもう少し詳細にお話しすることができると思います。
 これは前政権時代の事です。そしてやり方を変えました。今後の除染についてですけれども、今お話をしたように徹底的に検証を行うということは重要です。そして、今、御指摘されたようなことが起こる余地があったのか。そして、そういう余地があって問題が発生した場合、私は国交大臣をやっていましたので、もし公共事業で発注して、元請けの側でそういうことがあったら、元請けが下請けにその事業を流すのですけれども、その事業会社も公共事業の中でそういうことをやったら自分が生きていけないという、ある意味での規律を、今度は手を抜いたら仕事はもらえないという意識を大体は持っています。しかし、そういうことを考えてペナルティを課すべきかなど、現時点では、どういうふうにやっていたのか、調査・検証が私はまだ不十分なのだと思います。ですから、引き続き徹底的に調査と検討をしたいと考えています。ですから御質問の点につきましては、今日も朝からずっと指摘をしてやっていますので、4時から30分ですから、5時くらいにはブリーフをしたいと考えています。

(問)朝日新聞の青木です。よろしくお願いします。
 手抜き除染が報じられた4日、大臣は何をされていたかということについてお伺いしたいのと、報告書の中身について、お読みになった率直な御感想についてお聞かせ願えればと思います。
(答)何度もお尋ねをいただいているので、改めて時系列を追って整理をしてお話ししたいと思います。そのような報道がなされたと言うことは、秘書官からすぐ連絡をもらっています。これは1月4日です。そこでどういう指示をしたかというと、事実関係の確認。事務管理はどうなっているかという質問に対しては、当然ですが徹底している、と報告を受けたわけです。そんな中で、今年の、政権交代があって新しい政権がスタートしての除染のスタート、これは1月7日であるという報告も受けました。1月4日は、担当の副大臣・政務官が栃木と茨城へ出張中で、関係者が4日の日に一同に会することはできませんと。ではその報道があって、その報道の事実を確認して、いつ大臣・副大臣・政務官、関係者にブリーフをすることができるのかということで、6日ならば、日曜日ならば可能ですという報告でした。ですから、1月6日に会議を開くということを了承して、その事実関係の確認・検証をしっかりやるよう指示を出しました。行政ですから、大臣の指示は秘書官から担当審議官のほうへ伝達済みです。そして、6日の朝10時に大臣・副大臣・政務官が集まりまして、事実の報告を受けて対応を協議しました。先ほども言いましたとおり、政権交代して新しくなったのだから新しい切り口でやっていこうよという思いが政治家サイドから話がありました。事務方の対応案はどうも行政の継続性にこだわる姿勢が見られて、私どもから見て不十分な対応なのではないか。しっかりやってます、しっかりやってます、督励してます、では駄目なのではないかということで、副大臣をヘッドとする除染適正化推進本部を立ち上げて、その場で政治家も入って過去の契約等々を含めて徹底的な調査をするよう副大臣・政務官のほうに指示をしました。そして、7日の午後に第1回の除染適正化推進本部を開催して、先週の金曜日に事業者より報告を受けて、本日その内容を5時ぐらいには皆さんに公表させていただく。さらに内容を精査した上で、これは過去の事ですので、過去に行われた事案に対して指摘されているような事例が、今後新しい政権下で決して起きないようにするための対応案を、井上さんを中心に、私もサジェスチョンいたしました。国交大臣としての経験、あるいは東京都の公共事業の一般競争入札での入札方法というのは非常に合理的です、そういう話も事務方にこういうふうにやっているよというような事を話をしています。そういうものを取りまとめて、18日の午後、時間は未定ですけれど、午後にはそれを発表させていただく。
 私の日程、これは公表したこと以外は、政治家でありますので公表はしません。以上です。
(問)4日はどこで具体的に何をしていたのかについては、お答えいただけないということでしょうか。
(答)本件については、先ほども申し上げたように、報道されたことが事実であるか事実でないか、どうなのかということを、秘書官を通じて事務方に問いただすというのが、私は当然な大臣としての指示だと思います。

(問)共同通信の斉藤です。東京電力が2月に火力発電の入札を予定していて、価格上、石炭火力と考えられていますけれども、石炭火力の発電は二酸化炭素の排出が大きいという問題があるほか、そもそも将来こんな電力需要があるのかという問題も指摘されています。環境大臣として、この東電の石炭火力の入札についてどのようにお考えになっているか教えてください。
(答)率直な感想から申し述べさせていただくと、私は非常に心を痛めています。今、斉藤さんが御指摘されたように、石炭火力はかなりフィルター等々が進歩して、有害物質の排出は抑えられるようになってきました。そして、コストが低いことも承知しています。しかし、我が省のレーゾンデートルたるCO2の削減、これには非常にネガティブな発電装置です。先般の会見のときにも、御質問があって、これから新しいCO2の排出量の目標を決めていくわけです。そのときに、あれは確か平成31年に、計画ベースで260万キロワット、これは大きいです。原発1機が、今の最新型のもので130から150万キロワットですから、かなり大きなプラントを造る。もしそれが仮に稼働すると、CO2を年間どの程度排出するのか。これは環境省としての存続に関わる問題ですので、今、事務方にどの程度の環境負荷を与えるか計算させています。数値が出ましたらまた、どの程度の環境負荷を与えるかということをお話ししますけれども、これが仮に動くと、先般御質問のありました新しい目標は、大変厳しいものになってしまう。それで本当にいいのか。今どうしても、原発のあれだけ大きい事故がありましたので、油を燃やす、石炭を燃やす。再生エネルギーをどうやって加速化させるかというような話も、なかなか今、以前のような話題にもならなくなってしまいました。ですから、元に戻るのですけれども、もしそのようなことがあったとしたら、これは非常に、数値目標を設定する上でも厳しいことですし、これを世界がどういうふうに受け止めるのか。そこまで考えて、これも何度も話をしていますけれども、このCO2の問題は人類の存続のかかった問題なのです。北極海、南極海の氷が溶けて、太平洋、大西洋の海面が上昇して、水蒸気となり、雲を作らせ、気象を変えていく。そういうことをもう一度啓発するような大臣としての行動も、今のお話を聞かせていただいて、考えていかなければならないと強く思いました。

(問)西日本新聞の安部です。水銀規制の条約の件でお伺いします。
 13日から政府間交渉がスタートして、日本は水俣病の経験などからこれまで条約づくりに積極的に関わってきて、今回の交渉でも水銀使用を禁止する製品リストを提案したりしていると思うのですけれども、新興国や途上国と利害が衝突する面もあると思います。水俣病のような被害を二度と出さないため、実効性のある条約というものが求められると思うのですが、そのポイントがどこにあるというふうに大臣はお考えであるのかということが一つ。
 それと、もう一つは条約名についてですが、日本政府としてはこれまで水俣条約という名称にしようということで進めてきていると思うのですけれども、今回の会議で決定しようということだと思いますが、一方で、地元から風評被害の懸念や、条約内容に実効性がないということで、水俣条約に価しないという批判もあると思うのですね。大臣は、就任後のインタビューで、理解を求めたいと、両方意見があるので、というふうに仰ってきたと思うのですけれども、どのようにして理解を求めていくのか、その点についてお聞かせください。
(答)交渉自体は13日から始まっていて、18日、今週の金曜日の決着を目指して、今のところ順調に進んでいます。そこでどういうものをつくっていかなければならないかというのは、もう御質問の中にありました。先程の御質問のCO2の削減に関してはアメリカ、中国、インドは、入っていません。カナダも離脱しました。同じように、この条約も発展途上の国々がここに入ってくれないと、実効性という意味でワールドワイドではなくなってしまう。この点が、やはり一番この条約を締結する上で留意すべき点です。すなわち、できるだけ多くの国が参加できること。それから、御取材をされていると思いますけれども、水俣病は世代をまたいでしまったわけです。水銀のリスクを、最大限どうすれば削減できるのかということを基本に、今、仰られたように多くの国々が入り、更に条約の内容を良くするために、18日の締結を目指して頑張っているというのが一つ目のお答えになると思います。
 二つ目は、就任後の会見でも御質問が出て、先日、実は知事がおいでになりました。そして是非、水俣条約、この名前を付してほしいと、私にお話をされました。その帰りに、知事がつけているくまモンバッチの知事バージョン、これをあげますと。国際条約の締結を水俣の地でやる、これは非常にすごいことなのですよ、その意味でも水俣条約にしてくださいと、バッチまでくださってお話をされていました。環境首都を掲げる今の水俣の取組を世界にアピールすることになるという知事の思いを、私も大切にしていきたい。
 その一方で、やはり様々な思いがあります。被害者の方々は、その地に暮らしている方々ですから。条約の内容が、御質問のとおり水俣という名前を付すものにふさわしいようになるよう、またその名前を付すことが、これまでの風評被害を払拭する機会となるよう、私も知事をバックアップしていかなければならないなと。この間、2、30分ほど、かなり長くお話をいろいろしてくださいまして、知事は学者でもあられるから、いろいろなことをお話されて、私も大変興味深く、そして応援していかなければならないという思いを改めて強くしたところです。

(問)フリーランス記者の上出です。最初に戻ります。朝日の方が質問されたことに関連あるのですが、手抜き除染のことについて、前回の記者会見で朝日新聞の方が一生懸命手を挙げているのに指名されませんでした。何か逃げているようにも見えたのですが、釈迦に説法で恐縮ですが、記者会見の場というのは、やはり国民のためにも説明責任を果たす場だと思うのですね。そういう点ではちょっと誤解があるのかもしれませんが、石原大臣としては不本意かもしれませんが、何か説明責任を果たすのを避けているように感じたのです。記者会見の在り方からも含めて、この辺のことをきちんと整理して御説明いただければと思うのですけれども。
(答)私は決して逃げているつもりはありません。限られた時間の中で、今もCO2の削減の話に関連して東電の火力発電所の設置の問題、これも重要なテーマです。そしてまた、13日から始まった水銀条約については、どのような形でより多くの国々の方々に御参加いただけるのか、またその名称を巡っても賛成、反対がある。そして除染の問題は、先ほどお話をしたように、今日副知事がおいでになって、除染というのは復興の基盤の一つでありますので一つよろしくお願いしますという話をいただいた。このように、いろいろな問題が多岐に渡っていると思います。できるだけ多くの方々に環境省の抱える多岐の問題についてお話をいただき、それを広く世間にお示しいただく。私の危機意識は、正直に申しましてやはり環境省が、復興ともう一つの大きな柱としてCO2の排出量がこのままどうなってしまうのか、ここの危機意識が非常に強いです。多岐に渡るお話をさせていただくべく、多くの質問に対して、限られた時間ではありますけれどもできる限りお話をさせていただく。しかし、私は政治家ですから、誰とどこで、何があったとか、そういうお話をするつもりは毛頭ありません。