大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年1月11日(金)10:31~10:48  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

  皆さんおはようございます。閣議ですけれども、当省に深く関わるものはありませんでした。私からも発言はしていません。
 経済対策等々もまとまりましたので、これに基づいて補正予算、本予算と作成をしていきます。そんな中で、当省に関係あることについて、お話を若干させていただきます。これも何度も記者会見でお話ししていますが、原発事故の後、地球温暖化の話題、すなわちCO2の削減、クールビズあるいはエコカーなど、努力してきたことが埋没しているような気がしてなりません。こういうものをしっかりと元の状態に戻していくということが、当省の、実は大変大きな使命であると考えています。低炭素社会を実現していく政策、環境先進国の日本としての役割、できることを世界に発信していかなければならないと考えています。
 その第一の策として、低炭素社会を創出するためのファイナンス・イニシアティブ、いわゆるファンドを使って投資を呼び込む。これまで環境省ではファンドというものはありませんでした。こういうものを新しいイニシアティブとして作っていかなければならないと思います。環境ビジネスというのは、実は裾野が広くて、安倍政権の経済政策の三本の柱の一つである新たな富を創造する成長分野だと私は考えています。経済再生と低炭素社会の実現、これを同時に実現することが、私は一つの鍵になってくるのではないかと思っています。このためにファンドを創設して、民間の出資・融資を促して官民で事業の展開を図っていくというメカニズムになります。具体的な投資対象なのですが、例えば建物の低炭素化、あるいはまちづくりです。もう既に、ある市長さんが私のところを訪ねて来てくださいまして、是非こういうものを町おこしの一つとしてやりたいというお話もいただいています。あるいは、二国間オフセット・クレジット制度、低炭素技術、このような四つぐらいの分野に重点を置いていく必要があると考えています。
 2番目ですけれども、再生可能エネルギー。これは是非加速化していくべきだと考えています。このプログラムも用意しています。単に量を増やすのではなくて、少し中長期にものを見て、再生可能エネルギーを中核とした、分散型であり自立型のシステム。これは市町村単位でやろうというところが出てくると思います。そういう低炭素社会実現に向けての目標について、具体的に一つの町とか市でやれるようなものをやっていきたいと思っています。再生可能エネルギーが中核的な役割を担えるようにするためにポイントになってくるのは蓄電池です。蓄電池の出力の安定化。電力というのは安定したものでなければならず、風力というのは風があるときは良いのですが、そうでない時は駄目であるといった問題があります。エネルギーの出力の安定化が、これを普及させていく上で重要なキーになります。風力も立地点の制約というものがかなりあります。そういう制約の少ないもの、メガフロートの技術は日本は大変高いわけですから、浮いている洋上型の風力など、体系的戦略的に展開していく必要があると当省としては考えているところです。補正予算と来年度予算にこの二つの策を盛り込み、予算をしっかりと確保した上で、低炭素社会創出に向けた戦略的な取組を展開していきたいと考えています。
 補正予算がらみの話、本予算がらみの話でありますので、この後、事務方から資料をもってどういうようなロジックでこの戦略を進めていくのかというブリーフをします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)NHKの間嶋と申します。今大臣がお示しになったうちの、ファイナンス・イニシアティブのほうで伺います。分野が四つあってコンセプトもいろいろあるのですけれども、特に力をいれた部分というのが、新しい部分というのはどの辺りになるのか、ポイントはどこになるのかということと、あと大臣も言ってましたが、これまで環境省でこういうファイナンスのスキームってあまりなかったと思うのですが、今後の成功に向けての課題、ポイントがどの辺りになるとお考えかお願いします。
(答)後でブリーフをしますけれども、やはり、まちづくり。私は都市社会学をずっとやってきて、まちづくりは政治家になってもライフワークとしてやっているのですけれども、まちづくりというファクター。先ほどもお話ししたのですけれども、経済再生と地域の活性化は実はリンクできるのです。もう現に、そういう市長さんが一人来て、是非という方が出てきています。低炭素社会の創出と、同時に達成できるということを具体化することによって世界に示していくことが、そのイニシアティブのポイントだと思います。お金はあるのですよ、日本には。お金もテクノロジーも。これをコネクトする力が弱かった。そういうことをこのイニシアティブの中でやっていきたいと考えています。
(問)もう1点。最初に、原発事故後、低炭素化が忘れられているという話もありました。事実として、火力発電が増えてCO2排出量が増えている。ここにもありますが、COPでの発言力も低下しているというのが言えると思います。この戦略を、国際交渉の文脈、国際社会へのPRではどのように活かしていきたいと考えているかお願いします。
(答)先ほど蓄電池の出力のお話をしましたけれども、こういうテクノロジーも、日本でいうと2社ぐらい大きい会社が持っています。それを具体的に、こういうふうに日本はやっているんだというものを見せていく。そういうことが、理解を得る上では重要だと思います。モンゴルとの間で、この間、署名したのですが、新しい日本の環境技術によって提供されるCO2の削減を、日本の方にカウントしてもらうといったようなものも、これからもっとどしどしやっていかなければなりません。これだけハイブリッドカーが走っている国は世界中にないです。あるいは自分の家庭に、――宣伝になってしまうのですが――エネファームのような燃料電池を置いている家庭もないです。あと、プラグインの車というのは蓄電池になるのです。こういうことは、実はあまり世界の方々は御存知ない。こういう具体的なものを積み上げることによって、日本はこういうことをやるんだということを示す。そしてそれにはお金も必要ですので、投資を呼び込むファンドみたいなものを活用する。これは新しい手法だと思うのですけれども、環境省としてもやっていくということです。

(問)フリーランス記者の上出と申します。よろしくお願いします。
何回かもうこれは取り上げられているのですけども、改めてこれを発表された今の大臣の心の中にある数値目標という、国際的にアピールするには、今まで25%というのが一人歩きしていて、これは色々言われていますけれども、現実にアピールする場合の数値目標などはどうなんでございましょうか。
(答)今の御指摘、非常に重要です。何%にするという話は今、忘れられています。90年比マイナス6%というのを、これは本当に日本全体で苦労して決定したと思います。企業も協力した、民生部門も協力した。25%の計画の前提は、原子力発電の割合が5割です。今、5割できると思っている方はいらっしゃらないんじゃないですか。規制委で今月中には基準の骨子、あるいは指針等々を出してもらうとしても、エネルギーミックスの最終的な姿を描くには私たちは10年間かかると思うのです。どういうふうにやっていけばいいかということを議論すると。再稼働についても、基準がない限りは安全性が確保できないから動かないと思います。また、この基準に合致しないものは動かせない。それによって変動の幅というのは非常に大きくなる。ですから、イメージ的なものですけれども、いきなり今年中に何%というものをダイレクトに示すことはなかなか難しいかもしれない。しかし、三つぐらいのケースでこれだけの環境技術を活用して、世界にもそれを供与して、こういう社会を作っていかなければならない。やはり、温暖化というのは深刻です。徐々に徐々に生態系が壊れていくのではなくて、これはある学者に私が話を聞いたのですが、ある日ある時、瞬時に崩れていく。そういうことにならないように組み立てていくのが、今を生きる私たちの責任なのではないでしょうか。
(問)今年中にはできないということなのですけれど、一応スケジュール感と、それから、ある程度3段階ぐらいあると言いましたが。
(答)これは事務方とは話していなくて、私の頭の中で、今非常に重要な御質問でありましたので、こんな形ぐらいしかできないのかなと。

(問)読売新聞の北口と申します。ファンドの件で1点お伺いしたいのですが、全体の規模として民間資金と合わせて、先ほど大臣、日本にはお金があるというふうにおっしゃいましたけど、どのくらいの規模を考えていらっしゃるのかというのを明示していただけませんでしょうか。
(答)やる仕事から考えたら、億の4桁を目指したいです。ただ、いきなり言ってもお金は集まってこないです。やはり2桁程度の億円で始めて、3桁をまず目指すと。今回が第一歩ですから、そこのところは謙虚にいかせていただこうと思っています。集めてこいと言われれば集められますけどね。

(問)時事通信の吉本です。先ほどの数値目標の件なのですが、大臣がお考えと示された三つぐらいのケースだけでもというのは、数値目標のオプションを三つ示すという意味なのか、今後の低炭素社会なり、温暖化対策の施策的なものを3パターン示すのか、どういう意味合いでおっしゃったのでしょうか。
(答)エネルギーミックスみたいなものもやはり時間がかかると思うのです。革新的な分野ですので、そこに予算もつけて、あるいは投資減税等々もやって、その分野がどれだけ広がってくるか、あるいは先ほど言いましたように、原発がどうなるか、これによって数値が変わってくる。私の言う三つのカテゴライズというのは、日本の電力がどういうエネルギーミックスになるのかというケースが、多分、三つくらい考えられるのではないかということです。それにもちろん、民間のこれまでの協力、民生部門での協力、あるいは産業部門の協力、これをコンビネーションにする。その中で数字が出てくる。全く事務方とまだこの話は詰めていませんので、そのぐらいのイメージを今持っているということを、非常に重要な御質問だったので、私の頭の中のイメージをお話ししました。もう少し時間をいただけましたら、重要な点ですので、がっちりと議論を事務方ともして、また、学会等の方々とも話をして、お示ししたいと思っています。
(問)今の御認識では、今年中に数値を固めるというのは難しいということですか。
(答)例えば、17にするんだ、15にするんだ、10にするんだ、みたいな数値を一つにするのはなかなか難しいではないのかと。もちろん努力はします。

(問)北海道新聞の須藤と申します。再生可能エネルギー導入加速化についてお尋ねしたいのですが、野田政権当時の25年度要求と比べて、額、あるいは内容で違いが何かあるのか、その辺りをお聞きしたいのですが。
(答)数字ですので、どこまで党のほうに説明しているのかということと合わせないといけませんので、後で具体的な数字も紙でお示しします。
(問)全体の考え方として、大臣が何か御指示をされたことは。
(答)ですから先ほど言ったように、温暖化対策を一つの柱、一つの重要分野としてやっていこうよということはディスカッションの中で決めました。やはり柱なのです。残念なことに今あまり話題に上がらなくなってしまって。ですから、一つの大きな柱だよというメッセージは、環境省として出していかないと忘れられてしまうのです。そういう意味です。数字はできる限り具体的な数字を示すようにします。