大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣就任会見録(平成24年12月26日(水)25:50~26:14 於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 この度、環境大臣並びに内閣府の特命担当大臣(原子力防災)を、安倍総理より拝命をいたしました石原です。環境委員会の理事以来の環境行政です。3.11の震災の後、環境行政は大きく変化をいたしました。今日は、3点お話しさせていただきたいと思っています。
 まず1点目ですが、皆様方が御取材をされていて一番感じられることだと思いますが、原発事故に伴う放射性物質による環境汚染、この対処をやはりまずしっかりとやっていくということに尽きるのではないかと思っています。かなりの人数の職員を投入しております、除染や汚染廃棄物の処理を工程表に乗せて着実に進めていく。そして、そこにはまだ暮らしている方もいます。そういう方々の健康管理、これも、基金をつくってサポートしておりますけれども、しっかりとフォローをしていく。この点に注意をしていきたいと思っております。
 そして、災害廃棄物の迅速な処理。これは東京都でも引き受けさせていただいております。私も今年、宮古市へ行ってきましてJR貨物の方ともお話をしたのですけれども、専用の貨車までつくりまして、当面、宮古市の廃棄物を東京都で埋めるというような御協力もしております。町からはがれきはなくなっているのですが、埠頭などにまだ多く山積みにされている。こういうものにも取り組んでいきたいと思っております。
 そして、原子力規制委員会ですが、これは我が党の塩崎さん等を中心に、議員立法で、独立性の高い三条委員会として制度設計をさせていただきました。私どもが議員立法という形で公明党の皆さんと協力して、また民主党も当時この議員立法に乗ってくださってつくったものですので、私も所管大臣として、しっかりと判断を尊重していきたいと思っております。
 そして、原子力の防災でありますが、これももう釈迦に説法です。皆様方御存知のとおり、原子力防災会議の事務局長が環境大臣ですので、その職責をしっかりと全うするということに尽きるのだと思います。
 そして、地球温暖化とか、生物多様性の保全のような、いわゆる環境問題というのは、人類の生存そのものに直結する重要な案件なのです。最近、COP18等々が開催されたときはニュースになるのですけれども、目がどうしても、そちらのほうに届きません。しかしながら、こういうものについてもやはり、この日本を次代の子供たちにしっかりと渡していく、もっと広くいえば、地球をどうやって次の子供たちや孫たちに伝えていくのかというような観点から、しっかりと見ていかなければならない。こんな認識の下、安倍内閣の中で取り組んでいきたいと、こんな抱負を持っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日経新聞の吉野です。よろしくお願いいたします。
 3番目に仰っていた地球温暖化対策について伺います。2020年に90年比25%削減という国内目標がございます。これは国際公約にもなっておりますけど先ほど来からおっしゃっている原発事故が収束しないなかで、今後、どうやって扱われるか、また、その実現性についてどのように考えていらっしゃるか、そのうえで13年度以降の新たな国内目標というのを、いつまでどのような議論の場において、決定していこうと考えているか、お聞かせください。
(答)これは困った問題です。確か、当時は50%を原子力発電所に依存する前提だったと思うのですね。それを止めて原発を2030年代にゼロにするといって、この目標が達成できるのかできないのかなど専門家も交えて検討する必要があると思いますが、再生可能エネルギーの割合がどこまで2030年で普及するか。私は今、数字を持ち合わせていません。あるいは、コストの面から考えると、石炭火力なのですよね。ただ、石炭火力は、環境負荷が強い。もちろん、技術はかなり進展してきてはいるのですけれども。LNGといっても、これは全く我々のところにはなくて、オイルショックの時の70年から80年にかけてですけど、民生で4割強、生産ライン、工場等々では、50%以上、電力料金が上がったんですよね。そんなことをしたら多分、この国はもたない。総理からも実は指示があって、来年度以降の地球温暖化対策を推進すること。そういう指示なのですけど、温暖化対策に真剣に取り組む。しっかりと検証していくことになるのだと思います。だから、新たな目標を作るのか作らないのかという質問に対しては、今の段階では検討していくということです。

(問)週刊エネルギーと環境の今西です。2点質問があります。
 一つは父親の慎太郎氏は、環境庁長官をかつて務められていましたが、親子そろって環境行政のトップに立つということの感想、もしくは、父親の慎太郎氏からは、先輩として、環境庁長官としてのアドバイスがあったのか、そういうことを教えてください。
 あともう1点が、先ほどの質問にもつながるのですが、東京電力のほうが、原発の電力不足の対応として、新設の石炭火力を260万キロワット、新規に新設に開発するという要項を設けているのですが、国内のCO2対策や、環境アセスとかの問題で、環境省自体がその新設に難色を示しているという状況なのですが、大臣は国内の電力不足と温暖化対策の整合性の問題はどのように考えてますでしょうか。
(答)今言われてみるとなるほどなと。うちの父も、環境庁ですね。当時は、福田内閣、福田お父さん内閣だったと思います。残念ながら、今日は会っていないので、何も言われていないのですが、大島理森先生、小池百合子先生の二人からは、「私たちは環境大臣をやっていたのよ」と、サジェスチョンをいただけるような口調で、お二人から言われました。私の問題意識、また、両先輩の問題意識、そしてうちの父の問題意識を聞いて、御披露させていただきましょう。
 そして二つ目のお話ですが、私の記憶が不正確であったら申し訳ないのですが、被災4県の中で、確か、アセスの迅速化というのをやりましたよね。そういうことも、まだ幹部のみなさんとディスカッションしていないのですけれども他の地域はどうなのと言っている方もいらっしゃるので、その辺の詰めた議論もやってみたいと思います。しかし、それは、低廉なエネルギーを得ることはできますけれども、御質問の指摘のとおり、2020年にマイナス25%の問題と、全く逆方向にいってしまう。これは本当の数字を出して、国民の皆様方に、何をとるのだというようなことも、いろいろなところでお話しすることも必要だと思います。小泉政権のときはタウンミーティングといって、いろいろなテーマを各大臣が持って、いろいろな方とお話をさせていただいた。いろいろな分野の方々とお話しする機会を持たせていただければなと思います。こうすべきだ、ああすべきだと両論ありますので、今ここでどちらがいいというほどの判断材料は持っていません。

(問)共同通信社の渡邉と申します。よろしくお願いいたします。
 震災がれきの処理についてお尋ねしたいのですけれども、自民党の選挙の公約では、広域処理の促進も含め、がれき処理を加速させますと。幹部の挨拶でも、民主党政権が遅れていた復旧・復興を自民党政権が取り戻したいという趣旨の御発言がありましたし。ただ、環境省としては、行政的にはやり得る手は尽くしてきた感もあるのですけれども、迅速化に向けて、どのようなことを今イメージされているか。
(答)例として、東京都が引き受けている宮古市の話をしましたが、そこでどういう処理をしているか。皆様も聞かれていると思いますが、再利用するため、手作業でコンベアにかけて仕分けするのですね。これの処理能力が一つのところで、1日100トンから150トン。それで、何十万トンあるのかな、宮古だけで。単純計算すると、何十年かかる。先ほど10年という話をちょっとしたのは、JR貨物としては10年間は特別な貨車をつくって東京都に宮古から運ぶので、要するにペイラインに乗るというのですね。そのぐらいの量なんですよ、これ。たった1市で。これが、仙台平野の湾岸部全体にしたら、かなりの量ですよね。
 神奈川県も受け入れたかったけれど、認められなかった。北九州でも受け入れてくれたりしていますけれども、それでも一体何年かかるのかと。やはり幅広く、オールジャパンでこの問題は考えないと、そんなに簡単な問題ではない。特に、阪神・淡路のときは都市部での災害でしたので、そこのがれきを山のほうに持って行くというようなことができたのですけれども、今回はなかなかそういうことができない。どこかで沖合の飛行場でもつくっていると、また話は違ってくるのですけれども、私が調べた限りでは、青森で1か所埋め立てがあるぐらいで、あとはなかなか大きなそういうものもない。こういう現状の中で、やはり、そこに暮らす方々から見たら、生活近傍からはなくなったけれどもまだたくさんあるという状況に対して、アイデアを出さねばならない。「政治主導、政治主導」と私は言わないと、先ほど幹部の方に言いました。持てる英知を全て結集して、今、御質問にあったような点も含めて、良い案を絞ってくれと、一歩でも二歩でも早く進む道を考えてくれというような話をさせていただいたところです。

(問)放射性物質を帯びました指定廃棄物の問題も深刻でございまして、民主党政権下において、栃木県と茨城県においては候補地を選定して提示をしたのですが、反発を受けていてなかなか進まない状況になっています。両市では、政権交代を機に白紙撤回をしてほしいという声が高まっています。あとほかに、宮城など3県でも提示を控えているのですが、当初の環境省が思っていた行程からは少し遅れている状況なのですが、対応方針等、今のところで考えていることがありましたらお願いします。
(答)受け入れる側の気持ちも分からないでもないですが、ではどうするのと言ったときに、今ここで、こうしたほうがいいですよということを言えません。正直なところ。御質問の中にあったように、白紙撤回しろという大きな声が出ていることも承知していますが、これも専門家が出した案ですから、私も、フォローアップはもちろんさせていただきます。しかしながら、今ここで、どうすればもっと良いなどということを持ち合わせてはいないということも事実です。

(問)日本農業新聞の竹林司です。冒頭にあった除染についてお尋ねしたいのですけれども、福島県から要望の強い森林除染についてなのですけれども、9月の環境回復検討会以後、実質棚上げになっているような状況になっています。これからの森林除染、以後どういうふうに進めていくつもりでいるのか、そういったことをお聞きできたらと思います。よろしくお願いします。
(答)除染は、野党の幹事長のときにもいろいろな方がいらっしゃいました。今、生活道路から20メートルですか。これに対して、いやいやいや、もっと山の上までやってもらいたいと、集落のところの水の流れは山から沢を伝わってきているという御意見もある。どこまでやるのか。
 今日、大臣を拝命しましたが、森林除染の問題については、難しい課題。山は遠くから見れば、本当に綺麗なんです。そこがやはり、暮らす方々にとっては本当に辛いと思います。中通りで、それこそ安達太良山が綺麗に見えるときに行ったのですが、あそこには良いなだらかなハイキングコースがあります。伊達市のほうから本宮のほうに抜ける。そういうところも実は、という話をされる方もいらっしゃいました。それに対して今どうすれば良いというベストの案は持ち合わせていません。これも、ディスカッションをしてブラッシュアップしていきたいと思っています。

(問)分散型エネルギー新聞の本橋と申しますけれども、2点お伺いします。
 一つは温暖化の問題なのですけれども、大臣のホームページを見ますと、環境と経済の両立はできるというようなことが書いてあるのですけれども、マイナス25%に向けて、やはり、これをうまく経済に活かしていくような施策というか、お考えというのはあるのかということをお伺いしたいのが第1点。
 第2点は、原発の不祥事を見ていますと、やはりヒューマンエラーといいますか、モラルハザードみたいなのが多いと。それは、原発の現場の中で、やはり情報が共有されていなかったり、劣悪な労働環境だったりするということなのですけれども、規制の中で、こういったような人事のマネージメントですとか、そういった在り方のような規制というのは、やはり是非入れていただければと思うのですけれども、この辺のお考えお願いしたいと思うのですけれども。
(答)大臣に私心はないのかもしれませんが、マイナス25%と工業国としての立国というのは、第3のエネルギーでも見つけない限り無理なのではないのかというのが率直な感想です。先ほども言ったように、専門家とこの点も、可能なのか可能ではないのかという結論は、やはり出していかなければいけないところに来ていると思います。
 2番目の質問はやはり、なぜ三条機関か。公取と同じですよね。このレベルのものを議員立法で、当時の政府と真っ向から対立して我々がつくったのか。やはり、監督と推進が一つのところにあったという大きな反省ですよね。やはり、三条委員会になぜ我々がしたのかということが、その問いに対する一つの処方箋になっていると私は思っております。

(問)環境コミュニケーションズの大村と申します。二つお聞きしたいのですが、さし当たっての課題として、概算要求の見直しと補正予算の組立てがあります。環境大臣の観点から、これにどう取組まれようとしているのか、一つ教えていただきたいことと、もう一つは、規制委員会がらみの話で、今、活断層問題等が指摘されておりますが、これと再稼働の問題をどのように考え、受けとめていらっしゃるか、その二つをお願いいたします。
(答)補正予算については、総理から今日、閣議で指示がありました。十分なものをしっかりと各省出すようにと。締切りも来年早々ということでありますので、これも次官以下の皆さんを督励して、バックアップするからしっかりしたものを出してくれというような話をさせていただきました。ですから、どのくらいの規模の要求になるのかというのは今は分かりません。
 また、私は、環境大臣ですから、稼働するかしないかを判断する立場ではありません。三条委員会である規制委員会の判断を最大限に尊重するというのが、今の質問に対する唯一の回答です。政府としてはどうなんですかと聞くのであれば、総理か官房長官にきいていただくしかない、ということだと思います。