■アジア地域におけるESTの実現に向けた協力
アジア地域では、急速な経済発展と都市化によりモータリゼーションが進んでおり、それに伴い発生した様々な交通・環境問題に対して、早急に効果的な対策を打ち出す必要があります。環境省では、UNCRD(国連地域開発センター)と共に「アジアEST地域フォーラム」を2005年に設立し、アジア地域の特性を踏まえつつ、各国との政策対話等を通じ、アジア地域における環境的に持続可能な交通(EST:Environmentally Sustainable Transport)の実現に向けた協力を行っています。
出所:「アジアの都市のための環境保全型交通体系ソースブック,2007」 (両写真とも)
【アジアEST地域フォーラム】
<主な取組内容>
アジアEST地域フォーラムは、下記を目的として設立されています。
- ESTに関する各国の政策、先進事例等の情報共有、意見交換
- 環境と交通分野の専門家、学識経験者からの助言、情報提供
- 開発途上国の国家EST戦略・アクションプランの策定支援及び国際協力機関の参画によるアクションプラン実現支援
- EST推進に向けた地域及び国際間の行動・イニシアティブの連携の確立
~ 統合的なEST戦略 ~
1 | 公衆衛生 |
2 | 交通安全及び道路の維持 |
3 | 交通騒音規制 |
4 | 社会的公平とジェンダーの視点 |
5 | 公共交通計画と交通需要管理 |
6 | 非動力交通(自動車などに依存しない交通) |
7 | 環境と人に優しい都市交通インフラ |
8 | よりクリーンな燃料 |
9 | 道路沿道環境モニタリング及び評価の強化 |
10 | 自動車排ガス規制・車検 |
11 | 土地利用計画 |
12 | 情報基盤の強化、啓発活動、市民参加の促進 |
<参加国>
- アジア25カ国※1
アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、イラン、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、ロシア、シンガポール、スリランカ、タイ、東ティモール、ベトナム
<参加者>
- 政府高官(環境、交通及び保健担当政府機関の代表)
- 環境と交通分野に関する学識経験者
- 国際機関関係者 他
<主な成果>
アジアEST地域フォーラム第10回会合
2003年3月に、アジア諸国の交通環境政策責任者が初めて一堂に会した会議として「交通と環境に関する名古屋国際会議」を開催し、アジア各国の相互理解を深め、アジア諸国間での政策対話等を進めていくことを確認した「名古屋宣言」が採択されました。2004年1月にはフィリピンで「環境と交通に関するマニラ政策対話」を開催し、地域フォーラムの設立などについて合意した「マニラ宣言」が採択されました。
これを受け、2005年8月に名古屋で開催された「アジアEST地域フォーラム第1回会合」から、現在までに、10回の会合が開催されています。これまでの主な成果として、アジアにおけるEST推進に向けた愛知宣言(2005年)、京都宣言[PDF 21KB](2007年)、ソウル宣言(2009年)、バンコク宣言2020(2010年)、バリ宣言(2013年)、コロンボ宣言(2014年)、ヴィエンチャン宣言(2017年)を採択しました。2017年3月14日~16日にラオス・ヴィエンチャンで開催された「アジアEST地域フォーラム第10回会合」には、アジア諸国28カ国の政府高官(環境省、交通及び保健担当政府機関の代表)、学識経験者、国際機関関係者等が約330名参加しました。会合の主な成果は以下の通りです。
(1)アジア地域28ヵ国の代表が参加し、ESTに関する政策、先進事例等の共有が図られました。
(2)2010年開催の第5回フォーラムにて採択された「バンコク宣言2020[PDF]」に示された目標の実現に向けて、より一層ESTを推進することについて確認しました。
(3)議論を踏まえ、非都市部における、環境の観点を含めた持続可能な発展に向けた「ヴィエンチャン宣言」が採択されました。
また、「国際市長フォーラム」が同時に開催され、2007年4月に採択された京都宣言について、アジアにおける環境的に持続可能な交通を推進することについての関心を新たにし、そのコミットメントを強固にするための追記が採択されました。
環境省では、関係機関とも連携しながら、アジア地域を中心としてESTの実現に向け引き続き取組んでいくこととしています。
ESTへの取組の経緯
2003年 3月 | EST名古屋国際会議 |
2004年 1月 | ESTマニラ政策対話〔フォーラム設立準備会合〕(フィリピン・マニラ)、「マニラ宣言」を採択 |
2005年 8月 | 第1回アジアEST地域フォーラム(日本・名古屋)、「愛知宣言」を採択 |
2006年12月 | 第2回アジアEST地域フォーラム(インドネシア・ジョグジャカルタ) |
2007年 4月 | アジアの市長によるEST国際会議(日本・京都)「京都宣言」を採択 |
2008年 3月 | 第3回アジアEST地域フォーラム(シンガポール) |
2008年11月 | アジアの市長による「京都宣言」の署名式(タイ・バンコク) |
2009年 2月 | 第4回アジアEST地域フォーラム(韓国・ソウル)、「ソウル宣言」を採択 |
2010年 3月 | アジアの市長による「京都宣言」の署名式(韓国・ソウル) |
2010年 8月 | 第5回アジアEST地域フォーラム(タイ・バンコク)、「バンコク宣言2020」を採択 |
2011年 12月 | 第6回アジアEST地域フォーラム(インド・ニューデリー) |
2013年 4月 | 第7回アジアEST地域フォーラム(インドネシア・バリ)、「バリ宣言」を採択 |
2014年 11月 | 第8回アジアEST地域フォーラム(スリランカ・コロンボ)、「コロンボ宣言」を採択、 アジアの市長による特別セッションにおいて「京都宣言追記」を採択 |
2015年 11月 | 第9回アジアEST地域フォーラム(ネパール・カトマンズ) |
2017年 3月 | 第10回アジアEST地域フォーラム(ラオス・ヴィエンチャン)、「ヴィエンチャン宣言」を採択、 国際市長フォーラムにおいて「京都宣言追記」を採択 |
アジアEST地域フォーラムの推移
第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回 | 第8回 | 第9回 | 第10回 | |
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参加国数 | 13カ国 | 14カ国 | 22カ国 | 22カ国 | 22カ国 | 21カ国 | 23カ国 | 21カ国 | 26カ国 | 28カ国 |
参加人数 | 約80人 | 約100人 | 約120人 | 約150人 | 約200人 | 約160人 | 約200人 | 約230人 | 約350人 | 約330人 |
開催場所 | 日本 名古屋 |
インドネシア ジョグジャカルタ |
シンガポール | 韓国 ソウル |
タイ バンコク |
インド ニューデリー |
インドネシア バリ |
スリランカ コロンボ |
ネパール カトマンズ |
ラオス ヴィエンチャン |
環境省 報道発表資料
- 第10回アジアEST地域フォーラムの結果について[発表:2017年3月24日] 日本語
- 第9回アジアEST地域フォーラムの開催について [発表:2015年11月26日]日本語
- 第8回アジアEST地域フォーラムの結果について [発表:2014年11月27日]日本語
- 第7回アジアEST地域フォーラムの結果について [発表:2013年5月23日] 日本語
- 第6回アジアEST地域フォーラムの結果について [発表:2011年12月22日] 日本語
- 第5回アジアEST地域フォーラムの結果について [発表:2010年9月2日] 日本語
- アジアの市長による環境的に持続可能な交通に関する「京都宣言」の署名式について [発表:2010年3月23日] 日本語
- 第4回アジアEST地域フォーラムの結果について [発表:2009年3月3日] 日本語
- アジアの市長による環境的に持続可能な交通に関する「京都宣言」の署名式について [発表:2008年11月13日] 日本語
- 第3回アジアEST地域フォーラムの結果について [発表2008年3月21日] 日本語
- アジアの市長による環境的に持続可能な交通に関する国際会議の結果について [発表:2007年4月26日] 日本語
- 第2回アジアEST(環境にやさしい交通)地域フォーラムの結果について[発表:2006年12月18日] 日本語
- 「環境と交通に関する世界会議in愛知」の結果について [発表:2005年8月8日] 日本語環境と交通に関するマニラ政策対話の結果等について [発表:2004年1月19日] 日本語
- 交通と環境に関する名古屋国際会議の結果等について [発表:2003年3月25日] 日本語