大気環境・自動車対策

平成24年度振動規制法施行状況調査

平成26年1月30日(木)
環境省水・大気環境局大気生活環境室
 直通:03-5521-8299
 代表:03-3581-3351
 室長事務取扱:眞先 正人(内線6510)
 係長:桑原 厚 (内線6543)
 担当:東 靖浩 (内線6548)


 環境省は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成24年度における振動規制法の施行状況を取りまとめました。

1.目的

 環境省では、振動防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県、市及び特別区を通じ、振動規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめています。

2.調査結果の概要

(1)振動規制法に基づく地域指定の状況及び届出状況

 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成24年度末現在、全国の市区町村の70.6%に当たる1,229市区町村でした。
 同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は、平成24年度末現在、全国で126,865件でした。また、同法に基づき届出された規制対象の建設作業(特定建設作業)の総数は、38,141件でした。

(2)振動苦情の状況

 振動苦情の件数は、平成24年度は3,254件で、前年度に比べ32件増加しました。
 苦情の内訳を見ると、建設作業が最も多く、2,154件(全体の66.2%)、工場・事業場が577件(17.7%)、道路交通が274件(8.4%)等でした。
 前年度と比較すると、建設作業に係る苦情が108件(5.3%)増加したものの、道路交通に係る苦情が19件(6.5%)、鉄道に係る苦情が14件(22.6%)、工場・事業場に係る苦情が12件(2.0%)減少しました。

(3)振動規制法に基づく措置等の状況

 平成24年度の振動規制法の指定地域内の特定工場等に係る苦情は131件でした。当該年度に行われた振動規制法に基づく立入検査は117件、報告の徴収は33件、振動の測定は64件でした。測定の結果、規制基準を超えていたものは14件であり、改善勧告が1件行われ、改善命令は行われませんでした。この他、行政指導が126件行われました。
 また、指定地域内の特定建設作業に係る苦情は707件でした。当該年度に行われた振動規制法に基づく立入検査は516件、報告の徴収は86件、振動の測定は175件でした。測定の結果、規制基準を超えていたものは6件であり、改善勧告及び改善命令は行われませんでした。この他、行政指導が634件行われました。

3.調査結果の詳細

3-1 振動規制法に基づく地域指定の状況及び届出状況

(1)地域指定の状況

 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成24年度末現在、全国の市区町村の70.6%に当たる1,229市区町村であった(表1)。

表1 振動規制法地域指定の状況(平成24年度末現在)
全市区町村数 789 23 746 184 1,742
振動規制法地域指定 748 23 418 40 1,229
割合(%) 94.8% 100.0% 56.0% 21.7% 70.6%

(2)特定工場等総数及び特定施設の届出数

 振動規制法に基づき届出されている特定工場等の総数は、平成24年度末現在126,865件で、前年度(126,864件)より1件(0.0%)増加している(表2)。また、特定施設の総数は854,820件で前年度(861,181件)より6,361件(0.7%)減少している(表3の[2])。
 特定工場等の内訳をみると、主な特定施設として圧縮機を届け出ているものが33.1%と最も多く、次いで、金属加工機械が31.4%、織機が14.5%の順となっている(表3の[1])。
   特定施設の届出数の内訳をみると、金属加工機械が31.8%、織機が29.1%、圧縮機が23.3%とこれら3施設で全体の8割以上を占めている(表3の[2])。

表2 特定工場等総数の最近の推移
平成22年度平成23年度平成24年度
特定工場等総数 126,412 126,864 126,865
対前年度比 856 452 1
(増減率) (0.7%) (0.4%) (0.0%)

△は減少を示す。

表3 法に基づく届出件数(平成24年度末現在
[1] 特定工場等総数
主要な設置特定施設総数(%)
126,865 100.0%
金属加工機械 39,887 31.4%
圧縮機 42,047 33.1%
土石用破砕機等 4,012 3.2%
織機 18,431 14.5%
コンクリートブロックマシン等 851 0.7%
木材加工機械 2,485 2.0%
印刷機械 10,172 8.0%
ロール機 743 0.6%
合成樹脂用射出成形機 7,053 5.6%
鋳型造型機 1,184 0.9%
[2] 特定施設総数
特定施設総数(%)
854,820 100.0%
金属加工機械 271,774 31.8%
圧縮機 199,598 23.3%
土石用破砕機等 20,199 2.4%
織機 248,689 29.1%
コンクリートブロックマシン等 2,358 0.3%
木材加工機械 4,771 0.6%
印刷機械 36,576 4.3%
ロール機 3,966 0.5%
合成樹脂用射出成形機 60,500 7.1%
鋳型造型機 6,389 0.7%

(3) 特定建設作業の実施届出件数

 平成24年度中の特定建設作業実施届出件数は38,141件(前年度35,449件)であり(表4)、その内訳をみると、ブレーカーを使用する作業が31,356件(同28,462件)、くい打機等を使用する作業が5,638件(同5,748件)の順となっており、これらが大部分を占めている(表5)。

表4 特定建設作業件数の最近の推移
平成22年度平成23年度平成24年度
特定建設作業件数 34,302 35,449 38,141
対前年度比 2,052 1,147 2,692
(増減率) (6.4%) (3.3%) (7.6%)
表5 特定建設作業の届出件数
特定建設作業の種類届出件数(%)
38,141 100.0%
くい打機等を使用する作業 5,638 14.8%
鋼球を使用して破壊する作業 249 0.7%
舗装版破砕機を使用する作業 898 2.4%
ブレーカーを使用する作業 31,356 82.2%

3-2 振動苦情の状況

(1)苦情件数の推移

  平成24年度に全国の地方公共団体が受理した振動に係る苦情の件数は3,254件であった。これは、前年度(3,222件)と比べて32件(1.0%)増加となった(図1)。

図1:振動苦情件数の推移

(2)発生源別の苦情件数

 平成24年度の苦情件数を発生源別にみると、建設作業が2,154件(全体の66.2%)で最も多く、次いで工場・事業場577件(同17.7%)、道路交通274件(同8.4%)、鉄道48件(同1.5%)の順となっている(図2、図3)。
 また、前年度と比較すると、建設作業に係る苦情が108件(5.3%)増加したものの、道路交通に係る苦情が19件(6.5%)、鉄道に係る苦情が14件(22.6%)、工場・事業場に係る苦情が12件(2.0%)減少した。

図2:苦情件数の発生源別内訳(平成24年度)

図3:過去3カ年の苦情件数の発生源別内訳
図3 過去3カ年の苦情件数の発生源別内訳

(3)都道府県別の苦情件数

 平成24年度の苦情件数を都道府県別にみると、東京都の922件が最も多く、次いで大阪府が315件、埼玉県が284件、愛知県が268件、千葉県が266件となっている。振動苦情件数の上位5都府県における合計件数が全体の63.2%に達するなど、大都市を有する地域における苦情が大きな割合を占めた。この傾向は、人口100万人当たりの苦情件数においてもほぼ同様であった。(表6、表7)。

表6 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
苦情件数人口100万人当たりの苦情件数
都道府県件数都道府県件数
東京都 922 東京都 70
大阪府 315 千葉県 43
埼玉県 284 埼玉県 39
愛知県 268 愛知県 36
千葉県 266 大阪府 36
全国 3,254 全国平均 26

※人口は平成24年10月1日現在の総務省統計局推計人口による。

表7 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況
都道府県平成23年度平成24年度増減増減率
北海道 58 63 5 8.60%
青森県 8 9 1 12.50%
岩手県 4 19 15 375.00%
宮城県 36 37 1 2.80%
秋田県 10 8 △2 △20.0%
山形県 10 11 1 10.00%
福島県 12 25 13 108.30%
茨城県 51 53 2 3.90%
栃木県 18 18 0 0.00%
群馬県 40 39 △1 △2.5%
埼玉県 327 284 △43 △13.1%
千葉県 254 266 12 4.70%
東京都 876 922 46 5.30%
神奈川県 279 264 △15 △5.4%
新潟県 60 44 △16 △26.7%
富山県 8 12 4 50.00%
石川県 18 11 △7 △38.9%
福井県 13 7 △6 △46.2%
山梨県 3 3 0 0.00%
長野県 17 12 △5 △29.4%
岐阜県 29 31 2 6.90%
静岡県 60 81 21 35.00%
愛知県 222 268 46 20.70%
三重県 25 25 0 0.00%
都道府県平成23年度平成24年度増減増減率
滋賀県 21 19 △2 △9.5%
京都府 37 51 14 37.80%
大阪府 354 315 △39 △11.0%
兵庫県 77 59 △18 △23.4%
奈良県 10 17 7 70.00%
和歌山県 11 7 △4 △36.4%
鳥取県 7 3 △4 △57.1%
島根県 3 4 1 33.30%
岡山県 67 39 △28 △41.8%
広島県 25 46 21 84.00%
山口県 11 18 7 63.60%
徳島県 7 6 △1 △14.3%
香川県 8 3 △5 △62.5%
愛媛県 15 13 △2 △13.3%
高知県 0 4 4
福岡県 53 62 9 17.00%
佐賀県 7 8 1 14.30%
長崎県 5 6 1 20.00%
熊本県 12 16 4 33.30%
大分県 15 12 △3 △20.0%
宮崎県 10 8 △2 △20.0%
鹿児島県 17 19 2 11.80%
沖縄県 12 7 △5 △41.7%
合計 3,222 3,254 32 1.0%

△は減少を示す。

(4)規制対象とそれ以外の苦情件数との比較

  平成24年度の工場・事業場に対する苦情総数577件のうち、振動規制法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは、131件(全体の22.7%)であった。また、建設作業に対する苦情総数2,154件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は707件(32.8%)となっている(表8)。

表8 規制対象とそれ以外の苦情件数  (工場・事業場、建設作業)
発生源の種類工場・事業場建設作業
特定工場等左記(特定工場等)以外特定建設作業左記(特定建設作業)以外
年度指定地域内指定地域外指定地域内指定地域外指定地域内指定地域外指定地域内指定地域外
平成23年度件数 164 25 344 56 589 713 22 1,261 50 2,046
27.8% 4.2% 58.4% 9.5% 100.0% 34.8% 1.1% 61.6% 2.4% 100.0%
平成24年度件数 131 21 360 65 577 707 24 1,372 51 2,154
22.7% 3.6% 62.4% 11.3% 100.0% 32.8% 1.1% 63.7% 2.4% 100.0%

3-3 振動規制法に基づく措置等の状況

(1)特定工場等に対する措置等の状況

 平成24年度の振動規制法の指定地域内の特定工場等に係る苦情は131件(前年度164件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、立入検査が117件(同126件)、報告の徴収が33件(同39件)、振動の測定が64件(同62件)であった。測定の結果、規制基準を超えていたものは14件(同12件)であり、改善勧告が1件行われ、改善命令は前年度に引き続き行われなかった。なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、行政指導が126件(同127件)行われた(表9)。

表9 指定地域内の特定工場等振動に係る措置等の状況
平成23年度平成24年度増減率
立入検査 126 117 △7.1%
報告の徴収 39 33 △15.4%
振動の測定 62 64 3.2%
(うち基準超過) 12 14 16.7%
改善勧告 0 1 -
改善命令 0 0 -
行政指導 127 126 △0.8%
(参考)苦情件数 164 131 △20.1%

△は減少を示す。

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

(2)特定建設作業に対する措置等の状況

 平成24年度の振動規制法の指定地域内における特定建設作業に係る苦情は、707件(前年度713件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、立入検査516件(同481件)、報告の徴収86件(同102件)、振動の測定175件(同134件)であった。測定の結果、基準を超えていたものは6件(同6件)であり、改善勧告及び改善命令は前年度に引き続き行われなかった。なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、行政指導が634件(同616件)行われた(表10)。

表10 指定地域内の特定建設作業振動に係る措置等の状況
平成23年度平成24年度増減率
立入検査 481 516 7.3%
報告の徴収 102 86 △15.7%
振動の測定 134 175 30.6%
(うち基準超過) 6 6 0.0%
改善勧告 0 0 -
改善命令 0 0 -
行政指導 616 634 2.9%
(参考)苦情件数 713 707 △0.8%

△は減少を示す。

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

(3)道路交通振動に対する措置の状況

 平成24年度の振動規制法の指定地域内における道路交通騒音の苦情は234件(前年度255件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、振動の測定が91件(同86件)であり、測定の結果、要請限度を超えていたものは4件(同3件)であった。また、都道府県公安委員会に対する要請及び道路管理者に対する要請は、前年度に引き続き行われていない。
 なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、都道府県公安委員会に対する同様の措置依頼が4件(同7件)、道路管理者に対する措置依頼が109件(同103件)行われた(表11)。

表11指定地域内の道路交通振動に係る措置等の状況
平成23年度平成24年度増減率
振動の測定 86 91 5.8%
(うち要請限度超) 3 4 33.3%
公安委員会への要請 0 0 -
道路管理者への要請 0 0 -
要請以外の公安委員会への措置依頼 7 4 △42.9%
要請以外の道路管理者への措置依頼 103 109 5.8%
(参考)苦情件数 255 234 △8.2%

△は減少を示す。

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

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