大気環境・自動車対策

令和3年度 大気汚染状況について

1.調査の概要

大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第22条に基づき、都道府県及び大気汚染防止法上の政令市において大気汚染状況の常時監視が行われており、環境省においても大気環境モニタリングを行っています。今般、令和3年度における常時監視測定結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。

対象物質は、環境基準が設定されている6物質です。令和3年度末時点の測定局数は全国で1,796局であり、内訳は一般環境大気測定局(国設局を含む。以下「一般局」という。)が1,413局、自動車排出ガス測定局(国設局を含む。以下「自排局」という。)が383局です。
 

2.測定結果の概要

(1) 微小粒子状物質(PM2.5)

環境基準達成率は、一般局で100%、自排局で100%(令和2年度 一般局:98.3%、自排局:98.3%)であり、令和2年度に比べて、一般局、自排局ともに改善しました。
全測定局の年平均値は、一般局で8.3μg/m3、自排局で8.8μg/m3(令和2年度 一般局:9.5μg/m3、自排局:10.0μg/m3)であり、平成25年度以降緩やかな改善傾向が続いています。
 

(2) 光化学オキシダント(Ox)

環境基準達成率は、一般局で0.2%、自排局で0%(令和2年度 一般局:0.2%、自排局:0%)であり、達成状況は依然として極めて低い水準となっています。
光化学オキシダント注意報発令レベル(0.12ppm)の超過割合が多い地域※1における、光化学オキシダント濃度の長期的な改善傾向を評価するための指標値※2について、令和元~3年度の結果はいずれの地域においても平成28~30年度に比べて低下していました。
光化学オキシダント注意報の発令状況※3は、発令都道府県数が12都府県、発令延日数が29日であり、令和2年(15都府県、45日)と比較して、いずれも減少しました。
光化学大気汚染によると思われる被害の届出は、1県で4人(令和2年度 2県で4人)でした。

※1 関東、東海、阪神、福岡・山口の4地域
※2 Ox濃度8時間値の日最高値の年間99パーセンタイル値の3年平均値を測定局毎に算出した上で、その地域で最も高い数値を「その地域の指標値」として算出
※3 光化学オキシダント警報の発令は0回
 

(3) その他の大気汚染物質

二酸化窒素(NO2)の環境基準達成率は、一般局で100%、自排局で100%(令和2年度 一般局:100%、自排局:100%)でした。
浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率は、一般局で100%、自排局で100%(令和2年度 一般局:99.9%、自排局:100%)でした。
二酸化硫黄(SO2)の環境基準達成率は、一般局で99.8%、自排局で100%(令和2年度  一般局:99.7%、自排局:100%)であり、環境基準未達成局は火山の噴火の影響によるものでした。
一酸化炭素(CO)の環境基準達成率は、一般局で100%、自排局で100%(令和2年度 一般局:100%、自排局:100%)でした。

なお、いずれの大気汚染物質においても、年平均値については、近年、一般局、自排局ともに緩やかな低下傾向がみられます。

3.今後の対応

環境省においては、引き続き環境基準及び指針値の達成・維持に向けて、工場・事業場からの排出抑制対策、自動車排出ガス対策、電動車の普及等を総合的に推進していきます。
PM2.5及びOxについては、中央環境審議会大気・騒音振動部会微小粒子状物質等専門委員会の中間取りまとめ(平成27年3月)を踏まえ、PM2.5及びOxの原因物質である各種の大気汚染物質について、排出抑制対策の強化を検討・実施してまいりました。
特に、Oxについては、大気汚染対策と気候変動対策の両面から対策が必要であることから、令和4年1月に策定した「気候変動対策・大気環境改善のための光化学オキシダント総合対策について〈光化学オキシダント対策ワーキングプラン〉」に基づき、総合的な対策を推進する上で基礎となる現象解明、情報整備等に取り組んでいます。