大気環境・自動車対策

平成26年度大気汚染状況

1.測定局の概要

 平成26年度末現在の測定局数は、全国で1,910局であり、内訳は一般環境大気測定局(以下「一般局」という。)が1,494局(国設局を含む。)、自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)が416局(国設局を含む。)となっています。                                   

2.主な大気汚染物質の濃度測定結果の概要

(1)二酸化窒素(NO

 環境基準達成率は、一般局で100%、自排局で99.5%(平成25年度 一般局:100%、自排局:99.0%)であり、一般局ではすべての局で達成し、自排局ではほぼ横ばいでした。

 自動車NO・PM法の対策地域における環境基準達成率についても、一般局では9年連続で100%、自排局では99.1%で平成25年度(98.6%)とほぼ同水準でした。

 また、年平均値の推移については、一般局、自排局でゆるやかな低下傾向がみられます。

(2) 浮遊粒子状物質(SPM)

 環境基準達成率は、一般局で99.7%、自排局で100%(平成25年度 一般局:97.3%、自排局:94.7%)であり、一般局ではやや改善、自排局では改善しました。

 自動車NO・PM法の対策地域については、一般局で99.8%、自排局で100%(平成25年度 一般局:96.4%、自排局:92.3%)の達成率であり、一般局ではほぼ横ばい、自排局では改善しました。

 また、年平均値については、一般局、自排局とも近年ほぼ横ばいで推移しています。

(3) 光化学オキシダント(Ox)

 環境基準達成率は、一般局で0%、自排局で3.6%(平成25年度 一般局:0.3%、自排局:0%)であり、達成状況は依然として極めて低い水準となっています。

 また、昼間の日最高1時間値の年平均値については、近年ほぼ横ばいで推移しています。

 光化学オキシダント濃度の長期的な改善傾向を評価するための指標を用いて、注意報発令レベルの超過割合が多い地域である関東地域や阪神地域などの域内最高値の経年変化をみると、近年、域内最高値が低下しており、高濃度域の光化学オキシダントの改善が示唆されています。

※光化学オキシダント濃度8時間値の日最高値の年間99パーセンタイル値の3年平均値

(4) 二酸化硫黄(SO

 環境基準達成率は、一般局で99.6%、自排局で100%(平成25年度 一般局:99.7%、自排局100%)であり、近年ほとんどすべての測定局で環境基準を達成しています。

(5) 一酸化炭素(CO)

 環境基準達成率は、一般局、自排局とも100%(平成25年度 一般局:100%、自排局100%)であり、昭和58年以降すべての測定局で環境基準を達成しています。

(6)微小粒子状物質(PM2.5)

 環境基準達成率は、一般局で37.8%、自排局で25.8%(平成25年度 一般局:16.1%、自排局: 13.3%)であり、一般局、自排局ともに改善しました。

 PM2.5については、長期基準(年平均値15μg/m3以下)と短期基準(1日平均値35μg/m3以下)の両者を達成した場合に、環境基準を達成したと評価しています。

 長期基準の達成率は、一般局で60.3%、自排局で44.4%(平成25年度 一般局:44.3%、自排局: 32.0%)であり、平成25年度に比べ改善しました。

 また、全測定局の年平均値は平成25年度に比べ低下したものの、一般局、自排局ともに横ばいで推移しています。

 短期基準の達成率は、一般局で40.6%、自排局で28.8%(平成25年度 一般局:16.3%、自排局: 13.3%)であり、平成25年度に比べ改善しました。

 平成26年度は、平成25年度に比べ、5、6月に短期基準が非達成となった日が増加したものの、7月、8月に光化学スモッグ現象が発生した日が大幅に減少しました。また、平成25年度は2月に風が弱いなどの気象条件により、関東地域を中心に日平均値が高くなった日が多くありましたが、平成26年度は2月に日平均値が高くなる日が大幅に減少しました。これらの要因により、短期基準が非達成となった日が減少したことから、環境基準の達成率が改善したと考えられます。

 また、PM2.5の成分分析は、全国180地点で実施されました。このうち、通年(四季)で質量濃度と炭素成分及びイオン成分が測定された地点は155地点であり、その内訳は一般環境102地点(年平均濃度: 14.3μg/m3)、道路沿道34地点(年平均濃度15.0μg/m3)、バックグラウンド19地点(年平均濃度: 10.3μg/m3)でした。

 成分組成については、道路沿道では、元素状炭素の割合が他の地点よりやや高いほか、バックグラウンドでは、硝酸イオン、元素状炭素の割合が低く、硫酸イオンの割合がやや高くなっていました。

3.今後の対応

 環境省においては、本調査結果を踏まえ、環境基準の達成・維持に向けて、工場・事業場からのばい煙排出対策、自動車排出ガス対策、低公害車の普及等を引き続き総合的に推進していきます。

 PM2.5については、昨年3月に、中央環境審議会の微小粒子状物質等専門委員会において、国内における当面の排出抑制策の在り方について中間取りまとめが行われたところであり、これを踏まえPM2.5の原因物質である各種の大気汚染物質について、排出抑制対策の強化を検討・実施するとともに、総合的な対策に取り組む上で基礎となる現象解明、情報整備等に取り組み、その進捗状況に応じて追加的な対策を検討することとしています。

 光化学オキシダントについては、原因物質である窒素酸化物や揮発性有機化合物の排出抑制対策を進めてきており、近年、関東地域等において、高濃度域の光化学オキシダント濃度の低下傾向が見られているところであり、測定値に基づく解析とシミュレーションを組み合わせた解析を行い、経年変化の要因や排出抑制対策の検討を進めています。

 国際的には、昨年11月に韓国・ソウルで開催された日中韓サミットで採択された共同宣言に基づき、大気汚染に関する日中韓三カ国政策対話を通じた協力を推進することとしています。本年2月23日、24日には、日本・東京で第3回となる政策対話を開催し、PM2.5に関する現状と対策、今後の協力の方向性等について、三ヵ国で情報共有・意見交換を行ったところです。引き続き、日中韓の三ヵ国による協力を強化するとともに、日中の地方自治体間で協力を進める都市間連携協力事業について、一層協力を進めることとしています。