大気環境・自動車対策
平成15年度大気汚染状況について
1.二酸化窒素(NO2)
(1)全国の状況
平成15年度の二酸化窒素の有効測定局数※1は、1,880局(一般大気環境測定局※2(以下「一般局」という。):1,454 局、自動車排出ガス測定局※3(以下「自排局」という。): 426 局)であった。長期的評価による環境基準達成局は、一般局で1,453局(99.9%)、 自排局で365局(85.7%)となっている。平成14年度と比較すると一般局では非達成局 は1局(中央区晴海測定局:東京都)のみであり、自排局では達成率が約2ポイント改 善している(表1-1、図1-1)。また、年平均値の推移をみると、ほぼ横這いの傾向 が続いている(図1-2)。
環境基準非達成局の分布についてみると、一般局については、東京都に分布しており、 自排局については、自動車NOx・PM法※4の対策地域を有する都府県(埼玉県、千葉 県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県)に加え、静岡県、岡山県、 広島県、山口県、福岡県、長崎県の6県に分布している(図1-3)。
- ※1 有効測定局 ...
- 年間測定時間が6,000時間以上の測定局(光化学オキシダントを除く)。
- ※2 一般環境大気測定局 ...
- 一般環境大気の汚染状況を常時監視する測定局。
- ※3 自動車排出ガス測定局 ...
- 自動車走行による排出物質に起因する大気汚染の考えられる交差点、道路及び道 路端付近の大気を対象にした汚染状況を常時監視する測定局。
- ※4 自動車NOx・PM法 ...
- 「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削 減等に関する特別措置法」の略。
- 表1-1 有効測定局数、環境基準達成局数及び環境基準達成率の推移
- 図1-1 二酸化窒素の環境基準達成率の推移
- 図1-2 二酸化窒素及び一酸化窒素濃度の年平均値の推移
- 図1-3 二酸化窒素の環境基準達成局の分布
(2)自動車NOx・PM法の対策地域における状況
平成15年度の対策地域全体での有効測定局数は664局(一般局:452局、自排局:212局)であった。
このうち、環境基準達成局は、一般局で451局(99.8%)、自排局で162局(76.4%) となっており、その割合は平成14年度と比較して一般局では2.7ポイント、自排局では 7.1ポイント改善した(図1-4)。一方、対策地域内で過去10年間継続して測定を行っ ている575の測定局(一般局:415局、自排局:160局)における年平均値は、ほぼ横這 いの傾向が続いている(図1-5)。
2.浮遊粒子状物質(SPM)
平成15年度の浮遊粒子状物質の有効測定局数は、1,910局(一般局:1,520 局、自排局:390局)であった。
長期的評価による環境基準達成局数は、一般局で1,410局(92.8%)、自排局で301局(77.2%)であり、いずれも平成14年度に比べて達成率は改善した(表2-1、図2-1)。
これは、環境基準を超える日が2日以上連続することによって非達成となった測定局が減少したことによる(図2-2)。
一方、年平均値については、ゆるやかな改善傾向がみられる(図2-3)。
環境基準非達成局は宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、長崎県、熊本県の20都府県に分布している(図2-4)
また、自動車NOx・PM法の対策地域における環境基準達成率は、平成14年度に比べて全ての対策地域で改善が見られた(図2-5)。
- 表2-1 有効測定局数、環境基準達成局及び環境基準達成率の推移
- 図2-1 環境基準達成率の推移
- 図2-2 環境基準を超える日が2日以上連続することにより非達成となった測定局の割合
- 図2-3 浮遊粒子状物質濃度の年平均値の推移
- 図2-4 浮遊粒子状物質の環境基準達成局の分布
- 図2-5 自動車NOx・PM法の対策地域における浮遊粒子状物質の環境基準達成率の推移
3.光化学オキシダント(Ox)
平成15年度の光化学オキシダントの有効測定局数は、1,193局(一般局:1,166局、自排局: 27局)であった。
このうち、環境基準達成局数は、一般局と自排局で3局(0.3%)と依然として低い水準と なっている(図3-1)。
また、平成15年度における光化学オキシダント注意報等の発令延べ日数(都道府県単位で の発令日の全国合計値)は108日であった(図3-2)。濃度別の測定時間の割合で見ると、1時間値が0.06ppm以下の割合は93.9%、0.06ppmを超え0.12ppm未満の割合は6.0%、0.12ppm以上の割合は0.1%となっており、ほとんどの測定時間において環境基準値以下であった(図 3-3)。
一方、年平均値については近年漸増している(図3-4)。また、大都市に限らず都市周辺 部での光化学オキシダント濃度が0.12ppm以上となる日数も多くなっており、光化学大気汚染 の特徴である広域的な汚染傾向が認められる(図3-5)。
- 図3-1 光化学オキシダント(1時間値の最高値)濃度レベル別測定局数の推移
- 図3-2 光化学オキシダント注意報等発令日数の推移
- 図3-3 光化学オキシダント濃度レベル別測定時間割合の推移(昼間)
- 図3-4 光化学オキシダントの昼間の日最高1時間値の年平均値の推移
- 図3-5 注意報レベル(0.12ppm以上)の濃度が出現した日数の分布(関東地域、関西地域)
(参考) 非メタン炭化水素(NMHC,Non Methan Hydro Carbon)
光化学オキシダントの原因物質の一つである非メタン炭化水素(全炭化水素から光化学反 応性を無視できるメタンを除いたもの)の午前6時~9時における年平均値は、近年横這い からゆるやかな改善傾向を示しており、平成15年度は一般局では0.22ppmC、自排局では 0.31ppmCであった(図3-6)。
大気環境指針:午前6時~9時の平均値が0.20~0.31ppmC以下
4.二酸化硫黄(SO2)
平成15年度の二酸化硫黄の有効測定局数は、1,487局(一般局:1,395局、自排局:92局)であっ た。長期的評価による環境基準達成率は、一般局で99.7%、自排局で100%と良好な状況が続い ている(図4-1)。
年平均値は、昭和40、50年代に比べ著しく改善した後、近年では横這い傾向にある(図4- 2)。
5.一酸化炭素(CO)
平成15年度の一酸化炭素の有効測定局数は、401局(一般局:99局、自排局:302局)であった。
長期的評価では、すべての測定局において環境基準を達成しており、近年良好な状況が続い ている。また、年平均値は、昭和40、50年代に比べ著しく改善し、近年も漸減傾向にある(図 5)。