大気環境・自動車対策

第1回風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会議事録

日時

  • 平成26年2月4日(火)
  • 15:00~17:00

場所

  • 三田共用会議所 第三特別会議室

出席者

  • (主査)塩田正純
  • (委員)勝呂幸男、高田和彦、橘秀樹、船場ひさお、前田太佳夫、町田信夫、森下達哉、吉田茂雄
  • (環境省)真先総務課長、山根大気生活環境室長補佐、桑原大気生活環境室振動騒音係長

議題

  • (1) 風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会について
  • (2) 風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会の進め方(案)について
  • (3) 環境省における騒音対策技術等の取組について
  • (4) その他

分科会資料一覧

資料1
風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会設置要綱(分科会委員名簿を含む。)
資料2
風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会の進め方(案)について

議事

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 定刻を5分ほど過ぎておりますが、まだおみえになっていない委員の先生もいらっしゃいますが、そろそろ始めさせていただければと思います。
ただいまから、第1回風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙にもかかわらず出席いただき、大変ありがとうございます。
本日の会議は公開とさせていただき、会議資料についても公開とさせていただきたいと思います。私、本日の司会進行を務めさせていただきます、水・大気環境局大気生活環境室の桑原と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、分科会に先立ちまして、水・大気環境局総務課長の眞先よりご挨拶させていただきます。

【眞先総務課長】 水・大気環境局総務課長の眞先でございます。
本日は天候も悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会ということで、第1回の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
これまで、風力発電施設の騒音等の評価手法に関する検討会で、今年度になりまして3回ほど検討を積んでおりました。その中で、さまざまなご意見を頂戴しているところでございますが、そのご議論の中で、騒音のメカニズムや対策技術につきまして、現状を把握いたしまして、その対策技術の進捗状況についても十分把握していくことが必要だということになり、本分科会を設置するという話が、昨年12月の検討会で決まったところでございます。
この分科会では、対策技術の現状等につきまして幅広く情報を聴取いたしまして、よくその状況を把握していこうという趣旨でございます。こういった観点でございますので、まず、本日は、この分科会の進め方等についてご議論を進めさせていただきつつ、なおかつ、環境省で行っている取組につきましても情報を収集していただくということを予定しております。今後、さまざまなメーカー等から情報を収集して、騒音等の対策技術の状況把握に努めていきたいと思いますので、ぜひ、委員の皆様の幅広い観点からの忌憚のないご意見を賜りまして、実りある会にしていきたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 ありがとうございました。
本分科会では、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会の座長の指名により塩田委員に主査としてご就任していただいておりますので、一言ご挨拶をいただければと思います。
塩田委員、よろしくお願いいたします。

【塩田主査】 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
総務課長の挨拶にもありましたように、評価手法等を検討する上で、騒音の発生メカニズムや対策技術等の進捗状況を把握するということは、評価をする上で非常に重要なことだというように考えております。
お集まりの皆様方のお力によりまして、有意義な検討ができればと思っておりますので、どうぞよろしくご協力のほどをお願い申し上げます。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 ありがとうございました。
それでは、本日の委員の先生方の出席状況についてお知らせいたします。
本日は、飯田委員からご欠席との連絡を受けておりますが、他の委員の先生方にはご出席をいただいており、会議の定足数に達していることを報告いたします。
なお、町田委員につきましては、40分ほど遅れるとのご報告を受けております。
次に、お手元に配付しております資料についてご確認をさせていただきます。まず、本分科会の議事次第というA4の表裏印刷もの。配席図という片面刷りのもの。資料1、風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会設置要綱。資料2、風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会の進め方(案)について、こちらが配付資料でございます。過不足がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
では、この後の議事進行につきましては、塩田主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【塩田主査】 それでは議事進行に入らせていただきます。
まず議題1ですが、風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会について、事務局のほうから説明をお願いいたします。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 それでは資料1に沿ってご説明いたします。
本分科会は、騒音の評価手法等の検討を行っている風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会において、風力発電施設から発生する騒音のメカニズムについて把握し、対策技術の進捗状況についても十分に把握することは、今後の検討においても必要不可欠であることから、本分科会を設置することとなっております。
本分科会におきましては、騒音発生メカニズム等を含めた対策技術の進捗状況についての知見を収集することを主な目的としてございます。
分科会の委員につきましては、検討会の町田座長と協議を行い、資料1の3枚目にございます委員の先生方にお願いをしているところでございます。
それでは、この委員名簿に沿いまして、各委員のご紹介をさせていただければと思います。
先ほど申し上げましたとおり、飯田委員は本日欠席でございます。
それから、塩田委員でございます。主査をお願いしてございます。
次に、私のほうから見まして右手隣、勝呂委員でございます。
お隣、高田委員でございます。
お隣、橘委員でございます。
お隣、船場委員でございます。
私から見まして左手になります。前田委員でございます。
町田委員、40分ほど遅れるとの連絡を受けてございます。
お隣、森下委員でございます。
お隣、吉田委員でございます。
事務局のほうから、資料1の説明は以上でございます。

【塩田主査】 それでは、ただいまの説明に対して、何かご質問等がございましたら、お願いいたします。
特にないようですので、続きまして、議題2、分科会の進め方(案)について、事務局のほうから説明をお願いいたします。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 それでは資料2、風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会の進め方(案)について、事務局よりご説明いたします。
分科会において、風力発電施設から発生する騒音低減化技術等について、風力発電施設の製造事業者などからヒアリングを進めていくこととしたいと思ってございます。ヒアリングを実施するに当たりまして、委員の方々に内容をご議論いただく予定ではございますけれども、その前段として、取りまとめての目標や今後の進め方についてお示ししたいと考えておりますので、その部分から説明させていただきます。
まず、ヒアリングの方法についてでございます。資料2の1.になります。
(1)ヒアリング時間は1者当たり30~45分程度を想定しております。これには質疑応答も含めるという形を考えてございます。それから(2)事前に配布する質問項目等を中心に説明していただく予定でございます。(3)その後、10~15分程度の質疑応答を行い、(4)1回当たりのヒアリング実施者は2~3者程度を想定してございます。
2.主なヒアリング内容でございます。
(1)として、自らの事業概要についてご説明をいただき、(2)風力発電施設に係る騒音対策として具体的に実施していることについてヒアリングを行いたいと考えてございます。例といたしましては、例えばブレードの形状の変更等といったような具体例が一つ挙げられるのではと考えてございます。(3)上記、風力発電施設に係る騒音対策のこれまでの取組と現状について、それから(4)風力発電施設に係る騒音対策の今後の取組・展開の見込みについてといった内容でございます。(5)といたしましては、風力発電施設に騒音対策技術等の中で、特に別紙に記載する個別の技術的事項についてということで、別紙に記載されておりますけれども、この資料2の裏側に個別事項ということで、本日(案)として記載をさせていただいておるところでございます。こちらについても、また後ほどご説明させていただければと思います。
主なヒアリング内容としては、2.に示すような内容でございます。
それから、3.ヒアリング対象についてということでございますけれども、こちらは事務局としては、日本国内において風力風力発電施設を製造・販売等をしている国内外の企業やその他各種専門家等を想定してございます。時間的な制約も考慮いたしますと、10者程度のヒアリングを予定しておるところでございます。
四つ目でございます。4.分科会における情報の取扱についてでございます。
分科会におけるヒアリングでは、現時点やこれからの開発展望なども含め、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらす恐れが生じないよう、主査の判断により、会議資料も含め非公開とすることがあるとしております。
最後に、5.その他でございます。
(1)各委員からの情報提供があれば適宜対応させていただければと考えてございます。(2)として、その他委員から要望があれば、各種企業・専門家等からのヒアリングに向けて調整を行うことというふうにさせていただいてございます。
続いて、裏面の個別項目(案)についてです。
こちらは、具体的に考えられることを事務局で(案)として付けさせていただいているものでございます。
一つ目、1.騒音低減化技術等開発状況についてということで、(1)機械音を低減するための方法、(2)ブレードの回転に伴う空力音を低減するための方法、(3)タワーからの二次放射音低減のための方法、(4)タワー基礎からの地盤振動低減のための方法、(5)ナセルやブレード、タワー等の利用素材及びそれらの稼働音に関する対策、(6)音圧レベルの低減の推移、 (7)ウインドファームの設置を前提としたような開発もされているのか、といったようなところをお聞きできればと考えています。
二つ目、2.騒音低減化技術等の開発体制です。具体的には、(1)研究開発体制はメーカー単独なのか、もしくは共同連携か、(2)ランニングコストも考慮した開発か、(3)これまでの技術開発における騒音低減化の、例えば、1デシベル当たりのコストというはどのくらいか、といったところです。
三つ目、3.その他、個別に確認したい事項という形で列挙しています。(1)メーカー自身で風力発電施設からの発生する騒音等の測定の実施の有無、(2)測定データの開発へのフィードバック及びデータ等の蓄積状況について、(3)環境省で自主的な取組として推進している騒音ラベリング制度の風力発電施設への導入の可能性、(4)騒音低減化技術等の性能を担保するための保守点検の推奨、(5)騒音低減化を目的とした風車音の自動監視・制御システムといったような事項についてお聞きできればと、現在、事務局では考えております。
資料についての説明は以上でございます。

【塩田主査】 ありがとうございました。ただいま資料2に基づきまして、本分科会の目的や今後の進め方等について、具体的なヒアリング項目の(案)について、事務局から説明がありました。
本件につきましては、本分科会の方向性に関係する重要な点であると思いますので、委員の皆様方においては、活発なご議論をお願いしたいと思います。本件につきまして質問やご意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。

【橘委員】 今の個別項目というところで、大きな1.の最後の(7)ウインドファームの設置を前提とした開発というのは、これ、ずっと読んでいてわからなかったんですけれども。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 これは、事務局として想定していますのが、これ以外の事項につきましては、基本的に個別のタワー1本ごとの開発が主にされているというふうに考えてございましたので、これらが複数基あった場合に、それらの影響等について考慮した上で何らかの開発を行っているのか、もしくは単基ごとで見ているのかといったところをお聞きできればということでございます。

【橘委員】 わかりました。

【塩田主査】 ほかにございませんでしょうか。

【吉田委員】 今回、この調査をされますけれども、これは当然、報告書にはなるんだと思いますけれども、その先、どのような使われ方をするかとか、この後、例えば重要なテーマがあったら、新たにそれに対する何か開発をするとか、そういうこの先の話はどういうイメージを持たれているのかというのを、ちょっと伺いたいんですが。

【塩田主査】 使い方......。

【吉田委員】 集まった情報をどのように......。

【塩田主査】 どのように使われていくかというようなことも、考慮されたほうがいいんじゃないかと。

【吉田委員】 ということを、ちょっとお尋ねしたいんですけれども。調査の趣旨ということですね。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 今、吉田委員のほうからご質問ありました、情報収集した後の取り扱いの件というところでございますけれども、まず一つ大きくは、この分科会設置に当たって検討会のほうでさまざまな評価手法等についての議論をしておりますので、そこの場で評価手法等を議論するに当たっての実際の現場での対策がどの程度できて、できないのか、というところを踏まえた評価手法等というのが必要になってこようとのことでございますので、そちらに向けてというのがまず大きなステップかと思います。
もう1点、実際に今後の開発についてというところですけれども、直接、今後、環境省のほうで開発についての何かプロジェクトをやっていくかということについては、引き続き今後の課題という形になっていくのではと考えております。

【塩田主査】 よろしいでしょうか。

【吉田委員】 はい。

【塩田主査】 そのほかにございますか。

【前田委員】 この対象はメーカーというふうに書かれているんですけれども、あくまでメーカーだけで、事業者からヒアリングすることはないんですか。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 現時点では、時間的な制約もあるものですから、メーカーを想定してございますけれども、委員の先生方から、やはりそこはどうしても事業者も外せないのではないかといったご意見等があれば、そこは柔軟に対応できればというふうに考えてございます。

【前田委員】 より騒音を受けた人と密接に結びついているといいますか、リンクしているのが事業者かなという感じがしましたので。

【塩田主査】 ありがとうございます。

【橘委員】 それ、大変大事なポイントだと思うんで、親の委員会と言っていいのかな、そちらでも事業者からもヒアリングしていますけれども、やはり、特にこの分科会と関係するのは、今、ウインドファームがどうのこうのという話もありましたけれども、そういうのを設計あるいは事業の計画をしていくときに、その風車そのものをどういうあれで選定しているか。その場合にどういうスペックでどういうことをやっているかというようなことは、ぜひ我々も聞きたいと。どういう音響的データに基づいて、それが参考にされて、風車あるいはウインドファームが設計されているかと、その辺は非常に大事なポイントだと思います。

【塩田主査】 わかりました。そこら辺もちょっと含めて......。どうぞ。

【吉田委員】 つながりがいいものですから。私もその事業者に関してはちょっと関心がありまして。要するに、さまざまな風車側の対策というのは調査項目に入っていますけれども、それが、その風車を運用するほうの現場でどのように実際は運用されているのかというのも大事だと思うんですよね。その辺を、私もちょっと調べられたらいいかなと思います。

【塩田主査】 本分科会の進め方の中で、いわゆるメーカーサイドの部分を主体にというふうに考えながら、実は事業者のことに関してもお互いに関わりがあると思います。主査と事務局のほうでいろいろ協議しながら、次回にお答えしたいというように思いますが、よろしいですかね。

【吉田委員】 そうしたら、ぜひ設計で終わらず、メーカーからの情報でいいと思うんですけれども、実際どのように運用されているのかというのを、ちょっと追加で聞いていただければよろしいかと思います。

【塩田主査】 そうですね。当然ながらそのように思います。

【勝呂委員】 これ、上のほうは機械そのものの話でずっときていて、最後、さっきの橘委員のウインドファームを前提としたという話がちょっとあったんですけれど、私は、これに地形とかそういう環境のものを入れておかないと、実際風車の、例えばサイトに行くと音が聞こえるところと聞こえないところと結構違いがあって、それが谷間だったり、それから山の上だったりで結構違いがあるんですよね。事業者の人がその風車を選択するよというのは、当然、さっきどなたか言いましたけれども、風車の例えば持っている固有値はこのぐらい持っているよとか、これぐらいのレベルの音源だというのは、多分みんな出しているんですけれども、それを設置する場所で結構音の伝わり方が変わってきて、そこのあたりが一番本当は課題なんではないかなと思って、そういうところをどういうふうに入れていくかというのを、ちょっとどこかに入れておいたほうがいいのではないかということなんですけれどね。

【塩田主査】 別紙の裏に個別項目というのがあります。そのところで考慮をするかということになると思いますが。
ほかにございませんか。
ないようですので、これは一応、承認していただいたということにしたいと思います。今のご意見について取りまとめまして、次回のヒアリング資料にしたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、議題3の環境省における騒音対策技術等の取組についてですが、地球温暖化対策技術開発・実証研究事業におきまして、騒音を回避・最小化した風力発電に関する技術開発を実施しております。
本日は、事業者へのヒアリングに先立ち、このような技術開発を行っているとの一例としまして、この検討会の内容について発表していただきたいと考えております。よろしくお願いします。それでは、説明の方、よろしくお願いいたします。

【イー・アンド・イーソリューションズ(株)(加藤)】 それでは座ったままで失礼いたします。
ただいまご紹介ありましたが、環境省の地球環境局さんの委託業務、実証研究事業といたしまして、騒音を回避・最小化した風力発電に関する技術開発という事業を行っておりまして、これについてご説明させていただきます。
本日は、このような説明の場をいただきまして、ありがとうございます。私、イー・アンド・イーソリューションズの加藤ですが、この事業は、こちらにありますように、6者共同での研究開発となっておりまして、以降の説明では、それぞれの担当のほうから説明という形になりますことをご了承いただきたいと思います。
この事業は、平成23年度にスタートいたしまして、25年度、今年度までの3年度にわたる事業でございます。今年度についてはまだ実施中ということで、本日のご説明では、昨年度までの実施内容あるいは得られた知見等についての紹介を中心とさせていただこうと思います。
まず、風力発電機からの発生音について簡単にご説明させていただきたいと思います。
風力発電機からの発生音としましては、大きく分けまして、発電機、増速機などに起因する機械音、それからブレードが風を切ることによる空力音の、大きく二つがございます。エネルギー的には空力音のほうが主となっておりますけれども、機械音のほうは特定の周波数でピークが出るような形となって、非常に耳ざわりだということもありまして、それぞれ対策が必要というふうに認識しております。
まず、空力音の発生メカニズムとしましては、いくつか要因がございますけれども、ここに示しましたように、乱流境界層と後縁との干渉、それから境界層からの剥離流、乱流境界層からの渦放出、翼端渦の放出、それから後縁厚みからの渦放出、そして乱流流入風、これは大気乱流とブレードの前縁、あるいは乱流渦と翼全体との干渉といったところがございます。特に、この下線を付けてありますが、後縁厚みからの渦放出等が大きく寄与しているというふうに言われております。
それから機械音につきましては、大きく三つ示してございますけれども、このナセルの中にあります増速機、発電機等が音源となりますが、ナセル内部での機器発生音が壁を透過する透過音、それから開口部、吸排気口などからの直接放射音、そして機器の発生振動が構造体に伝播し外部へ音として放射される固体伝播音といった三つが主な発生経路となっております。
これらに対しまして、具体的な対策等をこちらにまとめてございます。
まず、機械音につきましては、発生源の機器として大きく二つ分けられますが、一つが増速機、発電機、軸受けといった、いわゆるパワートレインというところになります。それからもう一つは、主に冷却ファン等の補機関係となります。
こちら増速機等につきましては、伝播経路として、機器の発生振動が風車の構造物、タワー等に伝わって外部放射する固体伝播音と呼ばれるもの、それから機器の放射音がナセル内部からナセルを透過する透過音、空気音といったところがございます。
対策手法としては、こちらに挙げてありますけれども、機器側の対策として、低振動型機器の使用、それからメンテナンス・修理による低振動化等がございます。それから伝播経路対策としまして、防振支持、振動絶縁といったものがございます。それから機器側の制振として、動吸振器と呼ばれるものの利用等がございます。それから放射面の対策としましては、放射面の遮音、それから放射面の減衰付与、ダンピング材の取り付けですとか、放射面の制振、こちらも動吸振器の利用になります。
それから、機器の放射音、ナセル透過音につきましては、機器側の対策として、低騒音型機器の使用あるいは遮音の強化、吸音強化対策としまして、ナセルのパネル防音材の施工等がございます。あと、機械音のうちの冷却ファン等につきましては、機器側の対策として低騒音型機器の使用、それから放射開口部対策としてサイレンサーの設置等がございます。
なお、この表で赤字で示しているところが、この事業におきまして、特に技術開発の対象として実証試験等を行っているものというふうに見ていただければよろしいかと思います。
次に、空力音の低減対策につきましては、まずブレードの空力音対策としまして、形状変更として、翼形状を空力的に優れ、低騒音のものに変更するといったこと。それから翼端の形状変更ということで、飛行機の主翼の先端が反っているようなもの等がありますけれども、同じような形で翼端の形状を空力的に優れた低騒音のものに変更するといったものがございます。それから、ブレードの表面平滑化、あるいはブレードの後縁の鋭角化といったところが有効な対策手法というふうに言われております。
以上に述べましたものは、主にハード的な対策となりますが、それに加えまして、特に空力音については、運転制御技術での対策というところもございまして、一番極端な形ですと、風車を止めてしまうわけですけれども、事業性ということを考えて、出力を抑えるといった形での対策が実際にされているケースは結構あります。こちらとしては、回転速度低減ということで、風車の運転制御を変更して、所与の条件下で回転速度を低減して周速を抑制するということで騒音を低減するという形ですが、この場合は発電量が下がるというマイナス面があるということで、そうしたバランスをとることが重要かというふうに思います。
それでは、本技術開発の実施体制ですけれども、技術開発代表者はイー・アンド・イーソリューションズですが、共同実施者として、こちらに示しました日本風力発電協会、それからアイ・エヌ・シー・エンジニアリング、そして東洋設計、アジア航測、そして風力エネルギー研究所の計6者での共同実施となっております。
それぞれの役割、こちらに示しておりますけれども、この事業の場合、特に実際の実証試験を行うということで、発電事業者あるいは風車メーカー、代理店といったところの協力が必要不可欠となっておりまして、複数のそうしたメーカーさんあるいは事業者さんに協力をいただきつつ事業を進めているというものでございます。
次に、本技術開発の目標をこちらの一覧表に示しております。左側の列が項目、それから真ん中に開発着手時点、平成22年度末あるいは平成23年度初頭における技術の状況。そして右の列に最終目標、今年度の最終的な成果としての目標というのを示しております。
全体としては、一番上にありますけれども、騒音低減を目的とした技術開発というのはごく一部でしかなされておりませんで、騒音に伴う社会問題も顕在化しているということで、目標としては、風車の発生音を一定レベル低減可能とする技術の製品化ということに置いております。
以降、「製品化」という言葉が出てまいりますけれども、ここで言っている製品化というのは、実際の販売するような商品をつくるということではなくて、風車音を低減するための製品の仕様を決定するというような意味合い、位置付けというふうにご理解いただければいいかと思います。
それから、機械音低減技術、空力音低減技術につきましては、技術の状況として、発生伝播機構が十分に解明されていないこと、それから一般的な騒音対策であるが風車へは未適用である技術が見られるといったことから、開発の余地が大きいというふうに考えております。
最終目標として、機械音につきましては、機械音の低減デバイス、振動減衰デバイスの製品化。数値目標としまして、機械音の卓越成分、概ね100~200ヘルツになりますけれども、このレベルを5デシベル低減するということに置いております。
空力音につきましては、空力音低減デバイスの製品化ということで、数値目標として、こちらについてはA特性オーバーオール値になりますけれども、空力音レベルで3デシベルの低減というふうにしております。
それから、三つ目の風車運転制御技術につきましては、地形とそれから風向等を考慮し、風車音を予測した運転制御と、その制御を合わせた自動監視制御システムというのは未開発ということで、目標としまして、風車音の自動監視制御システムの製品化。数値目標として、風車の音響パワーレベル5デシベル、これもA特性オーバーオール値になりますけれども、5デシベルの低減というふうに置いております。
こちらに、本技術開発の実施フローを示しております。ちょっと字が小さくて見えにくいと思いますけれども、上段のほうには、基礎調査・検討あるいは技術調査・検討といったことで、大きく四つの項目を示しております。
一つは騒音・振動の実機測定を複数サイトで行うということ。それから試験音の伝播測定ということで、音の伝わり方、伝播状況というのを、平たん地形、それから起伏地形でデータをとるということをやっております。それから、こちら騒音・振動の音源と伝播経路の分析と検討。そして、こちらの空気中伝播特性の分析と検討といったところが、基礎調査あるいは技術調査・検討項目となります。
それから、こちらのピンクの破線で囲ったところが、この技術開発の中心となりますけれども、風車音の低減技術の開発ということで、機械音の低減技術、空力音の低減技術、そして風車運転制御技術ということで、これらの内容については、後ほど詳しくご説明いたします。
こうした技術開発、それから実証研究を行いまして、その対策技術適用後の計測を行い、最終的な目標として、風車の発生音低減技術の製品化というところが最終目標となっております。
次に、この技術開発での実施概要をこちらに示しております。
これまでに取り組んだ技術開発の主な内容としまして、まず機械音低減技術につきましては、風車の機械音、振動特性の機種による差の実測把握。それから2点目として、周波数変動に対応する制振装置の技術開発と試作、機械音低減デバイスと呼んでおります。それからもう一つが、風車の固体伝播音に有効な減衰材料を用いた対策の開発ということで、振動減衰デバイスというふうに呼んでおります。
それから、大きな2点目で、空力音低減技術としましては、まず空力音低減デバイスの改良、それから空力音低減デバイスの実用化、そして空力音予測モデルの開発という3点を行っております。
それから大きな三つ目の、風車音運転制御技術の開発としましては、まず、回転速度制御及び最大出力制御手法の開発、それから風車音の自動監視制御システムの計画、試作及び実証。そして、こちらは一番下ですが、風車音の自動監視制御システム用制御定数データベースの構築という形でこれまで取り組んでおり、また今年度もこちらを進めているというところでございます。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 それでは、引き続きまして、機械音低減技術の開発に関しまして、詳しい内容をご説明申し上げます。
まず、実施内容について大きく3項目に分かれておりますけれども、1番目としましては、風車の機械音・振動特性の機種による差の実測把握ということで、まず機械音の実態の調査ということで、これを実施しております。
具体的には、三つのサイトにおきまして、この風車の構造をたたいて振動の伝播状況を測るハンマリングですとか、あと、実際に動いているときの実測を行いまして、振動、固体伝播音の状況を把握しております。
この結果、これは増速機を持っている、増速機の付いている風車についていえば、増速機より歯車かみ合わせ周波数をピークとする加振力が発生しまして、これが最大10kN程度の大きさになりますけれども、これが固体伝播音の源になっていると。それがタワーの表面から放射されているというようなことがはっきりしてまいりました。これによりまして、この機械音の発生メカニズムということが把握できたというふうに言えると思います。
2番目としまして、周波数変動に対応する制振装置の技術開発と試作ということで、この固体伝播音に対して、これをどのように低減させたらいいかということなんですが、本技術開発の基本的な考え方としましては、既設風車に対応できる対策手法ということに主眼を置いた検討を行っております。したがいまして、既設の風車ということでありますので、大幅な構造変更、タワーを建て替えるですとか、その他大規模な改造というようなことは、技術開発としては、手段としてはこれはできないということで、既設の風車に対して実際的に適用可能な技術、これは空力音も同じなんですけれども、そういったことの位置付けの中で、どういった手段が可能かということで検討を進めてまいりました。
その中で、機械音に対しましては、一つが、[2]の制振装置ということでございますが、これはアクティブ型の動吸振器ということで、風車のほうも回転数が変わりますので、このピーク周波数が変化するという特性がございますので、これに対応できるようにアクティブ化したものを開発いたしまして、これをモデル試験、風車のスケールダウンしたようなモデルを実験場で実験を行いまして、概ねピーク周波数で10デシベル程度、これが低減できると、モデル試験ではありますが、こういった結果を得ております。当然ながら、実機適用に向けては、大型化ですとか設計手法の確立ということを課題として取り組んでおるところでございます。
3番目としまして、風車固体伝播音に有効な減衰材料を用いた対策の開発ということで、これはいわゆる構造に張り付ける、取り付けるタイプの減衰材料、高分子材料になりますけれども、これを用いまして固体音を低減できないかというような取組であります。これもモデル試験を行いまして、5~9デシベルの騒音低減の効果を得られておりまして、実機試験への取組というのを今、行っているところでございます。
一応、このような技術の組み合わせによりまして、固体音、卓越成分を5デシベル低減できるというような見通しを得たというところが、機械音低減技術開発の途中経過でございます。
それで、具体的な開発の内容なんですけれども、まず[2]のほうの制振装置につきましては、先ほど申し上げましたとおりで、このような形の風車のモデルですね、風車を模したモデルを作成いたしまして、実験に供しております。
これはタワーと、この上の部分、ナセルの中にありますシャフト、ブレードは省いておりますけれども、シャフトと増速機、あとの部分ですね。この固体音に一番重要な部分というのをモデル化した形のものでございます。
ここにありますような形のものが、制振装置といっているようなもので、今これが小型の試作機なんですけれども、基本的には動吸振器ということで、おもりとバネを用いまして、これが振動することによって、くっついている側の振動を吸収するというようなメカニズムのものでございます。これは昔から広く使われているものですが、この原理を使ってこの固体伝播音を低減しようということの取組を行っております。
こちらのほうが、発生源であります増速機付近に取り付けるような形で考えております。ということで、このハンマーの頭、ダンベルの頭みたいなところがおもりになりまして、バネで構成されているというような形のものでございます。下側のほうは、タワーの表面に取り付けて、タワーのほうの振動を抑えるというようなやり方の状況であります。
こちらのほうが振動の特性でありまして、こちらが音と音圧のほうの特性ですけれども、赤のほうが振動になりまして、グリーンのほうが音のほうになります。このような形で、振動から音のほうに放射されるというような特性のほうが出ておりまして、このピークがいくつか見えると思うんですけれども、こちらのほうがいわゆる共振で、音が強く出るというような周波数のところであります。これは先ほど写真でお見せしましたモデルでの実験のデータです。
今見たようなところに対しまして、この制振装置を働かせました場合の低減量ということがこちらのデータになりまして、横のほうに、ブロックごとにいくつかあるんですけれども、周波数ごとに120ヘルツ、140ヘルツ、160ヘルツ、180ヘルツ、200ヘルツと、5種類の周波数に対しての効果というのを一覧で見られるグラフにしたものであります。このXとZと書いてありますのは、加振源の振動する方向というふうに見ていただければと思います。
特に120ヘルツですとか200ヘルツのほうで、振動と音が大きく低減している。ここの棒グラフの高さが上になればなるほど、この制振の装置を働かせたときに音が大きく低減したということを、低減量を示したグラフでありまして、120ヘルツと200ヘルツが特に大きく低減させることができたということがわかりました。
このような形で、いくつかの種類の周波数に対応して、こういった形で低減することが実現できたということが、この風車の模型、モデルでの試験の結果のほうになります。
次に、こちらのほうは、先ほどの同じモデルを使ったものですけれども、[3]としまして、減衰材料というような形を用いた対策の開発ということで、風車のタワーの構造物のほうに振動を抑える材料、制振材と申しますが、これを、減衰材料と言っておりますけれども、こちらを取り付けた場合の効果を確認した試験の結果でございます。
この写真にありますとおり、これは模型のタワーの内側になりますけれども、短冊状に切りました減衰材料のほうをこのような形で、これですと大体面積比60%、こちらのほうは大体90%ぐらいになりますけれども、ぐるっと内側に張り付けた場合の振動低減の効果というのを確認した試験でございます。
これは横軸が周波数になりますけれども、ナセルのほうから振動をタワーに入力させた場合に、どのような振動になるかということを示したものなんですけれども、このような形で、グリーンになっておりまして、非常にギザギザが多いのが施工する前、減衰材料を取り付ける前の状態ですけれども、これを取り付けますと、このような形で、赤とブルーの線のような形で、このピークが抑えられて、振動が非常におとなしくなるというような効果が得られております。下のほうが、これが低減の数値になります。
これによりまして、タワーのほうからの放射音ですね。振動が下がることによりまして、ナセルのほうから伝わってきた振動によります放射音が抑制されたというようなことで、減衰材料の有効性ということが、この風車のモデルを使った試験によって確認されたということであります。
以上が、機械音に対する低減対策の研究の中間内容でございます。
次に、今度は機械音と、もう一つの空力音に対する低減の技術開発の内容についてご紹介を申し上げます。
[1]としまして、この空力音に対しましては、先ほど申し上げましたとおりで、既設の風車に対して発生している空力音を下げる手段ということでございますので、羽そのものを大きく変える、取り替えるというようなことではなくて、それに付加的に、ブレードに対して何らかの処置を行うことによって騒音が低減できないかという観点で技術開発を進めてまいりました。
これを空力音低減デバイスというふうに呼称しておりますけれども、これをブレードに後から取り付けることによって、空力音を低減させるというようなことで技術開発を行ってきまして、風洞試験等を実施いたしまして、具体的にどういう形状のものをブレード、翼に取り付ければ、音が小さくなるのかということの検討を行いまして、それによりまして、効果のある形状のほうを見出しております。それを実機に取り付けまして、一部、効果としては方向性とか風速範囲とか、いろんな条件があるんですが、限定的な範囲ながら、A特性音圧レベルのオーバーオール値で約3デシベル低減というようなことを実機の試験で確認することができました。
[2]としましては、このデバイスの実用化ということで、当然、風車については、非常に環境条件が厳しい、あと落雷等があると。あと、それに長期間にわたって安全に運転しなくてはいけないという要件がございますので、これに対して十分にこのデバイスが対応可能かということの検討を進めまして、見通しが得られているというのが現状でございます。
[3]としましては、空力音予測モデルの開発ということで取り組んできた内容なんですけれども。

【(株)風力エネルギー研究所(今村)】 [3]につきましては、風力エネルギー研究所が担当しておりますので、今村からご説明いたします。
空力音予測モデルの開発なんですけれども、風車のローターブレードから発生する空力音を予測する手法について、それを改良するということを実施しております。
改良というのはそちらの、FAST(ファースト)と書いてあるんですけれども、これはアメリカの国立再生可能エネルギー研究所が開発しました風車の荷重と空力音をシミュレーションするためのコードでありまして、これはオープンソースであります。その中身をいろいろと改良するということを今、実施しております。
FASTの空力音予測モデルの中で、特に問題となっているのは、大気の乱流の大きさをどのように空力音に対して評価するのかということについて、なかなかこれまで知見が得られていなかったので、その評価のために風洞実験と、それからCFD、コンピューターシミュレーションによる解析を実施することによって、FASTに組み込まれている空力音予測モデルというのを改良しました。
風洞実験とCFDにつきましては、昨年度、縮尺モデルについて実施しておりまして、ある程度知見を得られました。本年度は、その結果を踏まえまして、実機、実際に運転している風車の空力音予測モデルでの予測について評価・検証するということを実施しております。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 それでは、引き続き、[1]と[2]の内容については、アイ・エヌ・シー・エンジニアリングの宮崎のほうから具体的な内容のほうをご説明申し上げます。
先ほど申し上げましたとおりで、風洞実験等でブレードに対してくっつけるデバイス、付加するものを工夫することによって騒音低減が得られるというような知見が得られました。
具体的には、ちょっと写真が小さいんですけれども、このような形で、のこぎり状の歯のような形状のものなんですけれども、こちらのほうをブレードの後縁、後ろ側ですね、風を切って回る後ろ側のほうにこちらのものを付加することによって、騒音低減することができるというような知見が得られましたので、風洞試験の結果で、何種類かの形状を比較して検討した結果ですけれども、それを実機に適用したというような結果が、こちらの結果になります。
これが実機のほうで、主には海側から風が吹いているところで、このように音を計測する地点を設けまして、ブレードのほうに取り付けて観測をしたということでございます。
これがブレードのデバイスの状況なんですけれども、先ほど申し上げましたとおりで、このブレードの後ろ側、後縁側と言いますけれども、ギザギザをこのようにきれいに取り付けると。当然これ、あまり汚く取り付けると悪化しますので、きれいに取り付けなくてはいけないんですが、これが実際に取り付けている状況で、このような形でスカイボックス、箱を付けたクレーンみたいなもので、このブレードに接近して施工していくというような形のものになります。
これが実際に取り付けた状況です。これは仕上げをして、完了している状況であります。この状態で、実際に風車を運転させて、データをとったということでございます。
これが実際に取得しましたデータでございます。このグラフは、横軸が風速ですね、風の強さ。縦軸がA特性の補正しました音圧レベル、騒音レベルを示したものでございまして、左上が風下の位置です。こちらが風下から60度回した位置です。少し斜めの方向になります。こちらが風下からマイナス60度回った位置ということで、3カ所での評価になります。
この黒点のほうが、何も付けていない元の状態のデータがこちらのほうになりまして、赤がギザギザを付けた状態。ちょっと薄くて見づらいんですが、グリーンがあるんですが、グリーンがシャープ、のこぎりではなくて非常にとがらせた状態での後縁にした場合のデータでございまして、このような形で、黒い状態、元の状態に比べれば、2デシベル程度優位に赤のほうが下がっているということがわかるかと思います。特に、方向性があるんですけれども、この位置では約3・4デシベル、この辺の風速域で音が低下しているというような結果が得られまして、これによりまして、一応このデバイスを後縁側にくっつけることによって、騒音を低減するというようなことが実際に確認されたということでございます。
こちらのほうが、周波数的な特性になります。先ほどはA特性の騒音レベルのほうを見ていただいたんですけれども、こちらは横軸が周波数になりまして、縦軸が音圧レベルになりますけれども、どの辺の周波数で差が出てくるかということを調べたものでございます。先ほどと同じで、黒いのが何も付けていない状態で、赤のほうがギザギザを付けた、デバイスを付けた結果になりまして、このような形で、特には200ヘルツから数キロヘルツの範囲で、黒に対して優位に赤のほうが下がっているというようなことで、周波数的にも効果が確認されたというところでございます。
具体的に、長期間にわたる運用については、材料ですとか施工方法、耐久性、落雷への影響等の検討ということが必要になってまいります。そのために、具体的な構造、あと接合方法ですね。当然後からデバイスにくっつけなくてはいけないということで、どういうふうにくっつけたらいいかということ。また、あと疲労強度というようなことで検討を進めてまいりまして、これでくっつけても、実際に風車の性能、あと安全性を損なうことなく運用が可能であるというような見通しを得ているというのが、中間の状況でございます。
機械音と空力音については以上です。

【(株)風力エネルギー研究所(今村)】 それでは、空力音予測モデルの開発の進捗状況についてご説明します。
先ほども少し申し上げたんですけれども、空力音予測モデルというものには、FASTという、アメリカで開発されましたコードを改良するということで、空力音の予測を行うということを今、実施しています。
その空力音予測モデルにつきましては、特にブレードに流入する乱れの影響をどうやって評価するのかということが非常に重要になっておりまして、特に二つのパラメーターですね。乱流強度、乱れの強さと、それから乱流スケール、これは乱れの、言ってみれば渦の大きさですね。このブレードの長さに対して、どれぐらいの大きさの渦がどれぐらいの強さで入ってくるのかということを想定するのが重要になっておりまして、それをこのような風洞実験装置を使いまして評価を行いました。
詳しくは述べませんけれども、これが観測結果の一例になっています。この動的乱れ発生装置というのは、羽が非常に速い速度で振動しまして、これによって乱れを発生させるという装置になっています。
こちらが、その風洞で行われました実験結果になっておりまして、横軸が周波数、縦軸がA特性の音圧レベルになっています。
こちらの青い線が風洞実験です。それから二つ、オレンジの線と赤い線がありますけれども、これがオリジナルのFASTモデルで、風洞実験の乱流スケールに合わせて調整した線になりまして、この白い丸印は、さらにFASTのモデルを周波数ごとに、その乱れの大きさの寄与率を補正するモデルを入れたものでして、風洞実験と改良FASTモデル、この白点が非常にうまく一致したということで、そのFASTモデルの改良を実施しました。
この中では述べておりませんけれども、本年度は実際に実機の風車に適用しまして、風車のローター直径程度離れた場所で観測された、その周波数に対する音圧レベルの観測結果と比較したところ、FASTと改良FASTでシミュレーションで出した結果が大体2デシベル程度の誤差で、その全ての周波数帯域でほぼ一致するという結果が得られております。次回、もしこの委員会がありましたら、そのときにご紹介したいと思います。
以上です。

【(株)東洋設計(夏野)】 それでは、最後になりますけれども、風車運転制御技術の開発ということで説明させていただきます。
風車運転制御技術の開発は、こちらに示しましたように、[1]~[3]の三つの件について検討しております。
一つは、回転速度制御及び最大出力制御手法の開発と。これは風車音は基本的に、当然ながらですけれども、風車の回転数と一番リンクしておりまして、回転数を下げれば、当然風車音は下げることができると。それは当然なんですけれども、単純に下げてしまうだけではなくて、低回転域でもトルクを上げると。回転数を減らすかわりにトルクを上げることによって、結果的に発電出力の低下を緩和することを確認すると、そういう実験を行っております。それに対しても、当然回転を下げましたから、風車音も一定の低減効果が得られたという結果を得ております。
[2]の風車音自動監視制御システムの計画、試作及び実証なんですけれども、当然、回転制御手法等をつくりましても、実際の風車サイトにおいては、その風車音を監視もしくは予測して、とても音が大きいような状態になると、そういうときになりましたら必要に応じて、では回転数を下げろと、そういう命令をするようなシステムを実運用上ではつくらなければいけないと。そういうシステムを試作したというのが、この[2]番の内容でございます。詳しくは、後のほうで説明させていただきます。
最後、風車音自動監視制御システム用の制御定数データベースの構築となっておりますけれども、これは風車音をどうやって自動監視するかというやり方について、いろいろあるんですけれども、実際にマイクを置いて、実際にその制御対象、例えば民家の近くにマイクを置いて、音が大きければ風車の回転数を下げるというのが基本ではあるんですけれども、単純にマイクが置けないとか、いろいろな事情等でできない場合というのも当然ございます。
そういうようなときに、じゃあどうすればいいかというと、風車音、到達音を予測すると。風車のパワーカーブとかとなりますので、その風車の風速あるいは風向といったデータから、いろいろなシミュレーションを通して到達音を予測すると、そういうものを制御定数データベースと言っております。
それはいろいろなシミュレーションを用いて出しているんですけれども、今のところ予測精度は概ね400メートル以内の距離範囲で±5デシベルとなることが、昨年の段階では確認できたということになっております。
それでは、次に[1]から順番に説明させていただきます。
まず、回転速度制御及び最大出力制御手法の開発というところなんですけれども、先ほども申し上げましたとおり、当然、風車の回転数を落とせば音も小さくなるであろうとは思われるんですけれども、そこで低回転域でもトルクを稼ぐことによって、比較的その出力を確保しようということで、いろいろ試してみたというのがこの実験でございます。
これはあるサイトでの図なんですけれども、風車が真ん中にありまして、周辺に1、2、3、4、5、6と書いてありますけれども、周辺2~6番まで音を観測しております。
右上のほう、回転速度になっていますが、通常というのは定格運転と。定格運転、20分動かして、10分風車を停止させて、次に15回転のトルクを稼ぎながら、ちょっと回転数を落としたモードで、15回転で運転しまして、また停止、17回転、また停止と。それを繰り返しまして、どの程度効果があるかということを確認しております。
これは参考までになんですけれども、一応、単純に回転数を落とすだけでは、通常は20回転なんですけれども、15回転まで落とすと出力が49%と、およそ5割程度しか確保できなくなるというところになってしまうんですけれども、トルクを稼ぐことによって、大体3割落ち、70%ぐらいまでに抑えることができるというのを予測しておりまして、それを実際に確認しております。
こちらも同じなんですけれども、それで先ほどのサイトの風下のほうの音のデータというのを見ております。非常に見にくい図で大変申し訳ないんですけれども、一応回転数を落とすことによって、実際、音がどれだけ下がったかというのがこちらの図であります。回転を下げると、当然、音が下がっているんですけれども、15回転に回転速度を制御した場合、性能特性で見ると、1.5~2デシベル程度の低減ではあるけれども、回転速度を落とすことで、発電出力の低下を緩和しつつ風車音を低減することは可能であるという、そういうことが確認できたというところまでが、昨年の実績でございます。
低減することはわかりました。では、実際にどう運用しますかというのが、この[2]になります。
これは一応最終形の、理想のシステム図でございます。例えば実際に風車が三つありましたと。民家がこちらのほうにありましたと。では、どうするかということで、先ほども最初のほうで説明しましたとおり、各風力発電所のデータが当然、風向・風速、回転数、発電出力等は、当然風車のほうでデータをとっていますと。風車のパワーレベルというのも明らかになっていますので、それぞれが出す風車音というのも明らかになっていると。そういうデータがあることから、では、シミュレーションを用いて、この民家にどれくらいの音が届くかというのは、一応出せるはずと。それをいろいろ解析しているのが、こちらの間に入っている制御定数データベースというところでございます。これについては、また後で説明させていただきます。
そのデータベースをシミュレーションで出して、その風力発電所ごとのデータベースをつくると。つくりまして、結果的に風力発電所のデータと民家に届く音というのを1対1でリンクさせると。そこで風車の音を予測すると。風車の音が、例えば今度は民家、どれくらいの音が許容できるか、できないかというのは、当然それは別にあるんですけれども、許容できないような範囲になったときに、では、ちょっと制御モードに入れろというような信号を風車にそれぞれ出すと。そして制御すると。そういうシステムの、概念をつくったというところでございます。
実際にそのシステムを組んでみたところが、こちらのスライドでございます。今、2種類ありますけれども、まず、データベースというところの精度というものが問題になりますので、まずとりあえずは、マイクを実際に置いてみて、それで制御してみようというのが、昨年までのところでございます。
昨年では、この二つをやっているんですけれども、まず左のほうは、マイクロホンを二つ置いています。これは風車からの違う距離、風車からの距離が別のマイクを二つ置きまして、その風車の到達音と環境音というか、風車の音の差異から暗騒音と風車の音の影響の割合というものを算出しまして、例えば風車の音が実は暗騒音に完全に隠れてしまっているような場合は、いくら風車の回転数を下げても全然効果がないというのがありますから、必ずしも音が大きければ制御信号を出すとか、そういうことではないので、暗騒音の割合というのを自動的に出して、風車からの音の影響というものを確認した上で、制御信号を出すというようなシステムをつくったというのが左でございます。
右のほうは、同じくマイクが二つありますけれども、これは別に二つ必要なわけでもないんですけれども、単純に音を取り入れまして、必要以上の音になった場合に制御信号を出して、風車を制御するというようなシステムをつくっています。
昨年の段階では、必ずしも、実際に具体的な制御レベルというものを丁寧に調べたわけではないんですけれども、動作のレベルまで確認しております。つまり、風車の音が適当なところにまずレベルを置きまして、非常に音が大きいと制御信号を出すと。それで出力が下がるというところの動作までを確認しておりまして、その実効的な効果とか、どの程度のレベルに設定すれば、どの程度の音が落ちるのかとか、そういうところは今年度の内容ということになっています。
その次のところは、イー・アンド・イーソリューションズさんに説明をお願いします。

【イー・アンド・イーソリューションズ(株)(加藤)】 それでは、風車運転制御技術のうちの3番目として、風車音自動監視制御システム用制御定数データベースの構築というところについてご説明いたします。
こちらについては、先ほど説明がありましたように、風車、特にウィンドファーム等で、風の状況、風向・風速で民家位置あるいはその領域内での騒音レベル、あるいはその分布というのが異なってまいりますので、それを風の条件ごとにデータベース化して、どのようなときに、どの風車で制御をかければいいかというための判断基準としてのデータベースをつくるというものでございます。
まず、そのための基礎データとしまして、平たん地形、それから起伏地形における伝播実験というのを行っております。
この伝播実験、大きく二つ目的がございまして、一つは、既存の伝播予測モデルの検証として、適用可能範囲ですとか、実用条件といったところの検証をするためのデータの収集・整備。それからもう一つは、平たんな地形と起伏を有する地形における音の伝播特性の把握ということで、地形の影響等の分析評価を行うということで行っております。
こちらにイメージ図を示しておりますけれども、これは起伏地形の場合ですけれども、こちらに示しますように、約60メートルほどのタワーを建てまして、その頂部にスピーカーを付けまして、そこから試験音を発生させます。タワーには観測高度、10メートル、30メートル、50メートル、あるいは58メートルといったところに風向・風速計、あるいは気象関係のセンサーを取り付けて、風況、それから気象要素の計測をあわせて行っております。
このスピーカーから発生させた試験音をこのタワーの周辺、ある等距離上の角度が違う数地点、あるいはほぼ直線上で距離の違う数地点に計測点を設けまして、それぞれの場所でスピーカーから発生させた試験音がどのように伝わるか、どのように減衰して記録されるかといったところを計測いたしました。
このように起伏を有する地形と、真っ平ら、フラットな地形でそれぞれこうした実験を行いまして、地形あるいは風況の影響というところを調べるというのと、予測モデルの検証に使うということで、平成23年度、平成24年度にこれらを行っております。
そのデータを用いまして、風車音の伝播の予測と実測の比較検討を行っております。予測手法としましては、現在広く使われており、また、利用可能なモデルとしまして、ISO9613-2、Nord2000、Harmonoiseという三つの代表的な手法がございます。
それから、ソフトウエアとしては、この初めの二つについてはサウンドプランの中でそれぞれ選択して用いることができます。Harmonoiseについては、Predictorというモデルに実装されております。
手法の特徴として、ISOにつきましては、風況は考慮できないものとなっておりますけれども、Nord2000とHarmonoiseにつきましては、風況を考慮できるものとなっております。
この三つのモデルを用いまして、先ほどお示ししました伝播実験のデータ、起伏を有する地形と平たん地形、それぞれで実際にソフトウエアを回して計算を行って、その予測精度あるいは適用範囲といったところについて検証しております。
計算範囲は、音源を中心に4キロメートル四方ということでとっておりまして、スピーカーの実測値、指向特性を含む実測値を使って検証しております。
結果としては、先ほども説明がありましたけれども、昨年度の時点では、かなり限られた条件になりますが、このNord2000が最も精度が良くて、5デシベル以内といった予測精度の結果が得られております。
騒音を回避・最小化した風力発電に関する技術開発のご説明としましては以上です。どうもありがとうございました。

【塩田主査】 どうもありがとうございました。この件について、質問等がありましたらお願いいたします。

【吉田委員】 18ページなんですけれど、こちらの計測結果は、風車の運転条件、すなわち回転速度と出力は、ほぼ各条件で同じとみなしていいのかというのと、あとは、乱れは直接わかるかどうかわからないんですけれども、風向が大体同じような状況だったかというのをちょっと教えていただきたいんですけれども。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 後ろからの回答になりますが、風向については、この風下位置から±15度の風向の範囲のデータを取得しておりまして、データの処理としては、多数のデータのほうを統計処理したIECの風車音の計測の手法があるかと思うんですが、あれのデータ処理の手法にのっとりまして、多数のデータの、階級ごとの全てのデータの統計処理を行ったものですので、そういった意味では、そういったばらつきの影響というのは丸められているというふうに見ていいかと思います。

【塩田主査】 そのほかにございませんでしょうか。

【森下委員】 動吸振器の試験をやっているところで、まず、モデルを使って結果を出されたというところなんですけれど、例えば加える物体の質量というのは、そのモデルの何%ぐらいで、例えば実物にしたときに、どれぐらいの質量の物体が一番てっぺんのところに付くことになるのかというあたりをちょっと教えていただきたいんですけれど。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 こちらの模型実験のほうは、本当にこの動吸振器の有効性等の効果の確認ということで、当然、実機のほうでは、その加振力と振動の大きさに対応した制振装置の大きさ、重量のほうが必要になってまいりまして、この加振源になります増速機の付近で実測した結果によりますと、大体、加振力がオーダーとして10kN程度の加振力ですね、ピーク周波数に対しては。そのぐらいのオーダーの加振力になりまして、これに対して、動吸振器にアクティブ化して、この力を増幅させるということを試みているわけなんですけれども、オーダーとしては数十kgから100kgぐらいの重量の制振装置が必要になると。これはナセル側ですね。ナセル側で制振を行う場合には、オーダーとしてはそういったオーダーになるというふうに推算しております。
一方、タワー側のほうは、振動が伝播した先での振動を低減させるということで、分散的な配置になってきますので、一つ当たりは10kg程度の重量のユニットを配置するというような方法で、実際、今年度はそういう形で実機での試験を行っております。

【森下委員】 すみません、何で聞いたかというと、それを付加することによって、どこかの強度が増したりとか、そういうことが必要になるのかどうかというのを一応確認したくて、お聞きさせていただきました。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 その意味では、風車、タワー、構造、重量に対しては、1%以下の付加質量でいけるというふうに考えております。

【塩田主査】 ほかにございませんか。

【町田委員】 空力音低減デバイスのご説明があったかと思いますが、これは既設風車に取り付けるという理解でよろしいわけですね。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 そのとおりです。私の説明の冒頭に申し上げましたとおりで、これはあくまで、今、実稼働している風車に対して低減する手段という意味合いですので、実際に施工もばらして持ってくるということではなくて、現場でブレードに取り付けるということで考えております。

【町田委員】 わかりました。その際、3デシベル程度の低減効果、2デシベルが優位に低減するという、たしかご説明だったと思うんですけれども、音圧波形が変わるということはないんでしょうか。オーバーオール値で低減はあるということなんですが、波形が変わることによって、かえって気になるということがあると困るなと思うんですが、いかがでしょうか。

【(株)アイ・エヌ・シー・エンジニアリング(宮崎)】 ご指摘のとおり、音色が変わるというような意味合いでおっしゃっていると思うんですけれども、比較的高周波のほうに低減が大きく、500ヘルツ以上のところに低減効果が大きく出ている周波数特性ですので、どちらかというと、音質的にも穏やかというか、高周波側も下がるというように捉えております。
また、振幅変調、いわゆる風車の場合ですと、レベルが時間的に変動する振幅変調、Swish音というのが気になるというようなことはよく言われておりますけれども、Swish音に対しても、これの原因になっております後縁からの音に対して低減の働きかけをするという形のデバイスになりますので、比較的これを抑える方向で、Swish音についても抑える方向に働くというようなデータが出ております。

【町田委員】 わかりました。ありがとうございました。

【塩田主査】 ほかにございませんでしょうか。

【橘委員】 私自身、そちらの委員会の委員もやらせていただいていて、散々、普段、議論をしていますので、この場から質問するのもわざとらしいんですけれども、やはり皆さん興味があるのは、私自身もそうなんですけれども、今日のご説明で、今の町田委員のご質問にもありましたけれど、今ある風車に何かアタッチメントを付けて、どのぐらい下がるかという話とは別に、もっと根本的に、今の風車が羽のいろんな形状、寸法も含めて、発電のためにはベストソリューションというか、ベストな解なのかもしれませんけれども、それと副次的に騒音を出してしまうという、そういう意味での今のベストな形をしているのかどうか、あるいはどこまで検討が重ねられてきたのかと、その辺を本当は知りたい。今日のお話でも、FASTでしたっけ、数値解析でやったら、何か形状の検討ができそうだというお話があったので、その方向は進んでいくのが期待されるわけですけれども、やはり風車そのものがどのくらい静かにできるのか。
それから、今までさんざんやり尽くしているものというのは、なかなかそれ以上というのは難しくなるわけですけれども、ご存じのように、飛行機で言えば、DC-10だとかDC-8が飛んでいた頃から比べると、今は20デシベルぐらい下がっているわけですよね。今の飛行機は非常に静かになっている。それから身近な例で新幹線でも、スピードを上げながら、1964年開業当時から今は15デシベル下げているわけです。ものすごく下がっている。風車が、あと2デシベル、3デシベル、いや1デシベルなんていうぎりぎりのところまで来ているのか、あるいは、どのくらいの技術開発が今までに重ねられてきているのか。それも騒音というのは、やはり副次的なものですから、メインの性能の開発と、場合によってはトレードオフになっているかもしれない。
その辺の話を、今日のお話も含めて、これから伺いたいなという感じがしております。

【塩田主査】 まさしく、そういうことだと思いますが、とは言いながらも、事業者は結構いろいろ努力されて取り組んでいるということも、一応は今の説明の中でわかるかと思います。そうは言っても、まだまだやるべきことはあるのではないかと思います。
そのほかになければ、よろしいですか。ほかにございますか。

【吉田委員】 簡単な質問をよろしいですか。回転速度をトルクを下げずにされるというふうなご報告がありましたけれども、定格点の設計上のトルク、あれ以上のトルクを出されているのでしょうか。

【(株)東洋設計(夏野)】 基本的には、それ以上です。

【吉田委員】 それ以上、なるほど。わかりました。

【塩田主査】 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、ないようですので、最後になりますが、議題4のその他として、事務局のほうから何か連絡事項とかありますでしょうか。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 特に事務局のほうからはございません。

【塩田主査】 特にないということですので、ちょっと遅く始まった割には、皆さんのご協力により、大分早く終了することになりました。
では、本日の議題はこれで終了したいと思います。
それでは、進行を事務局のほうで、よろしくお願いします。

【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 ありがとうございました。以上で、第1回風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会を終わらせていただきます。長時間の議論、どうもありがとうございました。