大気環境・自動車対策

平成28年度第1回(第7回)風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録

日時

平成28年5月24日(火) 13:00~15:06

場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室

出席者

(座長) 町田信夫

(委員) 沖山文敏、落合博明、桑野園子、佐藤敏彦、塩田正純、橘秀樹、船場ひさお、田中充、矢野隆

(環境省) 早水大臣官房審議官、江口総務課長、行木大気生活環境室長、木村大気生活環境室振動騒音係主査、出口大気生活環境室振動騒音係主査、山崎大気生活環境室環境専門員

議題

(1) 中間取りまとめにおける今後の課題に対する検討状況及び風車騒音の評価方法について

(2) 今後の進め方について

検討会資料一覧

検討会委員名簿

資料1 諸外国における風車騒音に関する基準・ガイドライン

資料2 地方公共団体における風車騒音の規制

資料3 地域の音環境に関する調査

資料4 風車騒音に含まれる振幅変調音及び純音性成分に関する検討

資料5 風車騒音の評価の目安について(案)

資料6 今後の進め方について(案)

参考資料

 参考資料1 中間とりまとめ

 参考資料2 風力発電施設から発生する騒音等の状況
(平成22~24年度戦略指定研究「風力発電等による低周波音等の人への影響評価に関する研究」より)(平成27年度第2回検討会資料1-1)

 参考資料3 騒音の目安(出典「全国環境研協議会 騒音調査小委員会」)

議事

【行木大気生活環境室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから平成28年度第1回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を開会いたします。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙にも関わらず、ご出席いただきましてありがとうございました。
 本日は、新美委員よりご欠席との連絡をいただいております。また、事務局では、急遽国会対応がございまして、水・大気環境局長の高橋は欠席、それから審議官の早水は少し遅れての参加を予定しております。
 本日の会議は、設置要綱に基づいて公開とさせていただきます。
 それでは、初めに、事務局を代表いたしまして、水・大気環境局総務課長の江口よりご挨拶申し上げます。

【江口総務課長】 本日は、大変お忙しい中、またお暑い中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 この検討会におきましては、平成25年より風力発電施設からの騒音などにつきまして精力的にご議論をいただいておりまして、本年2月には中間的に取りまとめをいただいているところでございます。
 再生可能エネルギーの導入加速は、我が国の重要な施策の一つでございまして、風力発電施設につきましても、この先、大きく増加が予想されております。おまとめいただきました中間取りまとめにおきましては、その中で課題となっておりました、風力発電施設から発生する音の調査でありますとか、評価手法などにつきまして、調査や評価の手法などをおまとめいただいたところでございます。
 今後は、残された課題、特に具体的な評価の手法などにつきましてご議論いただきたいと思ってございます。引き続き、どうぞご指導のほどをよろしくお願い申し上げます。
 簡単でございますが、ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

【行木大気生活環境室長】 前回の検討会以降、事務局にて人事異動がございましたので紹介いたします。
 水・大気環境局大気生活環境室主査の木村でございます。

【木村大気生活環境室主査】 木村でございます。よろしくお願いいたします。

【行木大気生活環境室長】 同じく、大気生活環境室の山﨑でございます。

【山﨑大気生活環境室専門員】 山﨑でございます。よろしくお願いいたします。

【行木大気生活環境室長】 それでは、お手元に配付しております資料について確認をさせていただきます。
 まず、検討会の委員名簿がございます。続いて、資料1、諸外国における風車騒音に関する基準・ガイドライン。資料2、地方公共団体における風車騒音の規制。資料3、地域の音環境に関する調査。資料4、風車騒音に含まれる振幅変調音及び純音性成分に関する検討。資料5、風車騒音の評価の目安について(案)。資料6、今後の進め方について(案)。
 参考資料1、中間とりまとめ。参考資料2、風力発電施設から発生する騒音等の状況。参考資料3、騒音の目安。
 資料は以上となっております。資料の過不足ですとか不備などございましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。
 なお、報道のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いしたいと思います。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 これ以降の進行につきましては、町田先生にお願いします。
 よろしくお願いいたします。

【町田座長】 承知いたしました。
 座長の町田でございます。新年度に入りましたけれども、引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 まず、議題の(1)でございますが、中間取りまとめにおける今後の課題に対する検討状況及び風車騒音の評価方法についてでございます。また、2月の中間取りまとめの際に、今後の課題をあわせて記載をさせていただいておりますが、その後の検討状況について、事務局よりご紹介いただきまして、議論をしたいと思います。
 分量が多いので、三つのパートに分けて議論を進めていきたいと思いますが、初めに、諸外国や地方自治体における風車騒音への対応について、説明をお願いいたします。

【出口大気生活環境室主査】 事務局の出口です。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料1及び2につきまして、説明させていただきます。
 失礼ですが、座って説明させていただきたいと思います。
 まず資料1につきまして説明させていただきます。
 資料1は、諸外国における風車騒音に関する基準・ガイドラインということで、主要国におけます風車騒音に関する基準・ガイドラインについて整理しております。
 こちらにつきましては、昨年度も何度か諸外国の基準・ガイドラインをお出ししておりますが、そちらを改めて整理し直したものになっております。
 1ページめくっていただきまして、A3の表があります。こちらが各国の風車騒音の基準・ガイドラインをまとめたものになっております。
 左からですが、まず一番左、番号を振っておりまして、その次に国/地方ということで、国名あるいは地域名を記しております。その次が騒音指標ということで、どのような指標をもちまして風車騒音を評価しているかについて記載しております。等価騒音レベル、あるいは時間率騒音レベル、または等価騒音レベルについて補正をしております評価騒音レベルなどを使っておる国がございます。
 その次に、地域の類型別の騒音限度値につきまして示しております。こちらの地域の類型別なんですが、できる限り整理はしておりますが、こちらにつきましては、各国・各州などで類型が異なっておりまして、そちらにつきまして、その隣、地域の類型の概要につきまして補足をしております。
 地域の類型の概要の隣に、時間帯区分ということで、基準の時間帯をどのように設置しておるかについて記載しております。昼間、夜間の2区分のもの、昼間、夕方、夜間の3区分のもの、あるいは、時間帯区分のないものなどがございます。
 その右側が、騒音限度値の位置づけということで、この限度値、基準値などがどのような位置づけになるかについて記しております。これなのですが、限度値の位置づけにつきましては、参照しました各文献内の記述をもとに、Regulation、Legislationなどと書いてあるものは規制値、Standardsと書いてあるものは基準値、recommendと書いてあるものは推奨値、allowable levelと書いてあるものは限度値というように、書き方をもって分けております。恐らくこういった限度の位置づけということで、お気になさる方がいらっしゃると思います、超えた場合はどのような罰則があるかということにつきましてですが、この中の表、30のUSA、アメリカのNew York-Town of Jefferson、ニューヨーク州のジェファーソンにつきまして罰金が定められているということが記載しておりまして、それ以外につきましては、明確な罰則規定は確認されませんでした。
 その右側、騒音限度値の設定方法ということで、ここで①から⑤まで分類しております。①につきましては、地域類型・時間帯の関係なく一定値を基準値として設定している方法。②が、地域類型別・時間帯別にそれぞれ騒音限度値を設定している方法。
 ③につきましては、地域の暗騒音をベースとして、風車騒音について、その増加の程度をもって限度値を設定する方法です。この場合の「暗騒音」という言葉なんですが、実際に暗騒音を使って限度を設定している国の騒音指標を見ますと、LA90を使っているところが大半です。このことから、「暗騒音」という言葉を使ってはおりますが、実質的には残留騒音を指標としているものと思われます。
 ④につきましては、風速に応じて騒音限度値を設定する方法ということで、騒音が、風速が大きいときには暗騒音も大きいという考えに立ちまして、風速に応じてそれぞれ設定している場合がございます。
 ⑤としましては、その他の方法ということで、地域類型の別なく、LdenとLnightを設定しているケース。住居の密度、交通騒音の程度などによって、それぞれ騒音限度値を設定しているケース。オクターブバンドごとに限度値を設定しているケース、などが確認されました。
 その右側ですが、振幅変調音・純音性成分への対応ということで、振幅変調音について何らかのペナルティを課している場合、あるいは、純音性成分について何らかのペナルティを課している場合につきまして確認しました。振幅変調音につきましては、確認された場合は、ペナルティを5dB設けるというケースが多いようです。純音性成分につきましても、同じく確認された場合は5dBのペナルティを課すところが多いようです。また、イギリスやドイツなどにつきましては、純音性成分の可聴度に応じまして、一定の幅を持ったペナルティを設定しているようです。また、ニュージーランドにつきましては、振幅変調音・純音性成分ともに1~6dBのペナルティとありますが、これはそれぞれ別にペナルティを設定しているのではなく、振幅変調音・純音性成分、また、衝撃性の音につきまして、総合的に判断した上で、この範囲でペナルティを設定するもののようです。
 一番右側ですが、セットバックの距離の規定につきまして示しております。こちらにつきましては、風車の直径の何倍という形で設定しているところ、あるいは何m以上という形で設定しているところなどがあるようです。
 以上、資料1につきまして、簡単にご説明させていただきました。
 引き続き、資料2につきまして説明させていただきたいと思います。
 資料2につきましては、地方公共団体における風車騒音の規制ということで、昨年度、日本の全国の地方公共団体のうち、都道府県及び市に対し、アンケート調査を行いまして、その結果を取りまとめたものです。
 アンケートの内容としましては、1問目としましては、風力発電施設を対象に含む環境影響評価条例の有無。質問2としましては、質問1の環境評価条例の他に、風力発電施設の周辺環境への影響につきまして、基準等を定めた条例、要綱、ガイドライン等があるかということを伺っております。
 その結果、46都道府県、19政令都市、20特別区、75中核市、33特例市及び574の一般市からご回答をいただいております。
 まず、1.の風力発電施設を対象に含む環境影響評価条例の有無ですが、27府県、15政令都市の42団体で条例を設定しているということで、確認されました。これらにつきましては、法で定める環境影響評価法より、より小規模な発電出力のものを対象としておりました。
 これらの条例につきましては、指針などにより、より詳しく、どういった評価をするかが定められておりましたが、これらの指針などを確認しましたところ、全ての団体で騒音を環境要素項目として取り上げておりました。基準値としましては「騒音に係る環境基準」、一般的な環境基準や、あるいは「騒音規制法」の規制基準などが引用されておりましたが、そのうち24府県、14政令都市につきましては、「実行可能な範囲での影響の回避や低減」、あるいは「基準または目標と予測結果の整合性の検討」のような評価における参考手法を示しております。
 この中で特筆すべきものとしまして、宮城県では、かつて私どものほうの出しました、「平成24年度風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書」を引用して35dBを参考の評価値としているようです。
 また、長野県につきましては、環境基準や法令の規制基準と併せまして、「残留騒音+3dB」という考え方を、環境保全のための目標として、一例として示しておりました。
 なお、低周波音につきましては、多くの自治体で評価の項目には入れておりましたが、具体的に数字を定めておるところはありませんでした。
 続きまして、風力発電施設の環境影響の基準等につきまして、環境影響評価条例以外の条例、要綱、ガイドラインの有無についても確認しております。
 こちらにつきましては、5県、3政令指定都市、2中核市及び17一般市の計27団体で、条例、ガイドラインなどを設定しておりました。こちらの、自治体によって差がありましたが、小さいところでは発電力10kW以上のものまで対照としているところがありました。
 これら風力発電施設から発生する騒音の基準としましては、「環境基準」、あるいは「騒音規制法」の基準を使っているところは14団体、約半数。また、その残りの半数につきましては、特に基準値を設定していないようです。
 やはり特筆すべき団体としましては、静岡県は、環境基準が設定されていない地域につきましてはB類型の基準値以下とすることとし、B類型の基準値を超過している場合には、風力発電施設の稼働によって、騒音環境が3dB以上増加しないことがあわせて定められておりました。
 また、稚内市につきましては、「建設前の状況と変化がないこと(現状非悪化)」を求めておりました。
 その他のこれらの条例、ガイドラインの中で、住居までの距離を設定しているところもありまして、これも風車の全高の何倍という決め方をしているところや、あるいは、最小距離として200~600mなど、定めているところがありまして、これも各自治体によって異なっておりました。
 これらのアンケート結果につきましては、次ページ以降で取りまとめてございます。
 以上、資料2につきまして説明させていただきました。

【町田座長】 ありがとうございました。
 先ほど、三つのパートに分けて議論を進めると申し上げましたけれども、まず、資料1及び資料2を説明をいただきました。ありがとうございました。
 また、最後に議論の時間を設けますので、今の段階で確認事項等がありましたらお願いをいたします。いかがでしょうか。
 はい、田中委員。どうぞ。

【田中委員】 ありがとうございます。
 まず、資料1について、2点、確認をさせていただきたいんですが、一つは、純音成分、あるいは振幅変調音に対するペナルティを挙げている例が幾つかあります。この場合に、ペナルティの取り込み方というのはどうなっているのかということを確認をしたいと思います。
 例えば、10番のニュージーランドですが、振幅変調音と純音成分、それぞれ1~6dBのペナルティと、このように整理されております。これに対して、例えば騒音限度値のほうの考え方ですね、地域の類型別、ここでは、例えば+5dBの高いほう、35dB、あるいは40dB、または暗騒音+5dBの高いほうと、こういうふうに考えておりまして、このペナルティと、それから、さらに+5というのはどういう関係にあるのかなと疑問に思ったものですから、1点目として、このペナルティの扱い方について確認をしたいというのが一つです。
 それから、二つ目は、例えばニュージーランドの例ですが、+5dBという40dB、もしくは、例えば暗騒音+5dBの、このほうの高いほうを取るといったときは、これはそれぞれ地域に固有に決まるものだと思うんですが、そういう考え方でいいのかどうかですね。風車の立地場所が、例えば住宅地域であれば、40dB、または+5dBのいずれか高いほうを取ればいいということで、ある意味で立地場所が決まれば、ほとんどここでの騒音限度値が決まってくる、そういう考え方でいいのかどうか。
 この2点を、確認をさせていただきたいと思います。

【町田座長】 ありがとうございました。
 田中委員から2点ですね、純音成分、あるいは振幅変調音のペナルティの取り込み方、あるいは扱い方ということでございます。2点目は、地域の類型別の騒音限度値、ニュージーランドを例に出されておりましたが、この2点について、環境省、よろしくお願いします。

【出口大気生活環境室主査】 お答えいたします。
 まず1点目なんですが、ニュージーランドの例ですが、こちら、1~6dBにつきましては補正値ということでありまして、実際の騒音にこれを足したものを評価にかけるという形になると思われます。
 2点目ですが、35dBと40dBですが、田園地域で35dB、それ以外の地域で40dBということで、地域ごとに定めておるようで、地域についてそれぞれどちらを採用するかが決まっておるということだそうです。

【田中委員】 今のお答えですね、例えばニュージーランドの場合、1~6dBのこれは幅がありますが、この幅をどう扱うのかというのは疑問に思ったことが一つ。それから、ペナルティが純音成分と振幅変調音、両方聞こえた場合は、最大+6dB、+6dBで、12dB上がることになるのか、そういう評価をすることになるのか、そこの辺りの仕組みですね。どんなふうに扱ったらいいのかという扱い方でございます。

【町田座長】 先ほど環境省の説明の中で、1~6dBの扱い方は総合的判断のもとで、ペナルティを課す、こういうご紹介でしたけれども、その補正値について何かございますか。
 どうぞ、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 田中先生はニュージーランドを一つの例にということでお話がありました。それぞれの国によって運用の仕方、違いがあることもあるかと思いますので、その辺りの詳細、ニュージーランドの場合に特化したこととしましては、詳細を確認をさせていただいて、また改めて先生にご報告させていただきたいと思います。
 あと、全般的に、諸外国の事例をまとめましたときにわかったこととしましては、幅で定めている場合には、その程度によって総合的に考えるという指向のもと定めていらっしゃる国が多いということのようでした。個別の国によって差異はあろうかと思いますが、その辺り、細かくは確認をしたいと思います。
 それから、2番目のご質問であった、地域に固有のというところ、立地場所で大体決まっていくという考えでいいのかということでございますが、大まかに、その地域がどのように使われているかという観点で類型を定めていて、その中で、例えば田園都市だったらここまでの値、あるいは、暗騒音から一定の値を定めて、どちらか高いほうというようなこと、その類型ごとに定めている国というのはございました。
 ただ、ニュージーランドの事例として挙げていただいたところは、例えば田園地域であれば35dBあるいは暗騒音+5dBのいずれか高い方ということで、暗騒音から5dBというものをメーンとした基準の決め方がなされているわけですが、これがどういう考え方のもと定められているかといいますと、大まかに地域類型で騒音のレベルというのは、傾向はあって、住宅地域であれば、工業地域と比べれば静かと、そういったことはあります。ただ、同じ住宅地域、同じ工業地域でも、場所場所で音の状況というのはそれぞれ違ってきます。
 本日ご用意している資料の中でも、資料3で、私ども、日本でとったデータをご紹介しますので、それを後ほどご説明させていただきたいと思いますが、簡単に言いますと、例えば同じ住宅地域であっても、海のそばなどであれば、波の音などで、海のないところよりは少し音は大きくなるというようなことはあります。
 ですので、用途による類型だけではなく、やはりその地域地域で音の状況は違いますので、それも含めて、暗騒音+一定の幅としている国が多いように見受けられました。

【町田座長】 よろしいですか。

【田中委員】 はい、了解です。

【町田座長】 では、橘委員。お願いします。

【橘委員】 私も質問をする立場なんですけど、ちょっと補足する立場で......

【町田座長】 お願いします。

【橘委員】 田中先生のご質問の意味は、この表の中にも、例えばドイツなんかでは、Lrと書いてあります。rというのはレーティングという意味で、いろんなマイナス面があった場合には、評価騒音レベルという、ベースはLAeqなんですけれども、それにペナルティを足していく。衝撃音なんかがある場合もそうですね。工業騒音、工場騒音、インダストリアルなもの。それで結局、例えばLAeqで、普通で測って35dBだったとしても、5dBのペナルティがついたら40dBとみなすわけですね。それで評価していこうという、これはISOの1996という規格がございますけれども、それにもちゃんと定義されています。
 それから、2番目のは、これは私もいろいろ調べてみたんですけれども、例えばニュージーランドなんかでは、地方当局の担当者、あるいは、地方当局の音響アドバイザーが、静穏を要する地域で風車騒音にはっきりと聞こえる振幅変調音が含まれていると主観的に判断した場合には、5dBのペナルティを加える、そういうようなことで運用しているようです。日本ではこういう流儀ではなかなかいかないだろうという個人的な印象です。

【町田座長】 ありがとうございました。補足をしていただきました。
 はい、佐藤委員。どうぞお願いします。

【佐藤委員】 ちょっと不勉強で、全然それぞれ見ていないですが、各国の数字がいろいろ限度値が出ていますけども、これらは、こういったガイドラインには、その根拠というのはそれぞれ書いてあるものなんでしょうか。例えばアメリカなんて州ごとに数字がばらついていますけれども、その根拠はそれぞれ違うということ、データが違うのか、あるいは、評価の仕方が違うのか、その辺は何か書いてあるものなんでしょうか。

【町田座長】 限度値、ガイドラインの根拠ということなんですが、おわかりになりましたらお願いいたします。

【出口大気生活環境室主査】 すみません、根拠につきまして、全体を通して統一的に確認はまだできておりません。個別には根拠などを示しているところもあろうかとは思いますが、今回整理した形ではお出しできておりません。

【町田座長】 橘委員、お願いします。

【橘委員】 この種のガイドラインとかスタンダード、あるいは、いろんな法律で出ているものには、そこまでは一切書いていませんから。ただ、何dBがいいと。それで、学術雑誌なんかのメタ調査の結果なんかでは、昨年度、騒音制御工学会でやりました請負業務で調べたところでは、学術的に調べて、いろんな論文を調べたら、例えば35dBを超すと影響が出ると、そういう論評はあるんですね。だけど、それを、だからどこどこの国が35dBとか40dBとか決めたとか、そういうことは一切書いていない。それはわかりませんね。中には、専門家グループを招聘して、イギリスがそうですけども、その中での議論で、こういうのがいいだろうというのは例外的にはありますけれども、あまり、こうであるから何dBがいいという、だから決めたというような文献は一切ありません。

【町田座長】 桑野委員、どうぞ。

【桑野委員】 ちょっと確認させていただきたいんですけど、諸外国で、「暗騒音」とみんな書いてありますけれども、これは、こちらで言っている残留騒音と同じと思ってよろしいんでしょうか。それとも国によって違うケースもあるんでしょうか。

【出口大気生活環境室主査】 「暗騒音」と書いてある国につきまして、騒音指標を確認しますと、その多くはLA90となっております。
 後段でもご説明したいと思うんですが、総合騒音のLA90につきましては、概ね除外をしました暗騒音、いわゆる残留騒音とよく一致するという研究結果が得られておりまして、そのことから、これらにつきましては、「暗騒音」と書いてはおりますが、実質的には我々が言っております残留騒音を指標にしておるものと思われます。

【町田座長】 よろしいですか。
 まだ議論は尽きませんが、また後で、この資料につきましては質疑応答の時間を設けておりますので、次に進めたいと思います。
 続きまして、これまで国内で実施しました風車騒音に関する実測調査の結果について、事務局より説明をお願いいたします。資料3、4になるかと思いますが。

【出口大気生活環境室主査】 では、資料3、地域の音環境に関する調査につきまして、説明させていただきます。
 こちらは、平成22年から24年度まで実施されました戦略指定研究の結果及び、昨年度に実測調査を行いました、各地域の残留騒音の実測・評価調査結果につきまして整理したものでございます。
 まず、一つ目に、残留騒音の測定・分析方法としまして、戦略指定研究で測定しました結果のうち、風力発電施設がない「対照地域」につきましての測定記録及びその測定記録におけるLAeqと、LA90及びLA95の相関を調べた結果をお示ししたいと思います。
 次ページのほうに対照地域の残留騒音について、測定した結果の一部が図表として載っております。こちらをご確認いただきますとわかりますように、非常に静かな環境下で、たまに自動車騒音などが入ってきて、それがピークとして表れていることがわかります。
 環境騒音を評価する場合につきまして、これら一過性の騒音につきましては、除去をする必要がある。地域の音環境の状況、静けさの程度を評価する場合は、これらを除去した上で、背景的な騒音、いわゆる残留騒音を評価する必要がございます。
 これら特定騒音とみなせる騒音を除去するためには、作業としまして、騒音を確認しながら除外する必要がありまして、大変な手間を要するということで伺っております。
 この図表に点を引いておりますが、これは、除外音処理をしない場合のLAeqを、LAeq,totとして線を引いております。これを見ていただくと、除外音処理をしない場合の等価騒音レベルは、除外音処理を行った等価騒音レベルLAeq,resとの間には、大きく乖離が生じていることがわかります。
 これに対しまして、除外音処理をしない場合のLA90とLA95は、ほぼ残留騒音のLAeqとよく一致しておりまして、これらの関係には高い相関が見られました。このことから、LA90とLA95の総合騒音と残留騒音の測定値はよく一致し、一過性騒音の影響は受けにくく、安定しているということがわかりました。
 一方で、除外音処理をしないLAeqは、自動車騒音など一過性の騒音の影響を大きく受けるため、残留騒音との対応はよくないという調査結果が得られております。
 すみません、順序が前後になってしまいましたが、3ページ目につきまして、戦略指定研究及び平成27年度の調査の場所を示しております。風車の設置地域及び対照地域、また、それ以外の地域など、日本全国で測定をしております。
 続きまして、4ページに参ります。
 4ページでは、戦略指定研究における「風車地域」、「対照地域」の測定結果について再分析を行っております。
 まず、2.1ですが、「風車地域」の風車が稼働しているときの騒音及び風車地域の風がないときなどで風車が停止している場合の残留騒音を比較してございます。こちらの図表を見ていただくとわかりますように、風車が稼働しているときの騒音は、風車から距離が離れるに従い騒音が小さくなっております。一方で、残留騒音、風車が停止しているときの残留騒音につきましては、そういった傾向が見られません。そのため、風車稼働時の騒音と停止時の騒音の差は、距離が離れるについて小さくなる傾向が見られます。ただし、単機につきましては、比較的はっきりと傾向が見られますが、ウィンドファームにつきましては、各風車の位置の複雑さもありまして、なかなかそういった明確な相関は見られないという結果が得られております。
 続きまして、次のページに参ります。
 次のページでは、波の音や風の音といった準定常的な自然音の影響を長時間受けている地域と、それ以外の地域の騒音レベルにつきまして比較をしております。
 図表としましては、右側が風車地域の風車停止時、左側が対照地域ということで、ともに風車の影響は入っておりません。この図表を見ますとわかりますように、風や波などの準定常的な自然音の影響を受けない場合の残留騒音と、それらの影響を受けている地域の残留騒音では、5dBから10dB程度、準定常的な自然音の影響を受ける地域の残留騒音のほうが高くなっております。これはLAeq、LA90、LA95、ともに近しい結果になっております。
 次ページに参ります。
 次ページでは、平成27年度に調査した結果としまして、農山村部、沿岸地域、都市部の住居系地域、工業系地域などの各地域につきまして、残留騒音の実測を行っております。こちら、図表としましては、右側が昼間、左側が夜間になっております。この図表から確認されますこととして、夜間の残留騒音は、農山村部では、低くて20dB強から35dB程度、沿岸地域では26dB以上から45dB以下、都市部では26dB以上から45dB以下、工業地域では36dBから55dB以下という結果が得られております。昼間は、これに加えまして、5dB程度、全ての場合で高い結果となっております。農山村部などにつきましては、残留騒音が非常に低い地域では、20dB台の前半という結果も得られております。
 続きまして、4ページ目です。こちらは、残留騒音の評価方法に関する検討ということで、まず最初に述べたとおり、残留騒音を適切に除外音処理をしましたLAeqと、除外音処理をしていないLA90、あるいはLA95との間には、高い相関が見られるという知見が得られておるんですが、それを、より詳細に検討しております。
 図表につきましては、右側が昼間、左側が夜間で、上側が残留騒音のLAeqと総合騒音のLA90の比較を、下側は残留騒音のLAeqと総合騒音のLA95の比較をしております。この結果から、残留騒音のLAeqと総合騒音のLA90及びLA95の間には、高い相関が得られること。概ね総合騒音のLA90+2dB程度で残留騒音をのLAeqを導くことができるということが推定されます。
 なお、LA90とLA95の間ですが、LA90のほうがやや安定性は高いという結果が得られております。
 以上、資料3につきまして説明させていただきました。
 引き続きまして、資料4について説明させていただきます。
 資料4ですが、風車騒音に含まれる振幅変調音及び純音性成分に関する検討です。
 こちらにつきましては、平成22年から24年度に戦略指定研究で行われました風車騒音の測定結果につきまして、再分析をしております。
 振幅変調音につきまして、前半、求め方を書いておりますが、振幅変調音は、約1秒程度の周期の音の変調ですが、これを導き出すために、Fast特性で測定した結果とSlow特性で測定した結果の差分を出しまして、その結果の90%レンジを振幅変調音の指標としております。
 結果は次のページに示しておりまして、戦略指定研究の測定結果につきまして、振幅変調音がどの程度あるかということを示したものが図3でございます。知見としまして、振幅変調音によるレベル変動が2dB以上ありますと、この変調が知覚されているということが知られておりますが、この結果を見ますと、約4分の3の地点で振幅変調音によるレベル変動が2dB以上あるということで、風車の測定結果の多くは、知覚できるレベルの振幅変調音が観察されるという知見が得られております。
 続きまして、純音性成分につきまして説明させていただきます。
 同じく戦略指定研究の結果の再分析ですが、風車騒音、29の地域につきまして、IEC61400-11に示す手法に基づきまして、純音性可聴度を導き出しております。
 その結果ですが、160Hz付近の周波数で卓越した純音性成分が見られる事例が多く、その他、70Hzや700Hz付近の純音性成分も検出されております。また、IECの規格で報告することが求められております3dB以上で純音性成分が検出された事例につきましては、風車近傍の測定結果、29点では全て、暴露側、住居などの暴露側のほうで測定結果につきましては、164点中129点で純音性成分が確認されております。
 下の図表としましては、実際、どのようなものが確認されたことかが示しております。
 また、次のページにつきましては、純音性可聴度が3dB以上と判定された測定点についての測定結果を、発生源側と暴露側で重ねております。この結果からも、70Hz、160Hz、700Hzでピークが見られることがわかります。
 このことから、純音性成分につきましても、一部の風車というよりは、かなりの風車で確認されることが想定されます。ただ、純音性成分の評価、あるいはペナルティなどの考え方につきましては、まだ十分な知見が得られていないところもありまして、これをどのように評価するかにつきましては、今後の課題と考えております。
 以上、資料3及び4につきまして、説明させていただきました。

【町田座長】 ありがとうございました。
 資料3、地域の音環境に関する調査、資料4が風車騒音に含まれる振幅変調音及び純音性成分に関する検討という、2点の資料についてご説明をいただきました。
 ここで、また後で総合的に議論いただきますが、ただいまの説明について確認事項等ございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 はい、橘委員、お願いします。

【橘委員】 質問じゃなくて確認というのかな、風車が回っているときの騒音、これは風車騒音と言っていいんですけど、実際は風車騒音だけを抜き出すことはできなくて、ここでいう暗騒音か残留騒音が必ず乗っているわけですね。物理的にはね。だけど、一応「風車騒音」と呼ぶことにします。それから、風車が回ってなくて、車なんかも来てないようなときの騒音を「残留騒音」と呼ぶことにして、これもLAeqで評価するのが基本であると思います。要するに、時間平均的なものですね。それが、LA90、あるいはLA95で代行できると。LAeqをちゃんとはかろうとしますと、目と耳とをそばたてて、余計な音を削りながらやっていかなきゃならないんで、たった10分の分析でも1時間以上かかるわけです。これはすごく大変。その点、LA90、あるいはLA95なら、そんなことをしなくても、非常に相関の高い、それでちゃんと除外音処理したデータと非常に相関の高い結果が得られる。
 これは、我々、今気がついたようなことになるんですけれども、実はイギリスなんかでは昔から常識になっていまして、ニュージーランドもそうですね。オーストラリアの一部でもそうですけど。LA90そのものを指標にしているわけですね。ただ、ここでLA90というのは、あくまで統計量ですから、いわゆるエネルギー和をとったりする計算ができないんですね。指標としてはいいんですけども、原理的に計算ができないわけです。だから、計算ができるようにするために、これからの議論ですけど、LAeqを用いるべきだと。LAeqは、本当はすごく測定しにくいんだけれども、考え方はLAeqを使う。それをLA90から実用的に推定しようと、そういうことですよね。これを確認しておきたいと思います。

【町田座長】 ありがとうございます。
 環境省、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 今の橘先生のお話に関してなのですが、実は、次にご説明する資料5のところで、私ども、評価の目安の考え方をずっとして、事務局としてまとめたものをお示ししてあります。その中で、今、先生のお話しになったところも記載してございまして......

【橘委員】 先走っちゃって、すみません。

【行木大気生活環境室長】 いえ、私どもといたしましては、先生おっしゃるとおりで、評価としましては、LAeqがよいと。ただ、そのLAeqを推定するための手法として、統計量であるLA90、LA95などを使用して、簡便に求められるという方法があるので、それも使ってはどうかということでまとめてございます。
 また後ほど詳細を説明させていただきます。

【町田座長】 LAeq、あるいはLA90の扱いについてご説明をいただきました。
 ほかに。ご意見ございますか。
 矢野委員、どうぞ。

【矢野委員】 矢野でございます。
 残留騒音は、風車騒音を評価する上で非常に重要だということは、各国の基準だとか研究でわかっています。ある地域の残留騒音を測定するのに、LA90で行くなら行くでいいんですけども、じゃあ何点ぐらい測定したデータに基づいて、その地域の残留騒音とするのかという点も、今後検討しなければいけないんじゃないかなと、ちょっと思っています。
 といいますのは、ここで、資料3の4ページには、実際にこれは残留騒音を非常にエネルギーを費やして測定したデータが示されていますけども、大体安定して、大きくはばらついてないんですけども、測定したデータの中には、もっと大きくばらついているところも、実際にはあるわけですよね。それを今度は、LA90で測定すれば、大体どの地域も安定したデータが得られるのであればいいんですけども、もし違うのであれば、何点ぐらいのデータに基づいて、その地域の残留騒音レベルとするかということも、ちょっと検討せんといかんのじゃないかなと思いました。

【町田座長】 ありがとうございました。特に残留騒音には地域性がある、ばらつきをどう考えるかと、いうご意見でございました。
 田中委員、どうぞ。

【田中委員】 これも、確認でお尋ねで、意味を確認したいのがございます。
 資料3の、一つは、2ページです。2ページに図1というのがあって、(a).と(b).というのが上下に書いてございます。例えば(a).のところに、LAeq,totで48dB、それからLA90ですかね、それから25dB、こういう数値が出ておりまして、右側のほうにも、今度はLAeq、これはresですかね、27dB。それから、25dB、25dBと書いてあります。
 このデータが二つ置いてある意味は、LA90が、同じ25dBというのが二つあるんですが、これは何か違いがあるのかい、たまたまここに記載があるのか。つまり、右と左はどういう数字の配置の意味があるのか、これが1点です。
 その上で、ここでは、上の表現の中に、4行目ですが、除外音処理をした残留騒音のLAeqと総合騒音のLA90ですか、あるいは、LA95の間には極めて高い相関が見られた(図1(a).、(b).)と書いてありまして、これは、図の(a).、それから(b).から、極めて高い相関が見られたという意味が読み取れるかどうか、それを確認したいというのが一つです。
 つまり、この図の、例えば(a).から見れば、LAeqが27dBで、LA90が25dB、25dBとありまして、2dBほど差があるんですが、これは、2dBほど差があっても極めて高い相関が見られたという表現の中に集約されることなのか、これが1点です。すみません、細かなことで。
 それから、二つ目は、資料の4ページです。4ページの、同じく図3ということで、これは風車騒音と残留騒音が、それぞれ風車から距離が延びるごとに、いわば風車騒音のほうは、これは低減していくという図かと思います。
 お尋ねしたいことは、例えばこの四つの図の第2象限というんですか、つまり、左上にあるのと左下にあるのが、これは例えば対比をしてみますと、左下にあるのは、風車騒音と残留騒音の差が相当程度、端的に言えば、20dBほどくらいですか。あるいは、もっと差があるのでしょうか。このくらい差がありますが、この要因はどういうことだろうかと。ほかのは比較的近接しているようにも、特に左上であったり、右下のようなものは、割と近接しているように見えるんですが、ここの左下のものが非常に大きな格差がありますので、これはなぜだろうかと。何か原因があるんでしょうかと。これが二つ目の質問です。
 それから三つ目は、5ページに、これは単純な質問ですが、準定常音なしと準定常音ありのものをしております。この準定常音というのは、波とか、風とか、松籟というんですか、こういう自然音を含めたことを準定常音と、こう言っているように書いてあるというか、あまり明確にはなっていないんですが、どうもそういうことかなと読んだのですが、「準定常音的な自然音」と書いてある表現は、多分そういうことだと思いますが、これを除く、通常の残留騒音というのは、こうした自然音を除くものなのか、あるいは除かないものなのか、どちらを指しているのか。それを確認したいということです。
 以上、3点です。図の見方について伺いました。

【町田座長】 ありがとうございました。
 環境省、よろしいでしょうか。まず、図1からですね。

【出口大気生活環境室主査】 図1につきましては、私から説明させていただきます。
 まず、図1で、LAeq,totと、LA90,tot、LA95,totというのが左のほうに数字がありまして、右側に、同じくLAeq,res、LA90,res、LA95,resという数字がありますが、これは、右側が除外音処理をした結果、左側が除外音処理をしていないトータルの結果ということになっております。これの結果をもちまして、残留騒音のLAeqと、総合騒音のLA90、LA95との間には、高い相関関係が見られるのかということをおっしゃいました。これは確かに、この図表だけではよく一致しているという段階で、相関ということについては、この図表では確認はできません。相関は、7ページで詳細に検討した上で、そう考えられたという結果でございまして、ご指摘のとおり、この図表だけでは確認できません。

【町田座長】 二つ目のご質問について、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 続きまして、4ページの図に関するご質問でございました。それにつきましては、参考資料2としてお配りしておりますものの、めくっていただきまして、2ページ目の上のグラフをご覧いただければと思います。
 まず、参考資料の2ページ、上のグラフでございますが、風車から発生する音というのはどういうものなのかと申しますと、風車の距離が近いときには60dBに近いような音が出ていて、距離とともに減衰をしていくと、そういうものでございます。
 先ほどの4ページの図に戻っていただきますと、これは、戦略指定研究の中で、風車が止まっているときの音と、風車が動いているときの音と、両方がとれるものを再整理をしたものですので、その結果としまして、例えば左下のもの以外では、風車から近いところのデータというのは、たまたま含まれておりません。もしそういったデータが含まれておりますれば、稼働している風車の音は、風車からの水平距離が短くなればなるほど大きくなって、だんだん減衰していくと。一方、残留騒音は、風車の音に影響され、風がなくて止まっているときの音をここでは指しておりますので、風車との距離に関わらず、ある程度の幅にあると考えられます。そういったことで、左下のものは、たまたま一番下のものは、500mを切って、より風車に近い音が入っておりますので、その結果として乖離が大きくなっているということです。

【田中委員】 そうすると、これは「残留騒音」という表記の仕方がよろしいかどうかというのがありますね。

【行木大気生活環境室長】 おっしゃるとおりですね。ちょっと誤解を招きやすいかと思いました。
 4ページのところ、ここで得られているものは、風車が稼働しているときの音と、その対照としている風車が止まっているときの音と、同時にとったものだけを指して......

【田中委員】 その差ですよね。

【行木大気生活環境室長】 はい。

【橘委員】 これはやっぱり残留騒音で、我々が測定したので、ちょっと責任があります。たまたま、本当は風車というのは24時間回ってなくちゃいけないんですけども、よく調べたら、風が弱かったり、あるいは、メンテナンスのためにというのもあるんですけれども、この場合には含まれてなかった。これは風が弱くて回ってない時間帯があったから、じゃあそこを分析してみようと。その場合には、もちろん、カラスが鳴いたとか、自動車が通った音は全部除外しています。ただ風車が回っていないというだけじゃなくて。

【田中委員】 わかりました。

【橘委員】 ですから、これはやはり残留騒音です。風車があるところで、風車が止まっているときに、一過性の音なんかがないように、含まれないように分析した結果です。ですから、ここで、「風車騒音」と「残留騒音」と書いてありますけど、さっき言いましたように、風車騒音というのは、風車だけの騒音というのは本当は測定できないんですよね。必ず何か乗っかっているわけで。だけど、風車のほうが大きいから、SN比の関係で風車騒音だろうと言っているだけで。
 それに対して、風車が止まっていて、例えばこれはウィンドファームなんかですと、10機ぐらい、あるいは、それ以上のものが、本当にちゃんと止まっているというのは、結構ないんですよね。だけども、一生懸命探して分析してみた。
 今、ご指摘があったように、残留騒音というのは地域の中でもちょっとずつ違うんですよね。小川のせせらぎが聞こえるような場所だったら、それだけで大きくなっちゃいますから。だけど、そういうことを言わなければ、風車からの距離というのは関係なく、大体30dBとか、今お話の出たところだと25dBぐらい、静かなんですね。風車が回ると、この場合はかなり大きいですけど、50dB近い音が聞こえている。これは100mぐらいのところですけど、本来、100mぐらいのところに民家があっちゃいけないと思うんですけどね。

【田中委員】 わかりました。

【町田座長】 それでは三つ目のご質問について、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 三つ目の点、5ページ目のお話をさせていただいて、それから、申し訳ありません、4ページ目のところにもう一回戻ってまいりたいと思います。
 5ページ目の点でございまして、ここでお示ししたのは、田中先生がおっしゃいましたとおり、風によって定常的な音がある地域と、そうではない地域について、大体、音がどんなような、残留騒音として測定するとどれぐらいなのかというものを示したものでございます。
 この先、評価の目安ということを考えるときに、定常的な自然音がある場合をどう扱うのかというところが大きなポイントで、田中先生のご質問はそこに関連するのかと思いますが、その辺り、資料5のところで、私どもの考え方をまた詳細をご説明させていただきたいとは思いますが、その地域で、準定常的にずっとあるような自然音は、それはもうその地域の音環境の一部として捉えるべきではないかと思っております。
 それは、先ほど少し説明をさせていただいた、LAeq、除外音処理をしっかりしたLAeqで評価をする。それが難しいときは、LA90という統計量を使って評価をするんですが、準定常的な音であれば、それはLA90で捉えられる音の中にも、当然、入ってくるものですので、そこはそのまま含めて、その地域の音の状況として捉えるべきではないかと考えております。
 関連いたしまして、図4のところで、「残留騒音」という言葉は、非常に広い概念で、橘先生からご説明もあったところなんですが、では、風車の音の評価をする際には、どういうときの残留騒音を捉えるべきかということも、一つ大事なポイントかと思います。
 何が言いたいかと申しますと、同じ地点であっても、準定常的に音がある場合であれば、要するに風がある場合は、木のざわめきなどがあるような地点があったとした場合、風がないときと風があるときでは、残留騒音として出てくるものが、レベルが変わってくると考えられます。その辺りも資料5に実は含めておりますので、また追っての議論もあろうかと思うんですけれども、ここで考えるべきは風車の騒音の評価でございまして、風車というのは風があるときに回るものですから、比較すべきは、風があるときで風車の騒音がない場合の音と、風があって風車が回っているときの音と、すべきではないかと考えております。
 少し資料を先取りしたお話になりますが、以上です。

【町田座長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、ここでひとまず切らせていただきまして、次に、風車騒音の評価の目安について、事務局から説明をお願いいたします。資料5になります。よろしくお願いします。

【木村大気生活環境室主査】 事務局の木村でございます。
 資料5、風車騒音の評価の目安の(案)につきましては、当方からご説明をさせていただきます。
 こちらの案につきましては、2月に中間取りまとめをいただいた際に、今後の課題として、風車騒音の評価の目安等について、本検討会において早急に検討していく必要があるとされたことを受けまして、事務局にて、考え方の大枠について整理をしたものでございます。
 では、資料の説明に入らせていただきます。
 1ポツですが、こちらでは、評価の際に目安とする値の性格についてまとめてございます。
 まず1点目ですが、風車から発生する音は、通常それほど大きなものではありませんけれども、先ほど、資料4でご説明をしましたように、振幅変調音ですとか、純音性成分を含むということもあり、より耳につきやすいということが指摘されてございます。具体的な音の大きさとしましては、先ほどご覧いただきました、参考資料2の2ページ目の上側にあった図でございますが、風力発電施設自体が、単機であるか、ウィンドファームによるかという違いはございますけれども、風車まで250mぐらいの地点で概ね40~50dB、500m以上離れると約40dB、またはそれ以下という測定データがございます。
 この騒音レベルでございますけれども、参考資料3をご覧いただきますと、40dB前後という騒音レベルがどのくらいなのかということで、こちらにつきましては、例えば図書館の館内ですとか、住宅地の騒音レベルを想像されるとよろしいかというふうに考えております。
 すみません、行ったり来たりして申し訳ないんですが、資料5にお戻りいただきまして、続けさせていただきます。
 1点目の続きでございますけれども、風車騒音につきましては、耳につきやすい特徴的な音に加えまして、もともと静穏な地域に風車が建設されるということも多うございまして、それほど大きくないレベルの音であっても苦情が発生しているという事例もございます。
 そのため、今後、風車を新規に設置する場合、それから、建てかえなどで変更する場合に、生活環境を保全し、騒音問題を未然に防ぐための目安として、目標となる値を設けてはどうかというふうに考えております。なお、既存のものにはこの値は適用せずに、新設又は変更の際に適用する性格のものと考えておりますが、これと同じような性格のものとしまして、下の部分の参考にございます、平成7年に策定しました、在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針、こちらが類似のものとなります。
 続きまして、2点目でございますが、風車から発生する音や、その音の聞こえ方、すみません、1ポツの2点目ですね。こちらにつきましては、設置される風車の規模、それから、その場所の風況や地形によって異なってまいります。このような特性がございますので、評価の目安としましては、全国一律の環境基準のようなものではなくて、個別の状況に応じて必要な対策を講じるための指針として定めてはどうかというふうに考えております。
 3点目では、今回、指針を定める場合でございますが、その指針は、今後、科学的な知見の集積状況応じて、適宜、見直されるべきものであるというふうに考えております。
 おめくりいただきまして、続いて、2.目安とする値についての考え方に参ります。
 まず、1点目でございますが、本年2月におまとめいただきました「中間とりまとめ」におきまして、風車騒音と健康影響について、諸外国の研究について記載をしております。そちらにおきましては、風車騒音とアノイアンスにつきまして、統計的に有意な関連が報告されているということ。それから、アノイアンスによる影響として、特に睡眠影響との関係が指摘されているということがございました。よって、目安とする値につきましては、これらを考慮して設定する必要があるというふうに考えております。
 2点目、目安とする値につきましては、地域の音環境の差異を考慮しまして、その地域における「残留騒音」をもとに、風車の稼働による騒音がここから一定の増加量におさまるようにするのはどうかというふうに考えております。
 この増加量について検討を行う際には、次の点でございますけれども、日常の平均的な騒音レベルより4~5dB大きくなると人はアノイアンスを訴えるというKonoらの知見が参考になるのではないかというふうに考えております。
 次の点につきましては、残留騒音が著しく低い場合について記載をしています。このような場合に、残留騒音からの増加量のみで評価をしてしまいますと、生活環境の保全上必要なレベルを超えて騒音対策を求めることとなるおそれがございます。そのため、地域の状況に応じまして、生活環境に支障がないレベルを、目安とする値の下限値として設定してはどうかというふうに考えております。
 その次の点におきまして、参考として、現行の騒音に係る環境基準について記載をしています。具体的な値としましては、次の3ページの上の表に示しているとおりでございますけれども、こちらにつきましては、屋内での会話影響や睡眠影響について加味しまして、不快感等に関する知見も考慮して定めておるものでございます。
 2ページ目に戻っていただきまして、この2ページ目の一番下のポイントでございますが、こちらでは、20Hz以下の超低周波音について記載をしております。中間とりまとめにおきまして、国内外の知見では、これまでのところ、超低周波音に関する健康影響については明らかになっていないこと、それから、国内における実測において、風車から発生する超低周波音は人間が知覚できるレベルではなかったことというふうにおまとめいただいておりまして、風車騒音は、超低周波音の問題ではなく、"聞こえる"音の問題として捉えるべきというふうにされてございます。これを踏まえまして、本指針におきましても、超低周波音については評価の対象とはしないこととしたいと考えております。
 続きまして、3ページ、3.の騒音レベルの測定・評価についてご説明をいたします。
 まず、1点目につきましては、風車騒音は"聞こえる"音の問題として捉えるべきであるということから、測定はA特性とするということを記載してございます。
 2点目につきましては、先ほども少々お話がございましたが、残留騒音の測定について、これは風車が安定して稼働する程度の風が吹いている状況で行うべきではないかとしております。
 通常、一般環境の騒音の測定を行う場合には、その次の4ページの参考の1点目に記載をしておるんですけれども、地上付近で5m/sを超えるような風が吹いている場合には測定を中止するとなっておりますけれども、風車騒音の場合は、風が吹くことによる葉ずれ等の音の発生もございますので、あくまで風が吹いている状況で残留騒音を測定するべきではないかというふうに考えております。
 3ページにお戻りいただきまして、3.の3点目でございますけれども、風車騒音の測定地点は、建物の遮音性能などを一律に評価することは難しいということもございまして、屋外で行うということを考えております。
 次の点では、測定時期につきまして、風車騒音は気候の影響を受けるということがございますので、原則として四季ごとに測定を行うとしております。ただし、気象条件の変動が少ないような場合などは、回数を減らしてもよいのではないかというふうに考えております。
 次の点は、残留騒音の測定について、風の状況が長時間安定している状況で測定をするということは、一般に困難だというふうに考えられるため、風速と騒音レベルの同時測定を行い、条件に適合するような風が吹いている場合について評価を行うということを考えています。
 最後に、残留騒音の評価につきまして、先ほど橘委員からもコメントをいただいておりますけれども、一過性の騒音などを除外するかわりに、90%時間率騒音レベルに2dBを加算することによっても、残留騒音を推定できるというふうに考えてございまして、この方法を用いてもよいというふうに考えております。
 4ページの参考部分におきましては、一般環境の騒音の測定について記載をしておりまして、風車騒音との大きな違いとしましては、先ほどご紹介をいたしました風が吹いている場合の測定というものに加えて、3点目の測定時期の考え方などがございます。測定時期、測定期間につきましては、一般環境の場合は1年を代表すると思われる日というふうにしておりますが、風車騒音の場合は、気候を勘案して、原則として四季ごとというふうに考えてございます。
 なお、今後のスケジュールにつきましては、この後の議論でご紹介を改めてさせていただきますけれども、今回は風車騒音の評価の目安の考え方についてご議論をいただきたいと思っています。今回いただいたご意見を踏まえまして、次回の検討会に詳細な案をお諮りしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からの説明は以上です。

【町田座長】 ありがとうございました。
 資料5、風車騒音の評価の目安について、性格あるいは考え方についてご説明いただきました。
 それでは、本資料及びこれまでの資料1から4を含めまして、総合的にご議論いただきたいと思います。橘委員、どうぞお願いします。

【橘委員】 ちょっと質問というか、確認ですけど、今の資料5の1ページ目の真ん中辺り、二つ目の「また、」からの段落ですね。「評価の目安は、全国一律の環境基準等とするのではなく、個別の状況に応じ必要な対策を講じるための指針として定めることが適当である」、これがちょっとよくわからないんですね。考え方は、やっぱり全国一律でないといけないのでは。適用の仕方、例えば残留騒音というのは、かなりローカルな条件がありますから、それは違うかもしれないです。例えば残留騒音プラス何dBという方式を採用するとしたら、それはもうどこへ行っても同じ。
 ただ、残留騒音は、この地域は幾ら、残留騒音の話はまた次にしたいと思いますけど、何か方式はやっぱり統一しておかないと、先ほど資料の説明がありました地方自治体の条例などを調べてみますと、実に言外に、やっぱり中央官庁が方針を決めてくれないから、地方は困っていますというのがかなりわかるんですよね。

【町田座長】 田中委員、お願いします。

【田中委員】 今のことですが、私も、そこは違和感がありまして、私の案は、「全国一律の環境基準等とするのではなく」、このフレーズは削除したほうがいいのではないかなと考えます。つまり、後段の「これらの特性を踏まえ、評価の目安は個別の状況に応じ必要な対策を講じるための指針として定める」と。個別の状況において定めていくと、個別の状況によって、指針というんですか、目安を定める、そういう考え方が適当だろうという趣旨かと思います。だから、全国一律の環境基準の考え方と、これはこれとして厳然としてありますので、これはこれで置いておいて、そことあまり相反するような書き方はよろしくないかなというのは考えました。

【町田座長】 ありがとうございました。
 この文言なんですが、「個別の状況」というのは、ちょっとファジーなものですから、そこをどんなことをお考えか、ちょっとご説明いただければと思います。
 どうぞ、環境省、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 言葉が足りず、大変失礼いたしました。ここで意図していることがどういうことかと申しますと、全国一律、一つの値を定めるといったようなことではないということを言いたかったのですけども、橘先生がおっしゃいましたとおり、考え方、根本的な考え方としては、当然統一的にあって、その場、その場の状況に応じて、より適切に個別の対策を評価していくために設定していくと。つまり、値としては、場所によって違うということが適当ではないかと思いますが、とるべき考え方は一つでございます。ちょっと言葉が足りず、失礼をいたしました。趣旨としてはそのようなことでございます。

【町田座長】 よろしいですか。
 それでは、桑野委員、お願いします。

【桑野委員】 ここで、2ページ目にも、今、議論があったところでもそうなんですけれども、もう残留騒音をもとにして、それプラス5dBとかというような案がいきなり出てきております。これはこれで、私も特に異存があるわけではありません。ただ、こういう基準とか、目安とか、こういうものを決めるときに、ドーズ・レスポンス・リレーションシップ(Dose-response relationship)から、何%の人が悩まされているであろう値という形で求めるのが一般的だと思うんですね。それから、これに決して反対しているわけでもございませんし、これはこれで異存ないんですけれども、やはりそういう資料は戦略指定研究でも出しておりますし、それから、諸外国でも恐らくあると思いますので、そういうものと照らし合わせて、ちょっと検討してみることも必要なんじゃないかと思います。

【町田座長】 ありがとうございました。
 環境省、どうぞお願いします。

【行木大気生活環境室長】 桑野先生、ありがとうございます。ご指摘のとおり、今回お示しした資料、それから、これまでの資料の中では、その辺りの知見を示せておりません。一方、先生ご指摘のとおり、諸外国では知見もございますし、また、今回、一部は紹介させていただいておりますのは、戦略指定研究の中でも、その風車騒音による暴露のレベルと、それによって、聞いた人がどのように反応したのかという辺りをまとめた結果もございました。その辺りも整理して、次回、お示しできるようにさせていただきたいと思います。

【町田座長】 橘委員、どうぞ。

【橘委員】 今日は配られていませんけれども昨年度の請負業務でやった論文の調査の結果で、外国で200ぐらいの論文をまとめたレビューを読みますと、さっきも言いましたように、35dBが限界だと。40dBから睡眠影響が出るということも結論として書いてあるわけですよ。だから、今からドーズ・レスポンスをこれから調べますよなんていったって、とてもできる話じゃないです。

【桑野委員】 もちろん調べるんじゃなくて、参考として検討したらどうかという。

【橘委員】 いや、もう検討してあるわけなんです。

【町田座長】 塩田委員、お願いします。

【塩田委員】 目安の性格ですが、環境基準の考え方であれば、いわゆる「望ましい基準」というベースになるのかというのと、規制基準という考え方であれば、これはきちんと遵守してくださいという、そのようなことになるのかということで、このところは、少し議論が必要かなという感じがありますが、そうなるまでには、その測定が非常に重要で、その測定値については、このように処理すればこうなりますというのはあったので、それはそれでよいと思いますが、ここでは、屋外で一応は測定しましょうという考え方ですね。例えば、山村とか田園地域であれば、ある農家前にきちんとした土地があって、そこでは測定できる。ところが、現実には、もう敷地一杯で建物が建っているとしたら、公道上で測定するということも実はあるのではないかと思いますが。そのようなこともきちんと想定し、かつ、その建物の反射についても想定をし、やっぱり屋外で測定しましょうということであれば、そのところをしっかりと、屋外での測定場所はしっかり議論をしたほうがよいのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

【町田座長】 測定の具体的なことについての御意見ですね。
 環境省、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 ただいまの塩田先生のコメント、それから、さきの議論の中で、矢野先生からご提示のあった話も、実際、測定の際に、どのような場所、どういう手法で測定をできるのかということをきちんとわかりやすく提示すべきというご趣旨かと思います。その点、とても大事な点だと思いますので、私ども事務局として、しっかり課題として取り組んでいきたいと思います。
 ただ、これまで環境基準なり、指針なりですけれども、一定の評価水準を定めるということと、それに必要な測定の仕方などにつきましては、分けて整理をしていまして、分けてということの趣旨は、具体的な測定の仕方などに関しましては、かなり時間をかけて検討して、技術的なことを丁寧にまとめていくという作業が必要となってきますので、例えば、騒音の環境基準の話で申し上げれば、環境基準自体を告示として出し、環境基準の測定の方法につきましては、航空機騒音だったり、新幹線騒音だったり、対象とする騒音に分けて詳細なマニュアルをつくって公表するということをしております。
 風車の騒音につきましても、評価の水準、目安につきまして、方針をお決めいただきましたら、それに合うようにしっかり測定方法につきましても整理をして、世にお示ししていくことは大切なことだと事務局として考えております。
 すみません、先ほど桑野先生のおっしゃっていただきましたことにちょっとだけ戻りますと、桑野先生のご指摘は、新たに調べ直せということではなくて、既にある知見をきちんと整理をして、お示しをするようにというご指示と思います。ここまで事務局が検討会の資料としてお示ししてきたものの中で、その中に十分含まれておりませんでしたので、その点、次回、整理をして出したいと思っております。

【町田座長】 沖山委員、どうぞ。

【沖山委員】 ちょっと先になりますが、今、環境省がご説明されたんですが、測定方法をちゃんとしないと、これ、環境騒音をはかって、その地域の音の値を決めるというのは、非常に自治体の皆さん方から見ると、大変プレッシャーが、かかるのではないかなと思います。実は、私、川崎市にいて、規制基準を環境騒音を加味した方法で定めていたんですが、環境騒音をはかって、この地域の環境騒音は幾らだと定めるのが非常に負担だったんですね。20年ぐらいしかもたなかったかな、と思います。この手法は大変なので、やめようよという話がいっぱい出てきました。法や条例に基づく特定施設等の届け出が提出されたとき審査をしますが、そのとき、この地域の環境騒音をはかっていないから、規制基準が分からないとか想定値よりも変わっているかもしれないとかの問題が生じました。
 測定も、これはまた後半に入ると思うんですが、一日の平均みたいな平均値を用いるんだというんですが、アセスメントの騒音の測定は基本的に、一日でやっているんですが、自動車騒音の場合は、要請限度に準じて平日の三日間が多いですね、平均的に。土曜、日曜、それから、過去のデータから、月曜日と金曜日が土日の影響を受けて、やっぱりちょっとレベルが違うんですね。そうすると、火、水、木の三日間の平均というのが安定しているよという論文もあるんですけども、その辺をしっかりと測定方法を決めないと、その地域の基準はこれだよというのを定めるのがなかなか難しいということで、やはり測定方法も、しっかりと決めなきゃいけないかなと思っております。

【町田座長】 ありがとうございました。
 落合委員、お願いします。

【落合委員】 2.の目安とする値のところで残留騒音の話が出ていますけれども、例えば工業地帯のように、ある程度、騒音のレベルが大きくて、風向とか季節とかによってあまり変わらないというようなところはいいと思うんですが、例えば山間部のようなところですと、夏のように木がいっぱい繁っているときと、冬のように広葉樹の葉っぱが落ちてほとんど葉っぱがない状態とで、残留騒音レベルは異なるでしょうし、海岸沿いのように海側から風が吹いているときは海鳴りがするけれども、逆に地上側から吹いているとあまりしないでしょうし、季節あるいは風向等によって残留騒音のレベルが変わってくると思います。そういう場合、残留騒音からの増加量を取り込むときには、季節ごとに決めるのかどうかも、考えなければいけないんじゃないかと思います。
 それから、超低周波音の話で、第2回ぐらいの委員会のときにがたつきの話もちょっとありましたが、単機で3MW未満ぐらいですと、ある程度、距離が離れますと建具のがたつきの影響はないだろうという話はしているんですが、最近、4MW、5MWというような巨大風車も計画されていますので、今すぐという話ではないですが、将来、もしかするとがたつきの影響を考えなきゃいけなくなるかもしれませんので、そういうことも頭に置いておいていただけるといいと思います。
 以上です。

【町田座長】 ありがとうございました。
 橘委員、先ほどお手が挙がりましたけど。

【橘委員】 先ほどので、行木室長が言われたように、やっぱりほかの新幹線や航空機なんかと同じように、やっぱり測定マニュアル、これを別途ちゃんと整備する必要がある。ここに何げなく「風が吹いている状況で測定する」なんて書いてあるんですけど、僕ら、風が一番怖いんですよ。ですから風の影響を防ぐためにウインドスクリーンでものすごく苦労しました。風が吹いているときには、何をはかっているかわからなくなっちゃうこともあります。いわんや、マイクロホンを高い位置に置くと、風をはかっているようなものです。

【町田座長】 船場委員、お願いします。

【船場委員】 すみません、ちょっと測定法とかとは離れるお話になるんですが、目安のほうでお配りいただいた資料の2ページの2の目安とする値についての四つ目の矢羽根のところで、「地域の音環境によっては、残留騒音が著しく低い場合がある」と。その後、「地域の状況に応じて、生活環境に支障が生じないレベルを、目安とする値の下限値として設定することが適当と考えられる」というふうに書いてあるんですけれども、これは実際にやろうとすると非常に難しいのかなと思います。「地域の状況に応じて、生活環境に支障がない」というのは、本当にかなり主観的にならざるを得ないですし、その地域、地域の問題が相当いろいろ出てくると思うんですね。それが難しいなということもあって、まず、ここがちょっと私としてはひっかかったんですが、そのときに、その地域の音環境で、残留騒音が著しく低いような地域に、やはり風車はつくるべきなんだろうかみたいな、何というんでしょう、少し大きなポリシーとして、本当に静穏のところを静穏なままに残していくという方向性はないのかなということをちょっと考えてしまいまして、大きな方向性として、そういう静穏で本当にすばらしい自然環境が残っているところをそのままに保全するというような考え方が少し読み取れてもいいんじゃないかなというようなことを少し思いました。ちょっとこの場で議論するようなお話ではないのかもしれないですけども、実際に下限値をそれぞれに設定するということの難しさを考え合わせるときに、そんなことを少し考えてしまったものですから、これまで環境基準みたいなものって、さっき落合委員もおっしゃいましたけど、工業地域であったり、かなり都心部の環境をいかによくしていくか、あるいは、あまり悪くしないようにしていくかという観点で考えられてきたと思うんですけれども、もう一方で、今後の日本の状況を考えていくと、そういう発展していく云々というところよりも、持続可能というか、それぞれの生活者のQoLを考えつつ、それぞれの地域の特性を生かしつつというようなことが、今後、本当はあるべきなのではないかなというふうに考えると、そういうことを音環境としても考えていきたいなと我々は思うんですね。今、結構、私、仕事でかなり山間部を回ったりしておりますと、やっぱりこれはこのままにしておきたいなと。このままにしながら、それぞれの価値を見出していくような社会になっていってほしいなというふうなことをちょっと考えるものですから、少しここの文章に違和感というか、問題意識を持ちました。

【町田座長】 ありがとうございました。
 田中委員、どうぞ。

【田中委員】 今、船場委員がおっしゃったことに、やや、水を差すようなことになって申し訳ないのですが、このところですよね。「生活環境に支障が生じないレベルを、目安とする」、これはこれで、環境行政としては、生活環境に支障が生じないレベルというのを考えていくという必要があると思うんですね。
 他方で、その風力発電の、ある意味、何というんでしょうか、プラスの面として、温暖化対策に寄与する。つまり、再生可能エネルギーの普及拡大が、今、我が国の温暖化対策として急務になっている中で、風力発電も、その飛躍的な拡大といいますか、増強が必要になっています。そのような中で、風力発電の拡大と音環境との調和をどのように図っていくか。そのための目安をつくるというねらいがこの前書きのところに書いている趣旨かなと思いました。
 ですので、何というでしょうか、音環境を守る必要があるということはご指摘のとおりですが、しかし、自然環境にまったく手をつけないという考え方ではなくて、もし、ある意味、開発をするとしたら、どの程度まで、その調和の範囲として受容していくのか、受け入れていくのか。そういう考え方が必要ではないかというのが私の考え方で、この点は船場委員とお考えが違うかもしれません。
 そこで、今の点について、さらに突っ込んでコメントをしたいと思います。2ページの今ご指摘のあった「生活環境に支障が生じないレベル」ということです。これを私自身は、ここに書いてある環境基準というのが一つの目安になるだろうと思います。環境基準、特に参考のほうに書いてございます、3ページにございますが、AA地域の夜間が40dB以下ということになっています。ここら辺りは一つの目安になり得ると思っております。
 ただ、これを扱う際に考えなければいけないのは、風車騒音の測定は屋外で行う。この場合に屋内、屋外の差をどう考えるか、これがあるかと思います。
 それから、二つ目は、風車騒音の場合には特有の、ある意味、アノイアンスをかき乱すものとして、資料の4でもありましたが、振幅変調音とか純音成分というのがある。これが、風車に対するアノイアンスを非常に高めるという、そういう指定があったかと思います。ここの辺りをどうやって加味していくのか。加味するということは、ある意味、目安の値を厳しく見るということかと思いますし、それから、屋内、屋外ということになって、屋内の基準を屋外で考えるときは緩めるという、緩めるといいますか、屋外で測定する場合の参照する値としては少し大き目にすると、こういうことだと思いますので、そこら辺りの関係性を一回整理していただいて、それで、目安となる値ですか、これを考えていくということが必要ではないかと思います。
 それで、加えてもう一つ、これ、本当に追加的な話ですが、先ほど、これは橘委員からご指摘があった1ページ目の「全国一律の環境基準等とするのではなく」という言葉は、私は、これは削除でもいいのではないかと思うんですが、あえて言うならば、「全国一律の目安とするのではなく」とか、要するに、やはり数値で決めるというよりは、やっぱり地域の状況に応じて決めていくということが大事だ。ただ、環境基準というのはやっぱり全国一律の基準で、この考え方はあるので、これを否定することはよろしくないかなと思いますので、この点はぜひ表現は工夫されたらいいんじゃないかと思いました。
 以上です。

【町田座長】 ありがとうございました。
 環境基準のところからお願いします。

【行木大気生活環境室長】 ありがとうございます。まず、今、大きなご指摘として、今、ご指摘のあった関係性の辺り、きちんと整理をいたしまして、次回の検討会のときにお示しをしたいと思います。
 それで、1点、今の環境基準に関連するところなんですが、私どもの説明が言葉足らずだったかと思いますが、この資料5の3ページ目に付しております騒音に係る環境基準ですが、これは屋外に適用されるものでございます。この前の説明が不足していて申し訳ないんですが、この屋外の基準を設定するに当たってどう考えていったかというと、屋内で守るべきレベルを検討し、そこに遮音性能などを考慮をした上で、この屋外の値を出しているということでございまして、その際に見た屋内において、どういうレベルを決めたかと申しますと、検討しなければならない睡眠影響、会話影響を検討しまして、遮音でどれぐらいまでならば減ることができるかということを一定の安全性も含めた上で考えまして、あと、不快感に関連する知見も照らし合わせて定めたものでございます。その辺り、次回、誤解がないような表現にし、関係性も整理して、お示しできるようにしたいと思います。

【町田座長】 橘委員、どうぞ。

【橘委員】 この環境基準をどう考えるかというのは、もうこれまでも何回も出てきましたけれども。実は今の環境基準を決めたとき、専門委員会委員長は私がやっていたんですけれども、このときには、風車騒音なんていうものは全然考えていませんでした、はっきり言って。メインは道路交通騒音です。道路交通騒音と、ここで議論している風車騒音を横並びに、数値的に同じに解釈するなどとてもできない。
 我々の戦略指定研究でも、6~10dBだったか、9dBだったか、やっぱり同じLAeqでも、風車騒音に対して反応は厳しく出ているわけで、ですから、dBAが万能ではなくて、やっぱりスウィッシュ音とか、フランスなんかの基準では、純音成分が含まれているからというので厳しくしているわけですね、数値的にね。だから、この環境基準が絶対的な原則ではないということは、やっぱり確認しておいたほうがいいと思います。ほかにないから、これを今いろんな都道府県でも持ってきているわけです。道路交通騒音というのは、ある程度、もう街中にいれば聞こえるというのは前提で生活できますよね。風車もそうなればいいんですね。あのお陰でこの電気がついているんだ、空気もきれいになっているんだと、みんながそれに価値観を持つようになれば、僕はいいと思うんです。そういうふうになれば、それはそれでいいんじゃないかと。ただ、今の状況はそうじゃないですよね。

【町田座長】 ありがとうございました。
 佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】 ちょっと確認なんですが、この資料5の目安について(案)というのは、これは今後のいろいろなこの会議の進め方について、もととなるものになると考えていいんですか、これが。かなり重要なものですね。確認した上で、2の目安とする値についての最後のところなんですが、超低周波音についてなんですが、風車問題で健康の懸念の多くは、やはりこの超低周波音について、よくわからないということがもとになっていると思うんですが、この中で、現段階では健康影響は明らかとなっていないということで、今回、超低周波音について評価の対象としないと書いてあるんですけど、実際、評価のしようがないというのは、結論としては一緒なんですが、やはり明らかになっていないから、これはもう見ないよというふうにとられてしまうと、やはり明らかでない、イコール、健康影響はないという、これはもうそういうふうな、それでいいのかというふうになってしまうので、ちょっと書きぶりは変えたほうがいいんだろうなと思っております。
 あともう一つ、その中間とりまとめにおいて評価の対象としていないと、もう結論づけているというふうにも読めるんですが、中間とりまとめの中で、「風車から発生する20Hz以下の超低周波音は人間が知覚できるレベルでなかったことから」というところがしっかり明文化しているところがありましたら、ちょっとその確認をしたかったので。

【橘委員】 これはやらなかった。

【佐藤委員】 それでいいんですかね。
 あと、すみません、もう1点だけ、先ほど桑野先生からもあったように、ドーズ・レスポンスのことなんですけども、それのデータそのものはもう既に集積されたものがあって、これもレビューとしてまとめられたということなんですが、問題は、そこからどういうふうな考えで基準を導くかということで、アノイアンスということであると、やはり個体差が大きいと、個人差が大きい。ですから、聞こえなければアノイアンスはないだろうということでいいのかもしれませんが、感じ方については、もうそれぞれ人によってまちまちなので、5%だったら許容しよう、10%なら許容しよう、そういうようなドーズ・レスポンスカーブからは、そういうふうなところで値を導くしかないんですが、その辺が時代とともにいろいろ考え方が変わってきている可能性があるというか、ちょっと例が適当かどうかはわかりませんけど、先ほど橘先生もおっしゃったように、やはり全てのものにはメリットとデメリットがあって、風車の恩恵を感じながらであれば、少しぐらいうるさくても仕方ないと思える人もいれば、うるさいと思ったら、もうそんなことは一切考えられないという方もいるし、ちょっとこの辺は非常に難しい問題だなと日ごろから思っているので、その辺をどういうふうに考えていくかというのは、これから議論しなければいけないことなんだろうなと思っております。

【町田座長】 ありがとうございました。
 どうぞ、環境省、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 佐藤先生、今、ご指摘の点、私どもが中間とりまとめのところから抜粋してまとめたところが、引用があまり丁寧ではなくて失礼いたしました。ご指摘を踏まえて表現を修正したいと思います。
 ちなみに、中間とりまとめ、本日の参考資料1としてお配りしておりますが、関連する部分といたしまして、3ページのところの一番下から6行目ぐらいのところ、風車騒音の実測調査の結果として、「超低周波音領域の成分は聞こえない/感じないということが確認されたこと」などと、それから、基準曲線と比較をしたことについて書いておって、「風車騒音は"聞こえる"音として議論すべきことを意味している」といったような部分、それから、あとは7ページ目に人への影響に関連する部分がありまして、7ページ、(2)のすぐ下のパラグラフの辺り、「20Hz以下の超低周波音による個々の健康リスクへの影響については、今のところ明らかな関連を示す知見は見当たらなかった」といったような文章がありまして、その辺りなんですけれども、引用の仕方を丁寧に表現を改めたいと思います。
 また、考え方につきましても、大変重要な質疑をいただきまして、次回、ドーズ・レスポンスの関連につきましてお示しをしたり、それから、環境基準の考え方など、関係性などを整理する際、その今のご指摘も踏まえて整理をして、お示しできるようにしていきたいと思います。

【町田座長】 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
 落合委員、どうぞ。

【落合委員】 騒音に係る環境基準が3ページのところに参考で出ておりますけれども、これのもとになりました対象となる一般的な騒音の場合、A特性を掛けますと、たしか700Hzぐらいの周波数が最大になっていたと思うんですが、風車音の場合、A特性を掛けると最大となる周波数が400Hzだったと思うんですが、少し低くになります。それに伴って、戦略研究でも、請負業務の苦情発生地域で測定したものも、家屋内外レベル差は一般的な騒音の場合よりも5dB~10dBぐらい低いので、目安となる値の検討にあたってはハウスフィルタの影響も考えていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。

【町田座長】 ありがとうございました。
 どうぞ、沖山委員、お願いします。

【沖山委員】 すみません、先ほど測定の話をしたんですが、測定結果に基づいて、ある程度の基準が決まるという方法なんですが、役所がはかった場合と、実務で、コンサルがはかった場合と、その測定法がしっかりしていないと違っちゃうんですよね。そうすると、結構大変なことになるので、誰がはかっても同じ値が出るんだという、当然の話なんですが、その辺、しっかりしたマニュアルをつくっていただきたいという要望です。
 それから、もう一つは、これは個人的感想ですが、スウィッシュ音(振幅変調音)が有意音であるとすれば、聞こえなければよいという考え方があります。要するに、今のカラオケの規制では、有意音としてカラオケが聞こえれば、それは午後11時から明朝6時まで止めなさいということがカラオケ条例で定められています。これは環境省が基本条例で示して、全国の自治体がそれに基づいて決めているわけですね。ですから、家の外ではかるというのは基本ですが、苦情等を考えて、もし家の中でスウィッシュ音が聞こえなければ、それでいいではないかという考えもあってもいいのではないかなと思っております。
 以上です。

【町田座長】 ありがとうございました。
 1点確認をしておきたいんですが、目安とする値についてご議論をいただいておりますが、資料1に諸外国における風車騒音に関する基準・ガイドラインの調査がございます。その二つ目に騒音限度値の設定方法が5点ほど書かれております。これを踏まえた上で目安値を考える、こういうことでよろしいわけですね。この、例えば①番は、地域類型・時間帯に関係なく一定値を設定する方法ですけれども、この諸外国の調査の中で、我が国にはどういう方法がベターであるのか。その上に立って、この目安値を考えていく、このような考えでよろしいでしょうか。そこのスタンスをちょっとお聞かせいただければと思います。
 事務局、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 町田先生、ありがとうございました。
 諸外国の事例も一つの参考になろうかと思っております。それで、資料5の2.の2番目の矢羽根、それから、4番目の矢羽根で表現をしようとしておりましたことは、資料1で言いますと、2.の③地域の底となる音、つまり、静けさを表すレベルをベースとして、風車による騒音の増加の程度に一定の限度値を加味するというものが近いかと思っております。

【町田座長】 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 どうぞ、橘委員。

【橘委員】 次回以降になるかと思いますけど、ちょっと1点だけを申し上げておきますと、その風車騒音の音質的な問題、道路交通騒音とは違うんだという話で、大きく言えば、振幅変調音と純音成分ですけれども、この諸外国の調査でも、イギリスなんかは、風車騒音にはスウィッシュ音が含まれるんだという前提でもう数値も考える。要するに、数値を厳しくしているわけですね。フランスは、今度は、もちろんそれも入るんだけれども、純音成分がある程度含まれているものだということで、そのペナルティも含めて基準を決めている。国によって随分違うわけですね。日本もこれからそれを考える場合に、斉藤さんちの前ではかったらスウィッシュ音が何dBでした。田中さんちは違う何dBでしたと。これじゃあ、もうどうしようもないでしょう。だから、もうそういうのはあらかじめ入れておかなきゃいけない。
 それから、純音成分は干渉性が強いので場所によって大きく変化します。フィールドでモニタリングの段階で、ここは基準をオーバー、ここはオーケーというわけにはいかない。だから、アセスメントの段階で、純音を出す機種であればペナルティは何dBですよということで純音成分の出ない機種を選ぶインセンティブを作る必要がある。一々風車が回り始めたら、それをはかって、ここはオーケー、ここはだめですなんて、やってられないでしょう。IECの方法というのは、エミッションを測るための規格で、風車のすぐ近くで測定するわけですよ。この風車はこういう特性を持ったものですよということを表示するためのものです。あれをアイミッション側、暴露側で使って、斉藤さんちの前でいくら、田中さんちの前で幾らでしたとやるものじゃないわけです。その辺をはっきり切り分けておいたほうがいいと思います。アセスをやるときに、純音成分を出す機種にはペナルティを付ける。
 片や、スウィッシュ音は、これ、恐らく風車が回る限り、水平の3翼型の風車である限り、なくすことはできないでしょう。だから、それはもうありきで基準値の数値を考える上で、含めて考える。これはイギリス流の考え方。何かもうそこらを決めないと、これ、いつまでたっても決まらない。
 それから、低周波音も、今、お話が出ていたけども、低周波音の影響があるかもしれない、あるかもしれないと言っていたら、もういつまでたっても行政として進まない。少なくとも論文なんかをたくさん調べて、さっきも言いましたけども、そういう明確な直接的な健康影響は見られないと言っているわけです。ないとは言っていないんですが。しかし、お化けがいるんじゃないか、いるんじゃないかと言っていると、いつまでたったって先へ進めない。行政というのは非常に実際的でなければいけないですから、ひとまずこういうことでいきますと言わなくてはいけない。

【町田座長】 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 橘先生の意見に賛成なので、これでいきますという結論はもう一緒だと思います。超低周波音はあるかもしれないだと何も数字は出てこないので、ただ、今後もこれについては、一応頭の片隅には置いておきますよというようなニュアンスは書いたほうがいいだろうなという意味ですね。

【町田座長】 ありがとうございました。
 田中委員、どうぞ。

【田中委員】 今のご説明で、大変私も疑問が氷解したところがありまして、先ほど諸外国のペナルティの扱い方、どういうふうに適用しているんだろうかという、その最初の質問はそこにあったんですね。つまり言うと、今のご説明を伺っていると、振幅変調音というのは、もう基本的にこれは出るものだということを前提にペナルティを考えている。純音成分のほうは、これは場合によっては、機種によって、出る、出ないがあり得る。とすると、そこをやっぱりある意味、メーカーにデータを出していただき、これがあるもの、発生するものについてはりペナルティを見ますよと、こういう仕組みになっていくのかなとように思います。
 そうしたときに、今のご説明で、それがよろしいと思うんですが、そうしたときに、メーカーのほうにそういうデータを表示していただく方向にする、ある意味、させていく、そういう力が必要ですね。強制力というか、担保をしなきゃいけない。だから、それをどうやっていくのかというのが、もしペナルティを考えていくということになると必要になってきます。
 それから、昨今のいろんな自動車メーカーのデータ表示のことではないですが、燃費が低いといって表示しているんだけど、実際に高かったり、そういうこともないようにしなきゃいけませんので、これも大きな問題かと思います。

【橘委員】 一応は国際規格がありますから。

【田中委員】 あるんですか。

【橘委員】 JISにもあります。

【田中委員】 国が基準を決めても、自動車メーカーの例ではメーカーが改ざんしたということのようです。

【橘委員】 あれはまた別です。

【田中委員】 そうですか、失礼しました。

【町田座長】 ありがとうございました。
 それでは、塩田委員、短くお願いします。

【塩田委員】 1ページの限度値の位置づけに、30番だけが罰金を取っているというのがありました。これ、アメリカですが、5dBのペナルティというのがあって、このペナルティが罰金に相当しているのかどうかということ。それから、ずっと今まで調べてきたと思いますが、このアメリカの30番は住宅だけ対象にしているわけです。法律を制定している時間的な経過というのがあって、もしかしたら、30番は、一番新しい最近の法律かどうかと。一番古い法律でいくと、1990年代ぐらいに制定した法律と、2015年ぐらいに制定した法律が錯綜している可能性が実はあるわけです。各国で、例えば、一番上の国、デンマークでは、法律の規制値になっています。規制値をオーバーすると、私のイメージでは、風車を停止してしまうのではないかな。ただ、その法律でこの限度値/規制値が決まっているだけで、その値を遵守しなさいと言っているだけですね。遵守できなかった場合には、やっぱり何らかのことがきちんと記述してあるのではないかとイメージ的には思っています。が、そこも含めて調査してほしいなというのは私の希望です。

【町田座長】 ありがとうございました。早水審議官、どうぞ。

【早水大臣官房審議官】 すみません、1点だけコメントさせていただきます。船場先生からご指摘のあった、こういう場所は、静かな環境を守りたいからつくらないほうがいいんじゃないかみたいな、場所が設定できるかというお話があったと思います。多分よくあるのは、自然公園とか、そういった生態系とか景観とかの観点で、自然公園のこういうところはつくらないほうがいいというやり方が一つあると思いますが、これはこの検討会とは少し違う話になろうかなと思います。
 ただ、もう一つ、我々環境省でもやっていますが、例えばその地域で特別な音環境として守りたいようなところが、例えば砂が鳴るとか、そういう地域でどうしてもここは守りたいみたいなところがあって、そういう静かな音環境なり、特別な音環境として何か守りたいところがあれば、何かそういう地域でここの辺はやめたほうがいいというのはあるのかもしれないですね。その辺りは何か書いたほうがいいかどうか、少し考えたいと思います。前者の自然関係のほうは少し違うとは思いますが、そういう立地規制というのは別途あり得るというふうには思いますので、その辺りも含めて考えてみたいと思います。

【町田座長】 コメントありがとうございました。さまざまな観点からご意見をいただきました。目安値の考え方は大事な点でございますので、時間を多くかけさせていただきました。
 ご意見をいただきました点について事務局で整理をいたしまして、次回以降、具体的な評価の目安について、引き続き、ご議論をいただきたいと思います。
 それでは、次の議題(2)なんですが、今後の進め方について、事務局より説明をお願いします。資料6となります。よろしくお願いします。

【木村大気生活環境室振動騒音係主査】 資料6についてご説明をいたします。
 今後の進め方なんですけれども、本日、第1回検討会ということで、中間とりまとめにおける今後の課題に対する検討状況及び風車騒音の評価方法についてということで、ご議論をいただきまして、ありがとうございました。
 この後なんですけれども、次回の検討会につきまして、本年夏頃にできればいいなというふうに考えておりまして、ここでは、風車騒音の評価方法について、また継続してご議論をいただきたいということと、報告書(案)ということで、中間とりまとめも含めましたこの検討会全体のこれまでの議論についての報告書というものを作成したい、お示ししたいというふうに考えております。
 この後、第2回検討会の後に、パブリックコメントということで、広く一般の方からコメントをいただく期間を設けまして、それをもとに第3回の検討会というものを本年秋ぐらいを目途にと考えておりまして、こちらでパブリックコメントの結果と報告書(案)の取りまとめということで進めていければというふうに、事務局としては考えているところです。
 以上です。

【町田座長】 ありがとうございました。
 今後の進め方をご説明いただきました。このような予定で、今後、検討会を開かせていただきたいと思っておりますが、この時点で何か確認事項はございますか。
 橘委員、どうぞ。

【橘委員】 ちょっと最後、パブリックコメントの後、報告書を書くというんだけど、報告書を書いておしまいで、いわゆる広い意味でのパブリッシュというのはどうなるんですか。

【町田座長】 どうぞ、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 広い意味でのパブリッシュは、そこで定めていただいた事項の性格に応じまして、行政のほうで責任を持って速やかに行いたいと思っております。

【橘委員】 在来線の大規模改良については指針という形で出ましたよね。基準とか、そういうのじゃなくてね。ああいうものになるのかな。

【町田座長】 どうぞ、お願いします。

【行木大気生活環境室長】 個別の状況に応じた評価の水準としましては、一つの事例といたしましてお示しをいたしました。ああいう形もあろうかと思います。在来線のときは局長通知の中で指針としてお示しをしております。

【町田座長】 田中委員、どうぞ。

【田中委員】 多分その性格づけは、今後、検討されると思いますが、指針というのはかなり強いといいますか、かなり拘束力を持っているような気がいたします。それから、何というんでしょうか、評価の考え方とか、評価のマニュアルとか、評価の手引きとか、何かそういう形にすれば、これは非常に緩やかな感じがいたします。恐らくどういう状況をしたらいいかと、もう少し内容を見てからというご判断になろうと思いますが、そこ、幾つかの選択肢を考えた上で制定したほうがいいかなと。文言には、たしか指針というふうになっていたかと思いますが、私はも、指針というのは少し強いので、強いというか、それなりに拘束力を持つように思いますので、そこは整理をしておいたほうがいいと思いました。

【町田座長】 ありがとうございました。橘委員、田中委員のご意見を踏まえまして、お考えいただければと思います。
 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。風車騒音の評価の目安についての考え方を重点的に議論をいたしました。
 次回以降、具体的な評価の目安となる値について検討したいと思います。事務局においては、本日の委員のご意見を踏まえまして、評価方法について資料作成をお願いいたしたいと思います。それから、中間とりまとめの内容も含めまして、これまでの検討会での議論について、報告書の準備を進めていただきたいと思います。よろしくどうぞお願いします。

【行木大気生活環境室長】 承知いたしました。事務局にて作業を進めまして、次回の検討会にお諮りをいたします。作業の過程では、個別に委員の先生方にご相談させていただくかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

【町田座長】 本日の議論は以上でございます。
 進行を事務局にお返しいたします。

【行木大気生活環境室長】 本日は、お忙しい中、長時間にわたるご議論をありがとうございました。
 議事録につきましては、事務局で案を作成し、先生方にご確認をいただいた上で、ホームページで公表とさせていただきたいと思います。
 また、次回の検討会の日程につきましては、先ほどございましたとおり、夏頃を念頭に置いておりますけれども、改めまして、委員の皆様方、ご都合をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここで、事務局を代表いたしまして、大臣官房審議官の早水より一言ご挨拶を申し上げます。

【早水大臣官房審議官】 審議官の早水でございます。
 今日は国会対応のために局長が欠席で、私も途中から出席ということになりまして、大変失礼いたしました。
 今日、活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。先生方のご尽力によりまして、昨年度にこの中間とりまとめをまず一度公表させていただきましたけれども、今日、具体的な風車騒音の評価の方法につきまして、残された課題ということで議論をいただいて、大変参考になったと思います。
 また、今日の御議論を踏まえまして、資料を整えまして、次回、引き続きまして、風車の評価の目安あるいは評価方法についてのご議論をいただくとともに、その部分を含めました報告書(案)をお示しする形で、報告書の取りまとめに向けたご議論を次回にお願いしたいと思っております。今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
 今日は、お忙しいところ、ご参加いただきましてご議論いただき、ありがとうございました。