大気環境・自動車対策

平成13年度騒音規制法施行状況調査について

平成14年12月24日(火)
環境省環境管理局大気生活環境室
室長 上河原献二(内線6540)
補佐 石井 鉄雄(内線6543)
担当 大野,佐野(内線6546)


 環境省は,全国の都道府県等の報告に基づき,平成13年度における騒音苦情の状況及び騒音規制法の施行状況を取りまとめた。その概要は次のとおりである。

(1)騒音苦情の状況
 騒音に係る苦情の件数は,平成13年度は14,547件(前年度14,066件)で,前年度に比べて481件(約3.4%)増加した。
苦情の主な発生源別内訳を見ると,工場・事業場騒音が最も多く5,150件(全体の約35.4%),次いで建設作業騒音が3,776件(約26.0%),営業騒音が1,897件(約13.0%)であった。
(2)騒音規制法の施行状況
 騒音規制法に基づく規制地域を有する市区町村は,平成13年度末現在,全国の市区町村の約65.6%に当たる2,128市区町村(対前年度3市4町増加3村減少)であった。
同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は,平成13年度末現在で,全国で208,779件(前年度207,748件)となっている。特定工場等に対する法に基づく立入検査は819件(前年度930件),改善勧告は3件(前年度2件)行われ、改善命令は行われなかった(前年度0件)。この他,行政指導が918件(前年度935件)行われた。
また,同法に基づき届出された建設作業(特定建設作業)の総数は55,627件(前年度60,999件)となっている。特定建設作業に対する法に基づく立入検査は1,083件(前年度999件)行われ,改善勧告は行われなかった(前年度0件)。この他,行政指導が1,229件(前年度1,142件)行われた。

1.目的

 環境省では,騒音防止行政の一層の推進を図るため,毎年度,全国の都道府県,指定都市,中核市及び特例市を通じ,騒音に係る苦情の状況,騒音規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い,その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)騒音苦情の状況

[1] 平成13年度に全国の地方公共団体が受理した騒音苦情の件数は,14,547件であった。これは,平成12年度(14,066件)と比べて481件,約3.4%の増加となる。(図1参照)

図:図1 騒音苦情件数の推移
(図をクリックすると拡大表示します。)
図1 騒音苦情件数の推移

[2] 苦情件数を都道府県別に見ると,東京都の3,149件が最も多く,次いで大阪府1,506件,愛知県1,322件,神奈川県1,198件の順となっており,この4都府県で全国の騒音苦情件数の約49.3%を占めた。(表1参照)

表1 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
順位苦情件数人口100万対件数
都道府県件数都道府県件数
1東京都3,149東京都264.5
2大阪府1,506愛知県189.8
3愛知県1,322大阪府174.4
4神奈川県1,198埼玉県164.9
5埼玉県1,142神奈川県141.2
全国 14,547 全国平均 115.0

注)人口は,平成14年3月31日現在の住民基本台帳による。

表2 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況
都道府県H12H13増減都道府県H12H13増減
北海道 282 296 14 滋賀県 108 108 0
青森県 217 180 △37 京都府 230 224 △6
岩手県 70 89 19 大阪府 1,594 1,506 △88
宮城県 207 196 △11 兵庫県 649 673 24
秋田県 51 23 △28 奈良県 79 77 △2
山形県 70 93 23 和歌山県 101 72 △29
福島県 86 119 33 鳥取県 24 27 3
茨城県 229 189 △40 島根県 38 20 △18
栃木県 71 105 34 岡山県 96 102 6
群馬県 166 150 △16 広島県 225 217 △8
埼玉県 895 1,142 247 山口県 85 100 15
千葉県 614 641 27 徳島県 55 51 △4
東京都 2,975 3,149 174 香川県 78 72 △6
神奈川県 1,175 1,198 23 愛媛県 88 117 29
新潟県 169 192 23 高知県 52 47 △5
富山県 36 38 2 福岡県 430 526 96
石川県 797 74 △5 佐賀県 32 33 1
福井県 46 47 1 長崎県 95 95 0
山梨県 37 45 8 熊本県 55 47 △8
長野県 178 181 3 大分県 137 113 △24
岐阜県 156 124 △32 宮崎県 92 73 △19
静岡県 402 354 △48 鹿児島県 90 90 0
愛知県 1,252 1,322 70 沖縄県 58 56 △2
三重県 112 154 42 合計 14,066 14,547 481

[3] 苦情件数を発生源別に見ると,工場・事業場騒音が5,150件(35.4%) で最も多く,次いで建設作業騒音が3,776件(26.0%),営業騒音が1,897件(13.0%),家庭生活騒音が1,134件(7.8%)の順となった。
これを平成12年度と比較すると,建設作業騒音に係る苦情が353件,飲 食店,興行場,娯楽施設等の営業騒音に係る苦情が52件,工場・事業場 騒音に係る苦情が20件増加した。(図2,3参照)

図:図2 騒音に係る苦情の内訳

図2 騒音に係る苦情の内訳

図:図3 過去3か年の苦情件数の発生源別内訳
(図をクリックすると拡大表示します。)
図3 過去3か年の苦情件数の発生源別内訳

[4]規制対象とそれ以外の苦情件数との比較
 工場・事業場に対する苦情総数5,150件のうち,法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは,約19.6%の1,011件であり,建設作業に対する苦情総数3,766件のうち,同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は約34.4%の1,299件となった。(表3参照)

表:表3 規制対象・非対称別苦情件数
(図をクリックすると拡大表示します。)

(2)地域指定の状況

 騒音規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は,平成13年 度末現在2,128(平成12年度2,124)で,全国の市区町村数の約65.6% (同65.4%)に相当した。(表4参照)
平成13年度中には新たに3市4町において規制地域が指定された。

(3)騒音に係る環境基準の類型当てはめ状況

 環境基本法に基づく環境基準の類型当てはめ地域を有する市区町村数は,平成13年度末現在1,810(平成12年度1,771)で,全国の市区町村数 の約55.8%(同54.5%)に相当した。(表4参照)

全市区町
村数
市 区 町 村 計
指定
市区町村数
672 23 1,985 566 3,246
地域指定 数 672 23 1,254 179 2,128
割合 100 100 63.2 31.6 65.6
環境基準の地域の
類型当てはめ
数 656 23 1,016 115 1,810
割合 97.6 100 51.2 20.3 55.8

(4)規制の状況

特定工場等の総数及び特定建設作業の件数については,特定工場等の総数は208,779件(平成12年度207,748件)で前年度より1,031件増加し,特定建設作業件数は55,627件(同60,999件)と5,327件減少した。(表5参照)

表5 特定工場等・特定建設作業の最近の推移
 平成11年度平成12年度平成13年度
特定工場等総数 205,915 207,748 208,779
対前年度増
(増加率)
△1,006
(△0.49%)
1,833
(0.89%)
1,031
(0.49%)
特定建設作業件数 60,242 60,999 55,627
対前年度増(増加率) 3,275
( 5.75%)
757
( 1.26%)
△5,372
( △8.8%)

(4)-1 工場・事業場に対する規制の状況

[1]特定工場等総数及び特定施設の届出数
 騒音規制法に基づき届出された特定工場等の総数は,平成13年度末現在で208,779(平成12年度末現在207,748)となった。
また,特定施設の総数は1,529,189(同1,489,107)となった。
特定工場等の内訳を見ると,空気圧縮機等を設置しているものが約35.9%と最も多く,以下,金属加工機械を設置しているものが約21.7%,織機を設置しているものが約12.4%の順となった。
特定施設の内訳を見ると,空気圧縮機等が約38.0%と最も多く,以下,織機が約27.4%,金属加工機械が約18.1%の順となった。
(表6-1,表6-2参照)

表6 法に基づく届出数(平成13年度末現在)

表6-1 特定工場等総数
設置特定施設総数(%)
金属加工45,27421.7
機械空気圧縮機等74,95135.9
土石用破砕機等4,4212.1
織機25,89712.4
建設用資材製造機械3,7631.8
穀物用製粉機5780.3
木材加工機械21,78210.5
抄紙機7190.3
印刷機械21,53610.3
合成樹脂用射出成形機8,5694.1
鋳型造型機1,2890.6
計 208,779 100.00
表6-2 特定施設総数
設置特定施設総数(%)
金属加工276,71418.1
機械空気圧縮機等581,44438.0
土石用破砕機等25,6021.6
織機418,51027.3
建設用資材製造機械5,6090.4
穀物用製粉機3,7750.3
木材加工機械67,0034.4
抄紙機2,2770.2
印刷機械79,8795.2
合成樹脂用射出成形機59,9743.9
鋳型造型機8,4020.5
計 1,529,189 100.00

注)特定工場等とは,特定施設を有し,法の規制対象となる工場・事業場をいう。

[2]法に基づく措置等の状況 
 指定地域内の特定工場等に係る苦情1,011件(平成12年度1,174件)に対して,平成13年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収177件(同260件),立入検査819件(同930件),騒音の測定414件(同497件)であった。騒音測定の結果,規制基準を超えていたものは254件(同320件)であり,改善勧告は3件(同2件)行われ,改善命令は行われなかった(同0件)。
また,これらの措置のほか,騒音防止に関する行政指導が918件(同1,032件)行われた。(表7参照)
表7 指定地域内の特定工場 等に係る措置等の状況
苦情 1,011
行政措置等 報告の徴収177
立入検査819
測定414
うち基準超254
改善勧告3
改善命令0
行政指導 918

(4)-2特定建設作業に対する規制の状況

[1]特定建設作業の実施届出件数
 平成13年度中の特定建設作業実施届出件数は55,627件(平成12年度60,999件)であり,その内訳を見ると,削岩機を使用する作業が27,880件(同28,843件)と最も多く,次いでバックホウを使用する作業が13,526件(同15,926件),くい打機等を使用する作業が4,993件(同5,481件)の順になっており,これらで全体の約83.4%を占めた。 (表8参照)
表8 特定建設作業実施届出件数
特定建設作業 件数 (%)
くい打機等を使用する作業4,9939.0
さく岩機を使用する作業27,88050.1
びょう打機を使用する作業700.1
空気圧縮機を使用する作業4,3837.9
コンクリートプラント等を設けて行う作業3330.6
バックホウを使用する作業13,52624.3
トラクターショベルを使用する作業1,1562.1
ブルドーザーを使用する作業3,2865.9
計 55,627 100.00
[2]法に基づく措置等の状況
指定地域内の特定建設作業に対する苦情1,299件(平成12年度1,207 件)に対し,平成13年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収263件(同210件),立入検査1,083件(同999件),騒音の測定304件(同338件)であった。騒音測定の結果,基準を超えていたものは67件(同77件)であった。改善勧告(同0件)は行われなかった。
また,騒音防止に関する行政指導が1,229件(同1,142件)行われた。(表9参照)
表9 特定建設作業の騒音に係る指定地域内における法に基く措置状況
苦情 1,299
行政措置等 報告の徴収263
立入検査1,083
測定304
うち基準超67
改善勧告0
改善命令0
行政指導 1,299
表10 道路交通騒音に係る指定地域内における法に基づく措置状況
苦情 362
測定199
うち要請限度超30
公安委員会へ要請2( 2)
道路管理者への意見陳述12( 3)
要請以外の公安委員会への措置依頼0( 0)
意見陳述以外の道路管理者への措置依頼110(21)

(5)道路交通騒音に対する措置等の状況

 指定地域内の道路交通騒音の苦情362件(平成12年度325件)に対して,騒音の測定は199件(同185件)行われており,要請限度を超えて いたものは30件(同22件)であった。また,道路管理者に対する道路の構造改善等の意見陳述が12件(同16件)行われた。都道府県公安委員会に対する交通規制等の要請は2件行われた(同0件)。なお,これらの騒音規制法に基づく措置のほか,道路管理者に対する協力依頼等の措置が110件(同96件)行われ,都道府県公安委員会に対する同様の措置は行われなかった(同4件)。(表10参照)

(6)低周波音に係る苦情の状況

 平成13年度に地方公共団体が受けた低周波音に係る苦情の件数は110件(平成12年度115件)であった。(表12参照)
内訳を見ると,工場・事業場に係るものが52件(同61件)と最も多く約47.3%を占めた。(表11参照)

表11 低周波音に係る苦情の状況
苦情件数%
工場・事業場5247.3
営業54.5
家庭生活1614.6
航空機10.9
鉄道10.9
道路交通10.9
建設作業32.7
その他3128.2
合計 110 100.0
表12 低周波音に係る苦情件数の年次推移
 H45678910111213
工場・事業場 15 18 12 12 16 19 22 21 61 52
建設作業 2 0 1 1 1 1 0 0 2 3
道路交通 1 0 3 2 1 1 2 1 1 1
鉄道 4 18 8 4 3 0 2 1 4 1
その他 15 7 9 4 11 13 18 22 47 53
合計 37 43 33 23 32 34 44 45 115 110

(7)一般地域における環境基準の適合状況

 平成13年度に環境騒音の測定を実施した地方公共団体数は315(平成12年度349)で,環境基準の類型あてはめがなされている1,810市区町村数の約17.4%であった。
測定地点の総数は4,937地点(同4,571地点)であり,そのうち定点測定地点数(毎年度実施しているものとは限らない)は3,130地点(同3,420地点)で,全体の約63.4%となった。

[1]環境騒音の測定実施状況
 平成13年度に環境騒音の測定を実施した地方公共団体数は315(平成12年度349)で,環境基準の類型あてはめがなされている1,810市区町村数の約17.4%であった。
測定地点の総数は4,937地点(同4,571地点)であり,そのうち定点測定地点数(毎年度実施しているものとは限らない)は3,130地点(同3,420地点)で,全体の約63.4%となった。
[2]環境基準の適合状況
 地域の騒音状況をマクロに把握するために必要な地点を選定している場合と,騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合とに分けて集計を行っている。
ア 地域の騒音状況をマクロに把握するために必要な地点を選定している場合
全測定地点4,158地点(同3,829地点)のうち約74.6%の地点で環境基準に適合(同72.8%)した。
地域類型別にみた場合,A類型及びB類型地域(住居系地域)では3,198地点(同2,893地点)のうち約73.1%の地点で適合(同72.0%)し,C類型地域(住居・商工業混在地域)では960地点(同934地点)のうち約79.3%の地点で適合(同75.3%)した。
イ 騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合
全測定地点779地点(同742地点)のうち約69.8%の地点で適合した(同67.3%)。
地域類型別にみると,A類型及びB類型地域では533地点(同536地点)のうち約65.1%の地点で適合(同62.1%)し,C類型地域では246地点(同206地点)のうち80.1%の地点で適合(同80.6%)した。
(注)この集計における環境基準の適合・不適合の判定については,原則として測定した全ての時間帯において環境基準を満たした場合を「適合」とした。

表13 一般地域における環境基準の測定及び適合状況(道路に面する地域を除く)

表:表13 一般地域における環境基準の測定及び適合状況(道路に面する地域を除く)
(図をクリックすると拡大表示します。)

AA :
特に静穏を要する地域
A :
専ら住居の用に供される地域
B :
主として住居の用に供される地域
C :
相当数の住居と併せて商業,工業等の用に供される地域

(8)おわりに

 ここ数年の苦情件数の推移を見ると,微増傾向にあると言える。平成13年度増加した直接の要因としては,主に,大都市圏の指定地域内における未規制建設作業と指定地域内における未規制工場等に関する騒音苦情の増加があげられる。来年度以降,騒音に係る適切な評価手法及び規制手法等の見直しを行うとともに,法の運用のみならず,騒音低減技術の普及推進や良好な音環境の創造を一層促進していく必要がある。