大気環境・自動車対策
平成28年度自動車交通騒音の状況
平成30年2月2日(金)
環境省水・大気環境局自動車環境対策課
環境省は、平成28年度に行われた自動車騒音常時監視(騒音規制法の規定に基づき、都道府県及び市(特別区を含む)により自動車騒音の状況が監視されるもの)の報告に基づき、全国の自動車交通騒音の状況について取りまとめました。その結果、861万8,400戸を対象とした評価において、昼夜間とも環境基準を超過していたのは全体の2.9%でした(平成27年度は3.%)。/p>
1.自動車騒音常時監視の実施状況
自動車騒音の常時監視は、都道府県等が自動車騒音対策を計画的に行うために地域の騒音を経年的に監視することが必要であるとして、平成12年度から実施されています。監視に当たっては、「騒音規制法第18条の規定に基づく自動車騒音の状況の常時監視に係る事務の処理基準(平成17年6月)」に基づき、平成18年度以降、原則として5年間で対象となる地域全体の評価を行うこととし、計画的に評価対象地域を広げてきているところです。さらに「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23 年法律第105 号)に基づき、平成24年4月1日付けで都道府県から一般市へ権限委譲が行われました。平成28年度は、全国841地方公共団体において、環境基準の達成状況の評価が実施されました。評価の対象は、道路延長63,777kmに面する地域における、861万8,400戸の住居等です。なお、評価の対象とする範囲は、道路端から50mの範囲にある住居等としています。
2.環境基準達成状況
(1)全体の状況
評価対象の全戸数である861万8,400戸のうち、昼間(6時~22時)・夜間(22時~6時)のいずれか又は両方で環境基準を超過していたのは52万6,400戸(6.1%)であり、そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたのは24万7,900戸(2.9%)でした。
幹線交通を担う道路(注1)に近接する空間(注2)における364万6,300戸のうち、昼間・夜間のいずれか又は両方で環境基準を超過していたのは37万6,200戸(10.4%)であり、そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたのは17万3,800戸(4.8%)でした。
環境基準の達成状況の経年変化は、各年で評価の対象としている住居等の違いはありますが、緩やかな改善傾向が見られます。全戸数を対象とした評価において、昼夜間とも環境基準を達成した割合は、平成26年度が93.2%、平成27年度が93.6%であったの対し、平成28年度は93.9%でした。
(注1)「幹線交通を担う道路」とは、道路法第3条に規定する高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道(市町村道にあっては4車線以上の区間に限る。)など。
(注2)「幹線交通を担う道路に近接する空間」とは、2車線以下の車線を有する道路の場合は道路端から15メートル、2車線を超える車線を有する道路の場合は道路端から20メートルまでの範囲。
(2)道路種類別の状況
全体を道路種類別に分けて集計したところ、昼間・夜間のいずれか又は両方で環境基準を超過していた割合が最も高かったのは一般国道であり、235万5,300戸のうち24万7,100戸(10.5%)でした。
個別地域の状況ついては、国立研究開発法人国立環境研究所が運営するインターネットサイト「全国自動車交通騒音マップ(環境GIS 自動車交通騒音実態調査報告)」において、地図と共に情報提供します。
インターネットアドレス
http://tenbou.nies.go.jp/gis/monitor/?map_mode=monitoring_map&field=8
【全国自動車交通騒音マップ掲載例】
3.今後の対応
環境省においては、引き続き、騒音規制法の規定に基づき都道府県及び市(特別区含む)により常時監視される自動車騒音の状況の取りまとめを実施するとともに、本調査結果を踏まえ、環境基準の達成・維持に向けて、自動車単体対策はもとより、交通流対策、道路構造対策等を、関係省庁等と連携して総合的に推進していきます。
また、近年、従前は人が居住していなかった沿道において宅地開発が行われた結果、新たに居住することとなった者に係る交通騒音問題が発生しています。環境省では、適切な沿道・沿線対策を選択する上で参照できる指針として、平成26年に「交通騒音問題の未然防止のための沿道・沿線対策に関するガイドライン」を策定し、平成29年6月には地方公共団体における先進的な取組事例等を追加した改定版を公表しました。平成29年度中に、ガイドラインの周知を目的とした地方公共団体向けの講習会を実施する予定であり、本調査結果の活用及びガイドラインの周知等を通じて、交通騒音問題の未然防止に向けた取組を推進していきます。