大気環境・自動車対策
平成14年度悪臭防止法施行状況調査について
平成15年12月18日(木)
環境省環境管理局大気生活環境室
室長:上河原献二(内線6540)
室長補佐:由衛 純一(内線6543)
担当:西川 絢子(内線6542)
環境省は,全国の都道府県等の報告に基づき,平成14年度における悪臭苦情の状況及び悪臭防止法の施行状況を取りまとめた。その概要は次のとおりである。
- (1)悪臭苦情の状況
- 平成14年度の悪臭苦情件数は23,519件であり,過去最高であった平成13年度に次ぐ苦情件数となった。サービス業や個人住宅に対する苦情が減少した一方で,野外焼却に対する苦情は9,577件と依然として相当に多い状況にある。
- (2)悪臭規制等の状況
- 悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は,平成14年度末現在,全国の市区町村の55.8%に当たる 1,804市区町村(14町村増加)であった。
これらの規制地域内において,平成14年度には立入検査が7,037件(前年度6,844件),報告の徴収が871件(同772件),測定が220件(同163件)行われた。また,測定の結果,規制基準を超えていたものは68件(同44件)であり,法に基づく改善勧告が9件(同7件),改善命令が1件(同0件)行われた。また,行政指導が10,968件(同11,376件)行われた。
1 調査の目的
悪臭防止行政の一層の推進を図るため,毎年度,全国の都道府県,指定都市,中核市及び特例市に対して,悪臭苦情の状況,悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い,その結果を取りまとめているものである。
2 調査結果
(1)悪臭苦情の状況
[1] 苦情件数の推移
平成14年度の悪臭苦情件数は23,519件であり,昭和45年度の調査開始以来,過去最高の苦情件数であった平成13年度に次ぐ苦情件数となった。これは,前年度と比較して257件,約1.1%の減少となった。サービス業や個人住宅に対する苦情が減少した一方で,野外焼却に対する苦情は9,577件と依然として相当に多い状況にある。
図1 苦情件数の推移
[2] 都道府県別の苦情件数
平成14年度の苦情件数を都道府県別に見ると,上位5県は愛知県,埼玉県,東京都,福岡県,大阪府であった(表1)。これら上位5都府県で総苦情件数の37.3%を占めており,都市部における苦情の多さが目立った。
また,苦情件数を平成13年度と比較すると,47都道府県中26都道府県で苦情がやや減少していた(表2)。
表1 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
全国計 | 23,519 | |
---|---|---|
順位 | 苦情件数 | |
都道府県 | 件数 | |
1 | 愛知県 | 2,214 |
2 | 埼玉県 | 1,921 |
3 | 東京都 | 1,876 |
4 | 福岡県 | 1,437 |
5 | 大阪府 | 1,316 |
全国平均 | 186 | |
---|---|---|
順位 | 人口当たり苦情件数 | |
都道府県 | 件/100万人 | |
1 | 沖縄県 | 341 |
2 | 愛知県 | 318 |
3 | 茨城県 | 310 |
4 | 山梨県 | 307 |
5 | 和歌山県 | 298 |
表2 都道府県別苦情件数の対前年度増減状況(単位:件)
都道府県名 | 平成14年度苦情件数 | 平成13年度苦情件数 | 増減(対前年度) |
---|---|---|---|
北海道 | 392 | 502 | △110 |
青森県 | 226 | 220 | 6 |
岩手県 | 227 | 230 | △3 |
宮城県 | 494 | 401 | 93 |
秋田県 | 116 | 157 | △41 |
山形県 | 274 | 303 | △29 |
福島県 | 172 | 221 | △49 |
茨城県 | 929 | 947 | △18 |
栃木県 | 327 | 321 | 6 |
群馬県 | 327 | 300 | 27 |
埼玉県 | 1,921 | 1,776 | 145 |
千葉県 | 943 | 870 | 73 |
東京都 | 1,876 | 2,064 | △188 |
神奈川県 | 1,115 | 1,260 | △145 |
新潟県 | 268 | 379 | △111 |
富山県 | 76 | 49 | 27 |
石川県 | 127 | 157 | △30 |
福井県 | 125 | 150 | △25 |
山梨県 | 272 | 369 | △97 |
長野県 | 593 | 738 | △145 |
岐阜県 | 485 | 526 | △41 |
静岡県 | 996 | 930 | 66 |
愛知県 | 2,214 | 2,260 | △46 |
三重県 | 496 | 477 | 19 |
都道府県名 | 平成14年度苦情件数 | 平成13年度苦情件数 | 増減(対前年度) |
---|---|---|---|
合計 | 23,519 | 23,776 | △257 |
滋賀県 | 286 | 341 | △55 |
京都府 | 374 | 410 | △36 |
大阪府 | 1,316 | 1,172 | 144 |
兵庫県 | 682 | 657 | 25 |
奈良県 | 136 | 116 | 20 |
和歌山県 | 323 | 249 | 74 |
鳥取県 | 46 | 70 | △24 |
島根県 | 44 | 90 | △46 |
岡山県 | 333 | 228 | 105 |
広島県 | 465 | 495 | △30 |
山口県 | 245 | 196 | 49 |
徳島県 | 179 | 222 | △43 |
香川県 | 200 | 222 | △22 |
愛媛県 | 289 | 311 | △22 |
高知県 | 220 | 171 | 49 |
福岡県 | 1,437 | 1,429 | 8 |
佐賀県 | 125 | 134 | △9 |
長崎県 | 317 | 247 | 70 |
熊本県 | 143 | 159 | △16 |
大分県 | 278 | 233 | 45 |
宮崎県 | 290 | 248 | 42 |
鹿児島県 | 342 | 358 | △16 |
沖縄県 | 458 | 411 | 47 |
[3] 発生源別の苦情件数
平成14年度の苦情件数を発生源別に見ると,「野外焼却」に係る苦情が最も多く,9,577件で全体の40.7%を占めた。第2位は飲食店や自動車修理工場等の「サービス業・その他」の3,109件(13.2%),第3位は「個人住宅・アパート・寮」の2,499件(10.6%)であった。
前年度と比較すると,「野外焼却」(前年度38.2%)に係る苦情件数割合が増加した反面,「サービス業・その他」(前年度14.7%)や「その他の製造工場」(前年度7.6%)に係る苦情件数割合は減少した。
なお,「野外焼却」に係る苦情のうち,工場・事業場を発生源とするものが62.3%を占めていた。
図2 発生源別苦情件数の推移
<拡大表示>
[4] 規制対象とそれ以外の苦情件数の比較
平成14年度の総苦情件数23,519件のうち,悪臭防止法の規制対象となる規制地域内の工場・事業場に対するものは11,072件(47.1%)であり,規制地域外の工場・事業場に対する苦情(3,136件,13.3%)及び「個人住宅・アパート・寮」,「下水・用水」など規制対象外の発生源に対する苦情(9,311件,39.6%)が残りを占めていた(表3)。
(2)悪臭規制等の状況
[1] 規制地域の指定状況
悪臭防止法に基づく規制地域を有する市区町村は,平成14年度末現在,1,804市区町村で,全国の市区町村数の55.8%にあたる(表4)。平成14年度中に新たに14町村において規制地域が指定された。
[2] 悪臭防止法に基づく規制措置等の状況
平成14年度中に,規制地域内で悪臭防止法に基づく措置等を行った件数は,表5のとおりであった。
平成14年度に行われた立入検査は7,037件(前年度6,844件),報告の徴収は871件(同772件),測定は220件(同163件)であった。また,測定の結果,規制基準を超えていたものは68件(同44件)であり,法に基づく改善勧告が9件(同7件),改善命令が1件(同0件)行われた。これらの措置のほか,悪臭防止に関する行政指導が10,968件(同11,376件)行われた。
(3)臭気測定業務従事者(臭気判定士)の状況
平成8年に創設された臭気測定業務従事者(臭気判定士)の数は年々増加しており,平成14年度末現在の臭気判定士免状の取得者数は2,081名となった。
(4)臭気対策関連の条例・指導要綱等の状況
悪臭防止法に基づく規制基準の他に,条例・要綱等により規制基準や管理基準等を設けて臭気対策を行っている地方公共団体は,条例が42都県市町,指導要綱等が40都道県市であった。
このうち,嗅覚測定法による規制基準又は指導基準を設定している地方公共団体は,条例が16都県市,要綱等が39道県市であった。