報道発表資料

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2014年10月14日
  • 自然環境

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)第五回定例会合の結果について(お知らせ)

 10月4-5日、ピョンチャン(韓国)において「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ第五回定例会合」が韓国政府との共催により開催されました。
 同会合では、「持続可能な開発の実現にむけた生産ランドスケープ・シースケープでの活動の促進」をテーマに、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の総会と公開フォーラムが行われました。
 また、生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)期間中の10月6日、8日には、それぞれ「現場からの愛知目標達成への貢献」、「生産ランドスケープ/シースケープにおける生物多様性の主流化を目指した資源動員」をテーマとしたサイドイベントを開催しました。
 なお、次回、第六回定例会合はカンボジアにおいて開催される予定です。

※ SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)

 SATOYAMAイニシアティブは、二次的自然環境における生物多様性の保全やその持続可能な利用の促進のため、環境省及び国際連合大学サステイナビリティ高等研究所が中心となって提唱してきた取組みです。IPSIは本イニシアティブの活動を促進するため、2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の期間中、国・地方政府、研究機関、国際機関、NGO、民間企業等、多様な主体の参加を得て発足した国際パートナーシップです。本会合に先立ち開催された運営委員会において2団体の加入が承認され、現在、16カ国の政府機関を含む合計164団体が参加しています(別添1参照)。

●組織構成:IPSIには、意思決定機関として全ての参加団体を構成員とする総会が設置されている。また、総会の下に、パートナーシップの運営等について審議するための運営委員会が設置されている。
●事務局(所在地):国連大学サステイナビリティ高等研究所(東京都渋谷区神宮前5-53-70)
●IPSI会員構成:国・地方政府(34団体)、研究機関等(31団体)、国際機関等(14団体)、NGO等(67団体)、民間企業等(18団体)

1.実施主体
主催:SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局(国連大学サステイナビリティ高等研究所)、日本政府環境省、韓国政府環境省

2.目的
総会:IPSIの今後の運営や活動の方向付けを行うこと。
公開フォーラム:IPSIのメンバーのみならず、メンバー以外へもIPSI及び各メンバーの活動を紹介し、協力や連携を図ること。

3.日程
平成26年10月4日(土)~5日(日)

4.開催地
アルペンシア国際会議場 Gホール・ルーム3(韓国・ピョンチャン)

5.テーマ
持続可能な開発の実現にむけた生産ランドスケープ・シースケープでの活動の促進
(Furthering action in production landscapes and seascapes for sustainable development)

6.結果概要
(1)総会:10月4日(土)午後

●IPSI参加団体より約60人が参加しました。
●総会開会にあたり、竹本和彦IPSI事務局長(国連大学サステイナビリティ高等研究所所長)から開会挨拶がありました。
●冒頭、総会議長として武内和彦国連大学上級副学長が選出されました。
●運営委員会議長より、第四回定例会合(IPSI-4:平成25年9月、福井県福井市ほかにおいて開催)以降に加入が承認された新しいメンバー(9団体)等、運営委員会の主な審議内容について報告がありました。なお、9団体には、これまでIPSI参加がなかった、エクアドル、オーストリア、ニュージーランドのメンバーが含まれています(別添2参照)。
●IPSI運営規定の改正案が運営委員会議長より提案され、承認されました。運営規定の改正は、第一回定例会合(IPSI-1:2011年3月、愛知県名古屋市において開催)以降2回目となります。改正案では、これまでの国際パートナーシップの運営状況にあわせ、より円滑な運営に必要な改正を行ったものです。主な改正事項は以下の通りです。
 ○これまで単一の文書であった運営規定は、憲章(Charter)と運営ガイドライン(Operational Guideline)の2つの規定に分けられることとなりました。IPSIに関する基本的な事項は憲章において   規定されているのに対し、運営に関する詳細な事項は運営ガイドラインにより規定されています。これにより、運営の状況に応じガイドラインを柔軟に改定することにより、より効果的で効率的なパートナーシップの運営が可能となることが期待されます。
 ○運営委員会議長は選出回数にかかわらず任期を延伸できるとともに、議長が副議長の任命や運営委員会の下に戦略策定小委員会を設置することができることを明記しました。
 ○運営委員会メンバーの半数改選規定を廃止しました。
 ○これまで暫定事務局とされていた国連大学サステイナビリティ高等研究所が、正式な事務局として位置付けられました。
●以下のIPSI協力活動について報告がありました。
 ○ケニア湿地生物多様性研究チームのドロシー・ワンジャ・ニンギ博士より、ケニア・ライキピア県における水域の生物多様性保全等の取組みについて報告がありました。
 ○国際熱帯木材機関(ITTO)のジョン・リー氏より、ベニンにおけるラムサール条約指定地の森林保護の再生及び持続可能な管理の研究成果について報告がありました。
●IPSI事務局より、IPSI-4以降のパートナーシップの活動報告及び、COP12におけるIPSIメンバーの活動予定、本年11月に開催される2014年世界公園会議(WPC2014、シドニーにおいて開催)での活動予定等について報告がありました。
●次回のIPSI第六回定例会合の開催について、カンボジア政府環境省より開催をホストしたい旨申し出があり、承認されました。

(2)公開フォーラム:10月5日(日)午前
●「持続可能な開発の実現にむけた生産ランドスケープ・シースケープでの活動の促進(Furthering action in production landscapes and seascapes for sustainable development)」をテーマとして公開フォーラムが行われ、IPSI参加団体や一般などから約70名が参加しました。
●開会に際し、IPSI-5共催者を代表し、ヒチョル・リー韓国政府環境省自然環境局長および竹本和彦IPSI事務局長より開会挨拶がありました。
●開会に続き、IPSI事務局より、SATOYAMAイニシアティブ及びIPSIの貢献及び公開フォーラムのねらいやプログラムについて概要説明を行われました。
●パネルセッション第一部では、バイオバーシティ・インターナショナル上席科学官であるパブロ・エイザギレ博士をファシリテーターとして、能力開発(Capacity Building)をテーマとして、IPSIメンバーであるタイ、ガーナ、ベトナム、フィリピンからの専門家から、以下のとおり活動報告が行われ、議論が行われました。
 ○環境修復保全機構(ERECON)のジェエラヌク・サクハムダアング博士より、カンボジアにおける自然資源の持続可能な利用促進のための活動に関する報告がありました。
 ○グリーンセネガルのヴォレ・ガナ・セック氏より、デルタ地帯における地域住民の参画による保護地域の設立について報告がありました。
 ○社会政策エコロジー研究所(SPERI)のト・キエン・ダング氏より、北部中央ベトナムにおける保護区(Human Ecology Practical Area (HEPA))における少数民族を対象とした自然共生のための能力開発の取組みの報告がありました。
 ○フィリピン大学オープンユニバーシティ (UPOU)のイノセンシオ・ジュニア・ブオット教授より、中央フィリピン・シキホル島における、地域コミュニティーによる薬用植物資源のガバナンスに関する報告がありました。
●パネルセッション第二部では、地球環境基金(GEF)事務局の渡辺陽子氏をファシリテーターとして、生計手段(livelihood)をテーマに、IPSIメンバーであるマレーシア、ガーナ、ウガンダ、インドからの専門家の活動報告が行われ、議論が行われました。
 ○マレーシア・サバ州天然資源事務所のジェラルド・ジェトニー氏より、日本のJICAとの協力により実施されている、マレーシア・サバ州における持続可能な開発と保全プロジェクトに関する経験と実践例の報告がありました。
 ○開発大学(UDS) 再生可能自然資源学部(ガーナ)のエリオット・ハルナ・アルハッサン博士より北部ガーナにおける内陸湿地の持続的利用と保全のための伝統的なアプローチに関する報告がありました。
 ○ネイチャー・アンド・ライブリフッドのウィリアム・オルポット博士より、ウガンダにおける、ツルに着目した湿地利用の促進について報告がありました。
 ○応用環境研究基金(AERF)のジャイヤント・サーナイク氏より、インドの北西ガーツ山脈における、生物多様性保全と木材資源の高付加価値利用によるレジリエントなコミュニティー形成促進に関する報告がありました。
●第3部の総合討論では、冒頭、IPSI事務局より、これまでにIPSIメンバーから提出されたケーススタディーのレビューや、本年7月に横浜において開催したケーススタディーに関するワークショップの成果などについて説明が行われました。その後、パブロ・エイザギレ博士と渡辺陽子氏がファシリテーターとなり、参加者による議論が行われました。

7. IPSIサイドイベント等
(1)IPSI事務局主催サイドイベント:10月6日(月)13:15-14:45
「現場からの愛知目標達成への貢献
(Contribution to the Aichi Biodiversity Targets from the ground)」
会場:CEPAフェア会場
●このサイドイベントは、CBD事務局が運営するCEPAフェア(生物多様性に関する広報教育推進のための一連のイベント)の一環として行われました。イベントでは、COP12に先立ち開催されたIPSI-5の成果を報告するとともに、愛知目標達成に貢献するIPSIの取組みを、メンバーから発表とパネルディスカッションにより紹介するものです。全体で約100名の参加がありました。
●冒頭、武内和彦国連大学上級副学長より、「持続可能な開発とSATOYAMAイニシアティブ(Sustainable Development and the Satoyama Initiative)」という演題で基調講演が行われました。基調講演では、SATOYAMAイニシアティブの概念やIPSI-5を含むパートナーシップの活動成果を紹介しつつ、どのようにIPSIの取組みが愛知目標の達成や持続可能な開発の議論に貢献しているのかについて、包括的なプレゼンテーションが行われました。
●IPSI-4の共催者であった福井県より、同県安全環境部自然環境課自然環境保全グループの西垣正男主任より、「福井における里山里海湖の保全と継承に関する様々な取組について報告がありました。
●ネパールのカトマンズ森林大学(KAFKOL)理事会議長であるビシュヌ・ハリ・パンディト教授より、SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)から支援を受けたネパールでの活動報告がありました。
●SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)のUNDPプロジェクトマネージャーであるディアナ・サルベミーニ氏より、COMDEKSの紹介とこれまでのプロジェクト成果が紹介されるとともに、これらをとりまとめた出版物の公表が行われました。
●バイオバーシティ・インターナショナル上席科学官であるパブロ・エイザギレ博士より、IPSI協力活動として実施されている社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)のレジリエンス指標について、その試験適用や、ツールキットの開発の状況が紹介されました。
●各講演者による発表の後、パネルディスカッションが行われ、会場の参加者との活発な質疑応答が行われました。

(2)国連大学サステイナビリティ高等研究所主催サイドイベント:10月8日(水)18:15―19:45
「生産ランドスケープ/シースケープにおける生物多様性の主流化を目指した資源動員(Mobilizing Resources for Mainstreaming Biodiversity into Production Landscapes and Seascapes)」
会場:ホールB ルーム2
●開会に際し、星野一昭環境省参与が開会挨拶を行いました。
●国連大学サステイナビリティ高等研究所ウィリアム・ダンバー、コミュニケーション・エキスパートより、SATOYAMAイニシアティブ及びIPSIが資源動員にいかに貢献しうるかに関するプレゼンテーションを行いました。
●公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)岡安研究員よりSDMに関する概要説明と、2013年度の支援対象プロジェクトについてその概要が紹介されました。
●2013年SDMの支援対象となったプロジェクトの事例として、ペルーの自然及び持続可能な開発協会(ANDES)会長であるアレハンドロ・アルグメド氏より、プロジェクトの活動の報告が行われました。
●国連開発計画(UNDP)のニック・レンペル氏より、COMDEKSの概要と、支援対象となった各プロジェクトの成果報告が行われました。
●地球環境基金(GEF)事務局の渡辺陽子氏より、GEFの新しいプロジェクトについて概要説明があり、GEF-6生物多様性戦略とSATOYAMAイニシアティブの関連性について発表がありました。
●各講演者の発表に続き、会場の参加者との質疑等によるパネルディスカッションが行われました。なお、このイベントには約40名が参加しました。

8.その他
●IPSI-5の結果概要、発表資料等については、近日中に以下のウェブサイトに掲載される予定です。
【SATOYAMAイニシアティブウェブサイト】
http://satoyama-initiative.org/jp/

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8275)
室長  :奥田 直久(内6480)
室長補佐:小西 力哉(内6484)
係長  :永長 大輔(内6486)
 

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