報道発表資料
国連砂漠化対処条約の決議などにおいて、砂漠化に対処するためには、地域の専門家、住民を巻き込んで伝統的知識を活用、普及することが重要とされています。
このため、環境省の委託により(財)地球・人間環境フォーラムに設置された「砂漠化対処のための技術移転検討委員会(座長:稲永忍、鳥取県産業技術センター理事長)」は、2004年から2007年まで砂漠化の影響を受けているアフリカのブルキナファソにおいて伝統的知識・在来技術の技術移転に関するパイロット・プロジェクトを実施し、「伝統的知識・在来技術を活用した技術移転のあり方」をリーフレットとしてとりまとめました。
環境省では、本リーフレットを関係省庁、援助機関(国際協力機構、国際協力銀行、環境NGO等)、大学・研究機関のほか、海外の援助国・援助機関にも配布する予定です。
1.パイロット・プロジェクトの概要
2004年から2007年まで、砂漠化の影響を受けている村(ブルキナファソ、タカバングゥ村)を対象として、近隣地域で砂漠化対処に成果を挙げている伝統的な知識、技術、ノウハウを抽出し、住民自らの視察やワークショップの開催などにより、獲得を望む知識・技術・ノウハウを住民自身が決定し、技術を習得し、村内で普及・定着を図りました。
プロジェクトの実施に当たっては、技術移転を実践する住民活動の誘導方策のみならず、それを支援する援助機関側の連携のあり方、役割についても検討しました。
2.要旨(得られた教訓・提言)
- (1)
- 住民の主体性を確保しつつ、伝統的知識を住民に習得させるためには、伝統的知識を実践する地域を住民が視察し、導入する技術を住民の伝統的な意思決定方法により選定するように促すことが大変重要です。また、伝統的な意思決定方法では、女性等の参画に十分な配慮が行き届かない場合があるので、必要に応じて補足的な手段を併用することも重要となります。
- (2)
- 試行した技術移転を継続/拡大/中断するか判断するため、先行的に技術の導入を試みたグループの活動を検証・評価することが大変重要です。よい効果を上げたグループの活動については、その活動を拡大するために住民全体へ活動の効果を紹介することが重要ですが、先に技術を導入したグループは、新たに参加しようとする住民を排除しがちです。一部のグループが利益や技術を独占しないような仕組みが必要となります。
- (3)
- 導入する技術は、土地の傾斜、植生・土壌等の条件により、実践されていた地域と同様の効果が発揮されるとは限りません。また、社会経済的な条件の違いにより同じ技術を導入することが困難な場合もあります。導入しようとしている土地、地域の物理的、社会経済的な条件に合わせて、技術を「改善(応用)」する必要があり、丁寧にその改善の可能性を提示することが重要となります。
- (4)
- 技術移転を持続させるため、同じ地域で活動する他の援助機関(現地で活動するNGOを含む)と連携するとともに、将来的に中央政府/地方政府の政策の一部として位置づけられるように働きかけ、技術移転のための活動/研修を制度化させることが重要です。
3.リーフレットの配布先
我が国の関係省庁、援助機関(国際協力機構、国際協力銀行、環境NGO等)、大学・研究機関に配布するほか、英・仏語に翻訳したものを海外の援助国・援助機関に配布することとしています。
また、第16回国連持続可能な開発委員会(5月、ニューヨーク(米国))、第4回アフリカ開発会議(5月、横浜)、国連砂漠化対処条約科学技術委員会(10月、イスタンブール(トルコ))においても、会場で配布する予定です。
添付資料
- リーフレット(日本語版)「伝統的知識・在来技術を活用した技術移転のあり方-砂漠化対処への日本の取組からの教訓-」 [PDF 1.6 MB]
- リーフレット(英語版)「伝統的知識・在来技術を活用した技術移転のあり方-砂漠化対処への日本の取組からの教訓-」 [PDF 1.3 MB]
- リーフレット(仏語版)「伝統的知識・在来技術を活用した技術移転のあり方-砂漠化対処への日本の取組からの教訓-」 [PDF 1,328] [PDF 1.3 MB]
- 連絡先
- 環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
直通:03-5521-8245
代表:03-3581-3351
課長代行:深見 正仁(内線6750)
課長補佐:服部 浩治(内線6744)
担当:仲埜 公平(内線6747)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成19年9月28日
- 「国連砂漠化対処条約(UNCCD)第8回締約国会合(COP8)」の結果について
- 平成17年11月1日
- 国連砂漠化対処条約(UNCCD)第7回締約国会議(COP7)の結果について