報道発表資料

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2006年09月21日
  • 保健対策

「化学物質排出把握管理促進法に関する懇談会」報告書の公表について

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)の見直しに向けた懇談会が、以下の内容の報告書を取りまとめた。
  • 化管法に基づく化学物質排出・移動量届出(PRTR)制度等は一定の成果を挙げたが、届出事項や対象物質の見直し等が必要。
  • 化学物質の安全性に関する分類、表示等の在り方については、化学物質審査規制法(化審法)との一体的な検討が必要。

これを受け、今秋から、中央環境審議会において、懇談会で指摘された論点について検討を開始する。

1.背景

 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)は、施行7年後(平成19年3月)、施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされている。このため、化管法に基づく[1]化学物質排出・移動量届出(PRTR)制度、[2]化学物質安全性データシート(MSDS)制度、[3]化学物質自主管理等の実施状況を点検し、今後の課題及び対応の方向について検討するため、本年5月「化管法に関する懇談会」を設置し、5回の会合における議論を経て、今般、報告書が取りまとめられた。

2.報告書の概要

(1)化管法の効果

  • 平成13~16年度の届出データでは、対象物質の届出排出総量は14%減少。
  • 環境政策における基礎データとしての活用、事業者による自主的化学物質管理の促進、国民の理解の増進等、PRTRデータを多面的に利用。

(2)PRTR制度に関する課題

  • PRTRデータのさらなる活用として、有害性データと組み合わせた解析、排出量増減要因の把握、環境モニタリングデータとの比較等を進めるべき。
  • 個別事業所の届出データについては、国が公表することも含め、開示請求によらず国民が容易に入手可能とする手法について検討すべき。
  • 廃棄物の処理方法等、届出事項を拡充すべき。なお、化学物質の製造・使用量及び貯蔵量等については、届出事項とすべきとの意見と、届出事項とする目的と効果等についてさらに議論する必要があるとの意見があった。
  • 従業員数は少ないが排出量の多い事業者からの排出把握等のため、対象事業者の要件の見直しを行うべき。
  • 「化学物質の分類・表示に関する世界調和システム」(GHS)等を踏まえ、対象物質の見直しを行うべき。
  • 排出・移動量把握手法の改善等により、データの精度向上を図るべき。
  • 未届出事業者への指導強化、地域における化学物質管理等との連携のため、地方公共団体の役割についてさらに検討すべき。

(3)MSDS制度に関する課題

  • MSDSのGHS(化学物質の分類・表示に関する世界調和システム)への適合をさらに推進し、制度の運用状況を適確にフォローするとともに、MSDSに盛り込まれた情報を国民に入手可能とするよう努めるべき。
  • MSDS制度や、その他の有害性情報の伝達に関する制度については、有害性データの提出や製造量の届出、製品の表示等の措置を定めている化学物質審査規制法との一体的な検討が必要。

(4)自主的な化学物質管理

  • 事業者の自主的な化学物質管理方針・計画は、国、自治体、地域住民等の支援の下で実施すべき。これら方針・計画については、国や自治体への提出を義務づけるべきとの意見、提出義務づけは自主性を損なうとの意見等があった。
  • より安全な物質への代替、地域におけるリスク評価、事故・災害に伴う排出への対策も含め、自主的な化学物質管理について、国が具体的な指針を示すべき。

3.今後の対応

 懇談会報告を踏まえ、本年秋、中央環境審議会において、対象物質・対象事業者の見直し、個別届出データの公開、化学物質管理指針の見直し等、上記の論点に対応するための審議を開始する。

参考1 懇談会委員

大塚  直
早稲田大学法学部教授 (座長)
有田 芳子
主婦連合会
安藤 健吾
日本自動車工業会工場環境部会委員
池田  茂
東京都環境局有害化学物質対策課長
岸川 敏朗
神奈川県環境農政部化学物質対策担当課長
小出 重幸
読売新聞社 編集委員
白石 寛明
国立環境研究所環境リスク研究センター長
瀬田 重敏
東京農工大学客員教授
豊田 耕二
日本化学工業協会常務理事(第2~5回)
中杉 修身
上智大学教授
中田 三郎
日本化学工業協会常務理事(第1回)
中地 重晴
有害化学物質削減ネットワーク
新美 育文
明治大学法科大学院教授
藤江 幸一
豊橋技術科学大学教授
安井  至
国連大学副学長

(敬称略)

参考2 開催経緯

第1回
平成18年5月10日(水)
第2回
平成18年6月13日(火)
第3回
平成18年7月27日(木)有識者ヒアリング
第4回
平成18年8月 3日(木)有識者ヒアリング
第5回
平成18年8月29日(火)
連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
課長: 青木 龍哉 (6350)
課長補佐:戸田 英作 (6353)
課長補佐:神谷 洋一 (6356)
担当:草川 祐介 (6360)
担当:奥崎 浩享 (6356)