報道発表資料
11月17-18日にタイのバンコクにおいて、アジアにおける低炭素社会国際研究ネットワークづくりの一環として、環境省、(独)国立環境研究所、(財)地球環境戦略研究機関(IGES)の支援により、「タイおよびアジアにおける低炭素社会への移行に関する会合」が開催されました。
本会合は、アジア各国における低炭素社会の構築に向けた取組みを促進させるため、タイならびにアジア各国の政策決定者ならびに低炭素社会研究を行っている研究者を招いて行われたもので、タイをはじめ、4ヶ国の政府担当者・11研究機関、タイ7大学、我が国から環境省、(独)国立環境研究所及び(財)地球環境戦略研究機関を含む計176名が出席しました。
本会合では、各国の低炭素政策に関する発表やタイにおける分野別の取組み状況に関する報告等を踏まえ、低炭素社会構築に向けて研究の果たす役割についての意見交換や今後の方向性について議論が行われました。
こうした成果は、気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)のサイドイベントなどの会合にて報告される予定です。
また、本会合に続く11月19日には、AIMモデルを活用した低炭素社会シナリオづくりの研究手法の普及と向上を目的としたキャパシティビルディング・ワークショップが開催され、タイ・カンボジア・マレーシア・インドなど6ヶ国ならびにESCAP等の国際機関から約80名の研究者等が参加しました。
1.日程
平成22年11月17日(水)~18日(木)
2.開催場所
タイ、バンコク
3.主催
タイ温室効果ガス管理機構(TGO)ならびにエネルギー環境合同大学院大学(JGSEE)
4.結果概要
(1)日本の講演
我が国環境省からは、セッション1「低炭素社会政策と政策決定に必要な研究」で、我が国の中長期目標に鑑み、低炭素社会実現に向けた中長期ロードマップの検討状況ならびに同ロードマップ策定において低炭素研究が果たしている役割について紹介した。(独)国立環境研究所からは、セッション10「低炭素社会(LCS)モデルとシナリオ開発」で、日本の低炭素社会シナリオに関する研究成果(地球環境研究総合推進費S-3「脱温暖化社会に向けた中長期的政策オプションの多面的かつ総合的な評価・予測・立案手法の確立に関する総合研究プロジェクト」及びS-6 「アジア低炭素社会に向けた中長期的政策オプションの立案・予測・評価手法の開発とその普及に関する総合的研究」の研究成果の一部)を発表したほか、甲斐沼美紀子博士((独)国立環境研究所)がパネルディスカッションの議長を務めるなど、低炭素社会構築における日本の研究知見をアジア諸国に広める役割を果たした。また、(財)地球環境戦略研究機関(IGES)の西岡秀三博士がLCS-RNet事務局を代表して基調講演を行った。
(2)アジアにおける低炭素社会政策及び研究の現状
タイ国からは、低炭素社会の構築に向けた国家戦略(Economic and Social National Plan 11)の紹介があったほか、運輸、農林業、廃棄物管理、都市インフラならびに建築物等の各セクターの現状と取組状況についての報告があった。タイにおいては低炭素社会の構成要素として「充足経済(Sufficient Economy)」が重要な位置を占め、また、アダプテーション(適応)とのコベネフィットへの期待も大きい。LCS研究がこの側面でも貢献することが期待されている。
また、日本のAIMモデルを使った低炭素社会シナリオ開発の例としてタイ、マレーシア(イスカンダール地方)、ネパールでの取組が紹介され、アジアにおける低炭素社会の実現に向けた日本の貢献が高く評価されるとともに、低炭素社会の構築に向け、政策決定者とLCS研究者との知見の共有と協働、ならびに、LCS-RNet等の研究者ネットワークの重要性が改めて確認された。
(参考)低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)について
低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)は、(1)低炭素社会研究の推進及び情報交換、(2)G8などの気候政策の意思決定プロセスに、科学的知見を提供すること、を目的とする研究者間のネットワーク。2008年5月のG8環境大臣会合(神戸:5月24-26日)において我が国の提案によりその形成が合意され、2009年4月のネットワークの正式な立ち上げに続き、その活動成果を今後のG8環境大臣会合で報告していくよう求められている。
現時点での参加国・機関は、我が国のほか、フランス、イタリア、韓国、イギリス、ドイツ、インドの7カ国16研究機関。
(http://lcs-rnet.org)
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局総務課研究調査室
直通:03-5521-8247
代表:03-3581-3351
室長:松澤 裕(内線 6730)
補佐:佐々木 緑(内線 6731)
担当:小早川 鮎子(内線 6733)